SOLAR PHONE SH002
二軸回転式ボディを採用し、トップパネルにはソーラーパネルを搭載する
※窓際に置いて充電する場合、窓ガラスが直射日光を遮るタイプのときは、充電を行えない場合があります。

 ケータイには通話やメール、ブラウザ、カメラ、ワンセグ、おサイフケータイ、音楽再生など、実に多彩な機能が搭載されているが、これらを支えているのは言うまでもなく、電源、つまり、バッテリーだ。ケータイにどんなに多くの機能を搭載したとしても電源が供給されなければ、どの機能も使うことができない。ケータイをはじめとするモバイル機器は、自宅やオフィスの決められた場所ではなく、屋内外のさまざまな場所で利用できるようにするため、本体にバッテリーを内蔵し、その電源を元に動作させている。ケータイを使って、電池が少なくなれば、ACアダプタで充電し、ある程度、充電ができれば、再びケータイを使う。私たちはあまり意識することなく、このサイクルをくり返しながら、ケータイを使い続けているわけだ。

 意識せずに使い続けているとは言うものの、ケータイを使う上で、ユーザーが気にすること、困ることの筆頭格と言えば、やはり、バッテリーだ。残り少なくなった電池アイコンの表示を見て、「このままじゃ、持たないかも……」と不安を感じ、冷や冷やしながらケータイを使ったり、何とか充電できる術を画策しようとした経験は、誰にでもあるはずだ。今や私たちの生活や仕事において、大切なライフラインのひとつであるケータイだからこそ、常にバッテリー残量と充電には、できるだけ気を遣いたいところだ。

 そんなユーザーの声に応えてくれるのが今回、auから発売されたシャープ製のソーラーパネル搭載ケータイ「SOLAR PHONE SH002」だ。端末のトップパネルにはシャープが新たに開発した薄型ソーラーパネルが備えられており、太陽光による充電ができる世界初(※1)の防水対応ソーラーケータイなのだ。

 ところで、SOLAR PHONE SH002の説明をする前に、少しシャープと太陽電池の関係について、紹介しておこう。「シャープと言えば?」という質問に対し、多くのユーザーはきっと「ケータイ」や「アクオス(液晶テレビ)」、「液晶パネル」と答えるだろう。しかし、シャープにとって、十八番である液晶パネルに匹敵するほど、重要な事業とされているのが「太陽電池」「ソーラーパネル」なのだ。

 シャープは1959年に太陽電池の開発に着手し、1963年に量産を開始。1976年には国産初の人工衛星「うめ」に搭載し、現在は160基以上の人工衛星、1900カ所以上の灯台に採用されるなど、国内No.1のシェアを持ち、世界市場でもトップシェアを争うほど、広く支持されている。人工衛星以外にも空港やサッカースタジアム、工場などにも設置されるほか、街の各世帯に家庭用太陽光発電システムを設置したソーラータウンも実現している。シャープ自身も亀山工場に続き、大阪・堺に建設中の「21世紀型コンビナート」では各工場の屋上への太陽光発電の設置に加え、隣接する地域には関西電力グループとともに世界最大級の規模の太陽光発電施設を建設中だ。つまり、住宅用から産業用、宇宙に至るまで、幅広いシーンにおいて、シャープの太陽電池が活躍しているわけだ。

※1 2009年3月現在、ROA Group調べ。

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シャープが携帯機器向けに新開発したソーラーモジュール(参考資料)

 太陽電池にも長い歴史と実績を持つシャープが開発し、今回、au向けに供給を開始する「SOLAR PHONE SH002」は、国内初のソーラー充電対応ケータイということになる。

 SOLAR PHONE SH002に搭載されているソーラーモジュールは、シャープが携帯機器向けに新たに開発したもので、半導体などのパッケージング技術を活かすことにより、ソーラーモジュール部分の厚さは業界最薄レベルの0.8mmに抑え、多結晶シリコンによるソーラーセルで、最大電力300mWの高出力を可能にしている。

 ケータイにソーラーパネルが搭載されたということで、電卓や腕時計などのように、室内でも充電できて、すぐに使えそうな想像をしてしまうが、時計や電卓は消費電力が極端に少ないために実現できているもので、ケータイをはじめとするモバイル機器はこれらと比較すると、消費電力が大きいため室内での充電ではまかなえない。また、SOLAR PHONE SH002に採用されているソーラーパネルは電卓などに採用されているタイプと違い、住宅の屋根や屋上などに設置されているソーラー発電専用パネルと同じタイプを採用している。そのため、家庭内やオフィスで利用されている蛍光灯ではなく、太陽光をソーラーパネルに当てて充電する。最適な状態であれば、約10分の充電で、通話時間を約1分程度、連続待受時間を約2時間程度延ばすことができる。

注:メーカーの試験方法による計測値です。実際の使用時は、日射の強さ・使用条件(方位・角度・周辺環境)・地域差および温度条件により異なります。
●人工光源で測定した目安値です ●お買い上げ時の設定より、省エネモードONに設定 ●快晴時の昼の直射日光で充電 ●太陽に垂直に向ける ●電波状態良好(アンテナバー3本) ●通話中に電源が切れた後、すぐにソーラー充電を開始 ●電源起動後、すぐに発信

■ソーラー充電の目安
ソーラー充電時間 連続通話時間 連続待受時間
30分 約2分 約140分
60分 約6分 約360分
90分 約9分 約560分

注:●ソーラーモニター表示が「最適充電中」で、電池切れの状態から充電した場合の目安です。数値は当社の試験方法による計測値です。お客様のご利用環境によっては、この計測値以上の連続通話時間・連続待受時間となることがあります。 ●SH002本体が高温あるいは低温になったときや、本体の電池パックの電池残量が約80%以上ある状態では、ソーラー充電を行えません。 ●季節・天候・地域・太陽の向きや高さ・気温などの使用環境や、使用場所の電波状態、機能の設定などにより、同じ充電時間でもご利用可能時間は変わります。また電池パックの寿命が近づいている状態では、ご利用可能時間は短くなります。

 SOLAR PHONE SH002に採用されているソーラーパネルは、住宅用などをベースに開発されているため、できるだけ日当たりの良い場所で、太陽にまっすぐソーラーパネルを向けることが好ましい。本体が高温になったり、低温になったりしたとき、あるいは電池残量が約80%以上あるときは、最適な状態にセッティングしたとしても充電はされない。これは端末や電池パックの保護を考慮した仕様ということだろう。

 しかし、ユーザーにしてみれば、現在のソーラー充電の状態が最適なのか、充電されているのかがわからないことには、今ひとつ不安だ。そこで、SOLAR PHONE SH002にはソーラー充電の状態を知るための機能が用意されている。トップパネルのソーラーパネル部の隣には消費電力の少ない電子ペーパーを利用したサブディスプレイが内蔵されているが、ここに太陽とフレアのアイコンを表示することで、充電中かどうかを一目でわかるようにしている。また、電源をOFFにしたときや電池切れになってしまったときは、現在の充電量で通話ができる時間の目安を3段階の範囲でアイコンを表示することで、わかるようにしている。

 
消費電力の少ない電子ペーパーを利用したサブディスプレイを搭載。ソーラー利用レベルがアイコンで表示される

 さらに、これらの機能に加え、ソーラー充電量を表現する待受Flashも用意されている。au向けのSHシリーズでは動物が登場する「SH-MURA」というケータイアレンジがすっかりおなじみだが、SOLAR PHONE SH002にプリインストールされるケータイアレンジはソーラーによる充電量が増えるとともに、太陽や動物の様子が変化するしくみを採用している。単に充電をするだけでなく、楽しみながら充電をするという姿勢がユーザーとしてもエコな気分が味わえて、ちょっと面白い。

 ソーラーパネルで充電した電気を有効に活用するための機能も用意されている。従来は3段階のみだった電池残量のピクトをパーセント表示に切り替えることができるようになり、より電池残量がわかりやすくなっている。今までのように、電池がなくなるんじゃないかとハラハラすることもなくなり、電池が減って、的確なタイミングで充電できるようになる。電池残量が減って、少しでも長持ちをさせたいときのために「省エネモード」も用意される。ディスプレイ表示やバックライトなどの設定を一括して省電力設定に切り替えられるものだが、電池残量に応じて、自動的に通常モードと省エネモードを切り替えるようにも設定できる。

 
ソーラー充電量により様子が変化する待受Flashを内蔵する
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防水対応のため、外部接続端子のキャップにはパッキンが付いている
電池パックカバーのLOCKスイッチも必ずLOCK側に切り替えておこう

 ソーラーパネルが注目されているがSOLAR PHONE SH002だが、晴れの日ばかりがSOLAR PHONE SH002の活躍の場ではない。日常生活でもアクティブに使えるように、IPX5/IPX7(※2)相当の防水性能を実現している。

 IPX5は内径約6.3mmのノズルを使い、約3mの距離から毎分12.5リットルの水を3分以上、注水する条件で、あらゆる方向からのノズルによる直接噴射を浴びても電話機としての性能を保つことを意味する。つまり、バスルームでシャワーを浴びているときや洗車などをしているとき、ケータイに跳ねた水が掛かってしまうようなときでも問題なく使えるわけだ。もう一方のIPX7は、常温の水道水かつ静水の水深1mの水槽に電話機本体を静かに沈め、約30分間、放置した後、電話機本体に浸水がなく、電話機としての性能を保つことを意味する。つまり、水を張った洗面所で、ケータイを水に落としてしまっても浸水しないということになる。ただ、いずれの場合も規格としての条件を満たしているものであり、実際に水が掛かったり、水没したときの個々のシチュエーションによっては、浸水してしまう可能性もあるので、その点は留意しておきたい。

 ケータイの防水対応はユーザーとしても非常にうれしいところだが、SOLAR PHONE SH002を使う上で注意したいのは、水が掛かるようなシチュエーションを考慮し、常に外部接続端子のキャップは確実に閉め、電池パックカバーに備えられているLOCKスイッチも必ずLOCK側に切り替えておくことだ。特に、キャップやカバーに備えられているパッキンの部分に髪の毛や砂粒、細かいゴミなどが挟まってしまうと、防水性能を保てなくなってしまうので、極力、キャップの開閉を減らす意味からもオプションで販売されている卓上ホルダを購入し、卓上ホルダに置いて、充電することをおすすめしたい。

 アクティブな使い方という点では、au Smart Sportsで新たに提供される「Fitness」と「Golf」、従来からの「Run&Walk」に対応。さらに、シャープ独自アプリの歩数計も利用できる。ゴルフについては、GPSを利用し、グリーンまでの残り距離を自動計測する「GPSゴルフナビ」が用意されており、プリセットされた全国約2300コースのデータを利用することができる。SOLAR PHONE SH002に搭載されている歩数計は、歩数や歩行距離のほか、身体活動の強度を表わす「METs」、身体活動量を表わす「エクササイズ(Ex)」の測定にも対応するという本格的なものだ。さらに「Karada Manager」も今年7月にTANITAから発売される予定の体組成計との連動に対応し、測定データのBluetooth経由でワイヤレス受信することで、よりスムーズに健康データを管理できるようにしている。

Fitness
 
歩数計
 
Karada Manager
 
GPSゴルフナビ

 エンターテインメント機能としては、ワンセグ、LISMO、5.2Mピクセルカメラなど、充実した機能が揃っている。ワンセグは従来のSHシリーズ同様、同社の液晶テレビ「AQUOS」で培われた技術を活かし、肌や表情をくっきりと鮮明に見せる「SVエンジン+」や表示する映像に合わせてバックライトを調整する「自動輝度設定」を搭載し、ケータイではまだ対応端末が多くない「ダビング10」にも対応する。カメラは画素数こそ、標準的なスペックだが、新たに上下左右前後の軸の揺れを抑える「6軸手ブレ補正」、被写体の動きを自動認識する「被写体ブレ補正」に対応する。端末に内蔵された加速度センサーにより、縦横のどちらの向きで持って撮影しているのかを認識し、再生時には同じ向きで表示する「撮影方向連動」、手書きの文字や絵をカメラで撮影することで、オリジナルの絵文字が作成できる「絵文字メーカー」など、カメラを活用する機能もしっかりと進化している。ちなみに、この加速度センサーによる縦横の連動は、カメラ撮影時だけでなく、ワンセグやLISMO Video、PCサイトビューアーでも自動的に縦横の表示を切り替えることが可能だ。

 実用的な機能では、「ダイレクト起動キー」や「アドレス帳のインクリメンタルサーチ」、「クローズロック」などが新たに搭載されている。ダイレクト起動キーはダイヤルボタン下に装備されている「ダイレクト」と書かれたキーを押すと、あらかじめ設定しておいた機能をワンタッチで起動できるというもので、ワンセグや内蔵辞書、ネット辞書、日英翻訳、LISMO検索、EZナビウォーク、Run&Walk、歩数計、シークレットなどから選ぶことができる。アドレス帳のインクリメンタルサーチは、1文字入力するごとに候補が絞られていく検索方法で、ダイヤルボタンからの文字入力に慣れたユーザーには非常に使いやすい機能だ。クローズロックは端末を閉じるだけで、自動的にロックが掛かる機能で、従来モデルに搭載されていた一定時間経過後にロックが掛かる「オートロック」とうまく使い分けたい機能だ。

 この他にも従来モデルから人気の高い内蔵辞書とネット辞書を連動させた「スマートリンク辞書」、音声通話をサポートする「ノイズキャンセラー」「スロートーク」「ボイスクリア」、海外でもそのまま利用できる「グローバルパスポートCDMA」、カメラを利用した「名刺リーダー」「テキストリーダー」など、数多くの機能が継承されている。実用的なものからエンターテインメントまで、幅広くサポートされている印象だ。

   
5.2Mピクセルカメラを搭載
 
ワンセグのアンテナは、ボディ側面に用意される
 
ダイヤルボタン下に装備されている「ダイレクト起動キー」で、あらかじめ登録された機能をワンタッチで起動できる

※2 (IPX5)内径6.3mmのノズルを用いて、約3mの距離から約12.5リットル毎分の水を3分以上注水する条件であらゆる方向からのノズルによる噴流水によっても、電話機としての性能を保ちます。 (IPX7)常温で、水道水、かつ静水の水深1mの水槽に電話機本体を静かに沈め、約30分間水底に放置しても、本体内部に浸水せず、電話機としての性能を保ちます。水道水以外の石けん、洗剤、調味料、ジュース、海水のほか、高温のお湯や冷水などは対象外です。

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 外出先でもすぐに電話ができる道具として生まれたケータイ。当初は限られていた利用シーンも通話だけでなく、メールやコンテンツ閲覧に始まり、カメラ、ワンセグ、おサイフケータイ、音楽再生など、次々と新しい活用が生まれ、仕事に、プライベートに、生活に欠かせない大切なアイテムへと進化を遂げた。

 しかし、ケータイの利用シーンが拡大し、ユーザーがアクティブに使おうとすればするほど、ケータイの電池残量はいつもシビアな状況に追い込まれる。「SOLAR PHONE SH002」はそんなアクティブなユーザーを助けるために生まれてきたケータイだ。ソーラー充電だけですべてがカバーできるわけではないが、通常のACアダプタによる充電に加え、『太陽』という心強い味方を得たことで、今まで以上にアクティブにケータイを使うことができるはずだ。カフェのオープンテラス、昼休みの日当たりのいい公園など、ソーラー充電が体験できる場所やシーンを探してみるのも楽しいだろう。SOLAR PHONE SH002はケータイを毎日、アクティブに活用したいユーザーにこそ、ぜひおすすめしたい、体験して欲しい端末だ。

法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるゼロからはじめるパソコン超入門 ウィンドウズ ビスタ対応」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。

関連情報
「SOLAR PHONE SH002」製品情報(au)
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/kishu/sh002/index.html
「SOLAR PHONE SH002」製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/sh002/
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■au、ソーラーパネル搭載「SH002」などを4日発売
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/45610.html
■ソーラー充電で防水性能も実現「SOLAR PHONE SH002」
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/45447.html

ソーラー充電に関する注意事項
●太陽光をソーラーパネルに当てて充電を行ってください。太陽光がソーラーパネルに当たっていないときや、天候の状況によっては充電を行えない場合があります。●季節・天候・地域・太陽の向きや高さ・気温などの使用環境や、使用場所の電波状態、機能の設定などにより、同じ充電時間でもご利用可能時間は変わります。●SH002本体のソーラーパネルは、電卓などに搭載されるパネルではなく、家屋の屋根などに設置されるソーラー発電専用のパネルを採用しています。照明器具の光では充電を行えません。●SH002本体が高温あるいは低温になったときや、本体の電池パックの電池残量が約80%以上ある状態では、ソーラー充電を行えません。●高温を発するハロゲン電球や赤外線ランプ、白熱灯を使用しての充電は危険ですので、絶対に行わないでください。●閉めきった車内は、太陽光の照射によって高温になります。車内に放置しての充電は、SH002本体が高温となり、発熱・発火・変形や故障の原因となりますので、絶対に行わないでください。●温度が低くなる使用環境(寒冷地や高い山の上、雪の上などを含む)では充電を行えません。


防水性能に関する注意事項
キャップ類はしっかりと閉じ、電池パックカバーは確実に取り付けてからロックをかけてください。海水・プール・温泉の中に浸けないでください。


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