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「C3×HOBBY 2005 キャラホビ2005」イベントレポート「タイドライン・ブルー」スペシャル対談! 1/100ラジコン模型の「ユリシーズ」も登場!!
スペシャル対談メンバー

監督、漫画家、脚本家。アニメ作品の監督のかたわら、コミックも手がける。代表作は「機動戦士ガンダム/第08MS小隊(6話から11話まで監督)」、「「デビルマン 誕生編」「デビルマン 妖鳥シレーヌ編」(共に監督)、「おいら宇宙の探鉱夫(監督及び脚本)」。コミックは「月刊ガンダムエース(角川書店)」にて、「機動戦士ガンダム 宇宙(そら)のイシュタム」を連載(現在休載中)。戦場で苦悩する戦士の心情やリアリティのあるメカの運用など、見るものを引き込ませるストーリー作りの手腕が本作でも光っている
漫画家。高校生の頃アルバイトで手塚治虫氏のアシスタントをしたのをきっかけに、紆余曲折を経て漫画家に。代表作は「サブマリン707(1963年:少年サンデー連載)」、「青の6号(1967年:同誌)」など。今井科学の「ロボダッチ」シリーズも氏のデザインによるもの。2006年には画業50周年を迎える。タイドライン・ブルーの世界観やエピソードを提供。本作を一流の海洋冒険ドラマに仕立てている

メカニックデザイナー。代表作は「天空のエスカフローネ」「カウボーイビバップ」「機動戦士ガンダム/第08MS小隊」「機動戦士ガンダムSEED」「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」など。現在「月刊ホビージャパン」にてイラストコラムを連載中。ロボットのみならす、斬新なアイデアを盛り込んだ艦船のデザインにも定評がある。「無限のリヴァイアス」での巨大航宙艦「リヴァイアス」は氏のデザインだ
軍事評論家。航空専門誌、軍艦専門誌の編集者、編集長を経て軍事評論家に。「クルマが先か?ヒコーキが先か?―A great deal of complexity (二玄社) 」、「世界の駄っ作機(大日本絵画)」など、著作が多数ある。「タイドライン・ブルー」では、軍事監修を担当。冒頭の自己紹介では「子供の頃に読んだ小澤作品がきっかけでこの世界に入った」とのこと

バンダイビジュアル株式会社 プロデューサー。「青の6号」「戦闘妖精雪風」「ストラトス・フォー」などのアニメ作品から「The First 10 Years of BLUE IMPULSE/T−4ブルーインパルス10年史 」「The History of JASDF/航空自衛隊50年史」「The History of JMSDF/海上自衛隊50年史」等、航空・軍事関連のドキュメンタリーを多数手がける。愛用のキャップは海上自衛隊潜水艦教育訓練隊のものだそうだ(筋金入り)。
キャラクターの祭典に潜水艦マンガの巨匠小澤さとる氏が登場!原作者が語るタイドライン・ブルー誕生の秘話とは?
まだ残暑が厳しい8月20・21日に、幕張メッセ国際展示場で「C3×HOBBY 2005 キャラホビ2005」が開かれた。今回は8月21日にホビージャパン・ブースのスペシャルイベントとして行われた「タイドライン・ブルー・ステージ」をリポートする。当日は有限会社 平尾モデルの平尾昌弘さんが作成した1/100のラジコン「ユリシーズ」を前に、スタッフ、ゲストによる“熱い”潜水艦談義が繰り広げられた。進行役は本作のプロデューサーでもあり、バンダイビジュアル切っての軍事メカ好きでもある杉山氏だ。

アニメ、特撮関連の祭典「キャラホビ2005」が今年も盛大に行われた。会場では「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の声優陣によるトーク&ライブや「ケロロ軍曹」のキャラクターショーが行われ熱気は最高潮。そんななか、豪華なキャストを揃えて「タイドライン・ブルー・ステージ」の幕が切られた

左から飯田馬之介氏、山根公利氏、小澤さとる氏、岡部いさく氏、杉山 潔氏。トークイベントは1時間! 熱心なファンが会場を包んだ

「60億の民を一瞬で水没させちゃう、なんて残酷なアイデアは僕じゃないよ」と苦笑する小澤氏。いまとなっては定かではないが、「小澤先生のアイデアだったのでは?」という空気が漂っていた
━━前半は飯田氏、小澤氏、杉山氏による、本作が誕生するまでのエピソードが明かされた。

杉山氏:企画の当初、飯田監督が考えていたのは、水の無い惑星の話でしたよね?

飯田氏:地球ではなくて、水を吸い上げられてしまった別の星での話でした。ちょっとファンタジーが入ってました。

杉山氏:そのあと2004年の1月に大雪の中、飯田さんと一緒に北海道の遠軽にある小澤さんのアトリエを訪ねましたね。そのときタイドライン・ブルーの原案がまとまったように思います。

小澤氏:僕のところに二人(飯田氏、杉山氏)が来たときには、次回作の舞台を地球にするか他の惑星にするか、悩んでいた頃だよね。それを聞いて、いっそのこと水をなくすんじゃなくて“水没させちゃえば?”って、話になって、タイドライン・ブルーの世界観のベースができたんじゃなかった?

人間ドラマの部分は、「子供が親にクソババァって叫ぶ、そんな、親子のすれ違いから始まるドラマを考えていました」ご自身が親の世代になることで見えてきた、日常が下敷きになっているのかもしれない
杉山氏:飯田監督の原案を聞いたとき、小澤さんはどう思われました?

小澤氏:最初は潜水艦が登場する冒険物だと思って話を聞いてたんだけど、徐々に飯田監督が思いを込める「若い世代との“和解”」や「地球再生」という部分に魅力を感じだしたね。とにかくこの二人がいろんなことを熱く語るものだから、いっしょに徹夜して語り明かした思い出があるなぁ。私、もう70才ですよ(笑)

飯田氏:漠然としていたストーリーを小澤先生と話すことで、スッキリとして、物語の先が見えましたね。その後、山根さんやシナリオライターたちのアイデアや、岡部さんの指摘(苦笑)などがあって、物語の内容まで修正することになってね。ようやく物語が固まりました。

━━タイドライン・ブルーの原作者は小澤さとる氏と飯田馬之介氏だが、そのほかにも杉山氏、山根氏など多くの関係者の思いが集まったという。そして、水没した地球を舞台に親子、兄弟、民族、国家…みんなが抱える誤解を解くために、双子の少年が力を合わせて和解の道を模索する物語「タイドライン・ブルー」が完成した。
小澤ファン大集合!超巨大ユリシーズを前に潜水艦談義に花が咲く
━━さらに作品誕生秘話に続いて、ユリシーズのデザインの謎が、メカニカルデザイナー 山根氏から明かされた。ミサイル原潜と攻撃型原潜をドッキングさせるアイデアはどこから来たのだろう?

杉山氏:山根さんは、監督からのどのようなオーダーでユリシーズをデザインされたんですか?

山根氏:一目でタイドライン・ブルーのユリシーズと、分かるようなキャラクター性が欲しいということでした。ただ、そうは言っても、設定は現在の地球の延長線上にあるので、はじけたデザインはできませんでしたね。ミサイル原潜と攻撃型原潜をくっつけるというアイデアは、飯田監督と二人で話していて、決めましたね。

飯田氏:縦にくっつけるか、横にくっつけるかはもめたけどね(笑)。見た目のインパクトがあると思う。

山根氏:小澤メカに欠かせない小型潜行艇を収納するスペースを作るためにも攻撃型原潜(ユリシーズの下部)は必要だと考えたんですよ。

小型潜航艇の「ルーパー」はキャタピラーを備えた水陸両用タイプ。飯田監督は「動物ドキュメントに出ていたオタリアを捕食するシャチをイメージした」とのこと。正面は物資積み込みや乗組員の搭乗ゲートになっている。作中では餌を食べるようにキールを収容するシーンが印象的。

「とにかく小澤先生といっしょに仕事ができるということで引き受けました!」ユリシーズにはサブマリン707などの“小澤メカ”の特徴を随所に取り込んだという。
月刊ホビージャパン誌で、山根氏が連載しているイラストコラム。往年の少年マガジンを彷彿させる氏のイラストを見ると、ユリシーズの謎が解明できる!?
軍事評論家がユリシーズを一刀両断!
小澤氏:ユリシーズのデザインは、良くできていますよ。潜水艦は完成されたデザインだからいじるのが難しいんだよ。その中でよくこのフォルムを完成させたね。僕は感心したよ。

杉山氏:軍事評論家としてユリシーズのデザインはいかがですか?

岡部氏:まず上の部分(ミサイル原潜部)は、船首の丸みや低い2階部分など、最近の潜水艦の特徴をよく捉えています。しかし下の部分も含めると、かなりの高さですよね。これだけの高さのある潜水艦が入れる港はどこにあるのか?って思いますね。でも、この世界は水没してるからいいのかな?(笑)

そんなことよりもユリシーズには、傾斜した後方のセイルや、いかにも水中でスピードが出そうな船体など、小澤先生の潜水艦にあるエッセンスが凝縮されていますね。小澤メカには実在しそうなカッコよさがあるでしょう。ユリシーズにも同じ雰囲気があります。この潜水艦はサブマリン707や青の6号の子供、そう“ジュニア”だと感じますね。

山根氏:小澤先生のデザインには、現実の世界のメカにも通じる部分があると思うんです。小澤メカの要素を実在の潜水艦に持ち込んだらどうなるだろう? そんなことを考えてユリシーズをデザインしました。

作中では分かりづらいユリシーズの細部設定画。美しい曲線や後方のスクリューなど小澤氏のデザインを思わせる

「抵抗の大きい部分を後方に配置するデザインは高速航行する潜水艦のデザインとして理にかなっている」と、潜水艦マンガの大家である小澤氏からのお墨付きがでた
「ニュースに潜水艦が出てくると世の中がきな臭くなるけど、アニメに出てくるのは大歓迎!」テレビとは違い、岡部氏も終止笑顔だった

杉山氏:そんなユリシーズを平尾モデルの平尾昌弘さんに実際にラジコンにしていただきました。サイズは1/100です。

山根氏:デザインするときに実際の運動性能とかはどうなのか、気になっていたんですよ。ラジコンの運動性能はどうなんでしょう?

杉山氏:実際には曲がりにくいらしいですよ(笑)

ラジコンユリシーズの目玉機能「核ミサイル発射」シーンを再現。ミサイル格納部のハッチが連続して開くと場内からは大きな拍手と歓声があがった
(右の画像をクリックするとムービーが流れます/mpgファイル/336 KB)
ますます面白くなる後半は海戦シーンが満載!
杉山氏:最後に、タイドライン・ブルー後半の見所を!

飯田氏:前半は人物紹介的な話がメインでした。後半にかけてアオイが率いる新国連軍とユリシーズの大海戦が用意されています。メカマニアの方には楽しんでほしいですね。ストーリーは“和解”をテーマにどんどん掘り下げて行きます。見どころは盛りだくさんです。

山根氏:監督と重なりますが後半の海戦を楽しみにしてほしいですね。

岡部氏:先般の中国潜水艦による領海侵犯など、潜水艦がニュースに出るということは、国際情勢が不安定になっている証です。潜水艦は現実社会ではあまり動き回ってほしくないですね。潜水艦のカッコよさは、タイドライン・ブルーのようなアニメのなかだけで、楽しませてほしいものです。

━━本作は現在テレビで放送中。前半を見逃した人が、途中からストーリーを追いかけるのには苦労するかもしれないが……胸の空くような海戦シーンに酔いしれたいなら、チャンスはいくらでもある。ただし、放送時間は深夜なので流動的。ぜひ、公式ホームページhttp://www.tlblue.com/main.htmlで、放送時間を確認の上、チャンネルを合わせていただきたい。もちろん一話からじっくり楽しむなら10月28日発売のDVDを予約したい。

小澤さとる氏インタビュー
小澤さとる氏は昭和11年生まれ。埼玉県川口市出身。現在は北海道の紋別市遠軽町にアトリエを構える。昭和30年代に「サブマリン707」などの海洋冒険マンガで一世を風靡した。その後、今井科学の「ロボダッチ」シリーズのデザインを手がける。まさに当時“男の子”だった30代、40代の男性にはカリスマ的存在だ
━━手塚治虫さんのアシスタントをしたのがきっかけで漫画家になったと伺いましたが。

小澤氏:学生時代は戦後の不況も手伝って家が貧しかった。そんなとき、学校の先生が学費の足しにと、教科書の挿絵を描くアルバイトを紹介してくれてね。それから出版社と付き合いができました。そのうち、当時人気作家だった手塚さんの手伝いをする仕事がきてね、2週間ぐらいだったけど、けっこうなバイト代になったので助かりましたよ。手伝った作品の中では「緑の猫」が印象的だったので、いまでも覚えていますね。その後、紆余曲折があって会社勤めをしながら、漫画を書いていました。

━━“潜水艦の小澤”と言われるほど、先生の作品には潜水艦が欠かせない存在になっていますがきっかけは?

小澤氏:当時(昭和30年ごろ)のマンガ雑誌は戦闘機を扱った戦記物(戦争マンガ)が中心で、同じ題材を出版社に持っていっても不利だと思いました。そこで誰も扱っていない船、それも潜水艦をテーマにしようと思いました。ほとんどの編集者は見向きもしなかったけど、なんとか「海底戦隊」や「少年台風(タイフーン)」を世に送ることができました。その後「サブマリン707」を少年サンデーに連載することができました。潜水艦に興味を持ったのは、世界最初の原子力艦船「潜水艦ノーチラス号(1955年9月米国籍)」の就航をニュースで見て以来ですね。それまでのディーゼル機関の潜水艦に比べて、潜水したまま世界一周もできるんです。それは衝撃を受けましたね。

━━漫画の原作も数多くこなされたと伺いましたが。

小澤氏:アイデアはあるけど全部を自分で書くことができなくて、いくつかの漫画家に原作を提供しています。たとえば、あだち充さんのデビュー作「消えた爆音」(北沢力として提供)や、ながやす巧さんの「片腕の報酬」など、ほかにもありました。

━━タイドライン・ブルーも同じように原作を提供したのですか?

小澤氏:飯田監督と杉山さんが僕のアトリエを訪ねてきたときには、原型はできあがっていたと思います。ただそのなかに「ドゥーラビーラ」や「ハンマーオブエデン」そして最終回のエピソード、そんな僕の作品に織り込もうと思っていた“とっておき”のパーツを提供しました。

ハンマーオブエデンとは、地球の海面が上昇し、90%の陸地が一瞬で水没、60億の人命が失われた天変地異。この大災害は地殻の陥没・隆起、地軸のズレなどを引き起こし、海中には真水の高速海流"ドゥーラビィーラ"を出現させた

ドゥーラビィーラとは、ハンマーオブエデンにより発生した海水の中を流れる真水の激流。ジェット気流のように海中を高速で移動できるが、激しい海流に持ちこたえる艦船はユリシーズのみだ
━━若い世代のクリエイターと仕事をすることについてどうお考えですか?

小澤氏:僕は年齢とか気にしません。ただ、僕の子供や孫のような世代の人が、いつまでも僕の作品を覚えてくれているというのはうれしいですよ。今から数年前、「青の6号」をアニメ化するときに、杉山さんが何度も僕のアトリエを訪ねてくれました。そのころは漫画家として引退していましたが、杉山さんと話していくうちに、もう一度マンガを描きたくなって。おかげで、またマンガをまた書こうって気になりました。

━━来年は画業50周年と伺っていますが、なにかイベントでも?


小澤氏:漫画家としての区切りをつけるために、いままで未完のままだった作品のすべてを完結させるつもりです。もちろん「サブマリン707」も「青の6号」もです。

━━最後にタイドライン・ブルーの視聴者に見どころを!


小澤氏: 物語のテーマは「和解」です。地球上にテロ・紛争の"タネ"は尽きません、和解は人類の永遠のテーマと言えます。

一瞬にして海没した地球を舞台に64億の悲劇から辛うじて生存を得た一握りの人々。点在して残された島と化したわずかな陸地に、世界の再興を目指しながら折角生き残った 者同士が抗争を繰り返す。悲劇の後の更なる悲劇的な情景の中で、ティーンとキールの2人の主人公も又、和解の見えない対立を抱えて敵対する。兄弟だからこその愛憎に翻弄されて、足掻き苦しみながら小さな未来の命を預けられて逞しく生きる姿を通して、この作品を観るキミたちにも、"和解"と"和解を乞い焦がれる世界"をもう一度考えて欲しい。 合せて、物語の中で、"原潜ユリシーズ"という強大な力をその手にしたグールド艦長のように、もしキミが無力な人々を前に唯一強力な力を持たされたら…どうするか?
尊大な庇護者を気取って無慈悲な支配者になるのか?慈悲深い王道を往くのか…キミならどうする?
そして物語の最後に必ず涙するラストシーンにキミは何を思うだろう!

以上が、馬之介さんとボクが熱く熱く尽きることなく語りあったピックアップ・ポイントです。

尚、ユリシリーズをはじめ渾身のメカデザインを担当した山根さんと3D化に力量を発揮した天才モデラーの平尾さんに、そして"青の6号"以来、再び素晴らしいステージをプレパレートしてくれた杉山プロデューサーの熱い情熱に心から感謝します。


Text by 鈴木桂水
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