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シフトタイム視聴が可能なNOTTV
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スマートフォンで楽しめる放送番組と言えば、携帯電話はもちろんスマートフォンでも標準的に搭載されるようになってきたワンセグが代表的な存在だが、NOTTVとワンセグの違いはその画質。ワンセグの場合は解像度がQVGA(240×320ドット)、フレームレートが15fpsであるのに対し、NOTTVは解像度が5倍となるワイドVGA(480×800ドット)、フレームレートは2倍となる30fpsで放送するため、ワンセグよりも高画質な放送が可能。NOTTVでは解像度が5倍、フレームレートが2倍であることから「ワンセグよりも約10倍高画質」と謳っている。
違いは画質だけではない。ワンセグ放送は基本的に地上波のテレビの番組を同時に配信するサイマル放送のため、外出先などテレビがない環境でもテレビ番組が見られる、という用途が中心。これに対してNOTTVは地上波のテレビとは異なるオリジナル番組を中心に放送する、「スマートフォン向け放送局」である点が最大の違いだ。
放送局といっても、1放送局ごと1つのチャンネルが基本となるテレビと異なり、NOTTVは最大で3つのチャンネルを視聴可能。1つ目のチャンネル「NOTTV 1」は、オリジナル番組を中心に24時間放送を行なうチャンネル。2つめのチャンネル「NOTTV 2」リアルタイム放送に加え、NOTTVの特徴でもある「蓄積型放送」で構成されている。3つ目の「NOTTV NEWS」は、その名の通りニュース専門チャンネルとして、4月から10月は「TBSニュースバード」を、11月から3月は「日テレNEWS24」を放送する。
NOTTV 2で行なわれる「蓄積型放送」は、見たい番組をあらかじめ登録しておくと、夜寝ている間に一時保存、好きな時に見られるというシフトタイム視聴が可能な仕組み。コンテンツはスマートフォンに一時保存されているため、電波の入らない場所であっても視聴が可能だ。
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オリジナル番組「notty★LIVE 7時間!」
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放送されるオリジナル番組の目玉は、平日に7時間連続で生放送するオリジナル番組「notty★LIVE 7時間!」。ファッションやコスメ、グルメ、イベント、セールといったさまざまなジャンルの情報を、複数のエリアからライブ中継する情報バラエティ番組を10時から17時にかけて一挙放送。スマートフォン向け放送局ならではの試みとして、番組を収録するスタジオだけでなく、NTTドコモの高速データ通信サービス「Xi」を使って各地からライブ中継するコーナーも用意されている。
情報・バラエティ番組はほかにも、Twitterで6万を超えるフォロワーを持つお笑い芸人のやついいちろうをメインMCに迎え、ソーシャルメディアとの連動を図った「ソーシャル@トーク#エンダン」、お笑い芸人のAMEMIYAとタレントの福田萌がスマートフォンのアプリや使い方を紹介する「スマホのトリセツ」など、ソーシャルメディアやスマートフォンに焦点を当てた番組も多数用意。こちらもリアルタイム放送でお届けする。
スポーツ中継もNOTTVの目玉。サッカーに関してはJ1リーグを全試合放送(毎節最大5試合を生中継)するだけでなく、J2リーグ戦も注目の試合を放送。プロ野球は毎週水曜日と木曜日を「プロ野球中継デー」と定め、セ・リーグ、パ・リーグ両リーグの試合を放送する。高画質を特徴とするNOTTVだけに、選手の動きも「ワンセグの約10倍」の高画質で楽しめる。試合の中継に加え、日刊のゴルフニュース番組「ゴルフセントラル」、プロ野球の試合結果やハイライトを解説していく「プロ野球ニュース2012」といったスポーツ情報番組も楽しめる。
スポーツ以外のジャンルではアニメも注目。人気アニメの続編「エウレカセブンAO」、DVDが60万枚をセールスしたという「化物語」の続編アニメ「偽物語」など、この春に話題のアニメもNOTTVでリアルタイムに楽しめるほか、米国ドラマ「アンダーカバー」、韓国ドラマ「神のクイズ」などのドラマも配信も予定。さらに話題作のドラマの第1話だけを放送する「一話一会」という試みも予定されている。
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番組を観ながらTwitterとFacebookに投稿可能
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充実したラインアップを用意するNOTTVだが、楽しみ方は単に「番組を見る」だけではない。スマートフォンならではの特徴を活かし、同じ番組を見ている他のユーザーとソーシャルメディアを通じてコミュニケーションできるようになっている。
NOTTVのアプリは、画面を横に傾けることでテレビのように全画面で番組を楽しむことができるほか、縦にすることで番組を見ながら感想を投稿することが可能。投稿はTwitterとFacebookに対応しており、投稿したコメントは番組の下に一覧で表示される。投稿内容には番組のURLやハッシュタグを入れることもできるので、NOTTVを見ているということを友達へ簡単に伝えることができる。
放送局として基幹放送事業者の認定も受けており、災害時の取り組みも行なう。地震の場合は震度5弱以上の緊急地震速報に対応するほか、災害時にはリアルタイム視聴やシフトタイム視聴を活用して、さまざまな災害関連番組や情報を提供するとしている。
気になるNOTTVの料金は、月額サービス利用料420円(税込)ですべての番組が見られるというシンプルな料金体系。スマートフォン向けにはすでにいくつもの有料動画配信サービスが提供されているが、そのほとんどが1コンテンツで数百円程度の値段であることを考えると、3チャンネルすべての番組をいつ見ても420円(税込)という料金体系は非常にリーズナブルだろう。それも映画やドラマだけでなく、NOTTVオリジナルの番組が多く放送される点は、他のサービスと一線を画す特徴と言える。
当面の放送エリアは、サービス開始当初こそ南関東・愛知・三重・大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・福岡・沖縄のみだが、5月には広島、7月には静岡・岡山と順次エリアを全国に拡大していく予定。対応機種も当初はスマートフォン型の「AQUOS PHONE SH-06D」、タブレット型の「MEDIAS TAB N-06D」2機種だが、NTTドコモは今後NOTTVに対応した機種を増やしていく予定だ。
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「AQUOS PHONE SH-06D」
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「MEDIAS TAB N-06D」
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これまでもスマートフォン向けの動画配信サービスは多く登場していたが、NOTTVは「放送局」として通信よりも安定かつ高画質な番組が視聴可能なことに加え、ライブ放送を中心としたオリジナル番組の充実、ソーシャル連動など、放送局の魅力を持ちながらも通信の特徴も兼ね備えた新しいスタイルの放送局と言える。NOTTVが「放送を楽しむ」というライフスタイルにどのような変化を与えるのか、今から4月1日の開局を楽しみにしたいところだ。
(甲斐 祐樹)
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