みだし
松下電器産業が発売したワイヤレスプロジェクター「TH-LB50NT」

 ビジネスユースのプロジェクターにおいて重要なポイントは可搬性ではないだろうか。最近では、常設型の物よりも、ポータブルタイプを必要に応じて利用するケースが多くなっている。これならば、プロジェクターをその都度レイアウトできるからだ。ただ、そうはいってもケーブルの制約があり、「レイアウトフリー」とは言えなかった。そこで、それを解決するプロジェクターが登場した。「TH-LB50NT」はワイヤレスによって「レイアウトフリー」を実現しただけでなく、複数のパソコンからの同時投写も行える、まったく新しい活用スタイルを実現したと言える製品だ。

 例えば講演でのプロジェクターの活用を想定してみると、今までは長いケーブルを用意して、演台からパソコンを接続するか、別にパソコンを操作するオペレーターを用意して指示を出していただろう。しかし「TH-LB50NT」ならば、演台からプロジェクターへのワイヤレス送信が可能な上、手元のパソコン画面と別の内容を送信する「ワイヤレスプロンプター(セカンダリーディスプレイ)」機能も装備しているため、手元のパソコンには発表原稿を表示しながら、スクリーンへはMicrosoft PowerPointのスライドを投写して、スマートにプレゼンを行うことができる。もちろん、プロジェクターのレイアウトに頭を悩ますといったこともなくなるだろう。

 また、複数人で行う会議の場合、各々のパソコンから発表を行う為に、いちいちケーブルを接続し直し、入力切換えをしていたことだろう。「TH-LB50NT」のワイヤレス送信ならば、その煩わしさからも開放される。各人が自分のパソコンから簡単に投写することができる。しかも「TH-LB50NT」には「マルチライブモード」という、最大16人までワイヤレスで、同時に1画面投写できる機能がある。

 「TH-LB50NT」はワイヤレスによって、プロジェクターのレイアウトの悩みと、アクセスの煩雑さというふたつの悩みを、解決したプロジェクターといえるのである。

みだし
ワイヤレスで「TH-LB50NT」を使う場合は、パソコン側でWireless Manager 3.0を利用する。Wireless Manager 3.0はインストールすることも、インストールせずに使用することもできる
Wireless Manager 3.0を起動すると、エリア内にあるプロジェクターが自動検出される
プロジェクターへの投写の操作はランチャーから行う。4つのボタンのみを表示する簡易ランチャーと、全機能を表すフルランチャーを切り替えられる。画面はフルランチャーである。このランチャーはプロジェクターへは表示されないようになっている
本体背面にはD-Sub15ピン×2、Sビデオ/コンポジットの各映像入力、オーディオ入出力端子も備えている

 では「TH-LB50NT」最大の特徴ともいえるワイヤレス接続の手順を説明しよう。

 まず、「TH-LB50NT」のワイヤレス接続は、802.11g/bに対応した無線LAN機能が必要となるが、最近のノートパソコンの多くが対応しているので、この点が問題になることはないだろう。

 パソコン側には、「TH-LB50NT」に付属するCD-ROMに含まれるアプリケーションソフト「Wireless Manager 3.0」をインストールする。しかし、Wireless Manager 3.0はインストールが必須というわけではない。例えば、CD-ROMから実行したり、USBメモリなどに必要なプログラムをコピーして、そちらから実行することもできるのだ。常用しないアプリケーションをインストールしたくない人もいるだろうし、プレゼン用に一時的に用意したノートパソコンなどで利用する場合にも、こうした仕様は便利に感じられるだろう。このWireless Manager 3.0を起動すると、ネットワーク設定を自動で行い、無線エリア内にあるプロジェクターが自動認識される。ここから接続先のプロジェクターを選択すれば、準備は完了だ。

 ちなみに、「TH-LB50NT」では複数台のパソコンから1台のプロジェクターのみならず、1台のパソコンから複数台へのプロジェクターというワイヤレス送信も可能である。前者の場合はパソコン側からは特に意識することなくプロジェクターに接続し、後者の場合は接続モードを複数台接続のアイコンに指定して、接続先のプロジェクターを複数指定する。いずれも直感的な作業で行えると思っていい。

 また、プロジェクターへの実際の投写については、ツールバー状のランチャーから操作を行える。現在のパソコンに出力されている内容をそのまま出力する「ライブモード」、複数台のパソコンからの映像を一度に投写する「マルチライブモード」などを選択できる。また、プロジェクターをセカンダリモニタとして利用する「セカンダリーディスプレイ」機能や、パソコン画面の一部を拡大表示する「エリア指定送信」機能なども備えている。

 さらに、ワイヤレス送信のスピードも向上している。従来品「TH-LB20NT」と比較して約5倍の送信スピードを達成しており、パソコンからプロジェクターへのワイヤレス送信としては世界最速を誇る。PowerPointのアニメーションはもちろん、動画ファイルなどもストレスなく滑らかに送信することが可能になっている。(※パソコンからプロジェクターへのワイヤレス送信として。2006年2月7日現在)

 少々駆け足で紹介したが、これだけでも非常に多機能、かつ高性能であることがお分かりいただけるだろう。一方で、こうした多機能な製品には操作の煩雑さが伴ってしまうことも多いが、「TH-LB50NT」は、先に示したWireless Manager 3.0のランチャーが非常に分かりやすいし、もちろん実行できない機能はクリックできないようになっている。マニュアル片手の操作を必要とすることはないので安心してほしい。

 他にも入力端子としては、背面にアナログRGB(D-Sub15ピン)×2、Sビデオ、コンポジットビデオを備える。また、パソコンメーカーごとに異なる内蔵ディスプレイと外部ディスプレイ出力を切り替える方法をガイダンス表示する機能や、入力チャンネルを自動選択するといった細かな配慮がなされている。

マルチライブモードの「4画面スタイル」。画面を四分割して4台のパソコンを同時に表示することができる
 
  マルチライブモードの「4画面インデックススタイル」。こちらは画面下部に4つのインデックス表示を行い、上部に大きめに一画面を映し出すパターン。次々に表示を切り替えて利用する場合に便利   マルチライブモードの「16画面インデックススタイル」。最大で16台を接続することができる。その場合、16分割のインデックス表示から選択し、拡大投写できる
セカンダリーディスプレイ機能では、手元のパソコンで発表原稿を表示させつつ、プレゼンを行うことが可能だ   エリア指定送信機能は、画面の一部を拡大してスクリーン全体に投写することができる   有線接続のパソコン入力時に、映像が出力されていない場合は、各メーカーのノートパソコンにおける外部ディスプレイ出力切り替えの方法が、ガイダンス表示される
みだし

 必要に応じてを持ち運び、設置をするポータブルタイププロジェクターだけにコンパクト性や設置のしやすさといった要素も重要になる。

 まず、TH-LB50NT本体のサイズに目を向けてみると、297(W)×210(D)×57(H)mmとなっている。上から見た面積はちょうどA4用紙と同じサイズとなり、設置スペースが小さくて良い。重量は1.9kgと2kgを切っているうえ、製品には肩掛けが可能なキャリングケースも付いている。A4サイズのノートパソコンを持ち歩く感覚と考えれば、持ち歩くのが苦になる製品ではないことがイメージできるのではないだろうか。

 この設置スペースの観点でいえば、スクリーンまでの最短投写距離も気になる点だが、「TH-LB50NT」は最短で80インチでも約2.5mで投写できる。

 また、画面の高さ調整においても、「TH-LB50NT」は本体前方下部にアジャスター脚を備えているので、上向きに投写できる。一般的に、この場合はスクリーンに対して平行ではなくなるため、スクリーン上の映像は上辺が狭い台形歪(キーストン)が発生してしまうが「TH-LB50NT」は、プロジェクターの傾き角度を検知して、スクリーン上の台形歪を自動的に補正する「リアルタイム台形補正」機能を備えており、リアルタイムにこの台形歪を補正するのである。

 つまり、広いスペースを必要とせず、しかも本体を置くだけで、手間をかけることなく投写が可能なわけだ。持ち歩いて使用するケースであっても、毎回設置する面倒さがない。

 もう一つ付け加えると、「TH-LB50NT」が備えている「ダイレクトパワーオフ」機能も可搬性を高めているといっていい。通常プロジェクターを片付ける際には、内部を冷却する必要があるので、電源を切ったあとでもしばらく電源コードは接続したままにし、冷却ファンを回さなければならない。ダイレクトパワーオフ機能は、冷却ファンを回すためにあらかじめ電源を蓄えておくことで、使用後すぐに電源コードを抜くことができるものだ。時間単位で割り当てが決まっている社内の会議室などで利用する際でも、すぐに撤収が可能となる便利な機能といえるだろう。


本体サイズは297(W)×210(D)×57(H)mmと、A4サイズに収まる省スペース性
 

プロジェクターを傾けることで発生する台形歪を自動的に補正する「リアルタイム台形補正」機能を搭載する(画像はイメージ写真です)
 
電源コードを抜いても冷却ファンが回転し内部のクーリングを行う仕様なので、急な片付けでも安心だ
みだし

 さて、こうした可搬性のよさが特筆できる「TH-LB50NT」であるが、持って行く場所を選ばない、という点でも優れた機能を搭載している。一般にビジネスユースのプロジェクターは明るさを重視しなければならない。手元の資料を読めるよう部屋を明るくして利用したい場合や、暗幕のない部屋で使用することもあるからだ。

 「TH-LB50NT」の明るさは2000ルーメン。さらに明るさ感を向上させる「デイライトビュー2」機能も搭載しており、かなり明るい。80インチ程度に映し出す状態であれば、蛍光灯が付いている部屋でも良好に視認が可能だ。

 「デイライトビュー2」機能は、本体上部に備えた照度センサーが、プロジェクターを設置する場所の光量に応じて、中間階調の色目と明るさを調整する機能だ。一般的には外光や照明がスクリーンにあたると、その影響で画面が白っぽくなるが、「TH-LB50NT」は「デイライトビュー2」機能により、明るい部屋でもくっきりと視認性の高い画面を実現している。

 このようなことで、プロジェクターを使用できる部屋を限定する必要もない。これまで、こうした点がネックでプロジェクターを使った会議やプレゼンを躊躇していたとしても、「TH-LB50NT」ならば気軽に利用できるわけだ。

本体上部に照度センサーを備えており、設置場所の光量を測定して自動的に最適な補正を行う   こちらはデイライトビュー2オフ時のイメージ   デイライトビュー2がオン時の映像イメージ。全体に明るさが増しており、視認性が向上している
みだし
付属のリモコンにより、ワイヤレス送信時にはPowerPointのページめくり操作なども可能

 「TH-LB50NT」の豊富な機能を説明してきたが、さらに、「TH-LB50NT」のリモコンを組み合わせることで、もう一歩進んだプレゼンが可能になる。「TH-LB50NT」のリモコンは片手でも操作が容易な小型なものだが、これを利用してワイヤレス接続時にはMicrosoft PowerPointのスライドのページ送りを操作することができる。

 また、プロジェクターでポインターを表示し操作したり、画面を一時的に消すシャッター機能なども操作可能だ。

 電源コード一つで接続されたプロジェクターと、パソコンの前にへばりついていないプレゼンターの姿は、特に外部の人を招待して行う発表会のようなシチュエーションで、聴衆にスマートな印象を与えることができるはずだ。

 「TH-LB50NT」は、「ワイヤレス」、「デイライトビュー 2」、「設置のしやすさ」、という三本柱の魅力によって、手軽に利用できる高機能プロジェクターという印象を強く受ける。特にワイヤレス機能は、これまでのプレゼンスタイルを変える機能といってもよく、このことで生まれる心象的な部分でのメリットも含めて、「TH-LB50NT」の導入効果は高いといえるだろう。

  なお、同じくワイヤレスプロジェクターの上位ラインアップとして「TH-LB60NT」、「TH-LB55NT」の2機種も発売されている。こちらは「TH-LB50NT」の機能をすべて装備していながら、「TH-LB60NT」は3200ルーメン、「TH-LB60NT」は2500ルーメンと、高輝度タイプとなっている。使用する場所など状況に応じて、こちら2機種もあわせて検討することをおすすめしたい。


ラインアップ

 

[PR]企画・製作 株式会社 Impress Watch 営業グループ
問い合わせ先:watch-adtieup-panasonic0604@ad.impress.co.jp
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.