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〜 特別編 〜

モバイルのスタイルを"持ち運ぶ"から"持ち歩く"に変える新dynabook



 パソコンを使い始めて20年を超えた。これだけ長く使ってきていると、もはやパソコンは、自分の脳の一部として機能していると痛感する。もはや、パソコンがなければ、明日の朝、何時に起きてどこに行けばよいのかもわからない始末。記憶と記録の大部分をパソコンにまかせているわけだ。だからこそ、日常的に持ち歩くパソコンにはこだわりたい。

東芝 dynabook SS RX1

●True Mobilityの条件

 まだまだパソコンは高額商品だ。複数台を所有すれば便利であることはわかっていても、現実問題としてそれがなかなかできない。だから、たった一台のパソコンを選ぶにあたっては、とにかく自分のニーズをすべて満たしたオールマイティを求めることになる。そして、そのニーズに、ほんの少しでもモバイル要素が含まれているとすれば、選択肢に含まれる製品のバリエーションは、一気に絞られる。

 本気でパソコンをモバイル用途で使うことを考えれば、どうしても譲れないポイントとして、

・軽いこと

・薄いこと

・(バッテリ駆動時間が)長いこと

・強いこと

という4点が考えられる。つまり、「軽薄長強」がキーワードだ。

 そして、この「軽薄長強」という4つの条件を満たす数少ない製品のひとつが、東芝のdynabook SS RX1だ。元祖ノートPCといってもいい「DynaBook J-3100 SS001」('89年)から始まり、「DynaBook SS S4」(2002年)を経て、徹底してモバイルを追求してきたdynabook SSシリーズだが、その究極の発展形として、数々の世界一を凝縮しての登場だ。

 ただし、サイズだけは悩みどころで、複数台のPCを外出目的ごとに使い分けられるのなら、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズを揃えるのが理想だ。でも、そうでなければ、Mサイズに相当する12型ワイドはオールマイティだといえるだろう。このサイズならカバンへの収まりもいいし、相手に画面を見せながらのプレゼンなどにも不自由しない。

最薄部約19.5mm。東芝のデータによると、光学ドライブ搭載の12.1型ワイド液晶搭載PCとして世界最小としている(2007年6月現在)

 

インタフェースは本体両側面に搭載。USB2.0×3、PCカードスロット、i.LINK、SDカードスロットなど充実している

薄さ約7mmのDVDスーパーマルチドライブを搭載。従来のドライブより大幅に薄型・軽量化されている

 

19mmのキーピッチ、2.0mmのキーストロークを確保したキーボード。コンパクトなボディの割にしっかりとしたキータッチも実現している

●持ち運ぶと持ち歩く

 点から点に移動してパソコンを使うのが「持ち運ぶ」だとすると、点のモバイルと線のモバイルを両立し、いつでもどこでも気軽に使うのが「持ち歩く」だ。パソコンを持ち歩く場合、携帯していることを意識しなくてもよいのが理想で、さらに、使う場所を選ばないことも重要になる。また、できるだけ短時間で必要なデータを参照できることも求められる。

 世界最薄、世界最軽量のdynabook SS RX1なら、カバンの中にパソコンが入っていることをほとんど意識しなくてすむ。日常使っているカバンから中身を全部取り出して空にして、ちょっと重さを測ってみればわかるが、おそらくは、カバンの方が重いんじゃないだろうか。

 使う場所を選ばないという点では、長時間のバッテリ駆動は必須条件だ。また、ときには屋外で開いて何か作業をしたいこともあるだろう。日中の屋外では半透過型液晶がありがたい。

 バックライトだけに頼らず、十分に明るい環境のときには、反射型液晶としても機能するこの液晶の採用は、RX1における最高の決断であるとぼくは評価している。どの世界一よりもありがたいし、だからこそ、モバイルには何が必要なのかをわかっている人たちによって製品が作られていることが想像できる。日常的にパソコンを持ち歩いているユーザーであれば、この液晶の採用には必ず納得できるはずだ。

 実際に屋外での表示を観察してみると、インターネットに接続してウェブを参照したり、メールの読み書き、文書の編集には、まったく問題がない。炎天下で長時間使うようなケースでは、バックライトを消灯してしまうことで省電力にも貢献し、バッテリでの駆動時間も伸びる。バックライトのON/OFFは、キーボード右上に専用のボタンが用意されているのも便利だ。

半透過型液晶を採用したおかげで屋外での表示も見やすく、まったく問題がない

 

キーボードの右上にはバックライトのON/OFFボタンを搭載。ボタン一つで簡単に切り替えられる

 できるだけ短時間で必要なデータを参照するという点でも申し分がない。dynabookのディスプレイを開いてスリープから復帰させ、ロック画面で指紋認証というスムーズな流れでデスクトップが復元される。ディスプレイに指をかけてから、デスクトップが再現されるまでに要する時間は確実に20秒以下だ。Alt+Ctrl+Deleteでロック画面を表示させ、複雑なパスワードを入れてログオンするよりもずっと高速で簡単だ。セキュリティを確保しながらも、ロック解除は瞬時にできるのはうれしい。

 机の上に常置状態のパソコンなら、使い始めるときにパスワードを入れるのは、それほどめんどうに思わないが、モバイルパソコンは、とにかく頻繁にスリープと、そこからの復帰を繰り返す。だからこそ、瞬時にロックを解除できる指紋認証は必須の装備だといえるだろう。パスワード入力がめんどうで、スリープからの復帰時に、パスワード入力が求められないように設定しているモバイルユーザーは意外に多い。ここはひとつ、徹底したセキュリティを確保してほしい。パソコンの中には自分のデータ以外に、他人から受け取ったメールやファイルなどのデータも入っているはずだ。PC本体の紛失や盗難などで被害を受けるのは、自分だけではなく、他人も同様なのだということを常に頭においておきたい。

【動画】指紋認証のおかげで瞬時にロックが解除できるので、頻繁にスリープと復帰を繰り返すのも簡単

 

指紋センサはタッチパッドに搭載

東芝 dynabook SS RX1。過渡期にあるモバイルPCの中でも優れたパフォーマンスを実現している

●過渡期にあるモバイルPC

 本当は、モバイルノートパソコンが唯一無二のPCであってはならない。パソコンにも適材適所があって、持ち歩きだけを考えればRX1よりコンパクトで、立ったままでも使えるノートパソコンがいいし、ホテルに数泊するような長期出張では、もっと解像度の高いパワフルなノートパソコンが欲しくなる。

 だが、複数台のノートパソコンを維持管理していくのは、コスト以外にも、データの一元化などの点で、解決しなければならない課題がたくさんある。現実問題として、一台のノートパソコンをオールマイティに使う以上のソリューションが見つかりにくく、このテーマは、今後、早急に解決していかなければならないだろう。

 だからこそ、モバイルの先人たちは、パソコンを大事に大事に持ち運んできた。デスクトップパソコンでの作業がメインでも、データの一元化のために、スケジュールとメールだけは、ノートパソコンだけで管理しているというユーザーも少なくない。

 パソコンはまさに、自分の分身のようなもので、情報が壊れることや漏れることを心配しながらも、創意と工夫でそれを回避し、「いつか」来る「きっと」を待ちながら、パソコンを持ち運びつつ、永すぎる過渡期が続いてきた。ぼくを含むモバイラーは、マイノリティの域を出ることはできず、常に、限られた選択肢の中で、パソコンを選び、それを大事に使ってきた。

 けれども、パソコンは本来もっとカジュアルなものであるべきだとぼくは思う。「ラフに扱って壊れたらたいへん」。RX1はその心配を杞憂に変えてくれそうだ。メーカー発表のデータを信用する限り、ボディは見かけよりもずっと強靱だ。そのことが、持ち運びを持ち歩きに進化させ、結果として新しいモバイルのスタイルを拓くにちがいない。

 モバイル冬の時代にようやく春の日差しが見えてきたようだ。

【動画】75cm落下テスト

 

【動画】コーヒー100cc浸水テスト


関連リンク
東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/

dynabook SS RX1の製品情報
http://dynabook.com/pc/catalog/ss_c/070605rx/index_j.htm

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【7月4日】東芝、11時間駆動の薄型モバイルノート「dynabook SS RX1」直販モデル
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0704/toshiba.htm

【7月2日】【本田】東芝「dynabook SS RX1」ファーストインプレッション
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0702/mobile384.htm

【6月5日】東芝、最薄部19.5mmのCore 2 Duo搭載ノート「dynabook SS RX1」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0605/toshiba.htm

【6月5日】「dynabook SS RX1は東芝22年間のノートPC技術を集結」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0605/toshiba2.htm

(2007年8月8日)
[Reported by 山田祥平]