2010年2月9日に行われた新型VIERA/DIGAの発表会に出撃。この発表会、AV関連に興味を持つ人々が超注目していたものだ。てのは、いよいよパナソニックから世界初の家庭用3D映像システムが登場するかも!? という期待からである。
|
|
|
VIERAの発表会に潜入! 発表されるブツは当然アレでしょうCES2010で出ていたアレでしょう?と期待が高まりまくり
|
やっぱりきた、きました!! 3D対応 VIERA/DIGA!!
|
そして、結果、出ました3D映像対応のVIERA!! そしてBlu-ray 3Dディスクの再生に対応したDIGA!! ついにお茶の間に3D映像がキたんですよ!!
パナソニックの3D映像関連技術/機器は、たとえば過去に開催されたCEATEC JAPANなどでは大注目されていた。比較的にコンパクトと言える3Dプラズマ・シアターシステムを実際に体験できたり、BDプレーヤーから3D映像を再生できたり、立体映像が非常に身近なものに感じられた。
加えて最近の3Dコンテンツの増加。たとえば映画館が続々と3D上映に対応したり、ハリウッド方面の映画スタジオは3D映画の製作をどんどん進めている。大ヒット映画「アバター」なんかもそのひとつですな。
こんな3D映像の流れを見ていると、「あぁ時代は徐々に3D映像に移行するんだなぁ」と感じる。とは言っても、ぶっちゃけ、映画館で3D映画が見られるとか、イベントなどで3D映像が増えるといった程度だと想像していた。オウチのテレビが3D、なんて時代はまだちょいと先だろう、と考えていた。
しかし!! もうキちゃったんである!! 2010年代に入ったばかりなのに、もう家庭用3D映像システムが登場。そしてもうすぐ市販される。ヤバい、ってかスゴい!! これはコーフンものである。てなわけで、以降、拙者が体験した“世界初の3D対応テレビとレコーダー”の印象などをビシバシと綴ってみたい。
今回発表されたのは、プラズマVIERAが5機種、液晶VIERAが3機種、ブルーレイDIGAが3機種、それから1機種のブルーレイディスクプレーヤーとラック/ワイヤレスシアター関連製品だ。
これら機種のうち3D対応製品は、プラズマVIERAのTH-P54VT2(54型)とTH-P50VT2(50型)、3機種のブルーレイDIGA(DMR-BWT3000/DMR-BWT2000/DMR-BWT1000)、そしてブルーレイディスクプレーヤーのDMP-BDT900となる。ちなみに、これら3D対応のVIERA/DIGAの発売日は2010年4月23日。
なお、当然と言えば当然だが、これら3D対応機種は、3D映像の再生も従来の2D映像の再生も行える。いつもはフツーのハイビジョンテレビ&ブルーレイレコーダーとして使い、3Dコンテンツ(たとえばBlu-ray 3Dディスク)再生時には立体映像再生システムとして楽しめるってわけですな。
3D映像を視聴する場合は、付属の3Dグラスをかける。立体映像視聴用メガネですな。3D対応VIERA/DIGAの立体映像再生にはフレームシーケンシャル方式(後述)が採用されている。
で、この専用3Dグラス、予想を一蹴するかけ心地である。正直な話、その外見から若干重そうだし、これをかけたままテレビを観るなんて……という違和感を想像していた。
|
|
|
これがッ!専用3Dグラス!!
|
つけたところは若干サイバーな感じ。装着感は非常に良好
|
が、そーゆーよーなヤな感じ全然ナシ───3Dグラスの質量は電池(コイン型リチウム電池CR2032)を含んで約63g。位置調節可能なノーズパッドがあるので眼鏡使用者でもそうでない人でも自然にフィットする。左右のツルの感触もよく、拙者とか頭デカい奴なんですけど長時間かけていても違和感を感じなかった。
また、3D VIERAと3Dグラスが赤外線により自動的にシンクロナイズするので、設定や調整などは不要。かけて、そして観る、程度で使えちゃうタイヘン快適な3Dグラスなのであった。率直なところ「この3Dグラスなら、かけたまま映画とか観るのも全然OKだなぁ」と思った。
さて、3D対応VIERA+新型DIGAを前に、この3Dグラスをかければ視聴準備完了。実際、世界初の家庭用3D映像はどうなのかッ!?
さて、細かい話は後回しにして、とにもかくにも「その3D映像がどんな感じで見えたのか?」という話を先に。
結論から言えば、感動モン。しかもハマる。拙者の場合、初めてハイビジョン映像を観たとき以上の衝撃であった。
これら新型のプラズマVIERA、従来機よりもワンランク上のキレイさで1920×1080のフルハイビジョン映像を再生しまくり。それだけでも十分美しいが、その美麗映像に未体験の臨場感と質感がある。「まるでホンモノ」というか、そういう表現が陳腐になるほどの実在感が得られまくるのだ。
3Dテレビとか言うと、ナンかこー、画面からビヨ〜ンと映像が飛び出すよーなモンをイメージしがちだ。もちろんコンテンツによっては、3D VIERAからもそういう立体感が得られる。んだが、総じて「飛び出すテレビ」って印象ではない。むしろテレビでもない。「新しい視野」って感じ。今居る現実の視野のなかに、コンテンツ内の世界〜視野が入ってくるという印象だ。
たとえば距離感。地面があって草木があって人がいて、というナンの変哲もないシチュエーションでも、2D映像とはまるで違う印象となる。地面のデコボコや人までの距離が手に取るように、というか、現実世界と同様にわかる。草木への光の当たり方や揺れ方から、陽光や風の強さを感じることができる。3D VIERAからの映像ってより、ソコにパカッと四角い穴があって、その向こうに実際に存在しているという感じである。
水中の3D映像を観たときは錯覚した。数秒その立体感を楽しむと……あれ? コレって水族館!? てな感覚になった。泳いでいる熱帯魚のどの群れがどの方向/距離/速さで存在しているのかが、見るだけで理解できる───見慣れない世界のはずなのに、魚のサイズや空間的な位置関係がわかるのだ。実在する水族館のなかで感じる非日常的な視覚世界、てなものに非常によく似ている。
あと、ブッ飛んだのが質感表現の豊かさ。とくに最強に超かなりスゴかったのが、水(川)の映像だ。2Dで見ても「透明度が高そうでキレイで深そうな渓流だな」とかいうことはわかる。が、3D VIERAの立体映像だと、脳に入ってくる情報の質がまるで異なるのだ。
カメラで撮るとこのように二重の絵になってしまうが、3Dグラスをかけることで立体に! てゆーか、このような自然の美しさが3Dで最強に強まるのは、かなり予想外でうれしいオドロキだ。
発売はまだ先だが、東京と大阪のパナソニックセンターではいちはやく3Dが体験できる! →東京 →大阪
たとえば川を斜め上方から撮った映像だけで、水深を実感できる。また水量というか、川のスケールと水の量感がダイレクトに伝わってくる。まるで、美しい渓流を吊り橋の上から眺めているように。
こういった質感はどんな3Dコンテンツでも楽しめた。暗い部屋のドアが開いて光が差し込んだときに空中に舞うホコリとか見ると、ドアからどのくらいの距離のホコリが多いのかとか一目瞭然。ただ草原に風が吹くだけの3D映像でも、草の柔らかさや風の不均一さみたいなものを実感できる。人がこちらを向いて語る3D映像からは、表情の小さなニュアンスに加え、目や唇の動きから微妙な意志を察知できたりする。あと、人間の顔とかを3D映像で見ると、非常に艶めかしかったりもする。
当然ではあるが、元の映像が既に距離感やスケール感を持ったものだと、なるほど3Dの大迫力。アニメーションだCGだとわかってはいても、非常に生々しいスピードや質量、物理的な衝撃に似たものを味わうことができる。
凄い!! マジでホント凄いっス。内容的にはフツー的なコンテンツでも、3Dだと脳が感じる情報量が違う気がする!! 臨場感はもちろん、強い実在感にある種トリップしちゃう感覚。ずーっと繰り返し見続けたい気分になりますな。つまりハマっちゃう。
てなわけで、実機の映像を体験できるなら、ゼヒお試しを!! まずその映像体験として非常に新鮮だから。こういう立体映像の時代になったという状況に興奮するから。見ないと損だから。ホントに。
ところで、3D VIERAはどのように立体映像表示を実現しているのだろうか?
具体的には左右の目に対して交互に「右眼用の映像」と「左眼用の映像」を表示している。また同時に、前述の専用3Dグラス(アクティブシャッターメガネ)により、右眼で見る瞬間と左眼で見る瞬間を正確に切り分けているのだ。原理としては左右の目の視差を利用してるわけですな。ステレオ写真やステレオグラムと同様、左右の目で少しずつ違う映像を見ていることを逆手に取った立体映像表現のための技術だ。
|
|
|
右目用の映像と左目用の映像を高速で交互に映し出すフレームシーケンシャル方式
|
このようにグラスの左右が高速(秒間60回ずつ)で開閉しているのだ
|
実際の動作としては、3D VIERAの画面に右眼用の映像が表示された瞬間に、3Dグラスの右眼側だけが開き(左眼側は3Dグラスの液晶シャッターで閉じられる)、左眼用の映像が表示された瞬間は3Dグラスの左眼側が開く……ということを、超高速で繰り返して行っている。
これはフレームシーケンシャル方式と呼ばれる方法で、左右の目にそれぞれ劣化のない綺麗な映像を送り込めるため、豊かな発色や高い解像感とともに立体映像を楽しめる。赤青メガネとかの方式だと、立体感はあるものの映像自体のキレイさは……てな結果になりがちだが、3D VIERAの立体映像にはそういう違和感がナイというわけだ。
実際、3D VIERAからの立体映像はきわめて緻密で美しい。映像自体、右眼用も左眼用の1920×1080のフルハイビジョン画質で、毎秒60コマで再生される。つまり、3D VIERAの画面上では、1秒間に右眼用60コマ分=左眼用60コマ分の映像をバラララララーッと超高速で切り替えつつ表示していることになる。毎秒120コマ。
……そんなに高速で画面を切り替えて、残像とか残んないの? てな疑問も出てくる。
新開発のフル・ブラックパネルで二重像の少ない3D映像が可能に!!
3D VIERAに使われているプラズマディスプレイパネルはインパルス発光方式。また、紫外線変換効率/放電効率/光変換効率を格段に高めているため、より美しい映像再生が可能になっているという。
3D VIERAに使われているプラズマディスプレイパネルは新開発の「フル・ブラックパネル」で、その名のとおり、引き締まった黒を再現できるもの。これを実現するため、上記の紫外線変換効率/放電効率/光変換効率のUPが必要だったのだが、結果、深い黒〜豊かな階調を表現できるようになった。
このことは、ま、フツーのテレビ番組やビデオコンテンツを見ても、より自然だしキレイだしメリハリもある、ということにつながっているが、さらに、3D映像のクリアさにも直結している。
3D VIERA上で立体映像を再生するとき、前述のように毎秒120コマという速さで表示を切り替えている。1/120秒毎に1回描画。右眼用/左眼用を1/120秒毎に超高速で描画しまくり。
残像の少ないクリアなフルHD3D映像はこうして実現しているのだ!
左右眼用の映像を交互に切り替えて表示するフレームシーケンシャル方式の場合、各眼用の映像を素早く表示し、同時に、素早く切り替える必要がある。高速で表示できるだけじゃダメで、高速でその映像を消す(描き換える)必要もあるのだ。というのは、たとえば右眼用の映像を消すのが遅いと、左眼に右眼用の映像が見えちゃう=2重像(残像)になってしまうから。この2重像が発生すると、イキナリ、立体映像自体がブレたようなものとなり、クリアさが激減してしまう。でも、プラズマテレビならインパルス表示の自発光デバイスのため、原理的に左右の映像が重なりにくく、くわえて今回は残光の短い蛍光体を採用し、極限まで二重像を抑えているのだ!
てなわけで、3D VIERAにはヒッジョーに応答速度の速い「フル・ブラックパネル」が必須だったのだ。この圧倒的な性能のプラズマディスプレイパネルにより、観てビックリ感じて没入な立体映像が実現できたとも言えよう。
ともあれ、やはりぜひ一度、3D VIERAによる立体映像を体感してみてほしい。従来は「3Dだから多少のブレは我慢」とか「3Dだから色がヘンなのはトレードオフ」とかいろいろ違和感がありがちだった立体映像だが、3D VIERAにはそーゆーの一切ナシ。今すぐ3D対応VIERA+新型DIGA注文したくなるほどの魅力があったりするので、アナタの目で3D VIERAの実力を確かめて欲しい。
スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。
|