「楽ナビ」シリーズにおけるフラッグシップ機「AVIC-HRZ900」
今回のレビューはスバル・レガシィ(2.5i)で行なった

 筆者は2001年モデルのカロッツェリアのサイバーナビ第一世代機「AVIC-H07」のユーザーだ。サイバーナビは今も高い人気を誇るパイオニアのカーナビのハイエンドシリーズであり、パイオニア製カーナビのイノベーションは常にこのサイバーナビシリーズから始まっている。筆者のAVIC-H07は2008年でついに地図データのサポートも終了し、筆者はそろそろ買い換えを検討しなければならない立場となった。それだけに今回のテストには気合いが入るというもの。

 今回取り上げる「AVIC-HRZ900」は、メインストリーム向けの「楽ナビ」シリーズに属する製品となる。

 楽ナビシリーズは、ハイエンドモデルのサイバーナビでつちかわれた最新技術を分かりやすく、そして使いやすいかたちで一般ユーザー向けにリファインして提供される製品であり、サイバーナビとの機能差は今やかなり縮まってきている。サイバーナビが機能全部入り版だとしたら、楽ナビは膨大なサイバーナビの機能のうち、一般ユーザー向けにエッセンスを取り出して凝縮したファインチューニングモデルである…というイメージだろうか。

 AVIC-HRZ900は、その楽ナビシリーズの中でも上位に位置する製品となる。なお、下位モデルとして、AVIC-HRZ900に搭載されているスマートループ(後述)関連の機能の一部などをカットした「AVIC-HRZ800」もラインアップされるが、これらは実質的には先代からのマイナーチェンジ相当となるため、今期購入するのであればやはり2009年モデルとしての機能全部入りのAVIC-HRZ900の方を検討したいところだ。

ワイドVGAならではの精細で見やすい画面。単純に解像度が高いだけでなく、地図描画能力、道路幅の差や記号、フォントなど、ソフト的な面でも歴然としたスペックを誇る
長距離ドライブで気が抜けないのは都市高速名物の複雑なインターチェンジ。AVIC-HDRZ900は車線変更のガイドまでしてくれるので安心。料金所ではETCレーンの案内までしてくれる。最新のETC割引サービス適用後の料金表示も行ってくれる。

 さて、今回の評価にあたってはAVIC-HRZ900をフルオプション武装したパイオニアの広報車、スバル・レガシィ(2.5i)を利用した。

 まず、AVIC-HRZ900の液晶画面は7.0V型サイズで画面解像度は800×480ドットのワイドVGAになる。メインストリームモデルだと市場にはまだQVGAクラスの製品も多いため、これはかなり贅沢。筆者の一昔のハイエンドモデルであるサイバーナビのAVIC-H07はQVGAだった。

 画面解像度が高いと、やはり道路などの描画が精細で、視認性がぐっと上がるのが大きい。高速のインターチェンジや複雑な交差点など、QVGAではドットが密集して描画内容がよく分からなくなってしまうような場所も的確に描き出してくれるのがいい。ほかにもフォントはアンチエイリアスが効いた美しいものが使われていたり、道路表示や各種記号の色・テクスチャも「見やすさ」「美しさ」を念頭にかなりブラッシュアップされている。筆者のようなQVGA時代のナビからの買い替え派は、AVIC-HRZ900の満足度はかなり高いはず。

 AVIC-HRZ900はカスタマイズ機能が充実しているのも好感触だ。
 
 AVIC-HRZ900では、本体正面下部の大きな車アイコンが描かれた「おでかけ」ボタンを押すことで出てくるナビ基本メニュー(「おでかけメニュー」)や、[AV]ボタンを押すことで出てくるAV(オーディオ&ビジュアル)関連メニューのデザインはもちろん、文字の大きさ、ルート探索アルゴリズムの基本方針設定、交差点で曲がる際の案内グラフィックスの種類などを自在にカスタマイズできるのだ。

 各機能項目ごとに個別にカスタマイズもできるが、多くのユーザーがカスタマイズしたくなる要素に絞ったウィザード「マイセットアップ」が用意されているのが、便利だし実用的だ。しかもこのウィザードは途中で終了してもそこまでの設定が生きる設計。なので、購入後、自分が使いやすくなるまで、このウィザードを何度も起動して繰り返し利用するのもアリだ。

 おでかけメニューに関しては、多くの人は全部入りを選択しそうだが、AVメニューの設定は人それぞれ個性が出そう。AMまたはFMラジオは聞かない人はそれらをメニュー項目から外せばいいし、Bluetooth対応機器も持っていない人はBT AUDIOを外すのもいいだろう。音楽はiPodオンリーで十分という人はオーディオ関係はiPod項目だけを有効にすると言う使い方もアリだろう。

 そうそう。「車両情報の設定」は、最初の一回でいいので正確に行っておきたい。「排気量」は燃費計算に、車種区分は駐車場案内やルート案内にも影響するからだ。
 
 車内のイルミネーションに統一感を求めたい人は、ボタンのバックライト色をカスタマイズできる「イルミネーションカラーの設定」にこだわるのもいいだろう。

様々な項目を一括してカスタマイズできる「マイセットアップ」。楽ナビの最初の起動時に自動で立ち上がるほか、いつでも好きなときにやり直すことが可能
リアルタイム駐車場情報や最安ガソリンスタンド検索「ガススタ価格情報」はデータ通信機能を活用して実現される。パケット通信費以外のサービス利用料金は無料。AVIC-HRZ900は通信機能を活用することでさらに高機能ぶりを発揮する!

 今回、せっかくツーリングカーとして名高いレガシィを借りたので、長距離ドライブに出かけてみることに。目的地は紅葉が美しい栃木県はいろは坂方面へ。
 
 AVIC-HRZ900のカーナビとしての基本性能のウリは、やはりその案内精度の高さとリアルタイム対応能力の高さ。カロッツェリアの楽ナビはメインストリーム製品ながらリアルタイムに道路情報を送受する「スマートループ」に対応しており、これが同クラス他社製品と比較して圧倒的な「性能差」になっているのだ。

 スマートループとは、ユーザーの実走行データを元にした道路情報共有システムのこと。特に、その時点において実際に道路を走行しているスマートループ機能対応カーナビ搭載車からのリアルタイム道路状況情報を共有する仕組みは「リアルタイムプローブ」と呼ばれ、今やスマートループを支える花形機能となっている。AVIC-HRZ900は、このスマートループ、それもリアルタイムプローブに対応したルート探索を行ったり、あるいは渋滞を回避することができるのだ。

 財団法人道路交通情報通信システムセンターが提供しているVICS(Vehicle Information and Communication System)情報とよばれる道路状況情報を取得できるカーナビは多いが、光ビーコンより取得できるVICS情報は通過したその時点から前方約30kmの道路情報まで。しかも、渋滞情報が取得されるのは光ビーコンを通過したときに限られるから、渋滞情報を取得した直後、すぐに前方が渋滞なんてこともある。対してスマートループは、車を始動させてナビが起動した直後に目的地までの広範囲な道路状況(VICS情報含む)を取得するので、走り始めた瞬間から渋滞を回避することも可能なのだ。

 ちなみにVICS情報は所要幹線道を中心に道路情報を把握し提供しているが、その総距離は7万km。日本には車両通行可能な道路が120万kmあると言われているから、VICS情報だけでは圧倒的に少ない。

道路情報はVICSとリアルタイムプローブ、蓄積された情報を総合して表示。道路ステータスは「快調」「混雑」「渋滞」の3種類で、地図上に表示されるラインの色やアイコンで判断できる
常に快適なドライブになってしまうのは、スマートループがうまく機能しているから

 スマートループは、ユーザーの経験が集積された蓄積データに加え、実際に走行中のスマートループ対応カーナビ搭載車から送信されるリアルタイム情報を元にしているため、その情報はリアルタイムであると同時に、取得できる情報のカバー率が高い。そのカバーできる道路の総距離たるやなんと70万kmに及び、VICS情報の10倍に達している。技術上はあと残りの50万kmもカバーできるのだが、住宅地内の道路やその他の理由で車両の通行に適さないと思われる道を外しているためカバー率70万kmに留めているのだそうだ。

 さて、リアルタイムプローブは、ユーザー間の情報共有システムとなるので、参加者が少なければ意味がない。この点についてはパイオニアも理解しているし、特に力を入れている部分だ。2008年には自動車メーカー、ホンダの同種サービス「インターナビ・フローティングカーデータ」のデータを共有する技術提携を開始。さらについ先日、同様に日産との提携を開始している。以上のように、パイオニアはスマートループのカバー率向上を自社製品ユーザー以外にまで求める努力をしている。リアルタイムプローブは開始されてから今年で3年。その熟成はさらに進み、信頼度も一層高まっているのだ。

 スマートループ情報を取得するためにはAVIC-HRZ900に携帯電話を接続するためのオプションや、その他の組み込み型通信モジュールのオプションが必要になる。リアルタイムプローブ利用中は、いわゆるパケット通信を行うことになるため、携帯電話を用いる場合にはその料金体系には注意が必要だ。ちなみに、今回お借りしたパイオニア広報車のレガシィには通信料定額制が利用できるウィルコム社製組み込み型通信モジュール「WS022IN」が内蔵されていたので、常時接続で利用できていた(通信関連の詳細についてはカタログやカロッツェリアのホームページを参考にして欲しいが、今回広報車が契約していたのは月額1050円固定で使い放題のプランであった)。

 今回の旅では、首都高に乗ったときに渋滞情報が取得され案内に反映されたことを確認している。光ビーコンからのVICS情報とリアルタイムプローブからの情報は透過的にルート案内に反映されるので、ドライバーはただただAVIC-HRZ900の案内に従えばいいだけだ。

 スマートループがうまく機能しているときは、普通にドライブできてしまうので、高機能を使っている時間が湧かないかもしれないが、ストレスないドライブが出来ている時こそがスマートループのおかげなんだと思うようにして高機能を噛み締めよう。

リアルタイムプローブがかなり先の渋滞を確認した模様。オートリルートを行い新ルートを提案してきた

 このご時世だから、「エコドライブ」は気になるフィーチャーだ。燃料を節約すれば、地球環境にも、もちろんお財布にも優しい。この楽ナビ AVIC-HRZ900に関して言えば、実は前述のスマートループが即、エコドライブに直結しているとも言える。

たとえば、距離は短いが渋滞で1時間かかってしまうルートと、多少走行距離は長くなるが渋滞を避けて30分で着くルートがあれば、後者のほうが結果的にはガソリン消費が少なく済む。早期から渋滞回避が行えるAVIC-HRZ900なら、今回その能力を大幅に拡大したスマートループの基本機能を活用するだけで、十分にエコドライブを実現できる。経済的で、なおかつCO2の排出量も少ない、いわば真のエコドライブを、ドライバーが意識することなく実現できるのだ。

検索したルートを渋滞予測情報を元に比較可能。しかもルート別比較と出発時間比較ができるので、いわば空間/時間の両面からルートを検討できるのだ
ゲーム感覚でエコドライブが楽しめる「エコステータス」。のちのち「エコ具合」をPC上のグラフで確認することもできる

 また、筆者が実際に使ってみて便利だと感じたのは「渋滞予測結果/比較表示結果」機能。これは、出発した時刻を変えた場合、目的地到着時間にどんな変化が現れるかを確認する機能だ。
 
 AVIC-HRZ900には日時に配慮した膨大な渋滞実績データを蓄積しており、これを元に出発時刻を変えた場合の到着時刻を予測算出してくれるのだ。

 今すぐ出発した場合と、1時間後に出発した場合とで、到着時刻が同じと算出された場合、早く出発するだけ無駄と言うことになる。この例で行けば逆に早く出発すると1時間分無駄にガソリンを使うことになり著しくエコドライブでないと言うことにもなる。

 着いた観光地から帰宅時のルート検索にこの機能を活用した場合、今帰っても1時間後に出発しても到着時間が同じならば、この観光地に1時間長居してもOKということになり、ある意味、「時間のエコ活用」が実現できると言うことにもなる。

 この機能は日時指定をして未来の日時の渋滞に配慮した到着予測時間を算出することにも対応しているので、ドライブ旅行の計画立案時にも活用できる。AVIC-HRZ900ユーザーは、出発前日、明日の天気予報を調べたら、次にその日の到着予測時刻を調べるようにしよう。

 また、AVIC-HRZ900には事前設定した排気量情報を元に算出した基準燃費走行と比較して、現在のドライブがエコに配慮したものかを評価してくれる「エコステータス」機能が搭載されている。

 エコドライブを実現できていれば出来ているほどナビ画面中央下部の「エコ指数ゲージ」が上昇していき、エコドライブを持続できていればいるほどエコドライブレベルがレベルアップしていく。また、過去の平均燃費との比較や直近状態と現在の運転との比較なども表示されるので、実質的に、AVIC-HRZ900がユーザーにリアルタイムなエコドライブ伝授もしてくれるのだ。

 AVIC-HRZ900のエコドライブ機能は、「地球のため、環境のため」と壮大な視点に立つ前に、ゲームライクなシステムになっていて楽しめるようになっている。これはお見事。

はるばる日光までやってきた。有料道では微妙にゲージが赤くなってしまった、まずい!
 
いろは坂での楽しいドライブ。峠だとつい力が入ってしまいエコゲージが下がり気味に…!?
4つのチューナーそれぞれで受信した信号を新型復調LSIで統合、圧倒的な地デジ受信感度を誇る
地デジならではの電子番組表はもちろん搭載。タッチで手軽に番組を選べる

 今やカーナビにとってルート案内機能と共に二大巨頭として重要視されるのがAV機能だ。

 据え置き型のカーナビは、その車にとってのAVセンターとしての役割を果たすことになり、いうなれば、その車内でのエンタテインメント体験はカーナビのAV機能によって決定されてしまうといってもいいくらい。

 ハイエンド機のサイバーナビのAV機能は「そこまで!?」と言うくらいの高機能ぶりがウリとなってきたわけだが、メインストリーム機の楽ナビ最新モデルのAVIC-HRZ900はどうか。

 この点について、パイオニアは他社製の競合機なども研究した上で、サイバーナビの上級機能をトップダウン式にAVIC-HRZ900に搭載している。

 まず、筆者を含めたアナログTVチューナー搭載機からの買い替え派にとって一番気になるデジタルTVチューナー機能だが、AVIC-HRZ900は先進のフロント4アンテナ×4チューナーを搭載しているため、常に安定した受信が実現される。そう、4方向全てのアンテナからの電波を受信し、最良の受信状態を維持するのだ。

 もちろん視聴できるテレビ放送はワンセグではなく、リビングに置くような薄型テレビと同じフルセグ(12セグ)。電波状態がかんばしくなく、フルセグが受信できないときにはシームレスにワンセグに切り換えてくれるし、長距離ドライブ等で放送エリアをまたいだときにも、それまで見ていた同一番組を受信するために自動的に中継局をスキャンする機能まで付いている。

 表示画質もワイドVGA液晶パネルのおかげでQVGAパネルの旧世代機と比べて圧倒的に美しい。

さまざまなAV入力に対応(接続用ケーブル等のオプションは別途必要)
iPod(iPhone)内部の曲やビデオ、プレイリストなどを楽ナビ側からブラウズ/再生可能。iTunesでドライブ向けのプレイリストを作っておいて、楽ナビで再生…といったことも簡単
iPhone内のビデオをブラウズ/再生可能

 iPod/iPhoneの接続にももちろん対応している。ユニークなのが、iPod操作をナビ側のメニューを使っても行えるということ。
 
 今回のドライブでも実際にiPhoneを接続して使用感を試してみたが、接続してしまえば完全にAVIC-HRZ900の機能の一部として使えるので違和感なし。音楽再生だけでなく、iPhone内に収録したビデオまでも透過的に再生出来てしまうのが凄い。同乗者それぞれが持ち寄ったネタビデオなんかをみんなで車内で楽しむ際、iPod/iPhoneを回し見させる必要はなく、AVIC-HRZ900の大きな画面でみんなで楽しめるのだ。

 音楽や映像などの各コンテンツを車とホータブル機器とで分散させてしまうことがきらいなデジタル潔癖症なユーザーは、コンテンツ管理はiPod/iPhoneオンリーで行い、再生環境としてAVIC-HRZ900を活用する…という使い方もアリだろう。

 なお、Bluetoothユニット「ND-BT10」を利用すれば、AVIC-HRZ900とBluetooth対応の携帯電話、ポータブルオーディオ機器と無線接続して、それらに収録させた楽曲データを楽しむことも出来る。iPod/iPhoneユーザーでない場合はこちらを利用しよう。Bluetooth接続させた携帯電話はオーディオコンテンツを再生させるだけでなく、ハンズフリー通話をする場合にも利用できる。

 もちろん、AVIC-HRZ900自身のAV機能も充実している。
 
 まず、サイバーナビ直系のミュージックサーバー機能はAVIC-HRZ900でも搭載されている。一度再生したCDはAVCI-HRZ900側に自動的に4倍速録音されるため、次回以降はそのCDなしでCD収録楽曲が楽しめるようになる。AVIC-HRZ900のハードディスク容量は40GBと大きいこともあって、ストック可能な楽曲数はCDアルバム換算でおよそ約300枚分相当。車通勤をしているユーザーは、このミュージックサーバー機能を活用して、自身のメイン音楽ライブラリをAVIC-HRZ900に構築していくのもいいだろう。

機能として地味だが、お世話になる頻度が高そうな「サイレントガイド」モード。オン/オフも簡単なので活用すべし
いろは坂を越えて、目的地である中禅寺湖に到着。名物「ひめます」を調理したヒメマス定食を頂いた
日帰りドライブのため、軽く散歩したあとはとんぼ返り。もちろん帰りのルートは、予測検索でもっとも早く、エコなルートを選ぶことができた

 自宅周辺に近づき、ナビの案内が不要となったタイミングで、あらかじめ教わっていたAVIC-HRZ900に新搭載の「サイレントガイド」機能を試す。

 これは音声ガイドをカットし、画面上のルート案内だけにした上で、到着時間、経過時間、エコステータス表示を大きく画面に表示する、いわば簡易ナビモードだ。 機能としては、地味だが、実はカーナビでありそうでなかった機能。

 自宅周辺の半径数km〜10kmは、走り慣れているために、音声ガイドはむしろ邪魔。走り慣れているところだからこそ、音楽を楽しみたいし、家族や恋人とのドライブならば会話に集中したい。こんな時にこそ、このサイレントガイド機能を活用したい。

 なお、サイレントガイド機能は(デフォルト状態ならば)AVIC-HRZ900下段左側の[C]ボタンを長押しすることでオン/オフが簡単に切り換えられる。会話中や音楽鑑賞中に音声ガイドが邪魔だな、と感じたらこの操作をするといい。

 さて、一通りのドライブを終えて、埼玉の自宅に帰宅したわけだが、メインストリーム機とは言え、さすが最新型の楽ナビ。機能面において、筆者が愛用していた旧世代サイバーナビを予想以上に超えていて驚かされた。

 ナビの基本機能の部分ではやはり、スマートループ対応の渋滞考慮ルート案内がとにかくうらやましかった。これは旧世代機がどんなに背伸びしても獲得できない機能である。もちろん他社製ナビも同様だ。ここはAVIC-HRZ900のかなり強い訴求力になっていると感じる。

 あと、画面解像度が上がって表示が美しいところも単純にうらやましかった。地図表示がきめ細かいのはもちろんのこと、テレビ映像も安定して美しいのがいい。美しい高解像画面と安定したデジタルチューナー、ここもアナログチューナー搭載の旧世代機が背伸びしても獲得できない部分だけに、AVIC-HRZ900の強い魅力となっていると思う。

 筆者がサイバーナビを買ったばかりの頃は、ミュージックサーバー機能はサイバーナビだけの特権的機能だったのだが、今や楽ナビに搭載され、しかもAVIC-HRZ900の方が筆者の旧世代サイバーナビのものを遙かに上回ってしまっているのもショックであった。

 AVIC-HRZ900のミュージックサーバー関連機能で、ヘビーPCユーザーの筆者が特に「すごい」と感じたのは、パソコン側で構築したWMA/MP3音楽ライブラリーをUSBメモリ経由でAVIC-HRZ900にクローン作成することができ、さらにはDVDに焼いたDivXビデオまでが再生出来るところ。PC上に音楽ライブラリやビデオライブラリーを構築している人は、AVIC-HRZ900を買った直後から、車内で充実のAVエンタテインメントが楽しめるということなのだ。

 AVIC-HRZ900のキャッチコピーは「史上最"楽"」だそうだが、この名前、伊達じゃない。

(トライゼット西川善司)

■ carrozzeria | カロッツェリア
http://carrozzeria.jp/

パイオニア、カロッツェリア HDD楽ナビ4機種 - エコドライブ支援機能を装備し、カスタマイズ性を強化(Car Watch)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20091001_318735.html

パイオニア、地デジ対応の7型HDDナビ「HDD楽ナビ」新製品 -40GB搭載4モデル。SD/USB再生対応の「楽ナビLite」も(AV Watch)
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20091001_318775.html