追随を許さない8msの応答速度、狭額縁でデュアルにも三菱電機の8ms液晶を用途や予算に合わせてチョイス
動画表示もストレスなく行える8ms液晶のラインナップが充実

 三菱電機が8msの応答速度を誇る液晶ディスプレイのラインナップを拡充している。昨年11月よりTVチューナーのないPC向け製品「Diamondcrysta RDT195S」、TVチューナー内蔵製品「VISEO MDT191S」を順次発売したのに続き、今年の5月20日には17インチのグレアパネル採用製品「RDT1711S」、同じく17インチのノングレアパネル採用製品「RDT1711V」を発売した。各製品の主な仕様の違いは(表1)にまとめたとおりである。一部製品で応答速度8msの製品を投入するメーカーはあるが、売れ筋の製品ラインすべてに8ms液晶をラインナップしているのは、三菱電機の液晶ディスプレイ戦略の大きな特長といえるだろう。

 応答速度とはビデオカードから表示すべき内容の信号を受け取ったときに、液晶ディスプレイがどの程度の時間で画面表示を終えることができるかを表している。液晶ディスプレイのスペック表では、画面全体を白から黒、黒から白へ書き換えるときに要した時間の合計を示すのが一般的で、応答速度とは画面の表示書き換え速度と考えておいて差し支えないだろう。


「VISEO MDT191S」

 表示の書き換えが速いことによるメリットは、とくに動画を再生した場合に顕著に表れる。例えば応答速度の遅い液晶ディスプレイを使ってDVDなどを再生すると、動きの速いシーンなどで残像を感じることがある。DVDを見たり、デジタルビデオカメラで撮影した映像を見るときに、これは意外にストレスを感じるものであるが、応答速度が8msとなるとこうした残像は大きく改善される。筆者の印象では、アクションシーンなどにおける人の手足の動きや、こうしたアクション映画で画面全体が激しくパンするようなシーンでは、とくに大きな効果を発揮しているように感じられる。

 では、各種ラインナップが出揃った8ms液晶から何を選ぼうか、という点は頭を悩ます部分である。ただ、「VISEO MDT191S」については、TVチューナーを内蔵しているという大きな特長を持っている。PCに負担をかけずテレビを見たい、一人暮らしでテレビとPC用モニターを兼用したい、といったニーズには最適な製品であり、迷わず選んでいい。

17インチと19インチ、それぞれの良さとは?
 さて、問題はPC用ディスプレイとして販売されるDiamondcrystaの3製品である。17インチと19インチの違いというは、液晶パネルの大きさの違いであるが、それぞれにどういった良さを持っているのだろうか。

 まずは19インチの「Diamondcrysta RDT195S」だが、液晶パネルが大きいということは、同じ解像度を持つ17インチに対して、1ピクセルが大きいということになる。1ピクセルが大きいということは、例えば画面上に文字を表示した場合、OSの文字サイズが同じであれば、より大きい文字で読めるということなのだ。


「Diamondcrysta RDT195S」


「Diamondcrysta RDT1711S」



17インチ液晶であるDiamondcrysta RDT1711S/Vの魅力の一つが本体の小ささ。机上スペースの有効活用やデュアルディスプレイ環境の構築など、省スペース性を活かした運用を検討できる

 これを表したスペックが、表1にも示した画素ピッチだ。この数字は大きいほど画素間の距離が長い=1ピクセルが大きいということを示している。17インチ、19インチともに1280×1024ピクセル(いわゆるSXGA)の解像度を持つが、この画素ピッチはそれぞれ0.264mm、0.294mmとなっている。ちなみに、少し前までは最も売れ筋だった、1024×768ピクセル(いわゆるXGA)の解像度を持つ15インチ液晶ディスプレイの画素ピッチは0.297mmである。つまり、15インチのXGA液晶と19インチのSXGA液晶が、ほぼ同じ画素ピッチとなるわけだ。

 現在15インチのXGA液晶を使っているがSXGAが表示できる17インチや19インチへ買い換えよう、と思っている人も少なくないと思うが、この場合は19インチを選んだほうが、画面を見たときに違和感が小さいことになる。

 もちろん、画面が大きいということは、表示される文字は大きいし、動画やゲームなどを全画面表示したときの迫力も大きい。こうした点を求める人は「Diamondcrysta RDT195S」で決まりだろう。

 では、17インチは使いにくいのかというと、こちらには別のメリットがある。それは価格と本体の小ささだ。まず価格面だが、19インチの「Diamondcrysta RDT195S」に対して、17インチの「Diamondcrysta RDT1711S」で約3万円、「Diamondcrysta RDT1711V」では約3万5000円ほど安価に入手できる。19インチの価格には手が出ないという人だけでなく、もう少し投資して17インチを2台買ってしまうという手も現実的に打てるのだ。

 また、本体が小さい=省スペース性も大きなメリットである。これも価格面と同様、「Diamondcrysta RDT195S」を置くスペースはないという人もいるだろうし、「Diamondcrysta RDT1711S/V」のサイズなら机上のスペースをより多く取れることに魅力を感じる人もいるかもしれない。「Diamondcrysta RDT1711S/V」のサイズなら2台置けるという人もいるだろう。つまり、本体サイズが小さいがゆえ、必要スペースの制約が緩くなり、運用の選択肢が広がるわけだ。

デュアルディスプレイ運用の幅が広い
 その17インチ液晶の応答速度8msの製品には、「Diamondcrysta RDT1711S」と「Diamondcrysta RDT1711V」の2モデルがラインナップされている。前者はグレアパネル、後者はノングレアパネルを採用しているのが大きな違いである。グレア、ノングレアとは液晶パネルの表面のフィルタの種類を表している。実際に量販店などの液晶ディスプレイ販売コーナーに行ってみると一目瞭然だが、表面にツヤがあるのがグレアパネル、ツヤがないのがノングレアパネルである。

 グレアパネルのメリットは輝度の高さやコントラストの大きさである。グレアパネルは表面にツヤが出るほど平滑性が高い表面処理をおこなっているため、液晶パネルの発色がダイレクトに透過してくれる。液晶パネルの発光を阻害しないために輝度が高く、白から黒までのコントラストがはっきりした鮮やかな画質を享受できる。これはデジカメの画像やゲーム、映画などのビジュアル再生においては大きなメリットといえる。

 反面、表面の平滑性が高いため、反射光を生みやすいのが難点だ。例えば液晶パネルと室内灯の位置関係によっては、画面に室内灯が写りこんでしまい見えづらくなったりする。ノングレアパネルは、こうした影響を緩和させるため、表面に凹凸をつけることで光を乱反射させ、ユーザーが反射光の影響を感じにくくさせた表面処理である。室内灯などの写りこみを気にせず使え、長時間使用するのに向いており、主にビジネス用途においては人気が高い。もちろん表面の凹凸によって液晶パネルの発光もストレートな光ではなくなってしまうため、輝度やコントラストは低下しがちである。

 こうした、長所・短所を各パネルが持っているので、どちらが良いパネルと一概に言えるものではない。だからこそ、三菱電機のように、ほぼ同一のスペックを持つグレア・ノングレア製品をラインナップしていることは、ユーザーが選択するうえで非常にありがたいことなのだ。


例えばデジカメ画像をレタッチするような場合は暗部のコントラストまではっきり表示してくれるグレアパネル。こうした発色にこだわらない用途にはノングレアパネルを求める人が多いが、2台を組み合わせたデュアルディスプレイ環境なら、両方のメリットを享受できる


「Diamondcrysta RDT1711S/V」はアナログRGB/デジタルRGBの2系統の入力を持つ。入力の切り替えにOSDメニューを呼び出す必要はなく、前面の[SELECT/1-2]ボタンを押すだけで切り替えが可能。なお、「Diamondcrysta RDT195S」も同様の仕様だ

 先に「Diamondcrysta RDT1711S/V」を使ったデュアルディスプレイ環境の構築について触れた。この両製品は筐体もまったく同じものを使っているため、グレアパネル+ノングレアパネルといった組み合わせのデュアルディスプレイも違和感なく導入できる。文章入力や表計算などテキスト主体で利用する場合には多少輝度が落ちても反射光を気にしなくていいノングレアタイプの魅力と、デジカメ画像や映像などを表現するにおいて発色の良いグレアタイプの魅力を兼ね備えた環境を作ることもできるのだ。

 もちろん、「Diamondcrysta RDT1711S/V」がデュアルディスプレイに向いていると感じたからこそ、こうしたアイデアも浮かぶ。その向いていると感じた理由は、外枠が小さいからだ。2台のディスプレイを並べて一つのデスクトップ領域を運用できるデュアルディスプレイ環境だが、その中央にはディスプレイの繋ぎ目が生じる。これは避けられない隙間となるが、ディスプレイの外枠が小さければ隙間も小さくできる。本製品の左右の枠は、それぞれ実測で13mm強といったところ。2台を並べても30mm以下で済むわけで、使い勝手を著しく低下させるほどの隙間ではないだろう。

 また、本製品はミニD-Sub15ピン(アナログRGB)とDVI-D(デジタルRGB)の2系統入力を持つ点も大きなポイントだ。本製品1台に2台のPCを接続することができるのは当然のメリットだが、さらに、この仕様による新たな運用方法も生まれる。

 例えば、自宅やオフィスでデスクトップPC、モバイル用にコンパクトなノートPCを組み合わせて使っている人も多いだろう。この場合、デスクトップPCでデュアルディスプレイ環境を構築しておき、そのディスプレイのうち1台の2系統入力を利用してノートPCにも兼用させれば、ノートPCに搭載させたディスプレイよりも大きな画面でノートPCを使い場合に有効だ。1台をノートPCが使っていても、残る1台はデスクトップPCで利用できるし、PC間でデータの同期を取る場合などでも2台のディスプレイが並んでいるので視点移動も少なくなり使い勝手はいい。

 ちなみに、2系統入力を持つディスプレイ製品には、オンスクリーン表示されるメニュー画面(OSDメニュー)を呼び出さないと入力の切り替えができない製品もあるが、本製品は前面の[SELECT/1-2]ボタンを押すだけで切り替わる。使い勝手のよい2系統入力であるからこそ、こうした運用も実用的であるといえよう。

ハード・ソフトの両面から使い勝手を検討

実際に340°回転させてみた


背面のスタンド部はケーブルをきれいに束ねられる構造となっている


さらにカバーで覆うことで、ケーブルをきれいに収納できるのだ


E-STICKは携帯電話のボタンのように「4方向レバー」という操作を行える。OSDメニューを直感的に操作できる優れたヒューマンインタフェースだ


PC画面においてはOFF+3種類のモードが用意されるDV MODE。利用シーンに応じて即時画質の切り替えを行えるのがメリットだ。ちなみにOSDメニューを呼び出さずとも、前面の[RESET/DV MODE]ボタンを押すことで切り替えが可能


DDC/CIに準拠しているので、同社WebサイトからダウンロードできるVisual Controllerを使って、Windows上から様々な設定を変更できる
 さて、これら応答速度8msの製品群だが、使い勝手も魅力の一つだ。ハード面を見ていくと、まずチルト角上30°/下5°、スイーベル角340°のスペックが目に留まる。さらに高さも10cmほど上下でき、稼動範囲が非常に広いのだ。設置時に場所を選ばないというメリットがあるだけなく、「VISEO MDT191S」ではテレビを見るときとPCで使うときで、向きを変えたい人もいるだろう。稼動範囲が広いことで、実使用時における柔軟性も高まることになるのだ。

 また、本体背面のスタンド部分にはケーブルを束ね、カバーでケーブルを隠す仕組みもある。先に2系統入力であることを紹介したが、2系統それぞれにケーブルを繋いだ場合は、当然2本のケーブルに加え、電源ケーブルが本体背面に這うことになる。ケーブルが綺麗に収納できる配慮はありがたい。

 また、同社が昨年11月販売の製品から採用したE-STICKも魅力的だ。E-STICKはOSDメニューを操作するためのレバーで、4方向のカーソル移動でほとんどの調節が行える。従来のモデルでは横一直線に並んだ複数のボタンを使って上下左右/決定の操作を行っていたことに比べると、直感的で操作しやすい。

 こうしたハード面の魅力に加え、ソフト面も充実が見られる。とくに、「DV Mode」と呼ばれる、一種の画質プリセット機能が便利だ。これは、PCの画面を写している場合は「OFF/MODE1/2/3」、VISEO MDT191Sにおいてテレビ映像やビデオ入力映像を写している場合は「スタンダード/ブライト/シネマ/ユーザー」から選択できる。

 それぞれのモードは、入力される映像ソースに応じたガンマ値の調節がされている。PC画面の表示を例に取ると、テキスト入力時はOFFで使い、デジカメ画像などを表示する場合は白黒のコントラストを強調したMODE3で利用する、というように今現在の用途に応じて、すぐに好みの画質へと切り替えることができるのだ。切り替えも前面にある[RESET/DV MODE]ボタンのみで行えるので、OSDメニューを呼び出す必要はない。

 また、DDC/CIと呼ばれるPC−ディスプレイ間の双方向通信に関する規格にも準拠している。DDC/CIに対応したビデオカードと組み合わせれば、同社Webサイト(http://www.nmv.co.jp/mitsubishi/download/index.htm#6)から無料でダウンロードできる「Visual Controller」を使って、本来はOSDメニューから設定する内容を、Windows上から操作することができる。例えば輝度・コントラストの調節、色合いの調節などが可能となっている。

全製品がフラッグシップともいえるラインナップが魅力
 PCで動画再生をする人が増えてから、液晶ディスプレイの応答速度を気にする人が増えた。今回ここで紹介した8msの応答速度を持つ製品のような、高応答速度製品を一つだけラインナップしフラッグシップモデル的なポジションに据えることも、商品戦略としてはありだろう。しかし、それでは消費者が高応答速度製品を求めた場合に、製品選択肢が絞られてしまう

 その点、三菱電機のようにPC専用ディスプレイだけでも、19インチ、17インチグレア、17インチノングレアと3製品をラインナップしていれば、高応答速度を前提として、さらにパネルサイズ/種類まで検討することができる。これは消費者にとって大きなベネフィットだ。

 もちろん、応答速度だけでなく使い勝手も非常に良い。これらの点も各製品統一されており、実際に使っても不満は残らない。動画再生にストレスを感じたくない人が高応答速度の液晶ディスプレイを求める場合、まずは最初に同社の製品から検討をお勧めしたい。そこから求める製品が見つかるだろう。

 ちなみに、7月30日および31日に幕張メッセで開催される「スクウェア・エニックス パーティ2005」において展示されるゲームの試遊機に、このRDT195Sが利用されることになっている。実際にゲームプレイ時のRDT195Sの表示クオリティを体験する非常に良いチャンスなので、興味のある方は是非とも足を運んでみてもらいたい。

(多和田新也)


「スクウェア・エニックス パーティー2005」に関する詳細は、以下のURLをご参照ください。
http://www.square-enix.com/jp/

●スクウェア・エニックス パーティー2005注意事項
※小学生以下のお客様は、保護者ご同伴でのご来場をお願いします。
※会場までの交通費等はお客様のご負担となりますのでご了承ください。
※試遊台や物販は十分な数をご用意しておりますが、状況によってはご期待にそえない場合もございますのであらかじめご了承ください。
※ご招待券は、券面に記載された期日のみ有効です。他の期日のご招待券との交換はできません。
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TEL:03-5280-5039 受付時間:10:00〜18:00(土・日・祝日を除く)

■関連情報
・三菱電機サイト http://www.MitsubishiElectric.co.jp/
・商品サイト http://www.MitsubishiElectric.co.jp/display/