WEBビジネスに、最適化で選ぶ「クラウド」で恩恵を
 インターネット上でのサービス運営には、さまざまな悩みがつきものだ。

 まずはサービスを開始するに当たって、サーバーをどうするか? ハードウェアから用意するか、どこに設置するか? それともホスティングするか? OSのセットアップやアプリケーションの開発、管理はどうするか? 予算の調達や資産管理は……、と検討しなければならない項目はそれこそ山のように存在する。

 何とかサービスを開始にこぎつけたとしても、突発的なトラブル、予想外のトラフィック、思った以上のコストとその悩みが尽きることはない。

 インターネット上のサービスの場合、ネットワークやサーバーなどのインフラの品質は、利用者の評判を大きく左右する。ページ表示や、ページ遷移の速さなど、インフラ力はサービス自体の品質と言っても過言ではない。素晴らしく画期的なアイデアを実現したサービスであっても、ひとたび「遅い」、「使いにくい」といったシビアな声にさらされれば、その継続や復活は難しい。

 しかし実情として、そこにかけられる費用というのも無尽蔵というわけにはいかない。特にスタートアップから間もない企業であればなおさらだ。インフラ=固定費にコストを強いられれば、今後のサービスや企業そのものの成長などに費やす原資が圧迫される。かといって、サービスの生命線とも言えるインフラコストを不用意には削れないというのが、現状、多くの企業がかかえるジレンマであろう。

 この悩みに対するひとつの解決策。それが「クラウド」の活用なのだ。ネットワークやインフラのシステム導入や使用料など、固定費に柔軟性を持たせることで解決できてしまう。

 例えば、CPUやメモリ、ディスク容量など、サーバーに必要なリソースを柔軟に変更することができるクラウドサービスを活用すれば、予算も利用者も限られるスタートアップ時期は構成を押さえてコストを低くし、利用者の増加に伴ってオンデマンドでサーバーリソースを増強していくことができる。

 物理的なハードウェアを自社で所有する必要がないのはもちろんのこと、時期的な繁閑差に応じてリソースを柔軟に変えることもできる。つまり、これまで固定的だったサーバーのリソースとコストを変動させることで、効率的なサービス運営と企業経営が可能になるわけだ。

信頼性の高いパブリッククラウド「WebARENA CLOUD9」
NTTPCコミュニケーションズのパブリッククラウド「WebARENA CLOUD9」
NTTPCコミュニケーションズのパブリッククラウド「WebARENA CLOUD9」
 では、具体的にどのようなサービスを利用すればいいのだろうか? クラウドにはさまざまなサービスが存在するが、最近注目を集めているのがNTTPCコミュニケーションズの「WebARENA CLOUD9(ウェブアリーナ クラウドナイン)」だ。

 NTTPCコミュニケーションズの「WebARENA」と言えば、1997年から14年間にわたりホスティング事業、データセンター事業を展開。自社バックボーンを使い、高い品質と信頼性を保ち、高く評価され続けてきている。一般的な企業のサイトから、大手ポータルサイトや話題のキャンペーンサイト、回線スピード計測サイトや画像変換サービスサイトまで、多様な用途に応じたラインナップと実績で信頼を築いてきたサービスブランドで、Suiteシリーズでは9万件以上の累積契約を誇る。この「WebARENA」のラインナップに、満を持してパブリッククラウド版サービスとして新たに登場したのが「WebARENA CLOUD9」だ。

 パブリッククラウドというと、その意味合いの広さから、漠然としたイメージしか思い浮かばないかもしれないが、ここで言うパブリッククラウドを、一般的な共用サーバー型ホスティングサービスとの違いから説明していくとわかりやすいだろう。

 データセンターに設置された物理的なサーバーを複数のユーザーで共用するところは、一般的な共用サーバー型ホスティングサービスと同じだが、OSやアプリケーションは共用せず、仮想化されたサーバーOSを個別に、しかもroot権限で利用することができる。

 WebARENA CLOUD9の場合も、各ユーザーで物理サーバーは共用しているものの、それぞれのOSやWebサーバーサービスなどは仮想環境によって完全に個別に稼働している。root権限でカスタマイズすることもできるため、専用サーバーといっても良いかもしれない。

 また、メモリやCPUも同様に、仮想化技術を使ってユーザー毎に個別に割り当てられるので、同じサーバー内のユーザー全員で共用している共用サーバー型ホスティングサービスに比べて、同じサーバー内の他のユーザーの影響を受けにくい作りになっている。ここがクラウドと共用の違いだ。

 万が一、ウイルスや不正アクセスなどの被害が他のサイトで発生したとしても、OSとWebサービスが個別に隔離されているWebARENA CLOUD9であれば、その影響が及ぶこともないわけだ。

 さらに、近似する仕組みを持ったサービスである「VPS(Virtual Private Server)」と比べて、「WebARENA CLOUD9」は“クラウド”ならではとも言える、より高い可用性を備えているのが特長だ。

 たとえば、WebARENA CLOUD9で提供されている「フェイルオーバー」機能(図1)では、万が一、物理サーバーに障害が発生した場合でも、各仮想サーバーは自動的に代替えサーバーに移行し、サイトを自動復旧させることで、ダウンタイムを最小限にとどめることができる。

 また、「マイグレーション」機能(図2)では、物理的な障害ではなく、他のユーザーの過剰なリソース消費や高負荷への対応が可能となる。仮想化によってユーザーごとの環境は個別になっているとは言え、物理的なサーバーを共用している以上、他のユーザーがCPUやメモリのリソースを過剰に消費すると、その影響が自社サイトに及ぶことがある。

 一般的な低価格VPSサービスでは、この対策が十分にできていないケースも見られるが、WebARENA CLOUD9では、リソース使用状況に応じて、空きリソースのあるサーバーへと自動的にマイグレーションし、システム全体の負荷を分散させ、安定稼働を図ることができる。


「フェイルオーバー機能」は、物理サーバーに障害が発生したときに、各仮想サーバーが自動的に代替えサーバーに移行し、サイトを自動復旧させる

「フェイルオーバー機能」は、物理サーバーに障害が発生したときに、各仮想サーバーが自動的に代替えサーバーに移行し、サイトを自動復旧させる

「マイグレーション機能」は、空きリソースのあるサーバーへ自動移行し、他のユーザーの仮想サーバーによる高負荷影響を抑える

「マイグレーション機能」は、空きリソースのあるサーバーへ自動移行し、他のユーザーの仮想サーバーによる高負荷影響を抑える

 つまり、サイトの運営に不可欠な可用性の高さを、VPSならではの個別仮想環境とクラウドならではのフェイルオーバー機能やマイグレーション機能によって実現したサービスが「WebARENA CLOUD9」になる。

柔軟なリソース変更でコストをコントロール

 また、WebARENA CLOUD9では、サーバーリソースの拡張をユーザー自らがアクティブにコントロールすることも可能だ。

 WebサービスやECサイトの運営では、時期に応じたアクセス数の波が発生する。たとえば、新しいサービスをリリースした直後にアクセスが集中したり、ECサイトであれば季節、イベントに応じてアクセス数が大きく上昇し、サーバーリソースが足りず、アクセス障害が発生することがある(図3)。

 このような場合、一般的なホスティングサービスでは、アクセスの集中に備えて、余計なコストを覚悟しつつ、普段から高いリソースのサービスに加入しておく必要があったため、余分なコストがかかる(図4)。

アクセス障害が起こらないように、普段から高いサーバーリソースに加入しておくと、どうしても余分なコストが発生してしまう

アクセス障害が起こらないように、普段から高いサーバーリソースに加入しておくと、どうしても余分なコストが発生してしまう
アクセス状況に応じて、ユーザーが即座にリソース変更できるので、コストの無駄がない

アクセス状況に応じて、ユーザーが即座にリソース変更できるので、コストの無駄がない

コントロールパネル
コントロールパネル画面。ここから、各種設定の変更が行える

 これに対して、WebARENA CLOUD9では、ユーザーの選択により、オンデマンドでサーバーリソースを変更することが可能だ。ユーザーはコントロールパネルから、スペックの変更画面を選んで、メモリ/CPUを変更するだけで、即座に、しかもサーバーを停止させることなく、サーバーリソースをスケールアップすることができる。また、オンデマンドで、スケールダウンすることも可能だ。面倒なスクリプト作成はいらない。

 しかも、その費用は日割りで計算されるようになっている。このため、年末年始、新入学シーズン、ボーナス時期、夏休み、クリスマスなど、一定の期間だけ、リソースを増強すれば、そのコストを最小限に抑えることができる。これまで固定費だったサーバーのコストを変動費としてとらえることが可能というわけだ。

 このような柔軟性の高さは、サイトの立ち上げから、普及に至る成長の過程でも非常に有効だ。初期のアクセスの少ない時期は、リソースを低く設定した状態で契約し、アクセス数の伸びに従ってリソースを増強していくことができるし、そのコストも適切にコントロールすることができる(図5)。

 Webサービスやサイトの立ち上げに際して、単純にコストだけでインフラを選ぶと、後からの移行や拡張に悩まされることになるが、WebARENA CLOUD9であれば、こういった心配も無用だ。

新機能満載で期待大のロードマップ

 このように、月々のコストを押さえつつ、いざというときの発展が可能なパブリッククラウド「WebARENA CLOUD9」だが、今後、さらなる新機能の追加も予定されている。

 新機能は、いくつかの機能が段階的に導入される予定となっているが、たとえば2011年春以降には、バックアップ・リストアへの対応、あらかじめ設定しておいたリソース値(CPUやメモリなど)に応じてリソースを自動的に拡張可能な「オートスケールアップ」の搭載が予定されており、さらに時間従量課金にも対応予定となっている。

 また、2011年秋以降には、複数台サーバー構成とロードバランシングへの対応、およびリソースの使用状況に応じてロードバランサー配下に自動的にサーバーをクローニングして負荷分散する「オートスケールアウト」への対応も予定されている。

 現状のWebARENA CLOUD9のサービスでも、中小規模のサイトには十分すぎる機能と言えるが、将来的にこれらのサービスが利用できるようになれば、さらに柔軟な運用が可能になるだろう。

 なお、このようなWebARENA CLOUD9を、基本機能そのままで10日間無料で試用することができる。更に乗り換えを検討されている方には、4月28日まで初期料金無料・月額基本料金最大3カ月無料の「サーバーお乗り換えキャンペーン」も行っている。これから新しくゲーム開発やECサイト運営などの新展開を考えている場合はもちろんのこと、現状のサイト運営のコストの削減、今後のサイトの拡大と機能拡充などを検討している場合は、一度試してみてはいかがだろうか。

 以上、WebARENA CLOUD9の概要とメリットについて紹介したが、やはり実際に使ってみた印象も知りたいという意見も少なくないだろう。申し込みや利用方法、管理、パフォーマンス、セキュリティ面などについて、次回、さらに詳しく見てみることにしよう。

(Reported by 清水理史)

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