前編でスバルXVハイブリッドを体験してから、「なるほど〜キビキビ&グイグイと走るハイブリッド車ってのはイイなぁ」とハイブリッド車に対する価値基準が少し変わったりした俺。いつもは燃費の良いクルマとして使い、必要なときにはガッツリ走れる、そして走りを愉しめる。スバルXVハイブリッドはじつに「おいしいハイブリッド車」だと思う。
そう思っていたのがつい先日。そして本日の俺はスバルXVハイブリッドとともに北海道に来ているのであった。で、見て見て見て♪ 夏の北海道の風景と、スバルXVハイブリッド限定カラー「プラズマグリーン・パール」が超絶マッチ!! カックイ〜っ!! 太陽光が当たるとますます美しい色になりますな〜♪
夏の北海道!! この広大な景色に、XVハイブリッドのプラズマグリーン・パールがほんと、すげく映えるんですな〜♪ |
ところで、なぜ北海道? なんでも、スバルXVハイブリッドでラリー走行をするらしいのだ。よくわからんが、そういうコトらしい。
てか、でも、あの、スバルXVハイブリッドって、キビキビ走るとは言ってもエコカーの範疇っすよね? あの〜砂利道泥道的な道を、ラリーな感じで走ったりすると、えーと、底をスッちゃったりしません? ハイブリッドカーでラリー走行って、無理しすぎじゃないスか? それ以前にですよ、俺とかそういう横滑り的な運転したことないし、さらにそれ以前に砂利道泥道でスピード出したこともないから、無理っす、ラリー走行なんて。ね、だから、このまま北海道のワインディングロードをスバルXVハイブリッドで愉しみましょうよ〜。
え? ラリージャパンのコースを走る!? はぁ? 何言ってんの。だからハイブリッドカーじゃ無理っぽいし、俺、砂利道泥道で運転でき…… え!! 俺は助手席で、ドライバーは新井さん? 新井さん?……って、もももも、も、もしかしてPWRC(Production World Rally Championship;プロダクションカー世界ラリー選手権)で2度も世界チャンピオンになったアノ人!! うっそ〜……マジなのか!! わ!! 新井敏弘選手っっ!!
ぬぉ〜!! ホントに新井敏弘選手だ!! 新井選手は、4輪の世界選手権でチャンピオンになったことのある唯一の日本人選手。要は金メダリストみたいなもんスよね!! |
つまり、スバルXVハイブリッドを、ラリー世界チャンプでありかつ現役ラリードライバーである新井選手が運転して、かつてラリージャパンで使われたラリーコースを、ラリー走行するのである。俺は助手席に乗って「スバルXVハイブリッドの実力」を体験するという企画なのであった。本気すか!? ……本気らしい。
間もなく到着したのは、2008年のWRCラリージャパンで「イメル」という特設SS(スペシャルステージ)として使われた新千歳モーターランド。林道など一般道を走ることが多いラリーだけど、ここはクローズドのダートコースで、今日は貸し切りだから無茶しても平気ですとか。いやいやいりませんからそんな気遣い。そんなこんなでヘルメットやらグローブを渡され、さあいよいよスバルXVハイブリッドのラリー走行開始。
やってきたのは新千歳モーターランドのダートコース。ラリージャパン2008でSSとして使われたコースなのだとか |
レーシングスーツに身を包んだ新井選手に促され、ヘルメットかぶって助手席に座った俺。「じゃあ行きますね〜」と笑顔の新井選手に「よろしくお願いしますッ!!」と挨拶するが早いか、ギャッギャッギャァアァァ〜ン!! と走り出すラリー世界チャンプの超絶テクの凄さったらア〜タ!!
フツーに超ビビったのである。何しろ砂利&泥&起伏アリアリのコースを、ちょちょちょ100km/h超えてる〜跳ねる〜死ぬ〜ぶつかる〜みたいな猛烈さで走っちゃうんである。ところがさすがのプロフェッショナル新井選手。両手両足を目にもとまらぬ速さで(←比喩じゃなくてホントに)動かし、スバルXVハイブリッドを自由自在にコントロール。見事なまでの正確さでダートコースをドリフトしつつスゲぇスピードで駆け抜けちゃうのダ!!
しかも新井選手、今クルマがどういう状態なのか説明しながらのドライビング。世界の頂点に立つような人は次元が違いますな〜って、わわわっまたドリフトそして超絶テクの激コーナリング〜!! う〜ようやく走行終了と思いきやまた加速〜跳ねる〜ぶつかる〜死ぬ〜って感じで、俺、助手席乗ってるだけなのに、もう汗だくっす。
【動画】新井選手のドライブを助出席で体験!! ってかなんでこんな運転しながらそんなに話せるんスか? 俺なんて汗拭きまくり |
新井選手によるXVハイブリッドの走行。いやちょっとほんと、本気出し過ぎじゃないスか? ってか借りてきたそのままの状態でこんなに走れちゃうXVハイブリッドもスゴすぎッ!! |
てな感じでスゴい新井選手なんですけど、考えてみたらスバルXVハイブリッドも凄い。フツーにラリーカーな感じの走りをする。走行中グイングインと跳ねたり、強い横加速度がかかりながらコーナリングしたりしているのだが、全然ヘーキ。路面でクルマの底を擦るとかゆーコトも一切なかった。
ナニこのクルマ〜、こんなに走るのか!! もちろん新井選手の超絶テクがあるおかげだが、こういう過激なラリー走行に耐えちゃって、さらに対応しちゃうスバルXVハイブリッドって、ホントに凄いハイブリッドカーだ。
ちなみに新井選手にそそのかされ、俺も人生で初の「サイドブレーキターン」というものに挑戦してみた。新井選手に言われるとおり、ズギャっと加速してグワっとハンドル切ってギャギャっとサイドブレーキを引く……、と、おぉ〜!! 新井選手ほどきれいにじゃないけど、なんとなくできた感じ♪ いやこれ、できるようになったら楽しいかも♪
【動画】人生初めてのサイドターンに挑戦する俺。てかこれを素早くやりながら走るんだから新井選手とかってやっぱスゴイですな |
記憶に残るのは、走行中に新井選手がたびたび言っていた「モーターのトルクが瞬時に得られていいですね」という話。モーターのアシストにより、欲しいときに即座にパワーを出せるので、普通のXVよりも走りやすいし、ラリー走行にもよく向くということだった。エンジンの場合、回転数によってトルクの出かたが違うのに対して、モーターはいつでもトルクが出るのが良いのだとか。世界チャンピオンにお墨付きをもらったスバルXVハイブリッド、スポーツ走行もしっかりデキちゃうクルマなんですな。
ちなみに、この企画を最初に聞いたときには、ずいぶん無謀な企画だと思ったのだが、実はこの夏行われた「全日本ラリー選手権第5戦 モントレーin群馬2013」では、スバルXVハイブリッドが「00カー(ゼロゼロカー)」に使われたとのこと。「00カー」は、レース前にコースの安全性のチェックを行うオフィシャルコースカーで、ラリーコースの安全性を確かめるために「レースに近い速度などでラリー走行する」のだ。つまりスバルXVハイブリッドって、そういうエクストリームな走りもこなせちゃうハイブリッドカーだってことなのである。
ダート走行中、ちょっとした発見があった。それは、スバルVDC(ビークルダイナミクスコントロール)の動作と効果を体感したこと。VDCは、クルマの走行状態を各センサーで検知して、理想の走行状態に近づけるようにするしくみ。たとえばクルマが横滑りするような状況では、4輪個別にブレーキ制御を行ったり、エンジンの出力を制御したり、車輪に伝えるトルクを個別に配分したりし、横滑りなどクルマの不安定な挙動を抑えるというもの。
ラリーコース上をスバルXVハイブリッドで走り、意図的にコーナーリング中に加速したりすると、クルマが横滑りするわけですな。つまりドリフト走行。ラリー走行テクニックのひとつとなっている。で、新井選手がこのテクニックを使うと、たびたびスバルVDCが介入するのである。
新井選手曰く「VDCが介入しなければもっとキレイにドリフトするんですけどね〜」と。なるほど、滑らせてクルマの向きを変えて曲がるのが新井選手の目的なのに、VDCがそれを邪魔しちゃうんですな。
しかし素人ドライバーとしては、「なるほどこんなにシッカリと横滑りとかを防止してくれるのか!!」と実感。VDCが介入するような限界的な走行状況は、まあそんなにナイとは思うが、イザというときにはきっと役立つハズ。命拾いにもつながるんじゃないだろうか。エクストリームに走れるスバルXVハイブリッドだが、同時に非常に高い安全性能も備えているのだ。
【動画】新井選手の走行動画。XVハイブリッドならノーマルでもこんなに走れちゃう! VDCが介入しなければもっとキレイにドリフトできるのだとか |
その後、林道をツーリング。そこはラリージャパンのSSとしても使われたことのある林道で、結構でこぼこがある。ラリージャパンの時にはここをなんと140km/hで走るんだそうだ! ちなみに140km/hで走ると普通にジャンプするだけの起伏がある。フツーの乗用車だと「ゆっくり走らないと底を擦りそうだし、揺れてかなわん」というイメージで、ハッキリ言って悪路だ。
2009年のラリージャパンでSSとして使われた林道。ここを140km/hで走るとか、ちょっと意味わかんないスけど | ||
一見平坦に見えるけど、走ってみると結構起伏やでこぼこがあります |
しかし結果から言えば、この悪路をスバルXVハイブリッドで走ると「快適な林道ドライブ」というイメージになる。もちろん揺れはするんだが、「えっこのスピードでもこんなもん?」てな感じで、予想よりずっと安定して走ってくれる。乗り心地もイイ感じ。
もちろん舗装された道路に比べたら、振動もあるし、少々不安定な場面もある。のだが、「走るのがためらわれるような悪路」でも、スバルXVハイブリッドなら「気分良く走れる悪路」になっちゃうって事実に、何というか「ワクワク」を感じた。
たとえば俺の場合、渓流釣りとか好きなので、起伏アリ&デコボコの未舗装路なんかを走ることがけっこーある。が、わりといつもヒヤヒヤしながら走ってる感じ。単純に、スピードに注意しつつ走らないとすぐにタイヤが滑る。発進時や停止時も同様、滑りやすいので緊張する。結果、「疲れる移動」みたいなことになるわけですな。
でもスバルXVハイブリッドだとかな〜り安心。まず低重心のAWDであること。低重心で揺れにくい上に、AWD=4輪駆動なので滑りにくい。また単なる4輪駆動ではなく、アクティブトルクスプリットAWDという電子制御AWDなので、理想に近いトルク配分が行われ、これにより悪路の走破性も高いのだという。
でまあ結局、スバルXVハイブリッドだと悪路もわりと快適に走れちゃうんですな。そして、これまでそういった悪路に感じていた、「疲れる移動」や「ヒヤヒヤ走行」が、いきなり「気分のいい走行」になっちゃうのである♪ 不安要素が減って愉快要素が増加!! やべ!! マジすか!! さらに欲しいじゃんスバルXVハイブリッド!! てな気分になった次第である。
関東と北海道をスバルXVハイブリッドで走ってきたわけだが、こういうクルマはイイですな〜。テンションが上がる。俺的には「旅に出たくなるクルマ」だと感じる。
少々前述したが、まずこのスバルXVハイブリッド限定カラー「プラズマグリーン・パール」が意外なほどイイんですよ。とくに自然の風景のなか、太陽に照らされたりなんかすると抜群。とても映える。ヒジョーに美しい。ロマンチックですらある。
そしてこのイカシたクルマは、高速道路の長距離移動が超ラクであり、じつはスポーツ走行もサクッとこなせる実力派であり、さらに悪路も余裕で攻略できる走破性を持ち、ナニゲに車内が広くて居住性が良く、荷物もけっこー積めちゃって、乗り心地もイイし、しかも燃費を抑えるハイブリッドカーときたもんだ。
実際、俺、北海道での撮影時、そのまま旅立ちたい気分になった。こう、牧場を背景に、プラズマグリーン・パールのスバルXVハイブリッドがいるわけですよ。それは現実をフッと忘れさせるような光景。クルマの向こうに自由が見える、的な。フリーダム、みたいな。あ。じゃあ、俺、このままスバルXVハイブリッドで北海道一周旅行ってきますんで、という気分に「何度も」なった。
しかしまあ、こんなにたくさんポジティブな要素を持っているクルマってそうそうナイですよ。あ。だからホントに売れまくり状態なのか。なるほど納得。ともあれ、一度乗ってみるといわゆるハイブリッドカーのイメージがガラリと変わるスバルXVハイブリッド。スバルならではの魅力をタップリ備えたクルマなので、ぜひ一度試乗してみて欲しい。
スタパ齋藤 1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。 |
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