本年度大注目のNINJAアクション巨編
乱舞する剣術・炸裂する忍術 夜のTOKYO摩天楼を疾走せよ、ケン・オガワ!
NINJA BLADE
FROM SOFTWARE XBOX 360
 政治も経済もなんだか鬱積した感じの近頃、スカっとした、爽快なカタルシスを求めたくならないか。
 もし、そんな気分だったら、真っ先にお勧めしたいのがフロム・ソフトウェアのXbox 360専用ソフト「NINJA BLADE」だ。
 海外に誇れる日本の伝統ヒーロー(?)といえば侍(サムライ)と忍者(ニンジャ)。そのニンジャに、アメリカン風味(テイスト)が盛り込まれたスーパーヒーローが大暴れするアクション・アドベンチャーが、この「NINJA BLADE」なのだ。
 送り出すのはフロム・ソフトウェア! 開発は「O・TO・GI 〜御伽〜」、「METAL WOLF CHAOS」を手がけたチームが担当。Xbox専用ソフト開発に一家言あるOTOGIチームが開発ということで、もちろんXbox 360専用タイトルだ!
 そして、あえて、言っておかねばならないだろう。
 フロム・ソフトウェアにもよく問い合わせがあるそうなのだが、「Xbox 360専用」ときて「忍者」とくると、ある別のシリーズとの関連を勘ぐられてしまうそうなのだが、全く関係がなくNINJA BLADEは完全なる新シリーズだ。
 なので、あの某シリーズを知っている、知らないに関わらず楽しめる完全新作となっている。この点、誤解なきように。

NINJA BLADEとは? 〜日系アメリカ人ニンジャが東京で自信過剰気味に大暴れ!
「NINJA BLADE」の舞台は近未来の東京。大都会の摩天楼を舞台に怒濤のバトルアクションが展開される
 NINJA BLADEの時代設定は、なんと現代。それも今から、ほんの少し未来。舞台となるは忍者を生んだ東洋・神秘の国、日本(ジャパン)、それも摩天楼がそびえ立つ首都、東京(トーキョー)だ。

 事の発端は数年前に遡る。

 北アフリカのとある遺跡から新種の寄生虫が発見される。この寄生虫は宿主の遺伝子に浸食し、その宿主の遺伝特性を凶暴に進化させる恐るべき能力を持っていることが判明する。発見された土地「グラウンドアルファ」にちなんで「アルファ・ワーム」と名付けられたこの寄生虫は強力な感染力を持っており、被害は拡大の一途をたどる。感染率があまりにも拡大してしまった都市は、都市もろとも焼却して封鎖するしかない。これまでにも「核施設の事故」として処理され、都市ごと焼失した事件が起こっており、これは、実は、国連の命による核攻撃という「荒療治」の結果なのであった。

「アルファ・ワーム」は人間をはじめ、有機物から無機物まで、様々なものに寄生して襲いかかってくる 世界中で感染拡大するアルファ・ワーム。その魔の手はついに日本にまで伸びる これまでアルファ・ワームに汚染された土地は、核攻撃で消滅という末路。東京の運命やいかに?

 2015年8月、人口過密都市、東京でついに感染者が発見される。

 東京を特別視しない国連は、感染率が一定率を上回った場合には核攻撃を行うことを辞さない構えだ。残された時間はあとわずか。

 日本政府は、この危機的な状況に立ち向かえるのは、生まれながらにして"謎のアルファ・ワーム耐性能力"を持つニンジャ集団だけだと判断。かくして日本首相は、ニンジャ集団の頭領であり、国際災害対応機関 GUIDEのチェアマンの顔を持つカンベエ・オガワに出動を要請するのであった。

 …と、まぁ、事件の設定はハリウッド映画にありそうな分かりやすい設定。で、それでなんでニンジャなのか?…という疑問が湧くかもしれないが、そこはそれ、もう、あえて狙っているのである。

東京に出現したアルファ・ワームによって、街は阿鼻叫喚の渦へ。可憐な女子校生も感染されて… 対応を迫られ、おののく日本国首相。追い詰められた彼は、ある男たちを呼び寄せる…! 主人公ケン・オガワの父であり、ニンジャ集団の頭領であり、GUIDEのチェアマンであるカンベエ・オガワ

 ハリウッド映画でよくあるシチュエーションにあえてニンジャを持ってくる! …かつてケイン・コスギの父ショー・コスギがやっていたような、あのアメリカン・ニンジャ・ムービーを、21世紀で! Xbox 360で! シネマティック・ゲームで! やってしまおうというわけなのだ。

 プレイヤーが扮する主人公キャラクターは、前出のカンベエ・オガワの息子ケン・オガワ。日系アメリカ人のニンジャと言う設定。父とは日本語で話すが、普段は英語でしか話さないバイリンガルニンジャ。性格はニンジャらしくないのんびり屋さんで、しかもやや自信過剰気味。かっこつけたときには必ずハリウッド映画っぽいキザなセリフを吐き捨てるクセがある。

日系アメリカ人ニンジャ、ケン・オガワ。何時何時もスタイリッシュなナイスガイ TOKYOの非常事態に、GUIDEのニンジャ部隊に出動要請が下るのであった

 そしてケンの相棒のアンディ・ウォーカーは陽気な黒人(ブラザー)ニンジャ。東京壊滅の危機という状況下でもケンをソウルフルなジョークとともに導いてくれる。

 ライバルもいる。クロウ・サカモトは、ケンのチームメイトだが、虎視眈々とケンの足下をすくうことを狙っているイヤなやつ。「忍者ハットリくん」で言えば"ケムマキ君"的な存在の彼は、強大な力を追い求めるあまり…。あえて最後までいわないが、彼はアナタの期待は裏切らない道を選びます。

 そしてカメオ出演にしては重要な役割を果たすのがマイケル・ウィルソン。NINJA BLADEでは国際災害対応機関 GUIDEの創設者という役回りだが、フロム・ソフトウェアの人気作「METAL WOLF CHAOS」の主人公、マイケル・ウィルソン大統領の実の父なのだ。いちおうフロム・ソフトウェア・ユニバースで両作は繋がっている…と考えると楽しみが増すことだろう。

ニンジャ部隊のムードメーカー、アンディ・ウォーカー。ケンの親友であり、良き相棒だ ケンをライバル視するクロウ・サカモト。力におぼれる彼の選んだ道とは 国際災害対応機関 GUIDEの創設者であり、国連国際対策本部の長官、マイケル・ウィルソン

スタイリッシュに3本の剣を振りまわせ!
並み居る雑魚を蹴散らしながらボスのもとに進むのが基本スタイル。時にはFPSライクなシューティングの場面も登場する
 ゲームは、ステージクリア型で進める三人称視点のアクションゲームのスタイルになる。総ステージ数は全部で10。1ステージは、ボリュームたっぷりで、一般的なゲームで言うところの1ステージと比較するとかなり長め。初見だと1ステージあたり1時間から2時間はかかるので、かなりみっちりと楽しめるはず。

 プレイヤーは、主人公ニンジャのケン・オガワを操作し、アルファ・ワームの寄生で凶暴化しモンスターとなってしまった悲しき都民や様々な動植物達を安らかな眠りに眠りにつかせるため、斬って斬って斬りまくっていく。

 よくあるような「雑魚キャラを倒して進み、最後に待ちかまえるボスを倒す」という流れで"ない"のが、NINJA BLADEのゲームの流れとしての特徴となっている。

 ステージの序盤に強大なボスキャラ、あるいはそれに準ずる強敵の顔見せイベントがあって、プレイヤーにステージクリアのための目標や動機付けを明確にしている。

 ボスの顔見せのパターンであれば、こいつを倒すためにケン・オガワが超人的なアクションを駆使して後を追いかけていく…という進行スタイルになるのだ。ボスキャラは、ケン・オガワの追跡を逃れるために、あの手この手を使ってケンの行く先を妨害してくる。ある意味、雑魚キャラは、ボスキャラの武器、ボスキャラが逃げおおせるための捨て駒というイメージだ。

手を変え品を変え、攻撃してくるアルファ・ワーム。対抗するには、こちらも相応の手段が必要となる
 モンスター達は、アルファ・ワームに寄生された「感染体」と呼ばれており、その宿主の凶暴性の強化レベルに応じて「レベル分け」がなされている。しかも低いレベルの感染体は、より高レベルの感染体を守るような本能があるようだ。アルファ・ワームは、アリやハチのような個よりも群を優先する社会性昆虫のような行動原理があるのかもしれない。

 その証拠に、ボスを逃がすためには自爆攻撃も辞さない勢いで、執拗に我らの日系アメリカン・ニンジャに立ちはだかってくる。

 プレイヤーは、逃げるボスを追いかけなければならない焦燥感と、東京がピンチであるという危機感を抱きながら、必死にプレイすることになるわけだが、主役となる、このアメリカン・ニンジャ青年は常に余裕の表情でカッコ付けまくりで、プレイヤー心理とのギャップ感もNINJA BLADEの楽しみどころであり、笑いどころだ。

 プレイ中、「その、かっこいいアクションは、オレが必死で操作して決めたんだぞ」と常に突っ込みたくなること請け合い。

 さて、主人公のアクションだが、ニンジャということで、主となる攻撃は剣によるものとなる。

 ケン・オガワが所持している剣は3種類。3本の刀は背中に背負っており、それぞれを状況や敵の種類に応じてリアルタイムに切り換えて敵を斬り払っていくことになる。

3種の刀で敵をたたっ斬る! ケン・オガワの華麗かつスタイリッシュな剣術は見惚れること請け合い 敵を倒して得られる「強化結晶」を貯めることで武器をレベルアップすることが可能。レベルが増すごとに使用できる武器スキルも増えていく

 メイン武器であり、最も使用頻度が高くなるのが、攻撃力とスピードのバランスに優れた「断鬼の太刀」だ。連続技を発動すればのけぞり状態にして固めつつ多量のダメージを与えられるため、攻撃力のある中ボスにも有効で、あらゆる局面で万能に使える一刀だ。舞い踊るようにして敵を切り裂いていくケン・オガワのスタイリッシュ・コンボを見たければこの剣を極めるべし。

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華麗な剣舞を決められる「断鬼の大刀」

 2本目は堅い敵の装甲を打ち砕くのに有効な「破岩の大剣」だ。一部の盾や甲羅を携えた雑魚や、弱点部位を殻で覆うボスなどには、通常攻撃では歯が立たない。そうした装甲の厚い敵に対しては、まず、この剣の攻撃で、外側の装甲を外して弱点を露出させてから、ダメージを与える必要がある。この大剣はただ振りまわすだけでも攻撃力がでかいが、その分、大振りでモーションも遅めになるので戦略的に使わないと逆にピンチになることも。なお、ステージ上の崩れかけた壁や扉などはこの大剣のみでこじ開けられるシステムになっており、シナリオを進行させるのに必要不可欠な剣でもある。

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鉄塊のように巨大な「破岩の大剣」をぶんまわして活路を開く

 3本目は、伸縮自在なワイヤーを内蔵したムチのような二刀流の剣が「飛燕の双剣」だ。攻撃力は三刀のうち一番低いが、その攻撃範囲は最も広く、空中にも攻撃が及ぶほど。雑魚敵に囲まれたときの回避手段として、または空中を飛ぶ敵を撃ち落とす手段として使うのがメインの使い道となるが、ステルス能力を持った見えにくい敵をあぶり出す手段としても使える。敵の飛び道具を跳ね返すのを一番やりやすいのもこの飛燕の双剣だ。さらに、この伸縮自在なワイヤー機能を活用して、ステージ中の特定の場所に引っかけてのスイング移動能力もある。ステージ進行で行き詰まった時、この剣に持ち換えると思わぬところへ飛び渡れたりするのだ。

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二刀流の小刀として、あるいは伸縮自在のワイヤーカッターとして使用する「飛燕の双剣」

ニンジュツパワーを封じ込めた大型手裏剣を投げて活路を見出せ!
 そして忍者と言えば、飛び道具「手裏剣」を抜きにしては語れないだろう。

 手裏剣と言えば普通は懐に忍ばせていて、ササっと投げるイメージがあるが、アメリカン・ニンジャ青年ケン・オガワの手裏剣は背中に背負えるほど大型のもので、投げるというよりは円盤投げのような感じで放り投げるというイメージ。しかも、ブーメランのように手元に戻ってくるリモコン型のスーパーハイテク手裏剣となっている。

 さらにいうならば、前出の三本の剣は、この背中の手裏剣の台座に突き刺されており、この合理的かつ斬新なニンジャコスチュームのデザインはさすがは日系アメリカン・ニンジャならでは、といったところか。

 さて、前述したように、NINJA BLADEでは、主たる敵への攻撃手段は剣なので、手裏剣攻撃は補助的なものではある。しかし、このハイテク手裏剣はゲーム進行を左右する重要なアイテムなのだ。

 ケン・オガワの手裏剣はただ放り投げて打撃による物理的なエネルギーで敵にダメージを与えるのではなく、手裏剣にニンジュツパワーを封じ込めてから投げることで、そのニンジュツパワーを手裏剣の軌道で開放することができるようになっている。そして、ステージ進行上、このニンジュツパワーを封じ込めた手裏剣を用いなければ進めない局面が数多く存在するのである。

 登場するニンジュツパワーは「風」「炎」「雷」の3つ。

 風パワーは広範囲に衝撃波を発揮し、広範囲攻撃が可能だけでなく、炎を消し去る副次能力を持っている。敵の攻撃には火を放つものもいて、ひとたび放たれた炎の場所には踏み入れなくなってしまうので、この「風」ニンジュツパワーの手裏剣が役に立つ。それだけでなく、飛燕の双剣のように広範囲攻撃やステルス敵のあぶり出しにも使え、さらに、崩れかけた壁に狙って投げることで壁に埋もれた足場を出現させたりもできる。ビジュアル的な演出面では派手さはないが使い勝手はかなりいいのだ。

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「疾風手裏剣」で進むべき道を切り開け!

 炎パワーは風とは逆に炎をまき散らす属性を持ち、植物系の敵や障害物を焼き払うのに重宝する。また、可燃性のオブジェクトがあるところに投げ込めば誘爆を誘発して敵を爆発に巻き込む…なんていう知的な間接攻撃も可能。植物性の敵の中には、この炎パワーで火を付ければ燃え続けて、暗いシーンを明るく照らす「明かり」の役割を果たしてくれることもある。

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「火炎手裏剣」で敵や障害物をなぎ払え!

 雷パワーはそれ自体の攻撃力は小さいが、敵を痺れさせて一定時間、動きを封じることに使える。一番、直接的な使い方なのは、痺れさせた敵に一気に近づいて連続技を決めて倒すという方法。また、現実世界における「水は電気を通す」の法則は、NINJA BLADEワールドにも有効であり、水たまりに雷手裏剣を投げることで水面に触れている敵をまとめて痺れさせることが可能となっている。離れた位置にいる飛び道具を使う敵の攻撃のせいで一方的に攻撃を喰らってトラップが解除できない、あるいはジャンプして向こう岸に渡れない…というときにもこの雷手裏剣は有効だ。これを投げて敵を痺れさせ、一定時間攻撃を沈黙させ、その隙にトラップ対処に従事するのだ。手裏剣はパズルの解法の一手段として裏技的、戦略的な活用もできるのだ。

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電気ビリビリ「雷撃手裏剣」で突破口を作ろう

なお、ニンジュツパワーの手裏剣への封じ込めには、黄色い体力ゲージの下の青紫のニンジュツゲージを消費する。ニンジュツゲージは時間と共に回復するが、チャージ量が少ないと手裏剣を投げることができない。便利だからと言って無計画に使っているといざというときに使えなくなってしまうので注意したい。

残像ダッシュ、壁走りで華麗に舞い、ニンジャビジョンで攻略の突破口を見出せ!
 ニンジュツパワーは手裏剣だけでなく、ニンジャビジョンと呼ばれる「驚異の透視術」の発動時にも消費される。

 ニンジャビジョンを発動すると暗視スコープのような視界になって自分以外の行動がゆっくりになる、いわゆるバレットタイムモードへと突入する。敵に取り囲まれたときや、なかなか隙を見せないボス戦などで発動すると、より多くの攻撃をお見舞いできるようになる。

 また、ニンジャビジョンにはバレットタイムモードに突入するだけでなく、ステージに隠された攻略ポイントやボスの弱点を暴く能力も持っている。例えば、そのままではどうしても行き止まりで先に進めないときに使えば、プレイヤーがインタラクトできるステージ内オブジェクト(アイテムが隠されている場所、駆け上がれる壁など)を青で表示してくれるし、また、ステルス敵の姿の可視化もしてくれちゃう。

 便利で強力なニンジャビジョン。常に使い続けていたいくらいだが、前述したように、手裏剣と同じニンジュツパワーを消費するので、手裏剣とニンジャビジョンの使用バランスを考えてゲームを進める必要がある。乱暴に使っているとあっという間にニンジュツパワーゲージがゼロになってしまうので注意したい。

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「ニンジャビジョン」を使えば、敵の攻撃をシュバッとかわしたり、不可視の敵を発見することもできる

 さて、日系アメリカン・ニンジャは、ハリウッドアクション映画に見られる「ワイヤーアクション」的なアクロバッティックな動きも行える。

 最も基本的なニンジャアクションとなるのが、残像付き高速ダッシュ。これは、分身の残像を残しながら瞬間的に猛烈なダッシュを決めるもので、ニンジュツパワーの消費は無し。だから使いまくりOKだ。

 使い時は、こちらを的確に狙ってくるホーミング攻撃を回避する時など。実戦だと意外に難しいのだが、コツは、敵のホーミング攻撃の発動を関知したら、タイミング良く引きつけてからダッシュを発動すること。これがスッスッと決まると、実にニンジャっぽくて格好いいし自分のプレイに酔えるはず。

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緑の残像を浮かび上がらせてダッシュ。敵に素早く接近して仕留めよう

 このダッシュの発展形が壁走りで、ダッシュのまま壁に衝突すると、そのまま壁を足場にして走ることが出来てしまう。足場が途切れている場所でも、側面に壁さえあればダッシュからの壁走りに切り換えて進めてしまうのだ。ただし、失敗すると、そのまま落下、即死。だから、プレイ始めて間もない最初のうちは、敵の攻撃を喰らうよりもスリリングな体験となるだろう。

 壁走りからジャンプを行うことで三角飛びで壁を駆け上がったり、あるいは対面する壁を交互に飛び渡る…と言った高度な壁走りアクションも可能になる。壁走りからのジャンプ連携アクションでも分身残像が出現するので、決まるとこれまたカッコがいい。

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忍者といえば、壁走り&三角飛びははずせない

クイックタイムイベントでスタイリッシュに敵を"殺"!!
 NINJA BLADEにおける日系アメリカン・ニンジャのアクションはどれもカッコがいいのだが、ここまでで述べたニンジャアクションは、プレイヤーがうまくプレイできて初めて「カッコ」が決まる。いわばプレイヤー自身発信のかっこよさであり、また、ゲームシステム内での行動による「カッコよさ」なので、"カッコ"パターンはプレイヤーの技量範囲内に制限されてしまう。

 そこで、NINJA BLADEでは、プレイヤーのスキル、ゲーム基本システムまでをも大きく超えた、超ダイナミックなカッコイイ・アクションを決められるように、それでいてしっかり"ゲームとして遊べる"ような新システムを導入している。

 それが「クイックタイム・イベント」だ。

 このクイックタイムイベントは、ゲームを進行させていると、突然に、それでいて、ゲーム進行を阻害することなくスムーズに開始される。

 イメージとしては、他のゲームでいうところの、要所要所で挿入されるイベントムービーシーンに近いが、通常プレイ状態からリアルタイム3Dグラフィックスのままシームレスにカメラアングルが代わり、映画的なカメラ演出でゲームが進行し続けるのだ。

このカットインが入ると「クイックタイムイベント」の合図! 操作に備えよう
 この時、プレイヤーの操作とは関係無しに、ケン・オガワは格好いいアクションを決めようとするのだが、その時に画面に特定のボタンやレバー操作が指示される。プレイヤーはすかさず、この指示通りに素早くかつ的確に入力する必要があり、これが成功して始めてケン・オガワのアクションが発動する。

 唐突に始まるとはいえ、プレイヤーの入力を求めるときには、かならず、ケン・オガワの目元がアップになって「シャキーン」という威勢のいい効果音に合わせて眼光が光輝くので、これがクイックタイムイベント開始の合図となる。

 要求されるボタン操作は、攻撃ならば攻撃に関連したボタン、移動ならば移動に関連したレバー操作が求められるので、うまく指示通りにこなせると、本当にアクション映画の中のヒーローを自分で操作しているような気分になれる。ゲーム後半ではボタン連打や同時押しのようなトリッキーな操作も要求されることもあるので、ある意味、画面とコントローラーを用いたモグラ叩きゲームみたいな様相を呈してくるのだが、それはそれでミニゲームチックで面白い。

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タイミング良くボタンをプッシュ! 成功すれば、ケン・オガワがスタイリッシュなアクションを決めてくれる

 万が一、指示通りの操作ができなかった場合は、いくつかの種類のペナルティ(?)が科せられる。

 軽いペナルティは、その失敗したボタン操作の分だけ、シーンがビデオの逆送りみたいに巻戻って再開…となるパターン。

 重いペナルティは、そのクイックタイムイベント全体を最初からやり直させられるパターン。ボスへのトドメを指すときには長いクイックタイムイベントが挿入されることが多いのだが、最後の一刀両断の指示操作で失敗すると、ボスへのトドメを指す最初のシーンまで戻されてしまう。こうしたヘビーペナルティのクイックタイムイベントは相当、集中しないとクリアが難しい。単なるボタン押しミニゲームと思ってなめてかかると痛い目を見るのだ。

 また、失敗しても巻き戻されずに、クイックタイムイベントの成功の可否でゲーム展開が分岐していくステージもある。これは、「あの時あそこで成功したらどうなったんだろう…」という意味合いでの"ゲームとしてのやり込み度"を引き上げてくれる要素になっている。

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クイックタイムイベントは失敗しても即ゲームオーバー、というわけではないが、ペナルティは科せられる場合がある

どこまで本気? ギャグと紙一重のド迫力アクション演出!
 NINJA BLADEは「海外市場で通じる日本発のアクションゲーム」というコンセプトで開発プロジェクトが立ち上がったそうで、そのため、海外の人が、日本を"濃い口"でおもしろおかしく楽しめるように、と、やや過剰なまでの演出やパロディが数多く盛り込まれている。言葉では言い表しにくいが、なんというか、「演出センスの逆輸入感」のようなものがあって、それが「一種独特の笑い」を生み出してくれているのである。この笑いのツボにはまると、もう、次はどんな演出が待っているんだろう、とゲーム本編とは違うところにもワクワク感を抱くようになってしまう。

 特に際だっているのが、ゲームが進めば進むほど調子を上げてくる日系アメリカン・ニンジャ、ケン・オガワの悪のり(?)カッコつけアクションだ。

我らがケン・オガワの序盤での登場シーン。本場アメリカでは最高にCOOLなライディングスタイル…なのか?
 国際災害対応機関のヘリで出撃する際、普通にヘリに搭乗していればいいものを、なぜかヘリに逆さ吊り状態で張り付いて飛び立つ。無重力でもないのに天地逆転でヘリに搭乗(?)するケン・オガワの奇行にびっくりするかもしれないが、これで驚いていては身が持たない。

 なんと投げられた手裏剣に自らを乗せ、これをあたかもスケボーのように乗りこなして敵をなぎ倒すという、ファンキーなクイックタイムイベントを披露する。筆者は思わず「うそーん」と叫んでしまった。

 主人公のケン・オガワ、相当なボード好きらしく、さらに後のステージでは敵が発射した誘導ミサイルに飛び乗って、これまたスケボーみたいに乗りこなして、ミサイルを発射した敵機自身へ導いて衝突させてしまう。そう、これもクイックタイムイベントで描かれるのだ。ミサイルをスケボーライクに乗りこなした忍者は、たぶん、ゲーム史的に見ても、ケン・オガワが最初だろう。

 この他にも、建物破砕用のクレーンの巨大鉄球をボス敵に落として、押しつぶそうというクイックタイムイベントにて、その鉄球をケン・オガワはイチロー選手のヒッティングポーズで鉄球をかっ飛ばすし、巨大なボスにトドメを指す際に、室伏選手のハンマー投げ競技のような回転投げで吹っ飛ばし「ウォー」と叫ぶことも…。ケン・オガワ自身は、かなりのスポーツファンのようだ。

愛用の手裏剣に飛び乗り空中滑空するケン・オガワ。鋭い刃で敵を切り裂くぞ! 空中で華麗なトリックを決めるアメリカン・ニンジャ。乗っているのはミサイルなんですが イチローのバッティングポーズで身の丈を越える鉄球を打ち返したりもする。それにしてもこの男、ノリノリである


 ここに紹介したのはほんの一部。

 ゲームの舞台が東京なので、東京ならではのロケーションを活かした「ネタ」も満載だ。六本木ヒルズは出てくるし、なんとあの東京タワーは…おっと、それ以上は言ってはいけないらしい。

 NINJA BLADEはゲームとしては、とてもまじめな硬派なアクションゲームだが、このクイックタイムイベントを中心としたアクション演出だけは「ケン・オガワの凄さを笑って称えてください」という方向性で作られている。

 スカっとするアクションゲームのプレイ部分だけでなく、ゲラゲラと爽快に不況を笑い飛ばせるゲームをプレイしたい人にも、NINJA BLADEはお勧めしたい。

(トライゼット西川善司)