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白でまとめられた筐体が美しい、シャープのファクシミリ複合機「見楽る UX-MF30CW/CL」

1台6役をこなすマルチなファクシミリ複合機

 さまざまな機能が搭載され、生活のいろいろなシーンで活躍できるようになったケータイ。しかし、実際の生活において、ケータイだけで、すべてのコミュニケーションがカバーできるわけではない。やはり、パソコンにブロードバンドインターネットも必須であり、メール以外の情報のやり取りも必要になってくる。ただ、これだけ便利に利用できているケータイがあるからこそ、そのメリットを十分に活かすことができるコミュニケーション環境が欲しいところだ。

 そんな人たちにおすすめしたいのがシャープのファクシミリ複合機「見楽る UX-MF30CW/CL」だ。アナログ回線で利用するコードレス電話とファクシミリ、パソコンと接続できるプリンタとスキャナ。これに加え、ケータイやデジタルカメラから写真プリントができるダイレクトプリント、カラーコピーという1台6役をこなすマルチに活用できる複合機だ。なかでもケータイとの連携は、ケータイを使いこなしているユーザーにとっては便利であり、カメラ付きケータイもより楽しく活用できるアイテムだ。

操作パネルをあげるとインクカートリッジが交換位置にまで自動的に進む。日本ヒューレット・パッカードのインクカートリッジを採用しているので交換にも心配はない

背面には電話回線接続、USBポートの他、LANケーブル接続の端子も備える

ホームネットワークにも対応

 ファクシミリ複合機に位置付けられている「見楽る」だが、そのハードウェア的なベースになっているのは、プリンター機能とスキャナ機能だ。

 まず、プリンターとしては、6色/4色プリントに対応したインクジェット方式を採用したもので、最高4800dpiの解像度で高品質な写真や文書を印刷することが可能だ。パソコンから文書を印刷する場合は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色で印刷し、写真などの場合はシアン、マゼンタ、イエローに加え、フォトシアン、フォトマゼンタ、フォトブラックの合計6色でプリントされるしくみだ。インクジェットプリンターではインクなどの消耗品の供給が気になるところだが、「見楽る」は日本ヒューレット・パッカードのインクカートリッジを採用しており、家電量販店などですぐに入手することができる。

 「見楽る」とパソコンの接続については、一般的なインクジェットプリンター同様、USBポートを利用する。しかし、「見楽る」はUSBポート以外に、LAN経由で接続することも可能だ。現在、国内で販売されているインクジェット方式を採用したプリンターはUSBポートやプリンタポートで接続するものが多いが、ブロードバンド環境が普及したおかげで、最近では家庭内でもLAN環境を構築するユーザーが主流となっている。そのため、家庭のように、複数のパソコンがあるような環境で、プリンターを共有するには、特定のパソコンの電源を入れておくか、別途、プリントサーバーを用意しなければならないなどの制約がある。

 これに対し、「見楽る」は標準でLAN接続に対応しているため、LANに接続してドライバをインストールすれば、ネットワークプリンタとして認識される。つまり、「見楽る」を家族で共有しながら、利用することができるわけだ。LAN対応のメリットは、プリントだけではない。「見楽る」に搭載されているスキャナ機能もLANで利用することができるため、LANに接続されたパソコンにスキャンした写真や文書などを取り込むことができる。つまり、複数のパソコンがLANに接続された環境では、「見楽る」をより有効に活用できるわけだ。

前面には10種類のメモリーカードに対応したメモリーカードスロット。PictBridgeでのダイレクトプリントにも対応

4.3インチのASVカラー液晶ディスプレイを装備。大きな液晶画面でしっかり確認でき、写真選びなどがスムーズに行える

プリントには普通の写真出力だけでなく、2枚の写真を見にあわせて1枚に出力する「写真ハガキプリント」や「シールプリント」、「2 in 1プリント」といろいろ楽しめる

液晶画面を見ながらかんたんにプリントできる。写真表示は、1画面表示、5画面表示、16画面表示など、自由に切り替えが可能。また、プリント時には明るさやコントラスト、あざやかさを調整して出力もできる

受信したFAXは一覧で確認でき、内容を液晶ディスプレイで確認した後で出力することができる「見てからプリント」機能を搭載

 充実のプリント&ファクシミリ機能

 パソコンとの接続性に優れている「見楽る」だが、パソコンがなければ、活用できないというわけではない。「見楽る」単独でも十分に活用できる機能が充実している。

 まず、写真プリント機能。カメラ付きケータイやデジタルカメラで撮影した画像は、「見楽る」にメモリーカードを挿せば、手軽にプリントできる。「見楽る」には10種類のメモリーカードに対応したメモリーカードスロット、4.3インチのASVカラー液晶ディスプレイが装備されており、DCF形式に準拠した状態で記録されていれば、液晶ディスプレイで確認しながら、目的の画像をプリントすることが可能だ。プリント時には明るさやコントラスト、あざやかさを調整することもできる。液晶ディスプレイ付きのカラーインクジェットプリンタや複合機は増えているが、ケータイのSHシリーズでおなじみのASV液晶は鮮やかな画像、見やすい文字の表示が可能なため、撮影した画像の内容をしっかりと確認しながら、美しいプリントができる。ボーダフォンのシャープ製端末「V604SH」のように、320万画素&光学2倍ズームという強力なカメラ機能も十分に活かすことが可能だ。

 ちなみに、写真プリントについては、メモリーカードだけでなく、PictBridgeに対応したデジタルカメラとケーブルで接続して、プリントすることもできる。もちろん、通常の写真プリント用紙だけでなく、写真ハガキプリント用紙やシールプリント用紙なども利用できるため、ホームプリントを手軽に楽しめるようになっている。

 また、「見楽る」には前述のように、スキャナ機能が搭載されているが、実はパソコンがなくてもスキャナ機能を活用することが可能だ。「見楽る」には最大200件のデータを登録できる電話帳が用意されているが、ここには電話番号だけでなく、メールアドレスも登録できる。これを利用し、スキャンしたデータをすぐにメールで相手に送信できる「スキャン to E-mail」という機能が用意されている。LAN接続でブロードバンド環境に接続しているときに限られるが、ファイル形式もJPEG(カラー)、PDF(カラー/モノクロ)、TIFF(モノクロ)形式から選べるようになっており、相手の環境に合わせて、手軽にメールで原稿を送信することが可能だ。

 さらに、本体上部にあるスキャナ機能のための原稿台(読み取り部)に原稿をセットして、カラーコピーをすることもできる。フラットベッド式なので、雑誌やノートといった綴じられたものも開いて置き、コピーすることが可能だ。拡大・縮小、連続コピーなどの機能も備えており、ちょっとしたコピーを取りたいときに便利な機能だ。ファクシミリの送信についても同じように使うことができるのも見逃せないポイントだ。

 ファクシミリについては、受信したFAXの内容をメモリーに保存しておき、液晶ディスプレイで確認した後で、出力することができる。用紙やインクを節約できるというメリットに加え、倍率切り替えや回転などの効果を加えてから、出力することもできる。受信したFAXの文字が小さかったり、用紙の向きが反対の場合でも、画面上で倍率切り替えや回転ができるのでちゃんと確認できて、用紙やインクを節約できるというメリットがある。受信後に自動出力する設定もでき、最近、対応機種が少しずつ増えているカラーFAXの送受信にも対応している。

 ちなみに、上位機種として販売されている「見楽1る UX-MF40CW/CL」には、A4普通紙10枚まで原稿をセットできる自動原稿送り装置が装備されており、原稿をセットすれば、連続でコピーをしたり、FAXを送信することも可能だ。

「ケータイリンク機能」を使えば、「見楽る」もケータイもさらに活用できる

「スキャン to メモリーカード」機能を使えば、読み取ったイラストや資料などのデータをメモリーカードに保存して、待ち受け画面に設定できたり、資料を携帯電話で閲覧できたりもする

ケータイの電話帳データを「見楽る」の電話帳データとして活用でき、子機にも転送できる。また、パソコン上から編集することもできる

ケータイを活かすケータイリンク機能

 さて、「見楽る」に搭載されている数ある機能の中で、ケータイユーザーに便利な注目機能が「ケータイリンク機能」だ。ケータイリンク機能はケータイに搭載されているメモリーカードを利用し、ケータイに保存されている情報を「見楽る」で活用したり、逆に「見楽る」の機能を使って、ケータイに情報を保存したり、活用することができる。

 まず、「見楽る」のスキャナ機能を利用し、スキャンしたデータをJPEG画像やPDFファイルの形式で保存し、端末上で利用することが可能だ。たとえば、プリントした写真しかないような画像でもスキャンして、メモリーカードにJPEG形式で保存すれば、待受画像として利用したり、メールに添付して、他の人に送信することができる。利用できる機種はやや限定されるが、PDF形式で保存すれば、ケータイに搭載されているPDF対応ビューア機能を使い、外出先でファイルの内容を確認するといったことにも使える。印刷された文書などを外出先に持ち歩かなくても済むわけだ。

 もうひとつの便利な機能は、ケータイの電話帳データを「見楽る」の電話帳データとして活用できる点だ。ケータイの利用頻度が高くなると、ケータイにいろいろな相手の連絡先が登録されていて、自宅ではケータイの電話帳の画面を見ながら、自宅の電話でダイヤルするといったことがよくある。そこで、「見楽る」ではメモリーカードに保存されたケータイの電話帳データを読み込み、「見楽る」本体の電話帳データやコードレス子機の電話帳データに取り込めるようにしている。取り込む電話帳データにメールアドレスが登録されていれば、前述の「スキャン to E-mail」にも利用することが可能だ。

 また、「見楽る」の電話帳に登録したデータは、子機にも転送することができる。全件を転送、あるいは1件ずつ転送することができるので、複数の子機があれば、それぞれの子機の主な利用者に合わせた電話帳を登録しておくことができる。

 ちなみに、LAN接続時は「見楽る」に登録されている電話帳データは、パソコンからInternet Explorerなどのブラウザで閲覧でき、編集することも可能なため、ケータイの電話帳データをベースに、「見楽る」に合わせた電話帳にカスタマイズすることも可能だ。パソコンとケータイとの連携を活かした賢い機能と言えるだろう。

 この他にも自宅などの固定電話からケータイ宛に発信するとき、NTT東日本とNTT西日本の事業者識別番号を付加し、おトクにかけることができる「携帯とくとくダイヤル」も搭載されており、ケータイの存在を強く意識した機能構成となっている。

新しいカラーバリエーションが発売された「V604SH」

以前のカラーバリエーション。左から、ターコイズ&ブラック、ホワイト&シルバー、ブラック&レッド

ケータイと仲良くスマートに使える「見楽る」

 今回は新たに2色のボディカラーが追加されたV604SHを使い、「見楽る」での写真プリント、スキャナ機能での待受画像の保存、電話帳取り込みなどケータイリンク機能を試してみたが、やはり、ケータイのデータを活かせる環境は非常に便利だ。パソコンとの接続環境もLANに対応しているため、従来のシンプルなファクシミリや複合機とは違った有機的な活用が可能になっている。

 ケータイ業界及び通信業界では、次なる時代のテーマとして、ケータイのネットワークと固定電話及びブロードバンドネットワークを連携させる「FMC(Fixed Mobile Covergence)」が注目を集めている。異なるネットワークとして連動することで、今までにないサービスが利用できると言われているが、実現にはまだいくつも越えなければならない壁があるのも確かだ。

 ただ、我々ユーザーにしてみれば、すでにケータイも固定電話もブロードバンドも目の前に存在し、普段から何気なく、利用している。できることなら、本格的なFMCが実現されるよりも前に、もっと手軽にケータイやブロードバンドインターネット、パソコンを連携させた機能が欲しいところだ。「見楽る」はそんなユーザーの身近なニーズを手軽に実現できるスマートなファクシミリ複合機だ。ケータイが便利だからこそ、ケータイを活かせるコミュニケーション環境が欲しい、新生活に活用したいというユーザーに、「見楽る」をぜひおすすめしたい。

V604SHに新カラー登場

今回、新カラーバリエーションを発表した「V604SH」。320万画素CCDカメラ&光学2倍ズームカメラを搭載した、最高峰のPDC端末である本機を法林氏がレビュー! カメラ機能の説明から、実際に撮影した実写サンプル、魅力的なカスタムスクリーン機能、さらに進化したAV機能についてまでを徹底紹介。    >>詳細はこちらから

■関連情報
・「見楽る」製品ページ
 http://www.sharp.co.jp/mirakuru/

■関連記事
・シャープ、LAN共有やスキャン原稿のメール送信機能を備えたFAX複合機
 http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/11143.html

・【WPC EXPO 2004】シャープ、HDD搭載ザウルスやモバイル放送端末を展示
 http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/event/21071.html

・シャープ、PictBridgeに対応したカラーFAX複合機
 http://dc.watch.impress.co.jp/cda/other/2004/10/18/275.html

■法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP SP2対応 基本編 完全版」や、「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。