西川善司の大画面☆マニア 特別編  〜 東芝 REGZA 47ZH8000 〜  超解像モデル第二世代はフルHDクリアパネル採用で  暗部ダイナミックレンジにメスを入れる!

高画質録画モデル、レグザ47ZH8000

 詳細機能に迫る前に、まずは基本スペックを整理しておこう。

 47ZH8000はフルHD解像度の47V型IPS液晶のクリアパネルを採用したモデルになる。このクリアパネルの詳細については後述する。いまや必須の残像低減技術の倍速駆動は「Wスキャン倍速」と呼ばれるエリア分割のバックライト点滅でのスキャニングを採用。さらにレグザだけの特権的機能である超解像技術は第二世代へと進化し、そうした高画質化機能を難しい設定などせずにフルオートで提供するため、視聴環境の照度変化、映像ソースの変化にリアルタイムに応答する「おまかせドンピシャ高画質・プロ」機能も搭載されている。このあたりの高画質化ロジックの秘密についても詳細は後述しよう。

 47ZH8000は「ZH」でH付き型番なので、録画用内蔵ハードディスクとして300GBを搭載する。ハイビジョンを画質劣化なしで約29時間録れるというだけでなく、新搭載の「おでかけW録」により放送時間が重なるデジタル放送の二番組を、同時に録画できるというユニークで便利な機能にも対応した。

REGZA 47ZH8000

今期のZ系レグザはクリアパネルを採用

内蔵ハードディスクはユーザー交換可能

画面右側面の接続端子

背面部の接続端子。接続性はとても充実している

 接続性への配慮も必要十分で、さらに外部機器接続時にも高画質が維持できるようにと、ディスプレイモニター的な機能も充実させている。特に業界初の「インスタポート」機能は、機能としては地味ながら実はセンセーショナル。接続したHDMI機器とのネゴシエーションをレグザ起動時に事前に済ませてしまうという新発想を実現しており、HDMIの入力切換をほぼ瞬間的に行うことに成功しているのだ。今期のレグザにおいて「HDMI入力切換が遅い」という認識は過去のモノとなる。なお、この他、モニター的に活用する際の新機能搭載においては筆者も多少関わっており、詳細は後述する。

ブーメラン形状のスタンドはZH8000にも採用となった

スピーカーがどこにあるのか分からない「インビジブルスピーカー」デザイン

 フルフラットなボディデザイン、ブーメラン型スタンドの採用など、すっきりとした外観は従来モデルから継承されるが、それだけでなく完全にスピーカーの存在を前面から消し去った「インビジブルスピーカー」デザインも特徴となっている。

超解像技術「レゾリューションプラス2」第二世代は賢く進化

 2008年後期のレグザには超解像技術が搭載された。民生向けテレビ製品としては世界初であり、競合他社製品に対して大きな差別化を図ることができた。

 超解像技術についての詳細や原理については筆者の大画面☆マニア第102回にて徹底解説しているのでそちらを参考にして欲しいが、初耳という読者もいると思うのでここでも簡単に説明しておこう。

 現実世界の情景の解像度は無限大だ。当たり前のこと。しかし、その解像度無限大の「情景」はカメラなどで撮影することで、カメラの撮影解像度に情報が落ち込んだ「映像」となる。情景は完全なランダムノイズでないし、規則性をもっている。しかも、その情景をカメラで撮影したということは、その情報劣化の仕方自体にも法則性はあるはずだ。

 ここに着目し、その法則性を逆利用して、その映像で失われたと推測される情報を復元してやる技術が超解像だ。誤解を覚悟で喩えるならば、スパイ映画などでモザイク映像からくっきりした映像を復元する「ありえなさそう」な描写を見かけるが、超解像とはあんなイメージだ。

 レグザの超解像技術は再構成型の超解像技術で、「レゾリューションプラス」と名付けられたが、これが第二世代「レゾリューションプラス2」へと進化して、ZH8000に搭載された。

 前モデルの「レゾリューションプラス」(以降、わかりやすく「1」とする)ではどちらかと言えばデジタル放送のリアルタイム視聴、あるいは録画視聴に特化した実装だった。もちろん、DVDなどのSD映像に対しても適用はできたのだが、プレイヤー側のアップスキャンコンバート機能をキャンセルしてレグザに接続してやらないと働かせることができなかった。これは、「1」では主に入力信号フォーマットに着目して超解像技術を適用していたからだ。

 今期モデルの「レゾリューションプラス2」(以降、わかりやすく「2」とする)では、映像信号フォーマットではなく、映像そのものを解析して適切な再構成処理を行うように進化している。

 「1」ではデジタル放送以外の視聴ではユーザーが気をつかって超解像技術を手なずけて活用しなければならなかったが、「2」では全自動でレゾリューションプラスが適用されると言うことだ。

 だから、「2」ではブルーレイレコーダー/プレイヤーで再生した1080pにアップスキャンコンバートされたDVDのSD映像にもちゃんとレゾリューションプラスが効く。プレイステーション3(PS3)でDVDビデオを再生したりPS1、2の旧ゲームをプレイしたりしたときも、映像信号では1080pになっていても、レグザ側がちゃんと映像解像度を解析してレゾリューションプラスを効かせてくれる。

 このインテリ版超解像技術の「2」は、デジタル放送への効き方も広がりを見せる。デジタル放送でもSDカメラで撮影された映像、あるいは古めの番組の再放送など、伝送映像は1080iでも、実体映像がSD映像の番組はまだまだ多い。「1」ではこうした映像に対して再構成処理を適用できなかったが「2」では、リアルタイムに反応して再構成処理を適用してくれる。

 超解像の活躍の場を広げ、超解像をより身近なものにしてくれるテクノロジーが「レゾリューションプラス2」なのだ。

レゾリューションプラス2 オフ

レゾリューションプラス2 オフ

レゾリューション・プラス2 オン

レゾリューション・プラス2 オン

 実際に、DVDビデオをPS3で再生してみたが、的確に再構成処理が適用されていることが確認できた。PS3のアップスキャンコンバート機能を使って1080p出力がなされる状態でDVDビデオを再生してみたが、ちゃんと実体としてのSD映像を認識して再構成処理を適用してくれていた。面白いのがPS3側のアップスキャンコンバート機能のオン/オフでレゾリューションプラスの効き方が変わるというところ。PS3のアップスキャンコンバート機能をオンにした映像に対しての方がよりレゾリューションプラスがアグレッシブに効いてくるようだ。また、PS1、PS2のゲームを試してみたが、こちらにもちゃんとレゾリューションプラスが効いたのが面白かった。PS1、PS2ゲームの粗いテクスチャ模様がぼやけることなく自信ありげに描き出されている新感覚の画質は、他のテレビ製品では味わえない。レグザだけの特権だ。

なぜクリアパネルを採用したのか。それは次なる液晶高画質のスタンダードとなるため

 今期のレグザのモデル型番にZが付く高画質モデル(Z、ZX、ZH)は全てクリアパネルを採用している。
 これは大きな変更だ。
 クリアパネルとは表示面側のスクリーンにクリアコートを施したパネルのこと。いわゆる「光沢パネル」と呼ばれるタイプだ。先代までのレグザ、そして他社製品でも、液晶テレビは、ノングレアパネルを採用しているものが多い。

 クリアかノングレアか。

 どちらを選ぶかはメーカーズチョイスであり、ユーザーチョイスなのだが、画質面でいえば、圧倒的に今期のレグザZ系が採用したクリアパネルの方が優位だとされる。これは液晶(画素)層から通ってきた出力光(≒出力色)がピュアな形でダイレクトに視聴者の目に届けられるからだ。

 一方、ノングレアパネルは液晶層からの出力光が若干だが、ノングレアのスクリーン層を通ったときに拡散してしまうのだ。

 これはどういうことを意味するかというと、1つ、画素描写をぼやけさせてしまう。2つ、出力光そのもののエネルギーが目に届く前に減退してしまう。拡散反射とは全方位に光を散乱させるのでよく考えれば当たり前のこと。画素描写をぼやけさせてしまえば、1ピクセル1ピクセルがぼけるわけで、解像感の低下につながる。出力光が拡散して減退してしまえば、コントラスト感の低下につながる。出力光が明るい場合は拡散しても大部分の光が目に届けられるので影響は少ないともいえるが、もともと出力光のエネルギーが弱い、暗色表現、暗部階調表現の場合は、このノングレアパネル通過時の拡散によって大部分が目に届かないことになる。これを避けるには暗色、暗部階調の出力を強めることだが、そうなるとその拡散光が「黒浮き」となってしまうので、そう話は単純ではない。

 では、液晶テレビが慣例的になぜノングレアパネルを使っていたかというと、元々液晶テレビが明るさがウリであったため、そうした問題が無視されてきたことが理由として挙げられる。

 今回のレグザがあえてクリアパネルを搭載してきたのは、ここ数年の技術革新で液晶テレビも明るさだけでなく、高画質表現が可能になったこと、そして視野角についても小手先で稼がなくても液晶画素レベルでの広視野角が実現されてきたためだ。

 一方、クリアパネルでは液晶層からの出力光がダイレクトに視聴者の目に届くため、画素描写は鮮明になる。そして、また暗色や暗部階調表現も出力光の損失が少なく目に届くため、視覚として得られる情報量のダイナミックレンジは必然的に大きくなる。

 実際に、今回の評価で筆者の私物のレグザ46ZH500(2008年春モデル)と同一映像を表示して比較してみたが、圧倒的に違うのが暗色のダイナミックレンジの広さだ。

 たとえば、日陰に立つ俳優の履くジーンズ。46ZH500では黒っぽくしか見えないのが、47ZH8000では微量な青が感じられ、かなり黒に近い青がちゃんと見える。ノングレアパネルでは灰色に落ちてしまうような、暗部階調に残されたかすかな色味がクリアパネルの47ZH8000だとちゃんと知覚できるのである。

 暗部階調も黒浮きが少なく、しかも漆黒からリニアに階調が立ち上がってくれるため、コントラスト感が高くて、それでいて暗部のディテール表現も同居できるという、これまでの液晶テレビでは実現が難しかった表現がZH8000ではなされているのだ。よく「液晶テレビは暗部の表現がよくない」といわれるが、それは今期のレグザZ系シリーズには当てはまらないと断言できる。

 ではクリアパネルの弱点はないのか? という話になる。片方だけ持ち上げるのは不公平なのであえていうと、正直に言えばないわけではない。

 それは外光からの影響を受けやすいというノングレアパネルとは逆の特性から来る。しかし、これは設置位置を工夫すればいい。

 具体的には、視聴位置に外光が入り込まないように設置するということだ。

 まず、天井照明からの影響だが、テレビ台に設置する一般的な設置ケースでは、設置台が極端に背が高くない限りは、天井照明が表示面に映り込むことはない。壁掛け設置を考えている場合は、設置位置の高低が自由なので注意が必要。大げさに高い位置に設置しないことを奨励する。また、壁からの間接照明や、窓が画面に入り込む位置への設置は避けた方がいい。

 もともと、液晶テレビが「画一的にノングレアパネルだけだった」ということの方が異常事態だったと捉えるべきで、東芝は、画質を重視したユーザー向け製品であるレグザZ系では、高画質が実現しやすいクリアパネルを採用してきたということなのだ。

 なお、普及モデルであるレグザH8000シリーズ、C8000シリーズ、A8000シリーズではノングレアパネルを依然と採用する。

Wスキャン倍速はハイブリッド残像低減技術である

 47ZH8000を含む、今期のZ系レグザに搭載されている注目の機能と言えば「Wスキャン倍速」がある。

 液晶テレビは「動画に弱い」と言われがちだが、これは液晶パネルが次のフレーム表示が行われるまで、ずっと前のフレーム表示を行っている「ホールド表示」の仕組みに原因があるとされる。映像が次のフレームに切り替わった瞬間まで前のフレームを見続けてしまうことで、人間の視覚(≒脳内)として前フレームの残像が残ってしまうのだ。いわば人間の視覚応答速度に問題があると言い換えてもいいだろう。

 これを低減するのが「倍速120Hz駆動技術」で、前のフレームと次のフレームの間の映像の間に算術合成した補間フレームを表示してやることにより、なめらかに映像表示を繋ぎ、視覚上の残像を低減しようとする技術だ。これは先代の7000系レグザまで「モーションクリア」と呼ばれる技術名で搭載されていた。

 これでだいぶ液晶表示の残像は低減されたが、さらに攻めの残像低減を推し進めるのが、今期のZ系レグザだけに搭載される「Wスキャン倍速」テクノロジーだ。

 競合他社では4倍速240Hz駆動技術を搭載するものも出てきているが、元々算術合成した映像フレームには予測を失敗しているエラー画素も含まれている。240Hz駆動ではエラー画素を含む補間フレームからさらにエラーを生む補間フレームを作り出す危険性をはらんでいる。特にこうしたエラー画素は周波数の高いディテール表現を含む映像で発生しやすく、最悪のケースではディテール部でブルブルと画素が揺れて見える「表示振動」を起こしてしまうこともある。

 これに対し、算術合成するのは従来の倍速120Hz駆動と同じ1フレームだけにして、その表示の仕方に工夫を凝らすのがレグザの「Wスキャン倍速」だ。

 よく「ブラウン管は残像が少なかった」といわれるが、あれはブラウン管が短残光の映像表示だったから。つまり、高輝度に映像が一瞬だけ光ってすぐ消えてしまう表示方法だった。つまり一瞬映像が消えるのだが、これで前フレームの知覚が消え、なおかつ、その消えている間に、人間の脳は映像の動きを脳内で補間して知覚する。見えてない部分は人間の脳が自然に見えたという風に知覚してしまうわけだ。これを特にインパルス駆動という。

 Wスキャン倍速では、このインパルス駆動の仕組みまでを活用する。

 補間フレームを先代レグザまでのモーションクリアのように倍速で生成するが、その2倍に増えた映像フレームをブラウン管のように短残光で表示するのである。

 これにより、倍速120Hz駆動技術によるなめらかな動きの補間と、人間の視覚モデルの特性の短所を補い長所を活かした表示が行えるという寸法だ。

 いわば、Wスキャン倍速は、液晶とブラウン管の残像低減表示方式のハイブリッド手法ということができる。  実際に、動きの速いゲーム、そしてアクション映画などを視聴してみたが、動きにキレを感じる。

 こうしたインパルス駆動を組み合わせた液晶テレビで心配されるのが、「チラツキ」と絶対的な「明るさ不足」なのだが、この点においても筆者は問題ないと保証する。

 インパルス駆動に関しては事実上240Hz単位…すなわち約4ms(ミリ秒)間隔の明滅なので、チラツキとして知覚される限度を超えているので問題ない。

 明るさ不足に関しては、インパルス駆動時の瞬間的な最大輝度を上げているため、映像を継続的に見た時の視覚上の明るさは先代と同レベルを実現している。具体的に言うとスペック表には記載されていないがパネルの輝度は最大で500cd/m2を達成しているとのことで、実際に筆者の私物のレグザZH500と比較しても全く同レベルの明るさであった。

 一般的な映像視聴においてはWスキャン倍速は常時オンで使用していいと思う。

モニター的な機能をさらに進化。外部AV機器からの映像表示を"確実に"高画質にする!

 いまや、テレビはモニター的な活用もなされることが大前提となってきている。様々な外部の映像機器を接続する機会が増えており、テレビ放送だけでなく、そうした外部機器からの映像表示にまつわる高機能も求められつつある。

 新レグザでは、この部分での進化も力が入れられている。

 手前味噌になるが、このあたりの機能については筆者もいくつか意見を出しており、新レクザではその要望が一部採用されて実装されている。

 一つはHDMIフォーマットの詳細表示機能だ。プロジェクターやモニターでは当たり前の機能なのだが、テレビでは意外に実装されていない。

 これは機能としては単純なもので、現在、表示中の映像信号の仕様が確認できると共に、レグザがどう認識しているかが分かる、いわはステータス表示機能になる。

 これはPCやゲーム機をHDMI接続した場合に有用な機能となる。

 いまや、PCとテレビはHDMI接続するのが当たり前になりつつあるが、その際、PC側のDVI出力をHDMI変換して接続することが多い。この際、PC側はデジタルRGB出力をすることになるが、PCは、通常、そのダイナミックレンジとして0-255のフルレンジで出力するが、これが場合によってはテレビ側でビデオ系RGBとして誤認して16-235のリミテッドレンジとして受けてしまうことがある。こうなると映像は映るには映るが微妙に暗部が沈んだ画になってしまうことがある。もしかしたら経験があるユーザーもいることだろう。意外にこの不具合に気がつかないで使っている人も多いようだ。

 また、PS3はハイダイナミックレンジなDEEP COLORに対応しているが、PS3側をDEEP COLOR出力に設定しても、これが正しくテレビ側で認識されているかどうか、確認する術がなかった。

 あるいはブルーレイプレイヤーでブルーレイを再生時、1080/24p(毎秒24コマの1080p)出力した際、本当にテレビ側に24pとして認識されているのかも確認のしようがなかったのだ。

PS3をDEEP COLORで接続したとき。色深度が12ビットになっている点に注目

PCとHDMI接続し、RGBフルレンジ設定した時。正しく「RGB(フル)」となっている点に注目

1080/24pの映画ブルーレイソフトを再生。正しく24Hzで認識。しかもYUV=4:4:4で認識されているところにも注目

 新レグザでは「設定メニュー」の「機能設定」-「信号フォーマット詳細表示設定」を「オン」設定にしてリモコンの[画面表示]ボタンを押せば瞬間的に表示中の映像のステータスが表示できる。想定している状況となにか違うのであれば外部映像機器側やレグザ側を調整して対応できる。

 そして新レグザに取り入れられた、筆者のもう一つの要望は、RGBダイナミックレンジの明示指定機能だ。接続したPCやゲーム機のRGBダイナミックレンジがフルレンジであることがわかりきっている場合、誤認を避けるために明示的にフルレンジが指定できるようになった。液晶テレビをPCモニター、ゲームモニター的にも活用したいユーザーにとってはこの機能は武器になる。

 なお、こうした外部映像機器との親和性を高めるために、新レグザは内部の映像処理精度を従来機よりも高めてもいる。

 具体的には、従来のレグザではスケーラ処理をYUV=4:2:2で動作させていたが、新レグザではYUV=4:4:4で動作させ、メタブレイン・プレミアムの全ての動作をYUV=4:4:4で処理できるように改善されたのだ(注:1080P入力におけるピュアダイレクトモード時)。

 フルYUV=4:4:4出力が可能なPS3などのHDMIゲーム機、一部の高級ブルーレイプレイヤーを新レグザに接続したときにも、劣化なしの映像出力が保証されるわけで、これはゲームユーザーや画質重視のユーザーにとってはこの上ない喜びとなるはず。

 「テレビはテレビ放送を見るのがメイン」「外部機器への接続対応はおまけ」というスタンスを取るメーカーもある中、東芝レグザの柔軟な対応力には筆者も一ユーザーとして敬意を表したい。

攻めの高画質。それが今期のレグザZ系8000シリーズだ

 クリアパネル採用によって、コントラスト感と暗部ダイナミックレンジが拡張され、画素描写が鮮明になったことから解像感も向上した。適応範囲を広げた超解像技術が、さらにその解像感の向上を増強する。動画についてもWスキャン倍速で一層の残像低減がなされ、動画時の解像感までも向上した。しかもその表示様式は液晶とブラウン管のハイブリッド方式ときている。

 今期の新Z系レグザは、店頭で見かけたときには、もしかすると他の液晶テレビの画質とは異質に見えるかも知れない。

 もちろん、いい、意味で、だ。

 クリアパネルについては当初、「映り込みが…」などと言われるかも知れないが、プラズマテレビはもともとクリアパネルみたいなものだったが、これを悪くいう人はあまりいなかったはず。超解像のときもそうだったが、他がやらない高画質実現の試みを、攻撃的に挑んでくるのが東芝レグザだ。今期の新レグザも、まさしく「攻めの高画質」での訴求なのである。

 なお、今回評価したモデルは47ZH8000であったが、本稿で述べた進化ポイントはZ8000、ZX8000シリーズにも共通して搭載されている点を改めて強調しておく。

今期の新レグザ、8000シリーズラインナップ


トライゼット西川善司
大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちら。近著には映像機器の仕組みや原理を解説した「図解 次世代ディスプレイがわかる」(技術評論社:ISBN:978-4774136769)がある。