その17インチ液晶の応答速度8msの製品には、「Diamondcrysta RDT1711S」と「Diamondcrysta RDT1711V」の2モデルがラインナップされている。前者はグレアパネル、後者はノングレアパネルを採用しているのが大きな違いである。グレア、ノングレアとは液晶パネルの表面のフィルタの種類を表している。実際に量販店などの液晶ディスプレイ販売コーナーに行ってみると一目瞭然だが、表面にツヤがあるのがグレアパネル、ツヤがないのがノングレアパネルである。
グレアパネルのメリットは輝度の高さやコントラストの大きさである。グレアパネルは表面にツヤが出るほど平滑性が高い表面処理をおこなっているため、液晶パネルの発色がダイレクトに透過してくれる。液晶パネルの発光を阻害しないために輝度が高く、白から黒までのコントラストがはっきりした鮮やかな画質を享受できる。これはデジカメの画像やゲーム、映画などのビジュアル再生においては大きなメリットといえる。
反面、表面の平滑性が高いため、反射光を生みやすいのが難点だ。例えば液晶パネルと室内灯の位置関係によっては、画面に室内灯が写りこんでしまい見えづらくなったりする。ノングレアパネルは、こうした影響を緩和させるため、表面に凹凸をつけることで光を乱反射させ、ユーザーが反射光の影響を感じにくくさせた表面処理である。室内灯などの写りこみを気にせず使え、長時間使用するのに向いており、主にビジネス用途においては人気が高い。もちろん表面の凹凸によって液晶パネルの発光もストレートな光ではなくなってしまうため、輝度やコントラストは低下しがちである。
こうした、長所・短所を各パネルが持っているので、どちらが良いパネルと一概に言えるものではない。だからこそ、三菱電機のように、ほぼ同一のスペックを持つグレア・ノングレア製品をラインナップしていることは、ユーザーが選択するうえで非常にありがたいことなのだ。
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例えばデジカメ画像をレタッチするような場合は暗部のコントラストまではっきり表示してくれるグレアパネル。こうした発色にこだわらない用途にはノングレアパネルを求める人が多いが、2台を組み合わせたデュアルディスプレイ環境なら、両方のメリットを享受できる
「Diamondcrysta RDT1711S/V」はアナログRGB/デジタルRGBの2系統の入力を持つ。入力の切り替えにOSDメニューを呼び出す必要はなく、前面の[SELECT/1-2]ボタンを押すだけで切り替えが可能。なお、「Diamondcrysta RDT195S」も同様の仕様だ |
先に「Diamondcrysta RDT1711S/V」を使ったデュアルディスプレイ環境の構築について触れた。この両製品は筐体もまったく同じものを使っているため、グレアパネル+ノングレアパネルといった組み合わせのデュアルディスプレイも違和感なく導入できる。文章入力や表計算などテキスト主体で利用する場合には多少輝度が落ちても反射光を気にしなくていいノングレアタイプの魅力と、デジカメ画像や映像などを表現するにおいて発色の良いグレアタイプの魅力を兼ね備えた環境を作ることもできるのだ。
もちろん、「Diamondcrysta RDT1711S/V」がデュアルディスプレイに向いていると感じたからこそ、こうしたアイデアも浮かぶ。その向いていると感じた理由は、外枠が小さいからだ。2台のディスプレイを並べて一つのデスクトップ領域を運用できるデュアルディスプレイ環境だが、その中央にはディスプレイの繋ぎ目が生じる。これは避けられない隙間となるが、ディスプレイの外枠が小さければ隙間も小さくできる。本製品の左右の枠は、それぞれ実測で13mm強といったところ。2台を並べても30mm以下で済むわけで、使い勝手を著しく低下させるほどの隙間ではないだろう。
また、本製品はミニD-Sub15ピン(アナログRGB)とDVI-D(デジタルRGB)の2系統入力を持つ点も大きなポイントだ。本製品1台に2台のPCを接続することができるのは当然のメリットだが、さらに、この仕様による新たな運用方法も生まれる。
例えば、自宅やオフィスでデスクトップPC、モバイル用にコンパクトなノートPCを組み合わせて使っている人も多いだろう。この場合、デスクトップPCでデュアルディスプレイ環境を構築しておき、そのディスプレイのうち1台の2系統入力を利用してノートPCにも兼用させれば、ノートPCに搭載させたディスプレイよりも大きな画面でノートPCを使い場合に有効だ。1台をノートPCが使っていても、残る1台はデスクトップPCで利用できるし、PC間でデータの同期を取る場合などでも2台のディスプレイが並んでいるので視点移動も少なくなり使い勝手はいい。
ちなみに、2系統入力を持つディスプレイ製品には、オンスクリーン表示されるメニュー画面(OSDメニュー)を呼び出さないと入力の切り替えができない製品もあるが、本製品は前面の[SELECT/1-2]ボタンを押すだけで切り替わる。使い勝手のよい2系統入力であるからこそ、こうした運用も実用的であるといえよう。
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