過去の連載で〔iA〕についておさらいしてみよう!

βサービスが開始された〔iA〕。誰でも参加することが可能になったほか、さまざまな新要素が追加された

 2月16日にさまざまな新機能・新要素が発表された〔iA〕だが、その中でも幅広いユーザーにとって大きなトピックといえるのが、誰でも参加可能なβサービスの開始だ。〔iA〕は2008年3月の発表以来、抽選などで参加者を募るクローズドβテストとして展開されていた。しかしこの制限がいよいよ解禁。会員登録を誰でも行えるようになる。

 〔iA〕をプレイするために必要な〔iA〕IDだが、これは〔iA〕公式サイトでメールアドレスなどの個人情報を登録すれば無料で取得できる。また基本のプレイ料金も無料となっているので、気軽にプレイを始められるはずだ。

 また〔iA〕は、動作に必要なPCスペックが極力抑えられており、ノートPCでの動作も十分想定されている。必要とされるハードディスクの空き容量は1.5GBだが、プレイ時にインストールする専用ツールバーのサイズはそれよりもかなりコンパクトになっている。ハードウェア面においても、プレイするための敷居は限りなく低いと言えるだろう。

〔iA〕のログイン画面。Yahoo! JAPAN IDでのログインもここから行える

 そして、さらに手軽に〔iA〕を体験できるよう、このほどYahoo! JAPAN IDでログインする機能も加わった。このIDはポータルサイト「Yahoo! JAPAN」が自社のWebメールやオークションサービスを提供するために発行しているものだが、これを〔iA〕のログインに利用できる。もちろんパスワードも共通のものが利用可能だ。入力方法も特に難しい部分はなく、〔iA〕のログイン画面でIDとパスワードを求められた際、「Yahoo! JAPAN IDでログインする」のボタンをクリックして別画面から入力するだけでよい。

 ちなみにYahoo! JAPAN IDでのログインは、後述する「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」以外のアイランド(Webページと連動して表示される3D空間)では機能に制限が加わる。だが、〔iA〕の大きな楽しみといえるアバターの作成・調整が初回1回限り可能になっている(通常ユーザーは回数制限なし)。〔iA〕の操作に慣れ、サービスをフルに楽しみたくなった場合は、正規の会員登録を別途行おう。この手続きを踏まえることでYahoo! JAPAN IDをそのまま〔iA〕IDとして使用でき、〔iA〕登録ユーザーとして機能制限なくサービスを楽しむことが可能になる。 

 Yahoo! JAPANとのコラボレーションはIDの連動だけにとどまらず、コンテンツの面でも行われている。それが「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」だ。無料ゲームなどが楽しめる「Yahoo!ゲーム」(http://games.yahoo.co.jp/)へのアクセス時に表示される専用アイランドであり、他の一般的なアイランドと比較して面積は数倍、見た目も大きく異なる。

「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」。他のアイランドと比較して数倍の規模で、かつユニークに装飾された空間が広がる
麻雀など、各ゲームにもロビーと呼ばれる専用のコミュニティスペースが用意されている

 「Yahoo!ゲーム」では、麻雀・大富豪・将棋などオンライン対戦可能な数々の無料対戦ゲームが揃っているが、このゲームごとに専用ロビーが設定されている。例えば「Yahoo!ゲーム」で麻雀をプレイすると、〔iA〕側では麻雀卓が並ぶ専用ロビーへと移動する。また逆に、〔iA〕側で「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」にある麻雀の専用ロビーへ自分のアバターを移動させれば、Webブラウザがそれに連動して「Yahoo!ゲーム」の麻雀ページへと切り替わる。

 この、無料対戦ゲーム別の専用ロビーでは、同じゲームのページを表示している自分以外の〔iA〕アバターも表示される。このときでもWebブラウザ上でゲームは通常どおり進行している。偶然にも同じゲームを選択している者同士、誘い合ったりする楽しみもあるだろう。

 また「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」には、「クラブ」というコミュニティ機能も盛り込まれている。同じ趣味の仲間同士が集まって話をしたり、プロフィールを見てもらったりという楽しみ方が可能だ。オンラインゲームで普及している「ギルド」に似た概念と考えればいいだろう。「Yahoo!ゲーム」のクラブについては、アイランド内にあるクラブハウスで入会申請を行う仕組み。またYahoo! JAPAN IDでログインしたユーザーは最初から「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランドのクラブ」に入会した状態になっている。

 加えて、このクラブ機能は前述の無料対戦ゲームの専用ルーム別にも用意されているので、プレイ時間が合わないユーザーとコミュニケーションすることも容易なはずだ。

 クラブハウス内にいる場合、Webブラウザで表示される画面もクラブの専用サイトになる。こちらにはクラブ会員リストがあり、それぞれのプロフィールを簡単にチェックできるようになっている。

こちらが「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」にあるクラブハウス
クラブハウス内の様子。Webブラウザにはクラブハウスの専用ページが表示される

 なお、Yahoo! JAPAN IDでログインしたお試しのユーザーの場合、「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」内においては登録ユーザー並みの数多くの〔iA〕の機能が楽しめる。つまり、〔iA〕の魅力を短時間で体験するには絶好のスポットと言える。

 一方、従来から〔iA〕を楽しんでいるユーザーには、アイテムの配布サービスに注目したい。このサービスは「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」のどこかで行われており、「大富豪カードテーブル」「将棋盤」などの無料対戦ゲームの内容をデフォルメした「お持ち帰りアイテム」がもらえる。これらはオーナーアイランド(ユーザー自身が管理をする自身のWebに連動した3D空間。連載第2回参照)への設置が可能だ。

 さらにこの「お持ち帰りアイテム」は、単に自己アピールとしてアイランドを飾るだけでなく、リンクの機能も持っている。例えば、アイランドに設置された将棋盤をユーザーがダブルクリックすると、「Yahoo!ゲーム」の将棋ページへ移動する。Web連携を強く意識した〔iA〕ならではの部分と言えよう。

〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」ではおみやげアイテムの配布が行われている
アイテムは自分が管理するオーナーアイランドに設置可能。さらに、アイランド上に設置したアイテムをダブルクリックすると将棋盤の場合は「Yahoo!ゲーム」の将棋ページに、ビリヤード台の場合は「Yahoo!ゲーム」のビリヤードページに移動できる
自分の分身とともにメッセージを残せる「ミーム」が追加された

 そして、〔iA〕によるコミュニケーションをさらに加速させてくれる新機能も追加された。その名も「ミーム」だ。ある特定のアイランドに訪れる不特定多数のユーザーに向けたメッセージを残す用途にうってつけの機能となっている。

 ミーム最大の特徴は、自分のアバターの姿とともにメッセージを残せる点だ。〔iA〕はアバターのカスタマイズ性が非常に高く、自己アピールとして、工夫を凝らしたアバターをより多くの人、通りすがりの第三者に見てもらうためにも便利な機能だ。

 具体的な利用法を見てみよう。まずメッセージを残したいアイランド内で、ミームを設置したい場所で右クリックしてサブメニューを表示。そこから「ミームの投稿」「今の姿で投稿」と選んでいき、メッセージを入力すればOK。自分の分身が、まるでNPCのようにそのアイランドに表示され続ける。NPCキャラクターをユーザーが自由に作れるようになった感覚だ。

 さらにミームには、メッセージだけでなくURLを添付することもできる。動画サイトで見つけた面白コンテンツや、ショッピングサイトのお買い得商品ページの個別URLの紹介などにも当然応用できる。気軽に使えるソーシャルブックマークとしての用途もありそうだ。

 これらの機能により、プレイ時間帯が異なるユーザー同士が、時間差があってもコミュニケーションを交わすこともできる。特に、オーナーアイランド訪問の感想を、足跡のように残したい人にとっては嬉しい機能だ。

 またクローズドβテスト2までの〔iA〕は参加人数を制限していたこともあり、アイランドの飾り付けをはじめとした「コミュニティを盛り上げる」ための敷居がどうしても高かった。しかしミームの登場によって、自身で管理できるアイランドを持っていないユーザーでも、アイランドの「にぎわい」を手軽に演出できるようになるはずだ。

ミームの設置は目的の場所で右クリックして「ミームの投稿」を選び、あとはメッセージに従って操作するだけ
ミームによって、アイランドがよりにぎやかになるはずだ

 ミームは、〔iA〕公式サイトなどの一部サイトを除いて、基本的にどのアイランドでも自由に設置することが可能だ。ほとんどのWebサイト閲覧時に表示される「ファンアイランド」(特定の管理者が設定されていないアイランド)というカテゴリーのエリアであればミーム設置についての制限はない。

 また前述の「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」では、同アイランドの「クラブ」に入会することによって、ミームの設置が可能になるというアイランドルールが設定されている。Yahoo! JAPAN IDでログインした場合は「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランドのクラブ」に入会した状態になっているので、どんどんミームを残してみるといいだろう。さらにクラブハウスには、設置済みのミームのリストがあり、アバターの名前をクリックすればその設置場所へ直接ジャンプできる便利機能もある。この機能を使ったユニークなコミュニケーションが期待できる。

 なお一般ユーザーが運営する「オーナーアイランド」では、ミームの投稿を受け付けるかどうかオーナー自身が随時選択できる。万が一、フレンド登録しているユーザーのみに限定したり、迷惑メール的なミームへの対処も可能だ。また〔iA〕ではユーザー登録時に申請された携帯電話製造番号をもとに個人認証するという、健全なコミュニティに向けた運営方針を徹底しているので、悪質ユーザーが台頭する可能性はとても低いと考えられる。

「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」において、2月16日の時点では文字通り“ふういん”されている「ふういんの森」クエスト。テーマパークのアトラクションのような位置づけか?

 「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」の開設、ミーム機能の追加以外にも、2月16日のβサービス開始に伴って細かな機能改善が多数行われている。プレイに必要な専用ツールバーもバージョンアップしており、安定性などが向上。中でも、従来からサービスされている〔iA〕のゲーム要素であるモンスターとの戦闘において、バランスの調整が図られた。ゲーム要素や戦闘後のアイテム交換がますます楽しめるようになり、ユーザーにとっては朗報といえるだろう。

 そして〔iA〕は、今後もコンテンツの追加・機能のバージョンアップを継続的に行っていく方針だ。中でも、「ふういんの森」クエストには注目したい。「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」内でのみ提供される専用コンテンツで、ゲームに不慣れな人もゲームファンも一緒になって複数名で楽しむ〔iA〕ならではのゲーム要素のようだ。今ある最大5人のユーザーが集まって同じWebページをリアルタイムに共有・閲覧する「いっしょにネット」という機能が、さらに拡張される形だろうか。期待して待ちたい。

複数のメンバーと協力してダンジョンを進む??
武器や防具でアバターを強化させられる

 全3回に渡って〔iA〕の魅力をお伝えしたエンジョイガイド、いかがだったろうか。第1回の開発者インタビューでは、「Webと連携する3D空間」という独特のコンセプトを採りあげたが、その具体像を第2・3回でご紹介した。

 例えば「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」では、「Yahoo!ゲーム」をWebブラウザ上で楽しみつつ、そのゲームで遊ぶ〔iA〕ユーザーがPCデスクトップ上の3D空間で明確に可視化されるという構造になっている。「Webを浸食することなく拡張する」「アバターを通じたインターネットユーザーの可視化」という狙いが非常にわかりやすく実現された例と言える。

 また「家庭用ゲーム機と、それを楽しむプレイヤーの仮想化」というアイデアから生まれた〔iA〕は、今後も独自コンテンツの拡充が進められる。3月中旬にお目見えする「ふういんの森」クエストは、まさにその具体像。テーマパークのアトラクションのように、今後も追加されていくだろう。もちろん、ユーザー発信形のコンテンツやコミュニティの登場も楽しみだ。

 数多くの要素が内包された〔iA〕は、Webとの連携、そして独自コンテンツの2つが融合した総合プラットフォームと言える。ある人はWebを閲覧しながら時折ユーザー間コミュケーションを楽しむ。それに対して、「ふういんの森」クエストをゲームとして積極的に楽しむ人もいるだろう。これらさまざまな趣向のユーザーが同時にインターネット上に存在し、〔iA〕を通じてアバターとなって一同に可視化されることによって、新しい価値が生まれてくるだろう。

 企業にとっても、〔iA〕の活用によって新しい価値を生み出すことができる。例えば、自社Webサイトをより魅力的にする手段としての〔iA〕の活用だ。今回の「〔iA〕×Yahoo!ゲーム アイランド」のように、自社アイランドで魅力的な〔iA〕コンテンツを提供することで、サイト訪問者数を増やし、それに伴いブランドイメージの認知向上が期待できるのではないだろうか。また、企業そのものに限らず、商品やサービス、イベントの販促活動など、活用の幅は限りなく広い。

 多くの可能性を秘めた〔iA〕、その魅力はβサービスによって手軽に感じ取れるようになった。ぜひ一度、あなた自身の目で確かめてほしい。

(Reported by 森田秀一)

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■〔iA〕スタートサイト
http://ia-start.jp/
■〔iA〕公式サイト
http://ia-world.jp/

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■セガの3Dコミュニティ「〔iA〕」がβ版に。Yahoo!ゲームとも連携
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■セガ、Webサイトと3D空間を融合させた3Dインターネットブラウザ「インターネットアドベンチャー [iA]」
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