以上、HD-PLCを採用したパナソニックの「BL-PA100KT」を取り上げながら、PLCによるホームネットワークを紹介してきたが、最後にPLCの賢い使い方を紹介しておこう。
まずは、PLCアダプターの接続場所だ。PLCアダプターは電源タップ経由でも利用できるが、その場合、他の電化製品の影響を受けて速度が低下する可能性がないとは言えない。なるべく壁のコンセントに直結して使うようにしよう。そもそも配線をすっきりさせるためのPLCアダプターでもあるので、この機会にタコ足配線などを見直すと良いだろう。
続いてのポイントは、オーディオ機器の接続やOA環境でよく利用される特殊な電源タップの扱いだ。雷サージ対応のテーブルタップやノイズフィルタ付きのタップ、さらにはUPS(無停電電源装置)などでは高周波の信号をノイズと見なしてカットするようになっている。このため、ここにPLCアダプターを接続すると、データをやり取りするための周波数帯の信号までもがノイズとしてカットされてしまう。前述したようにPLCアダプターはコンセント直結が理想だが、どうしてもタップを使う必要がある場合はノイズフィルタ付きの製品は避けよう。
ただし、ノイズフィルタ付きのタップは使い方次第ではPLCの強い味方となる。たとえば、PLCアダプターを壁のコンセントに直結し、ほかの家電製品をノイズフィルタ付きのタップに接続する。すると、ほかの家電製品から発生したノイズをカットし、PLCアダプターへノイズが侵入するのをカットできる場合がある。ドライヤーや調光機能付きスタンド、携帯電話の充電器などに利用すると、安定した通信ができる可能性もあるので、使い方をうまく工夫すると良いだろう。
このように、PLC、特にパナソニックのPLCアダプターは、前述した簡単(Simple)、安全(Secure)、そして高速(Speedy)を実現する次世代ホームネットワークインフラの本命だ。現状はパソコンによるインターネット接続が主な用途だが、インターネット接続機能付きのテレビやHDD&DVDレコーダー、オーディオ機器などの接続にも利用できるうえ、将来的にはエアコンなどのあらゆる家電製品をつなぐインフラとなりうる規格と言える。難しいことを意識することなく、家中のどこでも当たり前のようにネットワークにつながる世界を体験してみよう。
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