快適なドライブを演出してくれる「カーナビゲーション」。目的地までの最適なルートを探し、的確に道案内をしてくれるドライバーのためのデジタルツールだ。そんな今どきのカーライフに欠かすことができないカーナビに、新しい流れを作り出しているのがPanasonicから発売された「Strada(ストラーダ)Rシリーズ」だ。これまでの多くのカーナビと違い、フリックやピンチイン/アウトなど、スマートフォンやタブレットのような操作感を実現すると共に、DSRCによるITSスポットサービスにも対応するなど、革新的なカーナビゲーションシステムとして、進化を遂げている。前編では新しいユーザビリティについて解説したが、今回はスマートフォンとの連携などについて、チェックしてみよう。

DSRC車載器とナビ接続用ケーブルがセットになったPanasonic Strada CN-R500WD-D

スマートフォンとの連携で変わるカーナビゲーション

 カーナビの主たる用途は何か。それは言うまでもなく、目的地までの最適なルートを探し、的確に道案内をしてくれることだ。わずか十数年前、クルマの中には印刷された地図が欠かせなかったが、デジタル化された地図が画面に表示されるカーナビの登場により、地図のページをめくる必要がなくなり、目的地も施設名や住所、電話番号など、さまざまな情報から簡単に検索できるようになった。

 カーナビの普及により、クルマの中の情報環境は大きく変わったが、ここ数年、私たちの手にはもうひとつ強力な情報ツールがもたらされた。そう、いつでもインターネットにアクセスでき、最新の情報を引き出すことができるスマートフォンやタブレットだ。これまでもカーナビに、ケータイや通信モジュールを組み合わせ、さまざまな情報を取得するといった使い方は提案されてきたが、現在のスマートフォンはケータイと違い、オープンなプラットフォームを採用しているため、アプリで自由に機能を拡張できるという特徴を持つ。これに加え、2012年はじめからは各社がLTE方式に対応したスマートフォンを発売したことで、3Gサービスよりも高速かつ低遅延のデータ通信サービスが利用できるようになり、国内市場でも急速に普及が進んでいる。

 そんな特長を持つスマートフォンをカーナビと連携させることで、どんなことができるのだろうか。単純に考えると、ケータイ時代と同じように、データ通信を利用するだけと考えてしまいそうだが、Panasonicから発売された2013年モデルのStrada Rシリーズは、まさに『連携』というキーワードに相応しい環境を実現している。

ピンチ操作やフリック操作にも対応したStrada Rシリーズ   DSRCを組み合わせれば画像で進行方向の道路状況を確認できたりする   渋滞を考慮してルートが再探索されると、新旧ルートの距離や予定所要時間の比較を表示する。

 しかし、これらはカーナビとしての基本機能を進化させ、新しいユーザビリティを実現したものだ。これに対し、スマートフォンとの連携ではスマートフォンが持つ機能、利用できるサービスをうまくカーナビに組み合わせることで、今までのカーナビにはない利用環境を体験できるようにしている。

カーナビの目的地検索を助ける専用アプリ「おでかけナビサポート ここいこ♪」

 普段、私たちが生活をしている中で、何か情報を調べたいとき、必ず利用するのがインターネットであり、そのインターネットを利用できるもっとも身近なツールがスマートフォンやパソコン、ケータイだ。たとえば、どこかへ出かけるとき、まずはこれらの機器を使い、目的地の住所などを調べておき、そこで得られた情報をクルマに乗り込んだとき、カーナビに入力し、目的地に設定するといった使い方をする。これはこれでひとつの方法として、間違ってはいないが、情報の扱い方という視点で見ると、二度手間になっている感は否めない。

 そこで、PanasonicではStrada向けに、「ここいこ♪」というアプリを提供しており、アプリで検索した情報を簡単にカーナビに転送できるようにしている。「ここいこ♪」はiPhoneとAndroidスマートフォンに対応したアプリで、観光スポットを検索できる「るるぶDATA」、グルメスポットを検索できる「ぐるなび」、最寄りの施設検索やキーワード検索が利用できる「Yahoo! JAPAN」の情報を利用することができる。

 たとえば、ドライブで出かける前、「ここいこ♪」で目的地や経由地を検索しておき、クルマに乗り込んだら、Bluetoothを使ってカーナビに転送し、自動でルートを探索できるというわけだ。この目的地や経由地の検索についても施設名などを入力する「名称検索」をはじめ、都道府県や市町村、丁目や番地などを順に選ぶ「住所検索」、施設の電話番号で検索できる「電話番号検索」など、カーナビ顔負けの検索ができる。

 前編でも解説したように、2013年モデルのStrada Rシリーズはスマートフォンやタブレットで採用されている操作を積極的に取り入れているため、従来のカーナビに比べれば、格段に操作しやすいが、カーナビの操作ができるのは基本的にクルマに乗っているときだけで、自宅に居るときやドライブ中にファミリーレストランなどで休憩しているときは、ポータブルタイプのカーナビでなければ、情報を調べることはできない。しかし、クルマを離れたときにスマートフォンで目的地などの情報を検索しておけば、クルマに乗るとき、スムーズにドライブを始められるわけだ。ちなみに、2013年モデルのStradaの内、R500、LS810、S310については、予め「ここいこ♪」で目的地を予約設定しておくと、クルマに乗り込んだ時に、自動的に「ここいこ♪」が起動し、Bluetooth経由でデータが送信され、ルート探索される。(Android)

 また、「ここいこ♪」による検索で便利なのは、単純に名称などの情報で目的地を検索するだけでなく、観光スポット検索では「見る、遊ぶ、食べる、買う、温泉地」といったジャンルごとに検索したり、地域ごとや現在地周辺の情報を調べたりすることもできる点。グルメスポットもインターネットで提供されているぐるなびと同じように、現在地周辺を含むエリア、料理のジャンル、予算の上限と下限を設定しての検索ができる。もちろん、地図上の特定の地点を登録しておき、ナビに目的地として設定することも可能だ。少し変わったところでは「寄り道コンシェルジュ」という機能があり、季節や時間などの情報を元に、現在地周辺のおすすめの観光スポットを探して、提案してくれる。ドライブの途中で、少し空き時間ができて、ちょっと寄り道をしてみたいときなどに楽しめる機能と言えそうだ。

無料アプリの「ここいこ♪」。住所や電話番号はもちろん、キーワードやジャンルからもスポットを検索できる キーワード検索は「ファミレス」といったフリーワードでも検索できる。音声認識も使えて便利 目的地を決めたら、その場でカーナビに送信することもできるし、予約しておけば、次にカーナビと接続したときに簡単に送信できる
現在地周辺からジャンルで検索も可能 ジャンルから細かく絞りこむことができる ジャンルによる検索結果
寄り道コンシェルジュは最寄りの立ち寄りスポットをオススメしてくれる この時は温泉をオススメしてくれた もちろんそのまま目的地としてカーナビに送ることができる
「ここいこ♪」との接続はBluetooth。一度登録しておけば自動で接続され、ワイヤレスで目的地を送ることができる   「ここいこ♪」で音声入力で検索してそのままルート設定できるのは非常にべんり!!

スマートフォンのエンターテインメントを楽しめる「Drive P@ss」

 カーナビの目的地検索を助けてくれる「ここいこ♪」は、非常に便利なツールだが、今日のカーナビはルート探索や道案内のためだけに利用されているわけではない。音楽再生やテレビなど、音楽再生をはじめとしたエンターテインメント機能が搭載されており、ドライバーや同乗者を楽しませてくれる。

 こうしたクルマの中のエンターテインメントを楽しむため、2013年モデルのStrada Rシリーズ向けには、新たに開発されたスマートフォンアプリ「Drive P@ss」が提供されている。Drive P@ssはiPhoneやAndroidスマートフォンに対応しており、スマートフォンとStradaをBluetoothでペアリングしておき、Strada本体からのHDMIケーブルとUSBケーブル(※)を接続することにより、Stradaの画面上で「Yahoo! ニュース」「Music Player」「Title Finder」といったアプリを利用することができる。

 Yahoo! ニュースは言うまでもなく、Yahoo!で提供されているニュースを閲覧できる機能で、ジャンルを選ぶだけで、最新のニュースを車内で楽しむことができる。Music Playerはスマートフォンに保存されている音楽データを再生できる機能で、曲名やアーティスト名、ジャケット画像なども表示することが可能だ。Title FinderはStradaに音楽CDから取り込んだ楽曲の内、タイトルが付けられていない楽曲のタイトルやアーティスト名をGracenoteにアクセスして、必要なデータを取得するというものだ。今のところ、Drive P@ssで利用できるアプリはこの3つだが、2013年夏以降、インターネットラジオや動画プレーヤー、SNS投稿・閲覧アプリなどが順次、追加される予定だ。

BluetoothとHDMIによって接続するDrive P@ss   Yahoo! ニュース。もちろんスマホの通信で最新の情報を入手できる   Music PlayerではiPhoneだけでなく、Androidスマートフォンの中の音楽も再生できる
カーナビが持っていない最新楽曲データを通信で検索できるTitle Finder。発売直後の楽曲データも付与できる

 ちなみに、Stradaとスマートフォンの接続について、少し複雑なように見えるかもしれないが、制御データの送受信にはBluetoothを利用し、HDMIケーブルでの接続は映像と音声の伝送、USBケーブルでの接続は給電の役割を担っている。機種別にもう少し詳しく説明すると、Androidスマートフォンの場合、スマートフォンに市販のMHLアダプタを接続し、MHLアダプタのHDMI端子とUSB端子に、Strada本体からのHDMIケーブルとUSBケーブルを接続する。

 iPhoneについては、iPhone 4SではApple製の30ピンDigital AVアダプター、iPhone 5ではApple製のLightning-Digital AVアダプターをそれぞれ接続し、そこにStradaからのHDMIケーブルを接続する。StradaからのUSBケーブルについては、iPhone 4SではiPhoneにDockコネクタUSBケーブル(iPhone 4Sに付属)、iPhone 5ではLightning-USBケーブル(iPhone 5に付属)を使って、それぞれの30ピンDigital AVアダプターやLightning-Digital AVアダプターに接続する。iPhoneを接続したとき、iPhoneに保存されている音楽はDrive P@ssの「Music Player」で再生できるほか、ナビ・オーディオメニューの「iPodミュージック」からも再生できる。いずれの場合もStradaの画面上で操作できるため、ドライバーも同乗者も操作しやすい。

※「Drive P@ss」接続に必要な、iPod/USB接続用中継ケーブル、HDMI接続用中継ケーブル、MHLアダプターは、別売となります。
詳しくはこちら

ミラーリングして映像を出すこともできる   iPhoneは4S以降が接続可能   iPhoneやiPodの音楽はiPodミュージックから再生することもできる

Miracastアダプタでスマートフォンのコンテンツを楽しめる

 さらに、Androidスマートフォンとの接続については、もうひとつ違う接続方法が選べる。それは最近、Androidスマートフォンで対応機種が増えている「Miracast」だ。MiracastはWi-Fiを使い、スマートフォンの画面をワイヤレスで対応機器に出力できる技術のことで、スマートフォンで楽しんでいるコンテンツをテレビなどに映し出すときなどに利用する。このMiracastに対応したアダプターがPanasonicをはじめ、各社から発売されており、StradaのHDMIケーブルに接続しておけば、Miracast対応のスマートフォンの画面をワイヤレスで出力できるわけだ。

 このMiracastによる接続を活用することで、クルマの中のエンターテインメントを大幅に充実させることができる。というのもスマートフォンで利用できるサービスの動向をチェックしている人ならご存知のように、現在、スマートフォンではさまざまな映像コンテンツを楽しめる環境が整いつつある。たとえば、Panasonicが販売する薄型テレビ「VIERA」、ブルーレイレコーダー「DIGA」では録画した番組をスマートフォンに転送して楽しめる機能を提供している。この機能を使って、スマートフォンに番組を保存しておけば、ドライブ中にMiracastアダプタが接続されたStradaで楽しむことができるわけだ。子どもが同乗するときなどは、カーナビの画面に子ども向けの番組を映し出しておけば、子どもたちも番組に集中してくれるため、ドライバーも安心して運転することができる。

 また、各携帯電話会社やコンテンツプロバイダーが映画やドラマ、ミュージックビデオなどを視聴できる定額制の映像コンテンツサービスを提供し、人気を集めているが、これらのサービスで視聴できるコンテンツもMiracastアダプタが接続されたStradaで楽しむことが可能だ。コンテンツサービスによってはストリーミング再生のみで視聴することになるが、NTTドコモのdビデオでは高画質コンテンツをダウンロードして保存しておき、再生時に認証するしくみのため、お気に入りの映画やドラマ、ミュージックビデオなどをスマートフォンにダウンロードしておき、ドライブ中に視聴するといった使い方もできる。さらに、最近ではDVDやブルーレイディスクで販売されている映画などのタイトルを購入すると、著作権技術で保護されたデジタルムービーをスマートフォンに転送できるものがあるが、こうしたタイトルも同じように再生することが可能だ。ちなみに、Miracastは著作権保護技術として、HDCP2.0/2.1が採用されているため、著作権保護されたコンテンツの再生にも対応している。

Miracastに対応したPanasonicのスマートフォン「ELUGA P-03E」などであれば、ワイヤレスで映像をカーナビ画面に映すことができる   カーナビ側にはMiracast対応アダプターを接続する   MiracastでELUGA P-03Eの中の動画をStradaで表示。ケーブルを繋ぐことなく接続できるのは便利!
Youtubeなどの動画をワイヤレスで見ることができる   ELUGAの場合、専用メニューから簡単にStradaに映像を映したり、またVIERAやDIGAと連携することもできる

スマートフォン連携で進化したStradaは「買い」!

 クルマという閉じられた環境において、さまざまな情報を扱うことができるカーナビ。PanasonicのStrada Rシリーズはそこにスマートフォンという一人ひとりが持つデジタルツールを組み合わせることで、今までのカーナビでは体験できなかったナビゲーションとエンターテインメントを楽しむことができる。新しいユーザビリティとDSRC対応により、新しい時代のカーナビへ進化を遂げるだけでなく、スマートフォンとの連携により、その進化をさらに加速させ、新しいカーナビゲーション&エンターテインメントの世界を楽しませてくれるモデルだ。スマートフォンを持つユーザーにこそ、ぜひ、その楽しく快適な世界を体験していただきたい。

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