スタンドの底面積で言えば15インチブラウン管程度。ブラウン管テレビを置けていた台ならばほとんどの場合そのまま置けるはず。
オートターン機能は設定しておくことで、電源オフ時にスタンドの回転を中央にリセットさせることも可能。
いまや一般家庭における大画面フラットテレビのスタンダードサイズという感じになった37V型サイズを採用で、表示寸法で言うと82cm×46cm。見慣れた4:3のブラウン管29インチ画面の縦方向をそのままに横にワイドになった感じで、直感的に大きくなったという実感が得られる大きさだ。それでいて奥行きはわずか約34cm(スタンド部)。なお、ラインナップとしてLCD-Hシリーズは32V型のLCD-H32MX60、26V型のLCD-H26MX60が用意されており、それぞれ25インチ、21インチクラスの4:3ブラウン管テレビからの移行を狙ったラインナップがそろえられている。
重量は37V型液晶テレビとしては驚くほど軽い。デジタルチューナー一体型の37V型画面サイズ、オートターン(後述)メカ入りのスタンド付で21kgは他社が20kg代後半から30kg前半であることを考えれば群を抜いて軽いといえる。ちょっとした移動ならば男性一人でもOKだろう。さすがに男性一人でこれを担いで階段を上がるのは難しいが、それでも、助っ人が一人いれば…たとえば夫婦で持って運ぶことは可能だ。
スタンドは標準搭載。 さて、この標準搭載のスタンドには凄いメカが隠されている。その名も「オートターン」機能だ。
リモコン上のオートターン制御用の左右ボタンを押すことで、電動で画面の向きを左右各約30°ずつも回すことができるのだ。動作音は比較的静かで回転スピードは意外に速い。リビング/ダイニングとキッチンが続いている間取りでLCD-H37MX60をリビング/ダイニングに設置している場合、キッチンで作業中にもよく見えるように向きを変える…というような活用ができるのだ。奥様には非常にありがたい機能といえるかもしれない。
なお、液晶パネル自体の視野角は上下左右176°を達成しており非常に広視野角だ。だが視野角が広いといっても、照明や窓の映り込みなどもあるし、テレビはやはり正面で見るのがいちばんいい。とくに大画面ワイドとなれば、画面が正面を向いていないと落ち着かないし、臨場感にも欠ける。なのでオートターンは積極的に使いたい。自分がテレビの正面に移動するのではなく、テレビ画面を回転させるというのは画期的なことなのだ。
映像表示時のテレビ本体の動作音は非常に静か。プラズマTVのようにジーという動作音もない。ファンレス設計を採用しており、冷却ファンの音もない。
気になる消費電力だが、この画面サイズの液晶テレビとしては群を抜く173Wを実現している。これは同型競合機が200W以上のものが多いことを考えればかなり低い。
また、インタラクティブな機能として多様な節電モードをもっているのもLCD-H37MX60の特徴だ。
本体に組み込まれた明るさセンサーが部屋の消灯を関知すると6秒後に自動的に電源を落としてくれる「センサー節電モード」は、消し忘れ対処に最適だ。3時間以上操作しなかった場合や放送終了や再生終了により映像信号が無くなったときなどに自動的に電源をオフにする「無操作/無信号電源OFF」は、見ながら寝てしまうという人に便利だろう。もちろんこうした機能はメニュー設定でオン/オフできるので使いたくない人はキャンセルすることもできる。
背面の接続端子パネル。録画機器用のモニタ出力端子は映像がコンポジット+Sビデオで、音声がRCAピンプラグにより出力される。なお、ここから出力されるのはデジタル放送からのソースのみで他のビデオ入力からの映像や音声はパススルーされない。
前面にある接続端子パネル。ここには基本メニュー操作を行うための操作ボタンもある。
LCD-H37MX60は地上波デジタル放送はもちろん、BSデジタル/110°CSデジタル放送にも対応したチューナーがテレビ本体側に内蔵されている。このアンテナ入力端子は背面にあり、またB-CASカードスロットは比較的脱着しやすい本体正面向かって左側の裏面に位置している。
最近ではテレビといえば、ただ放送を見るためだけの機械ではなく、さまざまなAV機器を接続して映像コンテンツを楽しむための多目的ディスプレイ装置としての役割も大きくなってきている。その際重要になるのがやはり接続端子の種類とその系統数。
LCD-H37MX60はこの点において非常に優秀だ。
レガシーなアナログビデオ入力としてはコンポジットビデオ+Sビデオの組み合わせを3系統用意。コンポジットビデオ端子とSビデオ端子は排他仕様となっており、どちらか一方の接続が有効とされる。なお、うち1系統は前面パネルに配されるのが特徴だ。
フラットテレビでは、この前面に接続端子を配するのは最近では非常に珍しく、三菱調べで、国内メーカーの現行機種ではMX60シリーズのみだと言う。ゲーム機やビデオカメラなど、脱着頻度の多いAV機器の接続には、裏に回らずに済む、この抜き差ししやすい前面パネルの接続端子は便利だ。
コンポーネントビデオ系入力としてはD4入力を2系統持つ。日本市場の動向を反映してか、RCAピンプラグタイプのコンポーネントビデオ入力は備わっていない。何らかのAV機器でD4端子1系統を使用してしまっていても、まだ1系統余るのはうれしい。あまったD4端子にはDVDレコーダ等を接続するのも良いし、あるいはハイビジョン対応のゲーム機などを接続するのもいいだろう。
デジタルビデオ入力としてはHDMI端子を1系統添えている。HDMIは次世代DVD機器のポテンシャルを活かし切るには必須とも言われる接続端子で、これからのフラットテレビ購入の際には欠かせない要素といえる。LCD-H37MX60はしっかりとこれに対応がなされているのだ。なお、HDMIは映像だけでなく音声も一本で伝送することができる。実際に、LCD-H37MX60とDVDプレイヤー(DENON DVD-2910)をHDMIケーブル一本で接続してみたところちゃんと映像と音声が出力されていた。
PC入力としてはD-Sub15ピンのアナログRGB入力端子を1系統実装する。最近は様々なオンラインコンテンツをPCにて楽しむユーザーが増えており、「PCとフラットテレビを接続する」という行為自体がマニアだけのものでなくなってきている。この機能は地味ながらありがたい。
音声入力端子はビデオ系入力にはステレオRCAピンプラグタイプが各映像入力ごとに1対1で対応する形で配備されている。PC入力にも対応する音声入力端子があり、こちらのみステレオミニピンプラグタイプの端子形状になっている。PCでゲームやAVコンテンツを楽しむ場合にも別接続のPCスピーカーは不要なのだ。
なお、LCD-H37MX60は音声に関してはAVアンプへの接続にも配慮しており、アナログ音声に関してはモニタ出力とは別に表示中の映像に対応する音声が全て出力される。また、デジタル放送のAAC5.1CHデジタル音声は、同じく背面の光デジタル音声出力端子より出力される。ご自慢のAVセットやサラウンドシステムを構築している場合には、こうした端子を利用することで1クラス上のサウンドが楽しめるのだ。
この他、双方向データ通信対応放送用のネットワーク端子、有料放送契約用の電話回線端子、外部ビデオレコーダ連動コマンド送信用のIrシステム端子などが備わっている。
リモコンは縦に長いバー形状をしており小さすぎず大きすぎずの丁度良い大きさ。
底面には人差し指を収めるくぼみがあり、これにあてがってリモコンを持つと親指がよく使うチャンネル操作や音量調整のボタンにフィットするようになっている。なかなかよく考えられた設計だ。
リモコン下部の蓋を開けると高度な調整、設定用のボタン群が現れる。
PC画面とはアナログ放送、デジタル放送、各種ビデオ入力の全てとの組み合わせが許容されているので、PCを使いながら、各種AVコンテンツを片手間に楽しむといった活用が行えるのだ。
画面静止機能はリモコン上の十字キー右下の[静止画]ボタンで実行可能となっている。
「べんり機能」のアイテムでは、LCD-H37MX60のウリとしている特殊機能を集約しており、またアクセス性を高くしているのだ。
LCD-H37MX60に内蔵されるダイレクト・ドライブ・フラットスピーカー
最初に驚かされるのは起動の早さだ。ブラウン管テレビと比較しても全く遜色のない約3.0秒(実測)で映像が表示されるのはクラス最高速レベルだ。
入力切り替えも高速でPC→ビデオ1(Sビデオ)で約1.6秒(実測)、PC→HDMIで約2.3秒(実測)、HDMI→BSデジタルで約1.3秒(実測)という結果であった。入力切り替えはリモコン最上部の左右キーで行う順送り式だが、未接続の入力は自動的に飛ばしての順送りなので、切り替え所要時間の早さと相まってレスポンスはなかなかのもの。
リモコン上部には放送種別切り替えのボタンとチャンネル切り替え用の数字ボタンがレイアウトされている。数字ボタンは蓄光式で暗闇で光るので部屋を暗めにして見る場合にも扱いやすい。チャンネル切り替えも高速で約1.4秒(実測)と非常に高速であった。
アスペクト比切り替えや画調モード切替といったやや高度な調整についてはリモコン下部の蓋を開けることでアクセス可能になるコンパネ部に実装されている。
アスペクト比切り替えは[画面サイズ]ボタンを押すことで順送り式に切り替えられ、その所要時間はこれまた高速な0.8秒(実測)であった。様々な放送形式やAV機器が存在する現状に対応すべく、LCD-H37MX60のアスペクトモードは以下のように、多様なものが用意されている。
●LCD-H37MX60のアスペクトモード |
|
ノーマル: |
アスペクト比4:3映像をそのまま表示する |
ダイナミック: |
4:3映像の外周伸張してLCD-H37MX60の映像パネル全域に表示する |
シネマ: |
レーザーディスクやVHSビデオに見かけられる、4:3映像の中央に16:9映像をはめ込んだレターボックス記録の映像を全画面表示する |
字幕イン: |
字幕付きレターボックス映像を字幕込みで全画面表示する |
フル: |
アスペクト比16:9映像前提用モード 画調モードの切り替えも、このパネルにある[映像モード]ボタンを押すことで順送りに切り替えられる。切り替え所要時間はゼロ秒で、ボタンを押した瞬間に切り替わるので高速だ。 |
最新世代のフラットテレビ製品だけあって、LCD-H37MX60には先進的なユニークな機能も満載となっている。
チャンネル争いに効果覿面、"ながら族"におあつらえ向きな「2画面」機能。これがLCD-H37MX60では非常に充実しているのだ。2画面表示が行える組み合わせは右表の通り。地上波アナログで子供向きのアニメを左画面に、デジタル放送でお父さんはスポーツ中継を右画面にてチェック…といった活用が可能。左右に並んで表示される片方の画面サイズは、なんと19インチ(4:3)相当にもなるので、意外にも大きい画面で2画面表示が楽しめる。
番組の募集要項などのメモ取りに便利な、表示中の映像を静止させることができる機能は多くのフラットテレビ製品に搭載されてきているが、LCD-H37MX60では、これをさらに一歩推し進め、映像の継続表示を左側に、静止した画面を右半分に2画面表示する形で働く。メモを取っている間も番組の進行を追うことができるわけだ。
さて、実際に、LCD-H37MX60のリモコンをいじってメニューを使っていると非常に分かりやすく使いやすいことに気が付く。メニューは2階層表示となっており、最初にメニューに入ると、一番上の「かんたん操作」のサブメニューが一覧表示されている。この「かんたん操作」のサブメニューは驚いたことに視聴している入力や状況によって変化するのだ! つまり現在の視聴状況においてよく使う機能が目の前に並んでいるのである!!
メニューの操作感自体もきびきびしており高速。十字キーでカーソル操作、中央ボタンで決定…という操作系は携帯電話とコンパチで取っつきやすい。メニューデザインについても、初心者ユーザーに配慮した構造になっているのに好感が持てる。
もちろん、「映像」「音声」といった感じで機能種別でカテゴライズされたメニュー構造も「設定メニュー」の階層下に構築されているので、上級ユーザーが混乱することはない。ちゃんと「映像(コントラスト)」「画質(シャープネス)」「明るさ」「色あい」「色のこさ」といった一般的な画調パラメータは調整できるし、調整結果はそのまま継続保存される。また、メニュー項目の「画質リセット」を選択して実行すれば、いつでも標準状態に戻すことも可能だ。
しかも、機能の説明や調整による効果説明までが表示されるデザインとなっているのだ。これならばマニュアルを引っ張り出してこなくても基本的な調整であれば画面を見ていればなんとかなってしまう。
調整可能なのは映像だけではない。音声出力に関しても本機はかなりこだわりをもったデザインとなっている。三菱といえばダイヤトーン・スピーカーを手がけている音響メーカーとしても有名だが、LCD-H37MX60にはそのダイヤトーンスピーカーの最新形「ダイレクトドライブ・フラットスピーカー」が搭載されており、とかく、このスピーカーを活用した音声関連の特殊機能が充実しているのだ。
音声の再生特性を決定づける「音声モード」は、初期状態の「標準」、低音強調した「映画」、低音と高音を強調した「音楽」が選べる。音像表現の傾向調整モードとしては、よりワイド感の高まった広がりのある音が楽しめる「サラウンドモード」や、中音域を増強して人間の言葉を聞きやすくしてくれる「クッキリボイス」が利用可能だ。地上波アナログ放送でCM音声が大きくなるのを低減する「ソフトトーン」、入力切り替えやチャンネル切り替え時に音声レベルが途端に変わらないように調整する「レベルサウンド」といった音声にまつわる「べんり機能」も充実している。
実際に使ってみて特に効果が高いと感じたのは人間の音声に対して輪郭強調を行う「クリアトーン」機能。人間のセリフが聞きやすくなるのはもちろんのこと、音楽におけるボーカルの明瞭度向上の効果があって好感触であった。これは常用してもいいと思う。
PC画面解像度でお馴染みの縦方向の768ドットを基準にアスペクト比16:9で横方向を1366ドットとした最近主流である1366×768ドットパネルを採用。プラズマTVの普及機に見受けられるような長方画素系ではなく、LCD-H37MX60は正方画素系を採用しているので斜め線の表現に不自然さはなく、PC画面との相性も良い。
最近の液晶テレビは明るさ競争の様相を呈してきたが、LCD-H37MX60もスペック値で500cd/m2の輝度性能を達成しており、実際かなり明るい。蛍光灯照明下ではもちろん、昼間の陽光が差し込むリビングにおいても映像がしっかりとしたコントラスト表現を伴って見えている。
公称コントラストは最大1200:1をうたう。これは同クラス同サイズの液晶テレビとしては最高レベルの値になる。輝度性能を考えれば納得の数値だが、実際にその映像を見ても高輝度のピークに強いパワーが感じられ、かなりメリハリの効いたコントラスト感が得られている。
輝度重視、コントラスト重視に振られた画作りではあるが、階調表現にも十分なリニアリアティは出せている。
色深度についても良好だ。カラーグラデーション表現も実になだらかで、二次輪郭はほとんど感じない。混合色のグラデーションを見ても違和感がなく、優秀だ。
発色については緑と青の純色が鋭く液晶らしい色合いだ。肌色表現は、液晶にありがちな緑の強い黄色よりではなく、ナチュラルな血の気を感じる表現になっている。色に関しての全体的な調整は、長年、ブラウン管テレビメーカーとして名を馳せた三菱電機としてのノウハウが生かされている感じで、「老舗のワザ」のようなものを感じる。
さて、LCD-H37MX60には「ダイヤモンドエンジンIV」と呼ばれる、かなり高度な高画質化機能が多数盛り込まれている。それらについてのインプレッションも述べてみたいと思う。
より鮮烈な記憶色を再現するための色補正機能で、デジタル次元で処理されるので他の色に影響を出さずに選択式に色補正が行われる。なお、この機能はメニューの「プロ設定」の「色補正」から行えるようになっており、メニュー上は「NCMIII」という名前になっていない点に注意。 実際に有効にすると原色の鋭さが増し、鮮やかさが増す。特に植物の緑表現に効果が大きく、そのみずみずしさまでが感じられるようになる。赤も鋭くなり、青は抜けるようなすがすがしい輝きになる。スポーツ番組はもちろん、ネイチャー系番組にも相性がいい。 その効果の掛かり具合に応じて「モード1」(効果大)、「モード2」(効果小)が選べるが、人肌の赤みが自然な「モード2」が使い勝手がよいと感じた。常用するならばこっちだろう。
液晶テレビにおいて、よく指摘される黒表現特性。液晶において黒表現は、常に発光し続けるバックライトを液晶画素が遮ることで行うが、どうしても迷光が漏れてきてしまう。そのため、これまでは完全自発光のプラズマテレビに対して液晶テレビは黒表現に弱いと言われていた。DLEIIIはこの弱点をアグレッシブな手法で低減させてしまう高画質化回路なのだ。
LCD-H37MX60は、DLE1,2,3の3つのアルゴリズムのDLEロジックが搭載されており、好みや見る映像種別に応じて選択することで高度な画調の作り込みが行える。
DLE1は明るい映像で黒を意図的に沈めてコントラストを稼ぐアルゴリズム。そして暗い映像表示時のバックライトが暗いときに暗部階調を持ち上げるのがDLE2で、同条件でコントラストを持ち上げるのがDLE3だ。
ホラーやミステリーといった暗いシーンが多い映像に効果的に働く機能で、暗い映像に弱いという液晶への固定概念を払拭してくれる。実際に活用した感じでは高輝度性能が必要十分なLCD-H37 MX60ではDLE1はオフでいい。暗い映像での描写力を高める意味でDLE2,3は共に弱が理性的で自然だ。
表示映像の輝度レベルに応じた動的なバックライト輝度コントロールを行い、一連の映像を視聴者が見続けることでハイ・ダイナミックレンジな(≒メリハリのある)映像表現を感じさせる機能がIBCだ。具体的には暗いシーンではバックライトを絞り、より暗く、明るいシーンではバックライトを明るくしてより明るく表現するようになる。爆発シーンの多いアクション映画や、明暗表現の激しいホラー映画やSF映画ではオンにすると臨場感が高くなる。
デジタル放送時代に必須とも言える高画質化回路で、安価な液晶テレビには搭載されていないLCD-H37MX60のオーナーシップを掻き立ててくれる機能だ。
モスキートノイズとはデジタル放送やDVDなどのMPEG映像特有の映像エッジ付近に見えるつぶ状のノイズ。これを低減するのがモスキートNRだ。デジタル放送視聴の際にはオンにして見るとすっきりとしたフレーム単位で美しい映像が得られるようになる。
HD3D DNRは単色の広面積領域に感じやすい高周波ノイズをフレームの相関関係を見て動的に低減するインテリジェントな機能。CG映画やアニメのような同色が広範囲に広がる映像では目立ちやすいこのノイズを驚くほど低減できる。HD3D DNRの設定はメニュー上では「画質調整」の「3次元NR」から行えるようになっており、メニュー上は「HD 3D DNR」という名前になっていない点に注意。
モスキートNRはオフ-弱-中-強の4段階設定、HD3D DNRはオフ-弱-強の3段階設定が選べるが適正レベルは表示映像によって異なるので、普段はオフか弱設定で常用しておき、違和感を感じたらレベルを引き上げる…といった活用がお勧めだ。
上記の高画質化機能群は中級から上級ユーザー向けの機能という感じだが、実はファミリー向けのユニークな高画質化機能も搭載されている。これは三菱電機のREALシリーズ特有の機能であり、他社製液晶テレビ製品との差別化ポイントにもなっている。その名も「家庭画質」モードだ。
家庭画質モードは二つの要素を組み合わせて提供され、1つが「明るさセンサー」、もう一つが「視聴者設定」だ。
「明るさセンサー」は部屋の明るさに応じて、画面輝度を増減させるもの。この機能を有効化すると、暗い部屋であれば輝度を低く、明るい部屋では逆に輝度を高める操作を自動的に行ってくれる。暗い部屋で不当に明るくても目に良くないし、これを適正輝度でにしてくれれば節電にもなる。設定はオフ-弱-中-強の4段階あり、強が最も光を絞るようになる。ゲームプレイなどで近くで見がちな子供には「強」設定がお勧めだろう。
「視聴者設定」は、見る世代に合わせた輝度やコントラストに画調を自動設定するもので、設定は「ジュニア」「スタンダード」「シニア」の3段階。「スタンダード」が標準設定。「ジュニア」は子供向けの設定で、子供の目は受光ダイナミックレンジが高いので、輝度を全体的に絞り目に優しい映像にしてくれる。アニメやテレビゲームの視聴に最適。「シニア」は明るい映像はやや暗めに、暗めの映像を明るめにして、明るさの増減を減らして目の瞳の絞り動作を最低限にすることで目を疲れにくくする効果をもたらしてくれる。
「明るさセンサー」と「視聴者設定」は相互に連携して働くのでかなり優秀だ。設置する部屋が子供部屋なのか、それもリビングなのか…一番よく見る人は誰なのか…環境に応じて設定しておくと健康上安心だし、節電の効果もあるのがうれしい。
地上波アナログ放送とは一線を画した高解像感を得られる。同一放送をリモコン上の[デジタル][アナログ]押して見比べれば一目瞭然。野球中継を見てみたところ、アナログ放送ではバックネットの編み目がほとんど見えないのに対して、デジタル放送のハイビジョン放送では編み目の格子模様がクッキリと見える。選手のユニフォームのシワまでがくっきり見える描写力の違いにも感動する。
アナログ放送オンリーのブラウン管テレビからの買い換え派はおそらく最も感動する部分がここだと思う。
画調モードについては、中級ユーザー以上であれば自分で好みに調整してもいいが、それが面倒だ、よく分からない、という初心者ユーザーは「べんり機能」-「ジャンル適応」をオンにするといい。番組表の番組ジャンルに対応した最適な画調モードや音質モードに自動調整してくれるのだ。映画放送ならば画調をナチュラルに、音楽番組ならば低音と高音を強調した音楽向けの再生特性にしてくれる。
D端子で接続した場合よりも、HDMI端子で接続した方が圧倒的に輪郭が鋭い。微妙な色ディテールもHDMI接続の方が描写力に優れている。同じDVD映像なのにHDMIの方が解像感が高く見えるほどだ。なお、DVDプレイヤー側の出力は480pや1080iではなく720pモードとした時が一番美しく見えた。
お勧めの画調モードは工場出荷状態にリセットした直後の「マイベスト」モード。本来この画調モードは上級ユーザーが自分の好みの画調に追い込んでいくための下地設定なのだが、この初期状態がやや部屋を暗めにして映画を楽しむのに適しているのだ。
参考までにLCD-H37MX60のその他のプリセット画調モードについてのインプレッションも述べておこう。
以下のような一般的なPC画面解像度は全て表示することができた。
1360×768ドットが画面解像度とパネル解像度を一致させて表示させることで最も美しく表示されるが、自分で表示調整を行う必要がある。またPCで映像ソースを再生するときは、「映像モード」と切り換えて「PC映像」の設定にするとよい。PCで再生した映像が家庭のTVと同じクオリティの画質で再現できる。モスキートノイズの多い映像ソースでは、ここで「モスキートNR」をオンにすると効果的だ。
640×480ドット |
○ |
800×600ドット |
○ |
1,024×768ドット |
○ |
1,280×720ドット |
○ |
1,280×768ドット |
○ |
1,360×768ドット |
◎ |
Xbox360の720pハイビジョン出力はLCD-H37MX60のパネル解像度とも相性が良く、Xbox360の高解像度映像を過不足無く表示できており、次世代ゲーム機の"次世代感"は心ゆくまま堪能できる。
LCD-H37MX60には応答速度6msというクラス最高位の高速応答の液晶パネルを採用し、さらにこれにFFDIII(フィード・フォワード・ドライブ)と呼ばれる高速パネル駆動技術が組み合わせており、液晶パネルの応答速度が最も遅くなるという中間色表現でも高速応答を実現するとしている。実際、画面が上下左右、奥から手前に目まぐるしく動くXbox360用3Dカーレーシングゲーム「プロジェクト・ゴッサム・レーシング3」をプレイしてみたが、残像等は少なく、ブラウン管テレビと比較しても全く違和感なくプレイすることができた。もはや「液晶テレビはゲームに向かない」という時代は終わりを告げたと言っていい。
LCD-H37MX60の高速応答性能はゲームユーザーにもありがたい性能だと言える。
Xbox360「PGR3」の画面 |
ただ、高性能、高機能、高画質にするのではなく、家庭においてみんなで活用するための機能や、家庭環境に適した活用スタイルを提供する機能を満載しているのがLCD-H37MX60の特徴だ。
ユーザー本意の視聴位置自由度を提供してくれる電動首振り機構のオートターン機能、視聴者層に応じた画質を作り出す家庭画質機能、設置している部屋の明るさに応じて輝度をコントロールし節電にも貢献する明るさセンサー機能などはまさにそうした家庭向け機能の代表格だといえる。LCD-H37MX60はリビングやダイニングにて、家族みんなで楽しめるテレビとして強い訴求力を持っている。
もちろん、パーソナルユースにも十分なポテンシャルを兼ね備えている。HDMI端子の搭載、PC接続への対応、ビデオ入力系統数の多さ、外部AVアンプ接続を想定したサウンド出力機能、2画面表示機能などは、単なるテレビを超えたマルチユースディスプレイの活用性までをもたらしてくれており、より高度な活用を要求してくる上級ユーザーにも納得がいくはずだ。
他機種にはないユニークな設置性、オールラウンドな接続性、インテリジェントな機能性を持つLCD-H37MX60。最初の一台目のハイビジョン液晶テレビとして検討してみてはいかがだろうか。
(トライゼット西川善司)
■関連情報
・三菱電機のホームページ http://www.mitsubishielectric.co.jp/
・三菱カラーテレビ http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/ctv/
・三菱液晶テレビREALキャンペーン! http://www.mitsubishielectric.co.jp/r/shufu/060530real_cmpn1
■関連記事
・三菱、液晶TV「REAL」37/32/26型4機種 −番組や視聴者年齢に合った画質に自動調整(AV
Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20060330/mitsu.htm