パイオニアから昨年12月に新登場したポータブルタイプのBD/DVD/CDライター「BDR-XU02J」。世界最小・最薄*のデザインを実現した新設計のマグネシウム筐体をはじめ、新開発のスロットローディングメカなど、数々の新技術を盛り込んで完成した最新モデルだ。Ultrabookと一緒に持ち歩くには最適なコンパクトさをはじめ、ネットワークレコーダー「nasne」との連携など多彩な機能も大きな魅力だ。*スロットローディング型ブルーレイドライブとして。2012年12月11日時点、パイオニア調べ。

マグネシウム合金ボディ+スロットローディングが進化を生んだ

パイオニアのポータブル型ドライブの最上位モデルとして登場したBDR-XU02J。しかし、外観こそ一新されたものの、すでに発売中のBDR-XD04Jと比べて、機能面での進歩はそれほど目立たない。BD-R最大6倍速、BDXL規格の3層/4層ディスクへの4倍速記録(BD-R TL/BD-R QL)や、添付のDiXiM BD Burnerがnasneに対応したほかは、基本的な仕様についてはまったく共通だ。

だが、BDR-XU02Jは、ボディの小型・薄型化、静音化、防塵性能といった基本的な性能や信頼性の部分をいっそうブラッシュアップしている。

まず大きく違うのは外観だ。BDR-XD04Jがボディ前面のカバーが大きく開閉するトップローディング方式だったのに対し、BDR-XU02Jでは、ポータブルタイプのドライブではあまり例のないスロットローディング方式を採用した。これにより、開閉部分がなくなり、一層の薄型化を実現している。無駄のないシンプルなラインで構成されたデザインも、マグネシウム製のボディと相まって高級感あふれる仕上がりとなっている。

取材のためにお借りしたBDR-XD04JとBDR-XU02Jを見比べてみると、サイズはともにほぼジャケットサイズながらも、マグネシウム筐体を採用したボディは見た目からして洗練され、しかもよりスマートに使えるようになったと感じた。Ultrabookなど光学ドライブを外したノートPCが増えた現在、ノートPCと同様に薄く、手軽に持ち運びやすいといった携帯性や機動力は重要度がますはずだ。こうした今後の外付けドライブの未来を先取りした点も、BDドライブメーカーとして定評のあるパイオニアらしさだと感心する。

最大の特徴であるスロットローディングメカを見てみよう。スロットローディングは、家庭用ゲーム機やカーオーディオでの採用例が主流で、PC用ドライブでの採用はあまり例がない。理由のひとつは、一般的なスロットローディングメカの場合、挿入されたディスクを内部に引き込む際、レーベル面を押さえつける場合が多いため、ディスクにキズをつける懸念があり、信頼性の点で敬遠されていたのだ。

だからこそ、パイオニアでは、スロットローディングメカの採用に当たって新たにローディングメカを新開発した。ディスクを送り込むための接触部はわずか1.2mmのディスク側面部のみ。さらに、ローディングだけでなく、イジェクト時には、従来のようにディスクの1/3ほどしか排出されないのではなく、1/2以上のディスクが排出されるように工夫されている。これも、使用者の指先がレーベル面や記録面に触れずにディスクの入れ替えができるようにするのが狙いだ。ディスクセンターの穴と側面を指でつまむようにして取り出せるので、記録面に指紋がついてしまうような汚れやキズの影響を最小に抑えられる。実際にディスクの入れ替えを試してみても、とてもスマートにディスクを出し入れでき、スロットローディング方式への不信感が払拭されていると実感できた。

このようにスロットローディングのデメリットが解決されると、今度はスロットローディングならではのメリットが浮かび上がってくる。

まず第一はタテ置き/ヨコ置きが自由に選べるようになったこと。BD-R-XD04Jは上部カバーが開閉する仕組みのため、タテ置きでは使用できない。だが、これだけスリムなドライブならば、タテ置きにすることで圧倒的に省スペースで使える。この実用上のメリットは大きいだろう。

続いてスリム化だ。その厚さはBDR-XD04Jの14.8mmに対して12mmにまで薄型化された。数値で見ると大きな差に感じないかもしれないが、両者を並べて見るとかなり薄くなった印象になる。これは、ノートPCと一緒にドライブをかばんに入れて持ち運びたい人にとってはかなり使いやすくなるに違いない。

そして、静音化。大きなカバーが開閉し、閉めた際にもカバーとボディのあいだに隙間がわずかに開くBDR-XD04に対し、BDR-XU02Jはディスク挿入のための細いスリットしか開口部がない。このため、原理的にディスク回転時の風切り音が少なく、内部のモーター音などのノイズも外に漏れにくくなる。

同時に、開口部が大幅に小さいため、埃などの侵入にも強く、防塵性が向上した。信頼性を高め、より最適な状態でのディスク読み取り/記録が行えるようになっている。さらに、ディスク挿入口には防塵シャッター膜が設けられてもいる。

ボディに採用した頑強なマグネシウム合金は、剛性を高めることで不要な振動を遮断し、静粛性に寄与している。実際にBD-ROMを読み込んでみると、ローディング/イジェクト時にアームの可動音や、ピックアップの駆動音がするものの、読み取り状態に移行してしまえば、モーターの回転音がわずかに聞こえる程度で耳障りな音がしにくい。

これが、BDR-XD04Jだと、決して大きな音ではないがビリビリという感じの耳に付く音がモーターの回転音と一緒に聞こえる。これは、ボディに触れてみるとすぐにわかるのだが、トップカバーが振動して出てきている「びびり音」だ。この耳に付くノイズがなくなったことで、BR-XU02Jはかなり静かなドライブだという印象を受ける。

無駄のないシンプルな造形は、ボディの剛性を高め、静粛性や防塵性のために機能する。見た目のどおりの無駄のない機能的なデザインに感心させられる。

緻密に構成された内部構造を見てみる

つづいて、分解可能なモデルでその内部を見ていこう。その内部にはディスクを回転させるモーター、ピックアップとそれを駆動するサーボ回路、電源部や制御回路とみっちりと詰まっている。

一番の注目は、スロットローディングメカだろう。このメカは手前側と奥側に2本のアームが備わっており、それらが連携して動くことで、ディスクを内部に送り込み、排出を行う。ディスク回転用のモーターとピックアップを持つ心臓部分はシーソーのように上下に可動する。ディスクが送り込まれると、下におりていたモーター部分がせり上がり、ディスクをロックする。この狭いスペースの中で実に無駄なく、各部が連動して動いていく様子はちょっと感動的でさえある。

トップカバー部は内部にディスクを抑えるためのサポート板が施されている。ディスク中心部分に位置するサポート版がディスクをしっかりと支え、下からせり上がってきたモーターがディスクを回転させるのだ。

このほか、アンダーカバーには、防塵・静音のためのシャッター膜まで施されており、内部で発生した動作音を外に漏らさず、外部からの埃の侵入をシャットアウトする。このみっちりと詰まった機構の精密さはある意味、PC内蔵型モデル以上でもあるし、防塵や静音といった点でも同等以上の信頼性を持っていると感じさせられる。

スロットローディング方式は、モーター/ピックアップ部の可動部分を最小とし、しかも、防塵性、静粛性も高いレベルで実現できる、理想的な方式だとわかる。今まで採用したモデルが数少なかったことが意外なほどだが、実現にはいくつものハードルがあったに違いないと思われる。

ポータブルとして、そして省スペース&高品位な据え置き機としても

僕自身は据え置き型のBDR-S07Jを愛用しているが、デスクトップPCとの組み合わせに適したこのモデルは、置き場所の融通が利かないことが難点。最近はあまり見かけなくなったタワー型筐体に増設する必要があり、PCサイズも大きく、机の上のちょっとしたスペースでコンパクトに使いたいという用途には向かない。

しかし、BDR-XU02JならばノートPCを余裕を持って置けるスペースさえあれば、タテ置きでスマートにドライブも設置できてしまう。使わないときにはすぐにかたすこともできるので、家の中の好きな場所で使える。

もちろん、モバイルPCと組み合わせて手軽に持ち運ぶことも容易だ。ボディも頑丈で凹凸の少ない形状だから、かばんへの収納もしやすく、可搬性は極めて高い。さらに、本機はUSBバスパワー駆動で駆動ができる。1つのUSB端子で十分な電源供給ができない場合でも、給電用の追加USBコネクターを備えた二股のUSB給電ケーブルを使うことで安定した動作が可能だ。家の中での使用ならば、セルフバスパワー対応のUSBハブなどを使えば安定感が増すだろう。AVアダプターを持ち歩く必要がないため、可搬性はさらに向上する。

これだけポータブル性が高まると、Ultrabookのようなモバイル性の高いPCのための光学ドライブとして自在に活用できると実感できる。自宅やオフィスでは省スペースで高品位な据え置きドライブとして、いざとなればPCとともにかばんに入れて持ち出せる。気軽に持ち出せるから、重要なデータのバックアップやミラーリング用のドライブとして活用するといった活用法も出てくる。大容量のBDXLディスクならば100GB(TL)、128GB(QL)もの容量をバックアップ用として使えるから、大容量のデータも安心だろう。

据え置き型ドライブにも迫る信頼性の高さは、もちろんAVユースでも大きな威力を発揮するだろう。3Dタイトルを含むBDやDVDソフト再生も可能なので、PCを使ったデスクトップ上の省スペースなホームシアターも実現できる。また、ネットワークオーディオ再生のための、音楽用CDのリッピング用としても有効だ。こうした用途を手軽に楽しめるように、豊富なバンドルソフトが付属しているのも大きな魅力だ。

BDソフト再生から、データのバックアップ、映像編集、BD/DVDオーサリング、ディスクライティングといった数々のソフトウェアが付属し、多彩な映像制作、AV鑑賞を快適に楽しめる。BDの大容量データをスムーズにやりとりするために、USB高速化ドライバーも付属。これはインストールすることでUSBの転送速度を高速化するもの。USB接続でBDソフト再生をしようと思うと、USBの転送速度が追いつかずに映画の途中で映像が止まってしまうなど、動作が不安定になることがあったが、このドライバーでそういった問題を解消できる。

そして、パイオニア製BDドライブならではと言えるのが、キズや汚れがついたCDのオーディオ再生/リッピング時に、データ補間の発生を低減し、元データに忠実な読み取りを再現する「PureRead2+」。ディスクのデータをビットパーフェクトで読み出したいというならば「パーフェクトモード」(ただし規定回数のリトライでもデータ読み出しに失敗した場合、リッピングが中断される)。規定回数のリトライで読み出せなかったデータだけを補間によって補う「マスターモード」、一般的なドライブと同じく読み取りに失敗しエラー訂正機能でも補正できないデータを補間する「標準モード」が選べる。この機能が最大の威力を発揮するのは、大昔購入した音楽ディスクの読み取りで、目立ったキズはなくとも、埃などの堆積で曇ってしまい、レーザーの反射率が落ちてしまったようなコンディションの良くないディスクの読み取りだ。普通にリッピングすると、読み取り時にデータの補間が発生し、音質が変わってしまう場合がある。こういった場合には、「PureRead2+」を利用すれば、万全のリッピングが行えるだろう。

「PureRead2+」のモード切り換えなどは、付属の「パイオニアBDドライブユーティリティー」で制御できる。BDR-XU02J用のものには、ディスク取り出し操作や、内部温度などのドライブ状態確認などが行える。さらに、動作状態に合わせてディスクの回転スピードを最適に調整し、静音化と高速読みだしを両立する「アドバンスド静音機能」の設定も行える。BD-ROM再生時などは必要十分な回転速度で動作させ、動作ノイズの発生を抑える。BD-Rなどへの記録時は高速動作で素早い記録を行うといった切り換えを自動で行えるようになる。AV用途の「常時静音モード」から、標準的な「静音モード」、高速読み取り/書き込みを重視する「パフォーマンスモード」と、ユーザーの使い方に合わせてモードが選べるようになっている。

隠れた便利機能として好評なのが、接続したUSBポートの給電能力がドライブ駆動に十分か確認できる機能だ。ディスク記録中に給電が足りなくなり、書き込み失敗——といったことも、この機能で事前に動作を確認しておくことで防ぐことができる。

さらに、「DiXiM BD Burner 2013」も同梱。これは、DLNA/DTCP-IPに対応したBDライティングソフトで、従来はDLNA/DTCP-IPによるネットワークダビングに対応したテレビ(東芝製、パナソニック製など)でUSB HDDなどに録画した番組をBDにダビングできる機能を備えていた。最新版では、さらにソニー・コンピューターが発売したNASネットワークレコーダー「nasne」からのダビングにも対応した。

従来、ネットワークダビングを持つ薄型テレビからBDへ書き出すには、対応したBDレコーダーを追加するのが一般的だったが、BDレコーダーの追加はコスト的にも負担が大きく現実的とは言いにくかった。しかし、PCとBDR-XU02Jがあれば、nasneと同じ家庭内ネットワークにPCを接続するだけで、BDダビングができるようになる。これは実に魅力的な機能と言えるだろう。

録画テレビなどの場合、PC側では「DiXiM BD Burner 2013」を起動してダビング受け入れの準備(記録可能なBDのセットなど)をしておくだけでよかったが、「nasne」の場合は、「DiXiM BD Burner 2013」から操作を行う必要がある。モードをライブラリーモードへ切り換えると、nasne内にある録画済み番組のリストを取得できるので、そこから、BDへダビングしたい番組を選べば、ダビングがスタートするという手順だ。ネットワーク接続さえ問題なく完了してしまえば、操作は極めて簡単で、極めて手軽にBDダビングができた。nasneや録画テレビで録り貯めた消してしまうには惜しい番組の処理には困ることが少なくなかった人でも、本機があればBD保存が手軽に行える。もちろん、BD再生ソフトでダビングしたBDの録画番組の再生もPCで手軽に行える。

現有のPCに本機を追加するだけで、BDをはじめとした最新のAV環境が手に入るというのもうれしい機能。もちろん、正確な信号読み取りや静音性といったアドバンテージはAV鑑賞時でもさらに威力は発揮するはずだ。

これらに加えて、パイオニアらしい付属ソフトもある。それが「サウンドマテリアル」。これは、世界各地の美しい自然を持つ土地の環境音を高音質で収録したもの。マレーシアのタマンネカラでの鳥のさえずりや、青森の白神山地の森のざわめき、フィジー諸島のサンゴ砂の浜など、10曲のコンテンツが収録されている。楽曲データも、高音質なwav形式と、再生互換性の高いMP3形式で収録されているので、誰でも手軽に再生できるだろう。お手持ちのPCやオーディオ環境のチェックに使うという方法もあるが、心地良く気持ちをリラックスさせてくれる環境音を聞きながら仕事をしたり、ほっと一息ついたりと、さまざまな形で活用してほしい。

パイオニアのドライブは、ファームウェアやバンドルソフトの小まめなバージョンアップもうれしい。製品サポートページをチェックして常に最新の状態にしておきたい。BDR-XU02Jの追加ソフトウェアは、現在はUSB関連の、高速フィルタードライバーの最新版が公開されている。「DiXiM BD Burner 2013」を使い、BD-Rに高速書き込みをする場合には、最新版の利用が推奨されている。

このあたりのサポートが充実しているのもパイオニア純正ドライブならではの安心感といえよう。

ポータブル型でありながら、据え置きで使いたい人にも最適
活用範囲は極めて広い

多くの人にとって、ポータブル型BDドライブは絶対的な性能では据え置き型ドライブに劣る印象があり、読み取り精度や静粛性・防塵性をとるか、ポータブル性をとるかの二択に悩まされてきた人も少なくないだろう。しかし、BDR-XU02Jならば、ドライブメカとしての性能や静粛性・防塵性なども据え置き型に肩を並べ、ポータブル性の点でも最高レベルのものとなっている。PC周辺機器としての幅広い活躍をするだけでなく、プライベートルームでのミニマムなホームシアターまで楽しめる。極めて魅力の大きい、現在もっとも注目すべきBDドライブだと思う。

(Reported by 鳥居一豊)

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