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50V型は家庭で見ると特に大きく見える。左右両端には標準付属のスピーカーが同梱。 |
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ディスプレイ部の奥行きはわずか92mm。壁掛け取り付け金具「PDK-WM05」を装着時でもわずか124mm。壁掛け設置でも奥行きは最低限だ。 |
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メディアレシーバ本体。大きさ的にはDVDレコーダくらい。ディスプレイ部とは3mの専用ケーブルで結ばれる。 |
PDP-506HDの表示面積は縦109.8mm×横62.1mm。横幅1m長は確かに大きい。筆者宅に評価機を設置してみての第一印象も「50V型のPDPは店頭で見るよりも体感上、実寸以上に大きく思える」というものであった。筆者はプライベートでは37V型の液晶テレビを所有しているが、これと比べると50V型の大きさにはやはり圧倒されてしまう。
さて、今回紹介するPDP-506HDに限らず、パイオニア・プラズマTV製品の実際の設置導入の際には、ある程度「どういうスタイルで設置するか」という点を自分でクリアしておく必要がある。フラットテレビ製品の多くは、標準的なチルトスタンドを同梱した製品が多いが、パイオニアのプラズマTV製品では標準付属はされておらず、ユーザーの設置スタイルに適合した設置スタンドを別売りオプションとして買い求める必要があるのだ。これは、ユーザー本意の設置スタイルに対応するという狙いと、余計なスタンドを付属させてコスト高になることを抑えるという配慮によるもの。
一般的な背の低いAVラックや手持ちのテレビ台の上に設置するのであれば、標準スタンド的な「PDK-TS12」(税込み希望小売価格26,250円)がいいだろう。「この際だからテレビ台の導入も一緒に」という人には、逆にPDK-TS12は背が低すぎるので、棚板二段付きでAV機器を二基置けるスタンド「PDK-FS05」(税込み希望小売価格94,500円)、棚板三段付きスタンド「PDK-R01-M」(税込み希望小売価格55,650円)の方がお勧めだ。壁掛け設置にも対応しており、その際には「PDK-WM05」(税込み希望小売価格36,750円)を利用するといい。ただし、付属スピーカ取り付け時のPDP-506HDの総重量は約36kgとなりかなり重くなるため、壁側の補強は絶対的に必要になる。
重さの話が出たのでついでに触れておくと、さすがに本体重量36kg(スピーカ含む)、しかも横幅が1m超という大きさなので一人で二階へ運搬するのは男性でも無理。設置台PDK-TS12の組み立て時にも、ディスプレイ部を抱えて上から設置台に串刺しする工程があるのだが、これも一人で行うのは簡単ではない。正直、設置時には一人ヘルパーがいた方がいい。
設置寸法はスピーカを左右設置時に横約1.4m、縦約72cm、奥行きは標準的なスタンドであるPDK-TS12組み合わせ時で幅約58cm×奥行き約38cmとなる。寸法的には組み合わせられるテレビ台はブラウン管25インチサイズ対応程度でOK(大部画面が左右に突き出した格好にはなるが)。また、部屋のコーナー置きにおいても29〜32インチが置けていたのならば、ほぼ同等の専有面積で設置が可能。まぁ、横幅が1.4mにもなるので実際にコーナー設置すると部屋の角はデッドスペースとなるので省スペース性を最優先させるのであれば壁寄せ設置の方が有効であることは間違いないのだが。
標準的なスタンド「PDK-TS12」の使用感だが、重さも面積も最適化されており、安定感があって良好。左右の±10°のスイーベル機構が付いており、片手で向きを変えられるほど軽い。上下のチルト機構は±2度まで対応。なお、50V型ともなると重量があるため、チルト機構はネジ締めによる固定式機構になっている。
さて、プラズマTVというと、心配されるのがその消費電力。この点においてパイオニアの今世代製品は、技術革新と駆動回路の最適化により、PDP-506HDの定格消費電力値は他社製40V型クラスのプラズマTV相当にまで抑えることに成功。弟分のPDP-436シリーズに至っては他社製37V型液晶TV以下に抑えることを達成している。「プラズマTVは電気喰い」という公式はもう改めるときが来た。
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PDP-506HDは映像を表示するプラズマパネル自身であるディスプレイ部と「メディアレシーバー」と呼ばれるデジタルチューナー兼インターフェースボックスと分かれた、いわゆるセパレートタイプの製品だ。メディアレシーバとディスプレイ部はシステムケーブルと呼ばれる専用ケーブルで接続される形態を取っており、メディアレシーバをディスプレイ部から離して接続することも可能だ。
システムケーブルの長さは3mもあるので、設置の自由度はけっこう高い。リモコン受光部はディスプレイ部の方に実装されているので、極端な話、メディアレシーバを部屋の背面や側面に設置してしまっても、ちゃんとリモコン操作にも反応できる。既に大がかりなAVシステムを組んでいても、PDP-506HDの導入で部屋のレイアウトの変更を要求されることはないわけだ。
外部AV機器との接続はメディアレシーバ側の接続端子パネルを利用して行うことになる。
外部ビデオ入力として用意されているのは前面1系統、後面3系統の合計4系統。全てのビデオ入力系統にはコンポジットビデオ入力、S2ビデオ入力があり、背面3系統のうち2系統にD4入力がある。RCAピンプラグタイプのコンポーネントビデオ入力端子はなく、日本市場に特化したD4入力二系統という対応スタイルになっているようだ。
今年のAV関連の重要キーワードであるHDMI入力も1系統を装備。最新HDMI対応DVDプレイヤーと接続すれば民生向けとしては最高画質が得られることになり、さらに次世代DVD機器(HD DVD,BD)との高画質接続も約束される。
PC入力端子は前面にあるDSub15ピンによるアナログRGB入力に対応。デジタルRGB接続用のDVI端子は実装しない。映像だけでなくPCの音声も入力可能でこれは前面のビデオ入力端子と兼用利用となっている。PCでゲームをしたり映像を楽しんだりする人にとっては有効利用できそうな機能だ。
アンテナ入力はアナログ地上波、デジタル地上波、BS/110°CSデジタル用の計3系統。当然のことだが、製品セットにはアンテナ自体やアンテナケーブルは同梱してこないので別途市販品を用意する必要がある。
オーディオ機器メーカーのパイオニア製らしい接続端子も目立つ。
1つはサブウーファ接続用のモノラルRCAピンプラグ。外付けのアンプ内蔵型サブウーファユニットを接続すれば、より迫力ある重低音がたのしめるようになるのだ。
そしてもう一つはデジタル放送のMPEG2-AACによる5.1CHサラウンド放送の音声を出力するための光デジタル出力端子。すでに市販のAVアンプを中核とした5.1CHサラウンドサウンドのホームシアターシステムを構築していれば、この端子とAVアンプを接続するだけで、そのシステムでデジタル放送をサラウンドサウンドで楽しめるようになる。
3つ目はSRシステム端子だ。これはパイオニア製のAVアンプ製品やDVDレコーダなどと接続することで、入力切り替え操作などにおいてそうした外部機器との連動動作を実現するものだ。さりげないものだがパイオニア機器ユーザーにとっては強い味方となることだろう。
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ディスプレイ部背面側の接続端子はスピーカー接続コネクタとシステムケーブル接続用コネクタ×2のみ、と意外とシンプル。 |
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PCカードスロットも装備でデジカメ写真の閲覧が可能。PC入力も前面側にレイアウトされる。 |
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PCカードスロットにデジカメ写真入りのメモリカードを挿入すればこのようにPDP-506HDにて閲覧が可能となる。 |
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有料放送を見るための電話回線端子、デジタル放送のインターネット連動機能に対応したLAN端子(10/100Mbps)、デジタル放送録画機接続用のIEEE1394(iLink)端子も完備。死角はない。 |
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リモコンは標準リモコンと簡単リモコンの2タイプが標準付属する。標準リモコンの方はPDP-506HDの機能の全てにアクセス、操作可能なもの。これに対して簡単リモコンはチャンネル操作、音量操作に特化した最低限の機能を集約したもので、小さく軽く普段の使用に適したデザインになっている。なお、ここからは、PDP-506HDをフル活用するのに不可欠な標準リモコンに着目しながら、PDP-506HDの操作性を見ていくことにする。
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左が基本機能操作ボタンだけを実装した「簡単リモコン」。右が全ての機能へのアクセスが可能な「標準リモコン」。 |
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その背面。標準リモコンの窪みは3つ。こりは手を表面のチャンネル切り替えボタンや十字キーに持っていかせるため。 |
最上部にあるリモコンの電源ボタンを押してから、実際にデジタル地上波放送の映像が表示されるまで約4.0秒(実測)。最近の一般的なフラットテレビ製品と比較するとかなり高速な部類だ。
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メニュー画面トップ |
リモコン最上段にある[1]〜[4]のボタンは映像表示をメディアレシーバに接続された外部AV機器へ切り替えもの。順送りでなく、1〜4の各入力系統にダイレクトに切り替えができる操作系は直観的で小気味よい。地上波デジタル→ビデオ3(D4)の切り替えの所要時間も約1.7秒(実測)となかなかの早さ。
この下にはチャンネル切り替えや音量調整の操作ボタンが並ぶ。この操作ボタン群の丁度裏側には持ったときに握りやすいようにくぼみが設けられており、これに沿って手を添えるとちょうど、このチャンネル操作/音量調整ボタンエリアに親指が来るようになっている。アナログ地上波放送のチャンネル切り替え所要時間は約0.5秒(実測)、デジタル放送では約2.0秒(実測)と早さは標準的でストレスはない。
その下には各種メニュー操作用の十字キーがレイアウトされている。やはりこの裏にもくぼみがあり、このくぼみに沿って手を添えるとこの十字キーに親指が来るようになっている。なかなか人間工学的なデザインになっているようだ。
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左から「画質の設定」「音質の設定」「省エネの設定」「おやすみタイマー」「その他の設定」「初期設定」のメニュー。 |
リモコン下部には細かい機能操作ボタンが立ち並ぶ。
[(●)]ボタンは、最近ではカーオーディオにも採用が目立つSRS社のサラウンド技術の機能設定ボタン。PDP-506HDにはSRS社独自の立体音響復調技術「SRS」と低音強調技術「TruBass」、音声の輪郭をクリアにする技術「FOCUS」が搭載されており、これら3つの有効無効を任意に設定できる。実際に試用した感じでは、特にFOCUSの使い勝手がよい。テレビの音量をそれほど引き上げなくても音声が聞き取りやすくなるため、普段のテレビ視聴にはもってこいなのだ。
[画質・音質]ボタンは、画調モードの切り替えを行うもの。順送り式に切り替わる方式で、切り替え所要時間は約1.1秒(実測)とストレスを感じない程度に高速。
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「音質の調整」メニューでSRS関連機能の設定が可能。 |
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[画面サイズ]ボタンは表示アスペクトを切り替えるもの。用意されているアスペクトモードは以下の7つ。
【ワイド】
4:3映像では周辺を伸張して16:9パネルにフル表示する。デジタル放送などの16:9画面では表示映像中の黒帯領域を隠すようにパネル全域に表示する。
【4:3】
4:3映像をアスペクト比を維持したままそのまま表示する。左右には未表示領域の黒帯ができる。なお、4:3映像を見続けると、この黒帯領域と映像表示領域とで経年劣化の差が現れ色味が変わってきてしまう(いわゆる焼き付き)。これを防止するためにPDP-506HDには「サイドマスクの設定」メニューで「明るさ自動」とすることで、この黒帯表示をキャンセルすることができる。黒帯表示をキャンセルするとこの領域には表示映像の一部が白黒で反復表示されることになり見た目が騒がしくなるが、長寿命化に貢献する。PDP-506HDユーザとなった場合には要チェックな機能といえよう。
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デフォルト状態の「明るさ固定」では左右の未表示領域は灰色の縦帯でマスクされる。 |
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「明るさ自動」とすると左右に映像が反復表示されるようになり、長寿命と焼き付き防止に貢献する。 |
【フル】
4:3映像の横幅を拡大しパネル全域に表示する。
なお、デジタル放送表示時にはフル1とフル2というバリエーションが存在する。フル1は16:9映像をアスペクト比を維持してパネル全域に表示するもの、フル2は画面上部に黒帯が出たときに利用するもの。通常はフル1を活用する。フル1が適切なケースでフル2を利用してしまうと表示が微妙に縦長になってしまう点には注意。
【ズーム】
4:3映像にシネスコサイズ(2.35:1)が記録されたものをパネル全域に最適に表示する。レガシービデオソース向けのモード。
【シネマ】
4:3映像にビスタサイズ(1.85:1)が記録されたものをパネル全域に最適に表示する。こちらもレガシービデオソース向けのモード。
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他メーカー製にはない、レーザーディスクなどのレガシービデオソースの映画視聴に適したモードが用意されているのは、さすがパイオニアといったところか。
なお、アスペクト比切り替え所要時間は約1.0秒(実測)。本機をビデオモニタ的に活用するシーンだと使用頻度が高くなるだけに、この素早さは操作感に好印象を与えてくれる。
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節電動作設定は長寿命化にも貢献する。 |
[消費電力]ボタンはPDP-506HDの節電動作設定を行うもの。「標準」は節電動作をしない設定で、「省エネ1」は輝度低下を抑えめにした節電動作モード、「省エネ2」は輝度低下を積極的に行う節電動作モードだ。「省エネ2」はやりすぎ感はあるが、「省エネ1」は部屋を暗くすれば違和感なく見ることができる。長寿命にこだわるユーザーは是非活用すべし。
リモコン最下段の4つのボタンは2画面表示機能に関係したものだ。[2画面]ボタンはPDP-506HDに搭載された2画面同時表示機能を起動するもの。PDP-506HDの2画面同時表示機能は同列表示(PsidePモード)と親子画面表示(PinPモード)の両方に対応しており、[2画面]ボタンを再度押すことで表示スタイルを切り替えることができる。[画面入替]ボタンは左右や親子関係を入れ替える操作を行うもの、[子画面位置]は親子画面表示時に子画面の表示位置を画面のどの四隅に配置するかを指定ものだ。なお、同列表示時に限り、[画面サイズ]ボタンを押すと片方の表示を大きくすることができる(親子画面表示では子画面のサイズの変更はできない)。
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親子画面モードでの2画面表示。PC画面を表示しながらのデジタル放送視聴などももちろん可能。 |
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子画面側は任意の四隅位置に移動可能。 |
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同列表示モードでの2画面表示。
左右は随時入れ替え可能。 |
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同列表示モードでは画面サイズの変更が可能。
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静止画面モードの様子。画面右が静止させた画面。左側では引き続きリアルタイム表示が続行される。 |
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作り込んだ画調パラメータは各入力ごとにAVメモリーに保存可能。 |
[静止]ボタンは表示画面を一時停止させる、最近のテレビにはよく搭載されている機能だが、ユニークなのは静止画面を右に配置した2画面同列表示となるところ。左画面では引き続きリアルタイム放送が表示され続けるので、止めた画面から料理のレシピや懸賞応募先のメモを取っている間にも、番組の内容チェックができるのだ。これは、なかなかのアイディア機能だと言える。
上級ユーザーや調整マニアのために、画質調整機能に付いても触れておこう。
ユーザーが調整できる画調パラメータは「コントラスト」「明るさ」「色の濃さ」「色あい」「シャープネス」といった一般的なもので、「ダイナミック」を除く全てのプリセット画調モードに対しても調整が行えるようになっている。調整が行われたプリセット画調モードはテレビ視聴、全ビデオ入力において影響を及ぼすが、「初期状態に戻す」を実行することでプリセットに戻すことは可能だ。また、画調モード「AVメモリー」ではプリセット画調モードの「標準」をベースにしてオリジナルの設定を作り込むことができ、これは各入力系統ごとに別々の調整を記録させておくことができる。
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パイオニアのプラズマTVの型番の一桁目の数字はパネル世代を表しているのは有名な話だ。従ってPDP-506HDのプラズマパネル(PDP)は、6世代目のパネル…ということになる。毎年世代が上がるたびに新技術が盛り込まれてきたわけだが、果たして今世代のパネルにはどういう特徴があるのだろうか。
今世代のパネルについて語る上で最大のトピックと言えるのが3年の開発期間を要して生まれた「高純度クリスタル層」(クリスタルエミッシブレイヤー)だろう。
これはパネル前面内側のもっとも画素セルに近い層に組み込まれた薄膜層で、画素セル内の放電速度を通常の3倍に高める効果をもたらす。これにより発光効率にして22%の向上と暗部輝度の大幅低減を達成。その結果、実効4,000:1という、通常の液晶方式では困難な超ハイコントラスト映像の表現を実現させたとのこと。
実際に映像を見てみるとこのスペック値が伊達でないことはよく分かる。あらゆるディスプレイ機器において黒の表現力とは最明部と最暗部との対比度合いによって印象が決まるわけだが、PDP-506HDは明部のダイナミックレンジが非常に高く、それでいて暗部の沈み込みがピクセル単位で鋭いため、映像が非常に立体感を伴って見えるのである。ピクセル単位の沈み込みの鋭さはアニメなどの輪郭線表現にも相性がよく、フレーム単位で生の絵を見ているような錯覚すら覚えるほど。
先代から採用された「ダイレクトカラーフィルタ構造」もさらに進化。これは表示面側のガラス基板上に文字通りダイレクトにカラーフィルタを形成させる技術で、表示面側の層を薄くシンプルにできることから外光からの反射を低減でき、加えて他画素セルへの光散乱を抑えられるメリットがある。さらに画素セルを"個室"化し、その奥行きを深めたパイオニアの伝家の宝刀「ディープワッフル構造リブ」との相乗効果で、6世代目のパネルの画素は1個1個が非常にクリスピーに見えていることに気が付く。実際の映像の見た目としては、解像感が向上したような印象を与え、特に映像の輪郭にフォーカスが向上したような印象が持てるのだ。なお、こうした数多くの新技術の組み合わせによって生まれた第6世代のパネルには「P.U.R.E. BLACK PANEL」(P.U.R.E.:Plasma Ultimate Reference Exclusive)という名称が付けられている。
色深度は深めで、発色の傾向は派手さを抑えた自然派志向。純色表現では緑に強力なパワーを、青には深みを感じる。肌色には赤みがもう少し欲しいが、これは後述する調整で引き出せるので不満はない。全体としてみればプラズマTVの発色としては最新世代らしい高い次元でまとめられているのが確認できた。
階調表現は暗部から明部までがリニアに決まっており、特に時間積分型の階調表現となるプラズマ方式にとっては不得意なはずの暗部階調のリニアリティが素晴らしい。薄明かりの中での黒い背広や茶色のセーターといった、非常に暗めになる陰影においてもディザリングノイズはほとんど知覚されず、これらが動いても二次輪郭も感じない。液晶方式の独壇場だった暗部グラデーションのリニアリティ性能において、6世代目パネルは拮抗した競争力を携えたと感じる。
パネル解像度は今回評価したPDP-506HDでは1280x768ドットで、つまり画素数の横:縦比率は15:9となっている。ただし表示面はちゃんと16:9となっており、このため横長の長方画素系になっている。なお、補足しておくと、パイオニア製のPDP製品では61V型のPDP-615PROのみが現時点では唯一の正方画素系の1365×768ドットを採用した製品となっている。
プリセットの画調モードは「標準」「ダイナミック」、「映画」、「ゲーム」の3種類。これらそれぞれのインプレッションを述べておこう。
【標準】
コントラスト、ホワイトバランス、発色の傾向などが非常に均整の取れた形で調整されており、普段はこれで常用していればOK。ある意味、他のモードの必要性を感じないほど。 |
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【ダイナミック】
明部をより明るく、暗部をより暗くし、コントラストを極端に設定したモード。シャープネスが強くなりざらつき感が強くなる。古いアナログビデオソースを楽しむ際には役立つかもしれないが、常用する必要性は感じない。 |
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【映画】
輝度をやや控えめに色温度も下げ、暗部階調の表現を見やすくしたモード。暗部から明部への輝度バランスが平均化されコントラストが下がり全体的に立体感は乏しくなる。DVDソフトのようなデジタル映像素材であれば、このモードではなく「標準」で見た方がよいかもしれない。 |
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【ゲーム】
「長時間視聴に配慮した」ということで、「映画」よりもさらに明部の輝度を控えめにしたモード。 |
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ここからは、PDP-506HDに搭載された各種高画質化ロジックの簡単な機能紹介と実際に筆者がじっくりと使ってみてのインプレッションを述べるとしよう。
【ピュアシネマ】
映画DVDなどの毎秒24fps(コマ)記録された映像を3-2プルダウン処理で60fps化して表示するか(標準)、3-2プルダウン処理を行わずフレームレートを上げて72fps化して表示するか(アドバンス)を設定できる。DVD映画ソフトなどにおいて、ゆっくりと映像がスクロール(パン)するようなシーンでは体感上アドバンスの方がスムーズに見える。
【CTI (Color Transient Improvement) 】
色境界を鮮明にする機能で、色の滲み出しを低減する効果がある。アナログ放送やアナログビデオなどのアナログソースには効果的だが、デジタル放送やDVDなどのデジタルソースでは逆効果の場合があることが確認できたので、必要に応じてオン/オフした方がよい
【DNR (Digital Noise Reduction) 】
フレーム相関適応型のノイズフィルタで、映像全体に見える高周波のザワザワしたざらつきをアグレッシブに低減する。これもアナログソースには効果的だがデジタルソースでは色ディテールが失われることがあるので、闇雲に使うべきではない。デジタルソースでは「弱」設定かオフにすべき。アナログソースでは「中」以上に設定することでフレーム単位で落ち着いた画が得られることを確認。
【MPEG NR (MPEG Noise Reduction) 】
デジタル放送やDVDなどのMPEG映像において発生する、湯気が立ちこめているように見えるMPEG映像特有のモスキートノイズを低減する機能。実際に使ってみるとその効果が大きいことを実感できるが「強」設定では色ディテールが死に気味になる。現実的には「中」か「弱」設定が無難だ。アナログソースでは効果が出にくく逆効果の局面もあるのでオフが望ましいようだ。
【ダイナミックコントラスト】
映像そのものに含まれる階調表現を、PDP-506HDの持つ表現域に最適に適合させて再構成する。結果的に、色ディテールが知覚されやすくなる効果が得られ、映像信号に含まれる情報を余すことなく知覚することができるようになる。単なる階調ブーストとは違うのでPDP-506HDのポテンシャルを使い切る意味合いでも是非ともオンにしたい。ただし「強」設定は本当に強すぎで、常用するならば「弱」か「中」がいい。
【黒伸張】
暗部を意識的に沈み込ませて立体感を強調する。ダイナミックコントラストの効果がわかりにくくなるのと、6世代目パネルが十分な黒色性能が出ていることから個人的には普段はオフでいいと思う。
【ACL (Automatic Contrast Limitter) 】
表示フレーム内に含まれる輝度レンジを判断しリアルタイムにコントラストを制御する機能。
人間の視覚でも、暗いところは最初見えにくくてもだんだんと目が慣れて見えてくるわけだが、ACLはそうした眼球の瞳が行う動的な露出補正的な動作をする。
一定割合で明暗をブーストするのではなく、そのフレームごとに調整されるので、時間積分的に輝度ダイナミックレンジが広がったような見え方をする。
画質云々よりも臨場感に直結するのでオンにしておくと映画などはより楽しめるはずだ。
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続いて映像ソースごとのインプレッションを行ってみた。
【DVDビデオ (DENON DVD-2910,480pのHDMI接続) 】
コンポーネントビデオ接続とはひと味もふた味も違う、パリっとした、いかにもデジタル、といった風情の画作りで、これを見てしまうともうHDMI接続以外ではDVDを見たくなくなってしまうかも。DVDはいうまでもなくデジタル表現系、実際のところ、プラズマTVの画素発光原理も時間積分的なデジタル表現系。これまでは、デジタルのDVD映像をプレイヤー側で一度アナログのコンポーネントビデオに変換して伝送し、プラズマTV側で再びデジタルに戻すというロッシーなメソッドしかなかったわけだが、HDMIの台頭により、この伝送経路までがデジタルとなった。HDMI活用の効果は大きく、これをいち早く搭載しているPDP-506HDの価値もまた大きい。なお、HDMI再生では音声もHDMIケーブルに伝送されるわけだが、PDP-506HDでは、この音声の再生にも対応していたことを確認できた。
なお、DVD視聴に筆者の納得のいく最適なプリセット画調モードがなかったので以下のようにな調整に追い込んでAVメモリーに設定して視聴した。参考にして欲しい。
□
コントラスト=43、明るさ=0、色の濃さ=+10、色あい=0、シャープネス=0
□ ピュアシネマ→アドバンス
□ 色温度→中、CTI=しない、
□ DNR=弱い、MPEG NR-弱い
□ ダイナミックコントラスト=中、黒伸張=しない、ACL=する、ガンマ=2
□ IP変換=任意
【アナログ地上波放送】
今世代の映像エンジン「P.U.R.E.DriveII」が優秀なせいか、固定画素系に表示しているSD(標準解像度:480i/p)映像とは思えないほど、解像力に溢れている。アナログ地上波放送特有の高周波ノイズもDNRを有効化することで面白いように消え、フレーム単位で美しい映像となっている。縦縞模様や画数の多い漢字テロップの表示時にもクロスカラーなどはうまく低減できている。
【デジタル放送】
1920x1080ドットの約200万画素のフルハイビジョン映像がPDP-506HDでは1280x768ドットの100万画素パネルに圧縮表示されることになるのだが、これまたP.U.R.E.DriveIIの恩恵なのだろう、表示品質はかなり高い。
旅紀行番組を見ていて猫が大写しのシーンに遭遇したが、毛皮の毛並みや髭の質感が分かるほどで、浅い角度の斜め線にもジャギーやぼやけが見あたらない。内部反射を抑えたパネル構造による画素のぼやけが少ないためなのだろう、長方画素や解像度変換のハンデがほとんど感じられないほどに解像力がある。
MPEG NRの効果も大きく、エッジ付近で立ちこめるモスキートノイズも上手く押さえ込めている。
【ゲーム (Playstation2,コンポーネントビデオ接続) 】
画面全体が縦横無尽に動く激しいアクションゲームやレーシングゲームでも残像は一切感じられない。
Playstation2から出力されるインタレース映像のプログレッシブ化も上質だ。
【PC (アナログRGB接続) 】
DSub15ピン端子にアナログRGB接続してみたところ以下の解像度の表示に対応していることが分かった。
640×480ドット ○
800×600ドット ○
1,024×768ドット ○
1,280×720ドット ◎(アスペクト比維持)
1,280×768ドット ◎(解像度維持)
PDP-506HDは前述したように長方画素系のため、パネル解像度の1280x768ドットにて入力を行うと6%ほど横長に映る。ただし、パネル解像度と表示解像度が一致するため、表示は最もくっきりとする。
アスペクト比維持を重んじるホームシアターPC用途の活用であれば、正しいアスペクト比で表示される1280×720ドットモードを選んだ方がよい。
HDMI端子に、市販のHDMI→DVI変換アダプタを組み合わせてPCと強引にデジタルRGB接続を試してみたところ、いちおう、画面表示を行うことはできた。ただし、LN26R51BのHDMI入力はビデオ表示専用のチューニングがなされている関係で、オーバースキャンされてしまい、デスクトップ画面の最外周はクリップアウトされてしまっていた(Windows画面のタスクバーなどが表示されなくなってしまう)。PCとの接続には素直にアナログRGB接続を使った方がよさそうだ。
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フラットTV製品はプラズマTV一本に絞り込んでいるパイオニアの最新世代製品というだけあり、プラズマTVの画質としてはトップクラスにまとめられている。実際に実機を自宅に持ち込んでの集中評価の末、身をもって体感することができた。
画素が自発光する方式であるプラズマは、やはり生まれながらにして、日本の蛍光灯照明下の明るいリビングルームと相性がよいということも改めて実感する。室内の明るさによらず、常にハイダイナミックレンジ&ハイコントラストな映像体験が保証されるというのはプラズマ・エクスクルーシブな特長だ。この特性においてはまだまだプラズマに一日の長がある。
そして、長らく問題となっていた消費電力の問題も、今世代の技術的ブレークスルーにより、同サイズ液晶TVよりも少なくすることを実現してしまった。これからは「プラズマ=電気喰い」というイメージが払拭され、一般家庭においても気兼ねなく導入に踏み切れることだろう。
なお、本文ではあまり深く触れていないが、さすがは総合オーディオビジュアルメーカーでもあるパイオニアだけあり、PDP-506HDは音もいい。新開発の長方型スピーカーユニットを採用した2WAYのバスレフ式デザインとなっており、筆者は特に中音域のフラット特性が心地よいと感じた。人間の声が非常に聞き取りやすいため、PDP-506HDを中核にしたホームシアター構築を考えているならば、このPDP-506HDのスピーカをセンタースピーカとして併用してしまうのも面白いかもしれない。
□パイオニアのホームページ
http://www.pioneer.co.jp/
□製品情報
http://www.pioneer.co.jp/pdp/
□ニュースリリース
http://www.pioneer.co.jp/press/release497-j.html
□関連記事
【7月21日】パイオニア、“深遠な黒”を再現可能なPDP「新ピュアビジョン」
−“究極のXGAパネル”を搭載。「われわれはプラズマ一本でいく」
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050721/pioneer.htm
【7月21日】パイオニア、スピーカー内蔵のプラズマテレビ用ラック
−専用ワイヤレススピーカーシステムも発売
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050721/pioneer2.htm
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(トライゼット西川善司) |
= 西川善司 = |
遊びに行った先の友人宅のテレビですら調整し始めるほどの真性の大画面マニア。映画DVDのタイトル所持数は500を超えるほどの映画マニアでもある。
本誌ではInternational CES 2005をレポート。渡米のたびに米国盤DVDを大量に買い込むことが習慣化している。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。
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