三脚にも設置できる「ViewLight NP-L50WJD」の実力をチェック

重さ1.2kgのコンパクトLEDプロジェクターがNECから登場!

 薄型テレビ、HDDレコーダー、動画撮影対応一眼レフカメラ、スマートフォンなどの最新デジタル機器を日常的に使いこなす皆さんにとって、「プロジェクター」とはどんな機器だろうか?

 社会人や大学生の方であれば、会議やゼミの場でプレゼンテーション資料を写し出す道具を思い浮かべるかも知れない。しかし近年は低価格化や機器としての扱いやすさが向上したことを背景に、ブルーレイの映画、テレビゲームの画面、デジカメやビデオカメラで撮影した家族旅行の思い出を60〜80インチ級の大画面で楽しむ用途にも、低価格かつ手軽なプロジェクターが積極的に利用されている。いまや「プロジェクターは自宅で余暇を過ごすときに使うもの」とお考えの人も少なくないだろう。

 そんなプロジェクターに、新たな技術革新の波が訪れている。LED光源の登場だ。低消費電力で寿命が長く、ランプ交換の手間も無い。加えて、プロジェクターの小型化にも寄与すると考えられる。オフィス、リビングどちらのニーズをも満たす技術として、LED光源は今まさに勃興期を迎えている。

 そして、NECから初のLEDプロジェクター「ViewLight NP-L50WJD」がついに発表された。重量1.2kgという小型ボディながら、LED光源を採用したプロジェクターとしてはトップクラスの明るさ500ルーメンを実現。ビジネス用プロジェクターとしての基本性能を確保しつつも、家庭用機器としての使い勝手を多分に意識した意欲的なモデルとなっている。7万円台という価格も大きな魅力だ。

 開発は「ViewLight」シリーズのプロジェクターや液晶ディスプレイ「MultiSync」シリーズなどで知られるNECディスプレイソリューションズ株式会社。PC用映像表示機器のトップメーカーである同社が作り出した新カテゴリー製品の実力を、本稿ではじっくりとチェックしていこう。

前代未聞!? 三脚に設定できちゃう業務・ホーム両対応プロジェクター

NECディスプレイソリューションズの「NP-L50WJD」。ピアノブラック仕上げを施した美しい外観が特徴だ

 「ViewLight NP-L50WJD」は、NECディスプレイソリューションズが9月1日に発表したプロジェクター。その最大の特徴は、なんといっても「LEDプロジェクター」である点に尽きる。一般的なプロジェクターは画面を映し出すための光源として水銀ランプを利用するが、「NP-L50WJD」には低消費電力でおなじみのLEDが使われている。より具体的には、RGBの各色ごとにひとつずつ、計3つの専用LED光源が搭載されている。

 さらに、「NP-L50WJD」ではLEDプロジェクターとしてはトップクラスの明るさとなる500ルーメンを実現した。先行して市場に流通しているLEDプロジェクターは100〜300ルーメン。投写画面の明るさがこれらを大きく上回るため、より幅広いシチュエーションで利用することができる。

 また、LEDの採用による直接的なメリットには、長寿命化がある。プロジェクターのランプは通常3000〜5000時間程度の使用で交換しなければならない。これに対し「NP-L50WJD」は、LED光源の寿命の目安を約2万時間としている。一般的な交換用ランプは2〜3万円程度するため、直接的なコスト負担も低減できるが、交換作業の手間そのものを減らす効果もある。

 光源に関連した特性としては、色域の広さも挙げられる。おもに色調表現の正確さの指標として使われるAdobe RGB比は98%を達成(Adobe RGBモード時。面積比98%、カバー率90%)。Adobe RGB対応ソースをより正確に、鮮やかに再現できるというわけだ。さらに2500対1にもおよぶコントラスト性能は、投写画像の美しさにも寄与している。

 また、HDMI端子を搭載しているので、ブルーレイ再生機、テレビゲーム機、デジカメなどさまざまな機器を接続できる。表示解像度はWXGA相当。いわゆるHD画質での映像投写が可能だ。

カメラ用三脚に取り付ければ、高さや角度の調整も自在に行える

 早速、実際の製品の利用感をチェックしていこう。まずは設置だ。レンズ下の部分にスクリュー式のチルトスタンドがあるので、これを回して角度を調整する。机の上に置く場合はこれで十分だが、スペースの広さや家具の死角(例えばソファの頭の部分)などの問題で、上手く映像を投写できない場合もあるだろう。そんなときは是非、手持ちの三脚を活用してみてほしい。

 実は「NP-L50WJD」には、底面にVESA規格のカメラ用三脚穴が備えられている。加えて、本体重量も1.2kgと一眼レフカメラ並みのため、三脚上に十分設置できてしまうのだ。ビデオや写真撮影が趣味の人であれば、この規格に対応した三脚はすでにお持ちのはず。例えば、プロジェクターを設置する台がそもそもない場所でも、三脚さえあれば設置角や高さを自由に調整できる。一般的なプロジェクターには真似できない、「NP-L50WJD」ならではの特徴だ。

 レンズは固定焦点式で、ズームはできない。フォーカスも本体正面のレバーで手動調整する。とはいえ投写映像の台形補正は自動で行われるため、セットアップの手間は意外なほど少ないと感じた。

 「NP-L50WJD」側の操作手順は実にシンプル。そもそも、本体には電源ボタンと入力切り換えボタンしかない。また「クイックスタート」に対応しているため、電源ボタン操作から実際に入力切り換えができるようになるまでの時間が高速化されている。環境にもよるだろうが、実測した限りでは2〜3秒で映像の投写が始まり、そこからさらに約14〜15秒程度経過すれば入力切り換えが可能になるようだ。

フォーカス調整は手動レバー式

本体の操作は、付属の
リモコンでほぼすべて行う

本体側のボタンは電源と入力切り換えのみ。
PCと接続する際は、この操作だけで事足りる

LED光源で500ルーメンを実現、光沢感抜群のピアノブラック仕上げにも注目

 「NP-L50WJD」のプロジェクターとしての基本スペックも改めて見ていこう。まずは外見だ。デザインが非常に独特で、中でも美しいピアノブラック仕上げが目を引く。オフィス用プロジェクターは白系を基調とすることが暗黙の了解となっているが、リビングでの使用を考えた場合はやはり黒系のほうが馴染む。「NP-L50WJD」がホームユースを意識している証拠とも言い換えられるだろう。表面にはUV塗装が施されている。

 外形寸法は226×174.4×43mm(幅×奥行×高さ)。特殊判型の大型ハードカバー書籍1冊分程度、という表現が適切だろうか。プロジェクターとしては、他の一般的な製品と比較して二回りはコンパクトと言える。このサイズ感の実現も、LED光源の採用による間接的なメリットなのだろう。また、全体的に突起部分が少ないため、非常にすっきりとしている点も魅力だ。

投写画面の十分な明るさを確保しつつ、
高さ(厚さ)43mmの薄型ボディを実現

下に敷いたA4用紙とのサイズ比較。
非常にコンパクトであることがわかる

さらに電源が内蔵式のため、取り
回しが良いのも魅力。電源コード
周りがスッキリとするのも嬉しい

スライド式のレンズカバー。収納時にレンズの傷付き防止にもなる

付属ケースに収納したところ

ケースの内側には、リモコン
収納用のポケットも付いている



 重さは1.2kgとなっている。ただ、「NP-L50WJD」は小型プロジェクターながら電源を内蔵している。本体そのものが小さくても、ACアダプターが巨大となっては効果も相殺されがち。特に、プロジェクターを頻繁に持ち運ぶ場合は、隠れたメリットになるだろう。ちなみに、ランプ式のスタンダードなプロジェクターは2〜3kg前後であることが多い。

 もう1つ、プロジェクターのスペックシートを見る上で重要になるのが明るさ(輝度)。この数値が高ければ高いほど、明るい室内でも鮮明に映像を投写できる訳だが、「NP-L50WJD」は500ルーメンとなっている。

 繰り返しになるが、現在市販されているLED方式のプロジェクターは100〜300ルーメンであることが多い。画面の明るさは、プロジェクターの中でも最重要スペックと言える部分だけに、200ルーメン以上の差は大きなアドバンテージと言える。

 LEDプロジェクターを既存のランプ式プロジェクターと比較する場合は、消費電力にも目を向けたい。「NP-L50WJD」はエコモード時の消費電力が75Wだが、3000ルーメン級のプロジェクターともなると300Wを超えてしまう。つまり、明るければ明るいほど、消費電力も比例して高くなる。節電が叫ばれる昨今だけに、気にする人も多そうだ。

 このように「NP-L50WJD」は、明るさ、本体サイズ、消費電力をはじめとした各仕様のベストバランスを重視した製品に仕上がっている。照明を暗くした室内でさえあれば、一般的なリビングはもちろん、十数人収容可能な会議室でも運用できるだろう。

 「NP-L50WJD」はLEDプロジェクターだが、他のランプ式プロジェクター同様、廃熱は行われる。本体天面からレンズを上側にして見た場合、右側面に向けて排気される。また、下面(VGA端子類のある側)に向けても多少の熱を逃がしているようだ。

 ただ、排気部に手をかざすと暖かい風が出ていること自体は分かるが、その到達距離が比較的短い印象はある(およそ40〜50cmだろうか)。2m四方のビジネス机の中心部に置けるようであれば、どの席も温風の直撃を心配する必要はない。

 排熱に連動する形で、内蔵ファンも常時回転している。ファンの動作モードは「自動」もしくは「高速」の2種類から選択できる。「高速」のほうが当然ファンの回転音は大きくなるが、オフィス使用が中心であれば、それほど気にならないとは思う。ただ、自宅での映画鑑賞用途を行うときは「自動」がオススメだ。また、画面の明るさが50%になる代わりに消費電力も抑えられる「エコモード」をオンにすると、回転音は劇的に低減する。状況に応じて選択しよう。

 プロジェクターの使用を終了するときは、まず電源ボタンを1度プッシュ。すると画面上に確認メッセージが出るのでもう1度プッシュすれば、ほぼ瞬時に動作が停止する。かつてのプロジェクターのように、ランプのクールダウンを待つ必要はない。電源をオフにすればすぐ片付けを始められる。

USB接続で映像を投写できる 「USBディスプレイ機能」を搭載

 また、電源スイッチによる正常な終了操作ができなかった場合、例えば急に停電したり、電源コードに足を引っかけて不意にオフになったとしても「ダイレクトパワーオフ」機構を搭載しているので、電源断による故障の心配はほぼない。

 ビジネス用途でのプロジェクター利用が中心の人は、「USBディスプレイ」という機能も覚えておいてほしい。これはPCと「NP-L50WJD」を、VGAケーブルではなくUSBケーブルで接続するという機能だ。初めて接続する時には専用ソフトウェアが自動的にインストールされる。2回目からはその必要がなく、より簡単に投写できる。また、接続に使うケーブルは、ごく一般的なUSB(A)−mini USB(B)ケーブルで、製品パッケージにも1本同梱されている。とにかく気軽に利用できる機能なので、1度は試してみてほしい。

Adobe RGB比98%、色彩はバツグン

 実際に映像を投写してみて驚かされるのが、その色彩の豊かさ。自然光をブラインドで遮った収容人数4〜5名程度のミーティングスペースで、約1.5m先の壁面へ風景写真を映し出してみたのだが、赤や緑の発色が一際鮮やかだった点が印象に残った。

 この理由となるのが「Adobe RGB面積比98%、カバー率90%(Adobe RGBモード時)」というスペックだ。デジタル一眼レフカメラはAdobe RGBに対応するケースが多い。これらの機器で撮影した画像をより正確な色味で表示するためには、出力機器側でAdobe RGBをサポートしているか、そしてカバー率はどの程度か、ということが重要になる。

 本格的なカメラファンともなれば、撮影にあたって色彩へのこだわりは並々ならぬものがあるだろう。また、そうやって撮影した写真を仲間や知人に大画面で披露したいという思いもあるはず。その点においても、「NP-L50WJD」がいかに本格カメラファンに適した製品であるかが分かるだろう。

 また、500ルーメンという明るさも、画面の鮮やかさを左右するポイントだろう。これがLED効果なのか、輝度の高さはスペック値よりもさらに高いレベルにあるように感じられる。特に、ほぼ完全に外光を遮断できる部屋で、照明を完全に消した状態での見栄えは素晴らしいものがある。撮り貯めた写真を自宅で夜間に楽しむ場合などに、「NP-L50WJD」ではその実力をもっとも発揮できるのではないだろうか。

 もちろん、Windowsのデスクトップや白背景のPDFファイルなどを表示しても視認性は十分。スクリーンではなく、ごく普通のグレーがかった壁へ投写したにも関わらず、写真も書類もほぼ不満のないレベルで投写できた。一般的な会議室でも、室内照明を暗くすれば、さらに見やすさが向上するだろう。

 「NP-L50WJD」を試用する機会があるならば、ぜひ「ピクチャーモード」設定による色味の変化をチェックしてみてほしい。「プレゼンテーション」や「ビデオ」と並んで、「sRGB」「Adobe RGB」といった設定値が用意されている。これを変更することで見え方が大幅に変化するはずだ。

暗い室内で、実際にPDFファイル
を投写した場面。視認性は十分だ

実際の壁面に投写した風景写真。
色彩豊かな画像の表示も問題ない

ピクチャーモードから「sRGB」や
「Adobe RGB」を選択できる

デジカメ撮影を趣味としている人なら、Adobe RGBカバー率90%というスペックにも注目だ

SDカードスロット&1GBメモリ内蔵、PCレスでも真価を発揮

 そして「NP-L50WJD」で注目したいのが、USBメモリ接続用のUSBポートとSDカードスロットを内蔵している点だ。これらを活用することで、そもそもPCを用意することなく、プロジェクターを利用することができてしまう。

 使い方は、PCやゲーム機の操作に慣れている人であれば難しい部分はほとんどない。「NP-L50WJD」の電源を入れて特に何も操作をしないでいると、まずはメインメニューにあたる「Media Center」が表示される。ここからリモコン操作でUSBポートやSDカードを選べば、メモリ内に保存した画像や動画を再生できるというわけだ。

SDカードスロットを内蔵。つまり、デジカメで撮影した写真を、PCレスで大画面投写できる

写真や音楽の再生操作は「Media Center」から行う。この画面は、PCをつないでいなくても表示される

接続したストレージの内容は、リモコン操作で閲覧する。プレビューのほか、フォルダ単位での管理にも対応

 再生可能なファイル形式は画像系がJPGとBMP、音楽・音声系もWAV、MP3、WMAと非常に幅広い。動画についてもAVI、MOV、MPG、MP4、WMV、MKVを基本に、モーションJPEGやMPEG2、MPEG4(H.264、AAC)、Windows Media Video(VC-1)までサポートしている。

 再生時の操作応答性も、十分実用的なものだ。リモコンの上下左右ボタンを押せばファイルを次々と連続表示させられるし、音声付きのスライドショーも可能。デジカメ画像と「NP-L50WJD」の相性は、すこぶる良いと言えるだろう。音声や映像の再生時は早送り・巻き戻しもできる。

USBメモリも接続可能。文書ファイルを「オフィスリーダー」機能で投写する場合にも便利そうだ

 一方、ビジネスユースを想定している人には「オフィスリーダー」機能が便利そうだ。MicrosoftのWord、Excel、PowerPoint(いずれも97/2000/XP/2003/2007に対応)形式ファイルおよびPDFを直接開くことができる。操作方法も、写真再生とほぼ同じだ。

 このほか、「NP-L50WJD」では1GBのフラッシュメモリを本体に内蔵しており、ストレージデバイスとしても使える。もちろん、この領域に画像や音楽を保存しておき、それを投写することが可能。やはりPCとUSBケーブルで接続してファイルを転送する格好になるが、軽さが魅力のプロジェクターだけに、PCのそばへの持ち運びも難なく行えるだろう。

映像にも強い! DLP方式なら高コントラスト&低遅延

背面端子類

 VGA以外の入力端子も豊富だ。HDMI(Ver.1.3)はHDCPに対応しているので、ブルーレイなどの映像ソースも問題なく再生できる。もちろんゲーム機も同様に接続可能だ。モノラルスピーカー(2W)も内蔵しているので、ちょっとした音源の確認にも使える。このほかコンポジットビデオ(RCA)端子、オーディオミニジャックも搭載する。

 これだけ端子が豊富だと、PCでプレゼン資料を投写しているだけではもったいない。やはり、ブルーレイ、ゲームなどの映像ソースを大画面表示したくなるのではないだろうか? この点においても、「NP-L50WJD」にはメリットが多い。そのために、まず映像の投写方式をご説明しておこう。

 「NP-L50WJD」では、映像の投写方式に「DLP」を採用している。100万枚を越える極小ミラーが光のON/OFFを繰り返すという構造で、画素数は103万9680画素に達し、これがWXGAに相当するわけだ。液晶方式のプロジェクターとは根本的に仕組みが異なる。

 さて、このDLP方式は、液晶方式のプロジェクターと比較して、高コントラストかつ低遅延という構造的な特徴を備えている。Adobe RGB対応による色再現性、そして高コントラスト表示性能が相まって、映像をより鮮やかに楽しめるというわけだ。

 また、ゲームファンにとっては低遅延である点が非常に大きなポイントになる。コントローラーから入力した操作内容が、CPUやグラフィックチップの処理を経てゲーム画面へ実際に反映されるまでの時間は、短ければ短いだけよい。ゲームは1/60ないし1/30秒単位という非常に短いサイクルで画面や入力処理を行うため、操作した内容の反映が遅いと、格闘ゲームで出したつもりのパンチが遅れて出て対戦に負けてしまったり、レーシングゲームでもハンドル操作に違和感を感じることがあるからだ。つまりゲーム用の映像表示デバイスは低遅延であることが絶対条件と言える。

 その点、DLP方式を採用する「NP-L50WJD」ならば、60インチ級の大画面投写をしながら低遅延でゲームを楽しむことができる。1台のプロジェクターで、会議室だけでなく、家庭でも快適に使えることが、ここからも分かるだろう。

小型・軽量プロジェクターならではの新しい使い道も? 〜初回出荷分にはマンフロット製ミニ三脚も添付

軽量・コンパクトの「NP-L50WJD」なら、これまでにない新しいプロジェクター活用スタイルを生み出すことも可能だろう


三脚に設置できるのも魅力。手持ちの三脚が1つあれば、プロジェクターの設置に適した机や台がない場所でも、「NP-L50WJD」は実力を発揮できる。さらに内蔵1GBメモリを活用すれば、SDカードなどの外付けストレージなしでも利用できる


 LED光源を採用した「NP-L50WJD」は、小型三脚に載せられるほどのコンパクトさ・軽さによって、従来にないプロジェクター活用スタイルを産み出そうとしている。例えば家族旅行や合宿の際、宿泊先の個室や広間の壁を簡易スクリーンにして、撮影したばかりの写真を80インチ級の大画面で楽しむことも決して難しくない。さらに机や台がない場所でも、三脚さえ使えばプロジェクターの設置角度・高さを自由自在に調整できる。

 個人的な印象としては、軽く、扱いやすくなったことで、「NP-L50WJD」単体で写真や動画を再生できるビューワ機能の利便性がさらに高まったように思う。特に、デジカメの撮影データが詰まったSDカードを挿すだけで、ノートPCを用意することなく写真を投写できる体験はかなり新鮮だった。

 また、LEDプロジェクターは生まれて間もないカテゴリーの製品だが、「NP-L50WJD」が明るさ500ルーメンをいち早く実現した点は非常に大きなトピックと言えるだろう。画面の明るさはプロジェクターの快適性と直結する部分だけに、100〜300ルーメン級のLEDプロジェクターに満足できなかった人にとって「待ちに待った製品」となるはずだ。

 加えて、Adobe RGB対応を果たしている点も見逃せない。プロジェクターでAdobe RGB対応のモデルは高価格かついまだ少数派であり、ましてやカバー率90%ともなるとさらに数が限定される。その一方、デジタルカメラ側のAdobe RGB対応は高級機を中心に急速に進んでいる。画質や色味にこだわるカメラファン、あるいはグラフィックデザイナーにとって「NP-L50WJD」のスペックは大きな魅力だろう。

 このように「NP-L50WJD」は、軽さや価格だけを優先することなく、プロジェクターとしての基本スペックにも十分な配慮が行われている。オフィスでの使用にも十分耐え、暗所であれば映像の鮮やかさがさらに際立つ。手のひらサイズプロジェクターでは決して真似できない部分だ。

 新しい物好きの人にとっては、LED光源の導入自体にも興味が集まりそうだ。ランプ光源とは次元の異なる長寿命を実現しているため、プロジェクターの使用時間が長い人が、コスト的なメリットで「NP-L50WJD」を選択するという考え方もある。

 LEDプロジェクターの市場は、今まさに立ち上がったばかり。「NP-L50WJD」はその先進性の一方、ランプ式プロジェクターと液晶ディスプレイ分野で確かな実績を積んだNECブランド製品という安心感もある。相反する2つの要素を満たした1台として、ぜひ注目してほしい。

 なお、NECディスプレイソリューションズでは「NP-L50WJD」の発売を記念してキャンペーンを実施する。メーカー初回生産分、限定1000台にイタリア発祥のカメラ用品ブランド「マンフロット」製のミニ三脚が添付されている。「NP-L50WJD」ならではの三脚設置を気軽に楽しむことができるだろう。

(森田 秀一)