快適なモバイル環境を実現する受信最大7.2Mbps※の高速パケット通信

 さまざまな機能が搭載され、ますます手放せない存在になっていくケータイ。ビジネスからプライベートまで、ケータイはいろいろなシチュエーションで活用できるが、目的によっては外出先や出張先、オフィスなどで、パソコンを利用したいケースも多い。特に、最近では安価でコンパクトなネットブックの登場により、モバイル環境でのパソコン利用が一段と拡大しそうな状況にある。

 こうしたモバイル環境でのパソコン利用において、ひとつ重要になってくるのが『インターネット接続』だ。モバイル環境でのパソコンは古くから利用されてきたが、当初はごく短時間だけ、ダイヤルアップで接続するというものだった。その後、PHSを利用した64kbpsデータ通信サービスも登場したが、やりとりするファイルサイズが大きくなり、より高速なデータ通信サービスを望む声も増えていた。

 こうした声に応えるため、NTTドコモではFOMAサービスの開始当初からデータ通信サービスを提供し、2006年に受信最大3.6Mbps*1の高速パケット通信サービスを可能にした「FOMAハイスピード」の提供を開始し、さらに2008年からはFOMAハイスピードの受信速度が最大7.2Mbps*1にスピードアップし、さらなるパフォーマンスアップが図られている。

 このFOMAハイスピードの高速パケット通信によるデータ通信の環境だが、実際に使ってみると、その快適さに驚かされる。FOMAハイスピードの受信最大7.2Mbps*1、あるいは最大3.6Mbps*1という速度は理論値であって、実際には多くのユーザーが同じ基地局や周波数帯を利用していることもあり、実効速度はかなり異なってくる。電波状況などにより、刻々とパフォーマンスは変わってくるものだが、あくまでも都内を中心とした範囲での印象では、体感速度やレスポンスが満足できるパフォーマンスで正直驚いた。

 前述のように、モバイル環境でのデータ通信はインターネットで利用できるサービスの高機能化に伴い、扱うデータのファイルサイズは大きくなり、WebページもFlashを多用したところが増えている。ノートPCを持ち歩き、モバイルデータ通信を利用することで、外出先や出張先でもビジネス文書の送受信などができるようになったとは言え、通信速度が不十分でファイルの転送に時間がかかってしまうようでは実用的でない。よく商談やプレゼンテーションでもWebページを見ながらというシチュエーションがあるが、こうしたときでもFOMAハイスピードのパフォーマンスを活かせば、必要な情報をすぐに取り出し、有利に商談やプレゼンテーションを進められるわけだ。

人口カバー率100%※の広いエリアだから都市部はもちろん、地方への出張にも使える

FOMAのデータ通信サービスは、データ通信アダプタをPCに接続する方法と、通信モジュール内蔵パソコンを使用する方法がある

 FOMAのデータ通信サービスは、HSDPA方式に対応したデータ通信アダプタや通信モジュール内蔵パソコン、高品質なネットワークにより、快適かつ安定したパフォーマンスで利用することができる。

 しかし、ユーザーが実際にサービスを利用するうえで、データ通信のパフォーマンス同様、気になるのは、利用可能エリアだ。どんなにデータ通信のパフォーマンスが高速でも利用できる場所が限られているようでは、ビジネスにもプライベートにも十分に活かすことができないからだ。特に、パソコンによるモバイルデータ通信は、外出先のカフェや交通機関、取引先のオフィス、出張先など、さまざまな環境で利用されることが考えられる。空港や都市部の駅周辺などでは、NTTドコモをはじめとする各社が提供中の公衆無線LANサービスなどが利用できることがあるが、オフィス街に移動すると、簡単にそういった環境が望めるわけでもない。

 NTTドコモが提供するFOMAハイスピードは、2008年12月にはFOMAハイスピードで人口カバー率100%*2を達成している。そして、人口カバー率100%*2のエリアで、都市部などを中心に受信最大7.2Mbps*1のデータ通信を利用できるエリアも順次、拡大している。FOMAハイスピードのエリア以外での通信は、通常のFOMAのデータ通信サービス同様、受信最大384kbps*1となる。

 これだけ広いエリアをカバーしていれば、地方への出張時はもちろん、駅や空港などの交通機関、都市部の地下街、オフィス街など、さまざまな場所でモバイルデータ通信を利用することができる。たとえば、東京や大阪、名古屋など、東名阪エリアのビジネスパーソンは東海道新幹線で移動することが多いが、東海道新幹線沿線は全域がFOMAハイスピードエリアになっており、移動中も安定したモバイルデータ通信を利用できる。新幹線での移動中、メールで送られてきたビジネス文書に目を通したり、インターネットで最新の情報をチェックしたりと、フルにモバイルデータ通信を活用できるわけだ。

高速パケット通信が安心して使える定額データプラン&定額データ割

 モバイル環境のデータ通信を利用するうえで、3つめのポイントになるのが料金だ。2008年9月からFOMAハイスピードのデータ通信サービスを定額で利用できる料金プラン『定額データプラン』の提供が開始され、同時に月々の上限額をさらに抑える割引サービスも開始された。

 まず、定額でモバイルデータ通信を利用できる定額データプランは、通常のFOMA端末を購入したときと同じように、端末の購入方法の違いなどにより、2つのコースを選ぶことができる。ひとつは対象機種を購入したユーザーが利用でき、月額利用料金が735円(税込)割安になる「バリューコース」、もうひとつは2年間、同一機種を利用する約束で、対象機種の購入代金が15,750円(税込)割り引かれる「ベーシックコース」だ。バリューコースの「定額データプランHIGH-SPEED バリュー」の場合、月額利用料金は月に50万パケットまでが3,465円(税込)、以後は100万パケットまで、1パケットあたり0.0126円(税込)で加算され、100万パケットを超えても月額9,765円(税込)が上限となる。ベーシックコースの「定額データプランHIGH-SPEED」の場合も同様で、月額利用料金が4,200円(税込)から始まり、上限は10,500円(税込)となっている。ちなみに、この定額データプランHIGH-SPEEDの2つの料金プランは通常のFOMA端末で契約する料金プランに相当するもので、端末をデータ通信のみに利用するのであれば、この他にはユニバーサルサービス料しかかからない。また、定額データプランHIGH-SPEEDはひとつの回線について、通常のFOMA端末で契約する料金プランと併せて契約ができないので、すでにFOMA端末で音声通話やiモードを契約しているユーザーは、別途、定額データ通信のために契約をする必要がある。

 この定額データプランHIGH-SPEEDはパケット通信料の上限がなかった従来の料金プランに比べ、安心して利用できるというメリットがあるが、NTTドコモではさらに2年間の継続利用を約束したユーザーに対し、『定額データ割』という割引サービスを提供している。定額データ割を適用した場合、定額データプランHIGH-SPEED バリューでは月額利用料金の上限を最大5,985円(税込)、定額データプランHIGH-SPEEDでは最大6,720円(税込)に抑えることができる。ちなみに、2年間の継続契約を途中解約するときは、9,975円(税込)の解約金が必要になるが、定額データプランHIGH-SPEED バリューと定額データ割という組み合わせなら、月額最大5,985円(税込)で、受信最大7.2Mbps*1、もしくは最大3.6Mbps*1の高速パケット通信が使い放題になるわけで、FOMAハイスピードの安定したパフォーマンスと人口カバー率100%*2のエリアを考え合わせれば、ビジネスユーザーはもちろん、一般の個人ユーザーにとってもかなり魅力的な料金体系と言えるだろう。

 すでに音声通話やiモードなどでFOMAを契約しているユーザーは、前述の通り、定額データプランを別途、1回線契約することになるが、2つの回線の契約は請求書を統合することができ、定額データプランの月額利用料金から発生するポイントもいっしょにためることができるため、音声通話やiモードで利用中の回線を機種変更するときなどに利用できる。

 定額データプランについては、料金プラン以外に定額で利用するための条件がいくつか決められている。ひとつはインターネットへの接続がWindowsやMac OS Xで動作する『定額データプラン接続ソフト』を利用し、定額対応アクセスポイントに国内で接続したパケット通信に限られていることだ。定額対応以外のアクセスポイントに接続したり、海外で利用したパケット通信については定額の対象にならない。アプリケーションについては、Webページを閲覧するブラウザ、プロバイダなどのメール送受信、Flashを利用した動画閲覧、会社などのリモートアクセスに使うVPN通信、FTPサーバーへのアップロード及びダウンロード、オンラインストレージサービス、リモートデスクトップ、オンラインデータサービスの同期など、インターネットで広く使われている大半のアプリケーションが利用可能だが、P2Pなどのファイル交換ソフトやストリーミング型などの一部の動画閲覧、オンラインゲーム、VoIPを利用したメッセンジャーなどのアプリケーションは利用が制限されている。モバイル環境で利用することを考えれば、実用上はあまり気にならない制限だが、NTTドコモのWebページに詳しい情報と制限内容が解説されているので、気になるユーザーは確認しておくといいだろう。

 定額データプランを利用し、インターネットに接続するときのプロバイダについては、同プランでの接続に対応したプロバイダとの契約が必要になる。OCNやぷらら、IIJ mioなど、個人向けのプロバイダが定額データプラン対応の接続サービスを提供しているほか、NTTドコモのmopera Uも定額データプランに対応した「U定額HIGH-SPEEDプラン」を月額840円(税込)で提供している。ちなみに、mopera Uではオプションコースとして、月額315円(税込)で利用できる「U『無線LAN』コース」も提供しており、より幅広い環境で快適にモバイルデータ通信を利用することが可能だ。

定額データプラン対応プロバイダ一覧(2008年12月現在)

データ通信端末と「ドコモコネクションマネージャ」で定額データプランを上手に活用しよう

 NTTドコモが提供する高速データ通信サービスは、定額データプランと定額データ割を組み合わせることで、人口カバー率100%*2のエリアで活用することができるが、端末はどうすればいいのだろうか。

USB接続型で、Windows/Mac両対応のL-02A

CFカードスロット型のFOMA N2502 HIGH-SPEED

 現在、NTTドコモが販売するFOMA端末は、その多くがFOMAハイスピードに対応しているが、定額データプランは通常の音声通話やiモードが利用できる料金プランと併用ができないため、端末についてはデータ通信端末を利用するのがおすすめだ。受信最大7.2Mbps*1のFOMAハイスピードに対応した最新モデルとしては、USB接続型の「L-02A」と、CFカードスロット型の「FOMA N2502 HIGH-SPEED」の2機種がラインアップされている。FOMA N2502 HIGH-SPEEDについては、アダプタを装着することで、PCカードスロットで利用することも可能だ。

 データ通信端末はドコモショップや家電量販店などで購入し、その場で開通手続きが行なわれるため、すぐに利用を開始することができる。ちなみに、新規に回線を契約するときは、パソコンなどを同時購入すると購入額を割り引くキャンペーンなども行なわれているので、それらを上手に活用して購入するのもおすすめだ。

定額データプラン向け接続ソフト「ドコモ コネクションマネージャ」。二段階定額制のどの段階にあるのか一目で確認できる

 次に、定額データプランを契約し、実際にパソコンからデータ通信で接続するときの設定だが、これにはNTTドコモが提供している「ドコモ コネクションマネージャ」が便利だ。ドコモ コネクションマネージャはWindows Vista/XP SP2以降/2000 SP4以降及びMac OS X(10.5.5、10.4.11)で動作する定額データプラン向けの接続ソフトで、面倒な接続設定は設定ウィザードに答えていくだけでセットアップができ、MTU変更などによる高速化や圧縮設定も画面上で選択するだけで設定ができる。接続先のアクセスポイントについても画面上で定額対応アクセスポイントへの接続であることが表示されるため、間違えることがない。接続履歴や通信量なども記録しており、定額データプランの二段階定額制のどの段階にあるのかを確認することも可能だ。ちなみに、L-02Aをはじめ、データ通信端末にはそれぞれの機種用の接続ソフトが用意されているが、定額データプランを利用するときはこれらの各機種用接続ソフトも設定を変更する必要がある。

FOMAハイスピードの定額データプラン快適かつ安心のモバイル環境を実現しよう

 モバイル環境でのパソコン利用で、欠かすことができないインターネット。NTTドコモのFOMAハイスピードによる高速データ通信サービスは、このモバイル環境におけるインターネット接続を快適に利用できるものだ。昨年、提供が開始された定額データプランと定額データ割を組み合わせることにより、パケット通信料を気にすることなく、安心して使うことができる。しかもFOMAハイスピードのエリアは昨年末に人口カバー率100%*2を達成しており、モバイルでのパソコン利用とインターネット接続をはじめるには、非常にいい環境が整ったタイミングとなっている。いつでもどこでもインターネットを利用したい、ビジネスにもプライベートにもインターネットを活用したい。FOMAハイスピードの定額データプランと定額データ割は、そんなインターネットをフル活用するモバイルユーザーにこそ、おすすめしたいサービスだ。

*1: ベストエフォート方式による提供となります。最大7.2Mbps、最大3.6Mbps*1、最大384Kbpsとは技術規格上の最大値であり、実際の通信速度を示すものではありません。実際の通信速度は、通信環境やネットワークの混雑状況に応じて変化します。FOMAハイスピードエリア内であっても、場所によっては受信時最大384kbps*1の通信速度となる場合があります。最大通信速度は機種により異なります。送信時は最大384kbps*1となります。
*2: 「人口カバー率」は、市町村の役場が所在する地点における通信が可能か否かを基に算出しています。

■関連情報
□定額制データ通信|NTTドコモ http://www.nttdocomo.co.jp/service/data/foma/flat_rate/
□定額データプラン|NTTドコモ http://www.teigaku-docomo.net/
□NTTドコモ http://www.nttdocomo.co.jp/

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□法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」少し先を見据えたモバイルブロードバンド環境選び
 http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/mobile_catchup/41459.html
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法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるPRO BlackBerry サーバー構築」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。