HDMI端子の普及により、液晶ディスプレイ製品が、PCやゲーム機、あるいはAV機器など、多様な機器を接続できて映像を表示できるのはいまや当たり前のこととなった。だからこそ、ユーザーは「ただ映る」以上の性能を求め始めている。

 しっかりとした製品と、安価なだけの製品との性能差が現れやすいのは、やはり「絶対的な画質性能」、「動画表示性能」、「低表示遅延性能」といった部分だろうか。これら3つの性能要素は、ちゃんと、初期設計段階から、高い意識を持って製品開発を行わなければ実現できないものだ。

 三菱電機のRDTシリーズは、これら3つの性能要素を、いつも高い次元でまとめ上げて実装してくるが、今や製品ラインナップは充実しており、ユーザーは自分にあった製品を細かく選ぶことができるようになっている。もう、新製品なんて出す必要がないんじゃないか…と末端ユーザーの筆者などは思ったりもするのだが、三菱電機はRDTシリーズの進化の手を緩める気はないらしく、今回、新モデルのRDT234WX(BK)/RDT234WX-S(BK) (以下、RDT234WXと略記)を発表した。このモデルで三菱電機は、スマートフォンなどのモバイル端末の画面を 大画面・高画質で表示できる「スマホビュー」機能を新たに搭載してきたが、 詳しくは後述する。

 

ノングレアモデルの「RDT234WX」、グレアモデルの「RDT234WX-S」の2機種がラインアップされる

三菱電機の液晶ディスプレイシリーズは、型番が似通っており、今回発表されたRDT234WXがどういったユーザーのための製品なのかがいまいち伝わりにくい。RDT234WXのレビュー本編に行く前に、RDT234WXがどういったモデルなのか、どういったユーザー向けの製品なのかを整理しておきたい。

三菱電機では液晶ディスプレイ製品を3つのラインに大別しており、それぞれ「マルチメディアモデル」「グラフィックモデル」「スタンダードモデル」からなっている。

「マルチメディアモデル」はPCだけでなくゲーム機やAV機器などの接続までを想定したモデルで、RDT234WXはこのラインに属する。「グラフィックモデル」は写真鑑賞/編集はもちろん、Webデザイン、CG/映像製作を想定した色表現性能を重視したモデルになる。「スタンダードモデル」は一般的なPC用途を想定したいわゆるコストパフォーマンス重視モデルに相当する。

RDT234WXが属する「マルチメディアモデル」は、三菱電機が最も力を入れているラインで、「マルチメディアモデル」自体がさらに細かくグレード分けされている。

最上位は「マルチメディアプレミアム」で、MDT型番が与えられるVISEOシリーズが属するラインだ。これとほぼ同クラスのラインが「マルチメディアアドバンス」で、3D対応のRDT233WX-3Dや倍速駆動対応のRDT233WX-Zなどはここに属する。これに続くのが「マルチメディアスタンダード」で、高いマルチメディア性能を全て備えながら、求めやすい価格を両立したラインになる。今回発表されたRDT234WXはこのラインの製品だ。そしてAV機器との接続はHDMIに限定し、超解像技術、オーバードライブ回路などを省略したハイコストパフォーマンスなラインが「マルチメディアエントリー」だ。ここにはRDT233WLXが属する。

マルチメディアモデルは全てがフルHD解像度(1920×1080ドット)パネルを採用しており、23インチモデルの全てがIPS方式液晶パネルを採用する。また、RDT233WLXを除く全てのモデルが超解像技術とオーバードライブ回路を搭載している。

こうして、ラインナップを整理してみたことで、どのモデルが自分に相応しいのかが見えてきたのではないだろうか。同時に、今回発表されたRDT234WXは、もっとも多くのユーザーに訴求される注目の製品であることもわかってもらえたのではないだろうか。ここまでを踏まえた上で、実際にRDT234WXを見ていくことにしたい。

   
 

マルチメディアディスプレイとしてさらなる成熟を遂げた最新機種の特徴をこれから見ていこう。なお、検証用のゲームソフトとしてカプコンの「バイオハザード オペレーション・ラクーンシティ」を用意した

 

日本のユーザーは、画質への意識が高い。一通り「安さだけのディスプレイ製品」を使ってきた経験がある中級者以上はなおさらで、値段の安さだけで選ぶと失敗しやすいことを知っている。そんな「お目の高い」ユーザー達が、「なるべく選びたい」とするのが、IPS方式液晶だ。

IPSとはIn-Plane Switchingの略で、画素セル内に平面的に配置した電極で横電界駆動を行って液晶分子を制御する方式名のこと。IPS方式液晶の美点は、液晶分子が横電界駆動により表示面に対して平行に回転するため、光が進む方向軸に対する液晶分子の動きがほとんどないという特徴がある。このため、視線角度に依存した見え方の違いが少ない。すなわち視野角が原理的に広いということになる。そう、この画質特性が「IPSは広視野角」という定説を生むことになったのだ。

ただ、「スペック上の視野角」ということになると、他の液晶方式も進化しているため、IPS方式液晶に比べて目立って劣っているということもない。しかし、視点を移動しても色調変位が少ないという先天的な特長は、未だIPS方式液晶には顕在であり、ここはスペックシートには載らないIPS方式液晶の優位性だと筆者は思っている。正確な色情報と階調情報をユーザーの目に伝えることを目的としたディスプレイ機器において、IPS方式液晶パネルの強健な表示性能には"高画質"という言葉の意味を超えた価値があるのだ。

   
 

 

さて、今回発表されたRDT234WXもIPS方式液晶パネルを採用している。今回採用されているのは、新世代の高透過率IPS方式液晶パネルだ。

液晶パネルの開口率が向上したことでドットの粒状感が低減しているように見える

高透過率になると何が嬉しいかといえば、1つは省電力性能が向上すること。透過率が高いということは、同じ明るさの表示を得るためのバックライトの輝度が下げられるということであり、ひいては消費電力が低減できるのだ。実際、三菱電機による計測によれば、先代モデルに相当する同画面サイズのRDT233WX/RDT233WX-Sと比較して約29%も消費電力が下がったという。節電が叫ばれている昨今では、この省電力性能は強い訴求力になる。

それと、これはカタログに記載されていない、筆者個人の意見だが、私物で所有している三菱電機の従来IPS方式液晶パネルを採用したRDT233WX-3Dの表示と比較して、RGBのサブピクセルの分離感が、RDT234WXの方が少ないと感じる。

1ドット単位の線分表現などは、従来IPS方式液晶パネルのRDT233WX-3Dに比べてRDT234WXの方が、画素仕切りに分断された感じの少ない、連続した線分に見える。一言で言うならば、RDT234WXの方がドット感というか粒状感の少ない濃密な描画に見えるのだ。これは、画素の拡大比較写真を見れば一目瞭然。黒い影部分の大小の差が生み出した質感の差に違いない。


※国内販売のパソコン用IPS方式液晶パネル採用ディスプレイ(スタンドアロンタイプ)において。2012年4月24日現在、三菱電機調べ。「オーバードライブチェンジャー」モード2選択時。

また、新世代IPS液晶パネルを採用したことで、RDT234WXはIPS液晶パネル採用製品としては業界最速の応答速度を達成したことがアピールされている。ここも特筆すべきポイントだろう。

オーバードライブモード2時に3.5msの応答速度を実現している

公称値としての応答速度は3.5ms(GTG:グレイtoグレイ)。一般的なIPS液晶パネルの応答速度は10ms以上、オーバードライブを駆使して応答速度を高めた場合でも3.8ms〜5ms程度なので、RDT234WXはかなり高速だといえる。高速であればあるほど、動画表示は鮮明になるので、言い換えれば、RDT234WXは、IPS液晶パネル採用の液晶ディスプレイ製品としては最も鮮明に動画表示が行える…ということだ。

ちなみに、オーバードライブ回路は最速の応答速度を生みだしてくれる3.5msのOD2モードの他、6.2msのOD1モード、11.0msのオフの3モードが用意されている。

ゲームプレイならば応答速度重視のOD2モード、一般的な動画コンテンツであれば安定した画質が得られるOD1モードがいい。

   
 

ODモードを切り替えることで応答速度がアップする。ただし場合によってはちらつきが発生することがあるので注意

 
 

今回試遊した「バイオハザード オペレーション・ラクーン・シティ」のように、FPSやTPSなどのシューター系ゲームは画面の動きが速く、特に近接戦闘時には画面全体がめまぐるしく動くため、OD2モードの応答速度は恩恵が大きい

従来機から早められたのは液晶パネルの応答速度だけではない。RDT234WXでは、内部遅延も最速時0.1フレームと、ハイパフォーマンスを実現している。

液晶パネルの応答速度と、内部遅延を混同している人が多いが、これらは全く別の、独立した性能要素になる。液晶パネルの応答速度とは、表示映像が液晶パネルに書き込まれて、液晶画素が目的の画素状態になるまでの時間だ。これは液晶パネルそのものの応答速度や、液晶画素を駆動する回路の性能に依存した性能値になる。

一方、内部遅延は、HDMI端子などからやってきた映像信号が、液晶ディスプレイの映像エンジンの中を通って処理されて、実際に液晶パネルに書き出されるまでの時間のことだ。なので液晶パネルの性能とは無関係の性能値で、むしろ映像エンジンの処理速度に依存した性能値になる。

内部遅延は、一般的なビデオコンテンツを再生している分にはそれほど大きな実害はないが、リアルタイムのインタラクションが要求されるゲームプレイ用途では重要なファクターとなる。液晶パネルがどんなに高速応答性能を有していたとしても、内部遅延が大きければ、プレイヤーは、ゲーム機で処理されている"現在"よりも、だいぶ過去の映像を見てプレイすることになってしまい、まともなゲームプレイができなくなってしまうのだ。特に、音楽/リズムゲームや格闘ゲームのような、リアルタイム性の高いゲームは、内部遅延の大小がそのまま「ゲームプレイにおける有利不利」に関わってくる。

   
 

内部遅延の大小はプレイフィーリングに如実に反映される。シューター系や音楽ゲーム、格闘ゲーム等、リアルタイム性の高いゲームでは特に顕著だ

 

今回、三菱電機は、RDT234WXにて、この内部遅延を0.1フレームにまで短縮することに成功した。60Hz時の0.1フレームというと時間にして約1.6ms。このレベルまでくると、ほぼ「遅延なし」といって差し支えないレベルだ。

従来機では「1フレーム未満」という言い方をしていたが、RDT234WXでは「0.1フレーム」と具体的な数値を公称値として明らかにしているのが凄い。この0.1フレーム低内部遅延は、特定の機能を使用しない場合に有効になるが、低遅延表示モードに相当する「スルーモード」をオンにすることでも手軽に0.1フレーム遅延に切り替えることが可能だ。

スルーモードはイメージ的には他機種でいうところのゲームモードといった感じのモードだが、RDT234WXのスルーモードは、映像エンジンである「ギガクリア・エンジンII」によって実現される高画質化処理を効かせたうえで実現される。

つまり、階調性とコントラスト感を両立させる「エリアコントラスト」、人物の肌色を自然な階調で美しく再現する「肌色検出」、MPEG映像特有の矩形模様ノイズを低減する「ブロックノイズリダクション」、1段階上の解像感を復元する「新・超解像技術」などの高画質化処理を効かせた上で0.1フレームの低遅延性能を実現するのだ。

 

シューター系のゲームの場合、遅延の大小はエイミングの精度にも大きく関わってくる。RDT234WXの場合、超解像やエリアコントラストを有効にした状態で0.1フレーム遅延を実現しているので、見やすい画面によるターゲット視認と正確な操作を両立できるのが大きい

なお、60Hz映像以外の入力時の時や、複数フレームを溜め込んでノイズ低減を行う「3次元ノイズリダクション」、複数入力を同時表示する「2画面表示機能」、2倍ズームを初めとした特殊アスペクト比モードを有効化させたときなどは、0.1フレームの低内部遅延はキャンセルされてしまう。

一部の高画質化機能を使うとせっかくの低内部遅延が有効でなくなるのだとすると、逆にユーザーとしては「じゃあ、今の設定だと内部遅延はどのくらいなの?」と言うことが知りたくなる。

そうした要望も想定してか、RDT234WXでは、その時点での設定状態における内部遅延の理論値を表示してくれる機能が新搭載された。リモコンの[画面表示]ボタンを押して表示されるステータス画面の最下段の「内部遅延時間」という項目がそれだ。

繰り返しになるが、ゲームプレイ時など、最低の内部遅延にしたいときには、単純にリモコンの[スルーモード]のボタンを押せばいい。内部遅延を最小化するために画質パラメータをいちいちいじる必要はない。

 

スルーモードオン時の遅延は0.1フレーム。映像向きの「シネマ」モードなどにしてスルーモードをオフにすると、それに応じて遅延時間も多くなるのがわかる

スマホを接続して表示する際に便利な機能を集めた「スマホビュー」

RDT234WXには、新しいユーザー層を開拓するかも知れないユニークな新機能も備わった。それがスマートフォンに特化した新機能「スマホビュー」機能だ。

最近では携帯電話の購入者の半数がスマートフォンを選択しているという状況だそうだ。ご存じのように、昨今のスマートフォンは、卓越したAV機能を備え、グラフィックス機能も相当高くなっていて、専用機顔負けの高度なゲームをプレイできたりもする。そうなると、スマートフォン側のコンテンツを大きな画面に出力して楽しみたいと考えるユーザーが出てきても不思議なことではない。

または、スマートフォンを操作しながらPCオペレーションを行ったり、場合によってはPC側で攻略サイトを見ながら、スマートフォンでゲームをプレイする…というような、今まで考えたこともなかったような新しいスマートフォンがらみの「ながら」活用が浸透してくるかもしれない。

スマホビュー機能はまさに、そうした状況を先取りした新機能になる。

スマホビュー機能を活用するには、スマートフォン側にHDMI出力機能があることが大前提となる。スマホビュー機能は、スマートフォンとRDT234WXをHDMI接続して初めて有効になる機能なのだ。

スマホビュー機能、第一の機能は、スマートフォンの映像をRDT234WXの全画面に表示したときに利用できるスマートフォン向けの画調モード(アドバンスト DV MODE)だ。リモコンのDV MODEセクションの[モバイル]ボタンを押すことで、スマートフォンからの映像に特化した「テキスト」「フォト」「動画(高解像度)」「動画(低解像度)」を順送り式に切り換えられる。

スマートフォンにダウンロードした動画コンテンツやストリーミング動画などは低ビットレートであることが多いため、そうした動画を見るときは3次元ノイズリダクションを効かせ、ブロックノイズリダクションを強めに掛けた「動画(低解像度)」が役に立つ。ユラユラした湯気のようなモスキートノイズや矩形状のブロックノイズを滑らかに低減し、自然に見せてくれる。そのスマートフォン自身で撮影した動画などは「動画(高解像度)」を使った方が高画質に見える。

もちろん、こうした画調モードはユーザー自身でカスタマイズすることもでき、その結果はちゃんと「モバイル」カテゴリの画質設定として記憶される。そう、一般機器向けの画調モードとは別枠の画調モードとして記憶されるので、そのHDMI端子を他の機器に接続し変えたときにも影響は最低限に留めておける。この辺りはよく使う人のことを想定して機能が設計されていて感心する。

   
 

スマホのコンテンツを表示するのに適した画調モードが用意された。もちろん、こちらもほかの画調モード同様、ユーザー自身がカスタマイズ可能

 

スマホビュー機能、もう一つの機能は、2画面表示機能を使用したときに発揮される。RDT234WXの2画面機能はピクチャーインピクチャー(PinP)の他、ピクチャーアウトピクチャー(PoutP)に対応したが、その両方においてスマートフォン特有の縦画面の最大表示が可能になったのだ。

スマホをディスプレイに接続した際、最大限に拡大した状態で2画面表示機能を使うことができる

スマートフォンを縦画面状態で活用することが多いと思うが、RDT234WXの2画面機能では、あの縦画面状態の表示をRDT234WX側の縦解像度を最大限に利用した上で縦一杯に拡大してPC画面と同時表示が出来るのである。スマートフォンは4インチ前後の画面サイズが主流だが、この機能を活用すると、スマートフォンの縦画面を約12インチ程度で表示できるのだ。

机の上のスマートフォンの小さい画面と液晶ディスプレイの画面、視線を行ったり来たりせずとも、両方の画面を同一視界に最大画面サイズで見ることが出来るのだ。これは、実際に体験してみると、感動が大きい。PC画面とスマートフォン画面の両方が最大表示になって並べられているだけなのに、なんだか2つの機器の新しい活用の仕方が見出せそうな気すらしてくる。この機能を拡張して、複数のスマートフォンを同時に縦に並べて表示出来る機能があっても面白いかも知れない。

RDT234WXの液晶パネルはフルHD解像度…すなわち縦解像度が1080ドットもあるので、縦画面にしたスマートフォンの画面をこの中に表示しても、ほとんど解像度が間引かれずに表示されるのもいい。iPhone4系の640×960ドット画面ならば、ほぼ解像度間引き無しのそのまま表示が実践されるのだ。

RDT234WXでは、このスマートフォンの縦画面最大表示機能の画角としてAndroid系スマートフォンを想定した9:16縦画面とiPhoneを想定した3:4縦画面が用意されているが、機種によっては画面がクリップアウトされてしまったり、あるいは余計な黒帯が付帯して表示されてしまったりすることもあるだろう。RDT234WXでは、そうしたケースをも想定して、自分のスマートフォンに適合した縦画面の画角をカスタマイズ出来るモードも用意している。

 

「スタイル」をカスタマイズすることで、やや変則的なピクセル数の筆者のスマートフォンも無事、接続できた

筆者は、大画面☆マニアなのでスマートフォンも大画面のGALAXY NOTEを愛用しているのだが、このモデルは縦画面時800×1280ドットになる。プリセットのAndroid用画角を選択しただけでは全画面表示が行えなかったが、写真のようなカスタマイズを行うことで、無事、表示領域全域をRDT234WXに映し出すことが出来た。

なお、「プリセットされているスマートフォンの画角モードは使わない」「カスタマイズしたスマートフォンの画角モードだけを使いたい」という場合には、最近のRDTシリーズのOSDメニューに搭載されている「メニューアイテムのスキップ機能」を活用すれば、リモコンのボタンでの切り替え操作の際、自分が使わないプリセットをスキップできる。

もちろん、RDT234WXは多くのユーザーの信頼を得ている数々の高画質化機能や豊富な入力端子といった特徴を受け継いでいる。

また、この辺りの機能についての解説や活用ガイド、インプレッションは、筆者渾身のレビュー記事である「RDT233WX-Z」編「RDT233WX-3D」編に詳しいので、適時参照していただきたい。

 

前モデルに引き続き、HDMI2系統、DVI-D、D-SUB、D端子など、入力端子は充実

 

ボディはRDT233WX-3Dと同様。スタンドは金属製で、剛性が高い。LEDバックライト採用で薄くスマートなデザイン。取っ手をつかめば片手でも持ち上げられるくらいの重量感

   
 

リモコンは新デザインのものが付属。RDT234WXのすべての機能をオペレーションできる。スルーモードや超解像など、頻繁にいじる機会の多いパラメーターに専用ボタンが用意されているのも便利だ

 

新・超解像技術

低解像度映像を拡大・縮小し、ぼやけ成分を推定し補正を加える超解像処理に加え、ちらつきが発生しやすい箇所の超解像処理を部分的に抑えるため、より自然な解像感が得られる。0~100%のあいだで10%刻みで調節可能 →詳しく!

解像度判別

入力された映像の解像度を自動判別し、超解像レベルやブロックノイズリダクション等のパラメーターを自動設定する→詳しく!

ブロックノイズリダクション

MPEG動画特有のブロックノイズを低減するノイズリダクション機能。0~100%のあいだで10%刻みで調節可能→詳しく!

ダイナミックコントラスト&エリアコントラスト

画面上のエリアごとにコントラスト調整を行なうため、黒つぶれや白飛びが発生しにくい→詳しく!

肌色検出

肌色部分を検出すると、その部分に超解像を適用しないことができる→詳しく!

ギガクリア・ウインドウ

画面上の指定した範囲にだけ超解像やブロックノイズリダクション、コントラスト調整などを任意のパラメーターでかけることが可能(Windows Vista®、Windows® 7のみ対応)

画面サイズ

入力映像を画面全体に拡大する「フル」、縦横比を変えずに拡大する「アスペクト」のほか、入力信号のまま等倍で表示する「リアル」、ドットを整数倍のまま拡大できる「2Xズーム」など要望の高いモードを搭載

AVアスペクト機能

入力映像のアスペクト比を「自動」「16:9」「4:3」「ポータブル」で指定可能。「ポータブル」を選択すればPSP接続時に画面いっぱいに拡大できる

EASYCOLOR!3

ディスプレイのカラーキャリブレーションを支援するソフトウェアを標準添付。付属のチャートによる調整のほか、別売の測色器を使ってのキャリブレーションも可能

ECO Professional

省エネをサポートするツールを内蔵。表示画像の明暗に応じて自動で輝度を下げたり、現在の省エネ度合いをリアルタイムで表示することができる。また、これまでの省エネ料を表示することも可能

結論じみたことを言うと、RDT234WXは、上位格の「マルチメディアアドバンス」ラインの製品から、倍速駆動や3D立体視を省略し、液晶パネルの世代をあらためて2D画質を高め、低内部遅延を追求し、新提案のスマートフォン連携機能を備えたモデルである…と言うことが出来ると思う。

今回の評価では、カプコンの「バイオハザード オペレーション・ラクーン・シティ」をプレイした。この作品は、従来のバイオハザードシリーズとは異なり、完全な三人称視点シューティング(TPS:Third Person Shooter)ゲームとなっており、非常にスピーディな展開が特徴だ。四方八方からやってくるゾンビや政府軍(Spec Ops)の敵に対し、右アナログスティック操作でリアルタイムに照準を合わせて射撃していく内容で、スティック操作による照準の動きのリアルタイム追従性がゲームプレイの要となる。

遠距離の敵に対しては、微妙なスティック操作による照準合わせが要求されることも多く、内部遅延が大きいディスプレイではゲームの難易度が不用意に上がってしまう可能性も否定できないのだが、RDT234WXではそうした違和感のようなものはなし。遠方の敵はドット単位に早く動くし、それを追うように動かす照準マーカーも同様なので、オーバードライブを有効化させてプレイすると遊びやすさが向上する。

バイオハザードシリーズと言えば、暗いシーンが印象的なゲームだ。今作もご多分に漏れず、闇が広がる夜シーンが多く、それでいてまばゆい閃光が走ったりもする。RDT234WX-Sでは、エリアコントラストの機能が働き、明暗差が激しく移り変わる状況でも階調バランスがうまく維持されており、表示情報量に揺らぎがなく見やすい。安定した階調性能はゲームプレイにも優位に働くという印象だ。

「倍速駆動や3D立体視が必要な映画等の映像コンテンツは、テレビで見るから必要なし」という前提条件を掲げつつ、動画性能が高いパーソナルなPC向け上質ディスプレイを探している人、あるいはアクション性の高いゲームをプレイするための究極のゲーミングディスプレイを探している人には、RDT234WXはベストチョイスとなるはずだ。

(Reported by 西川善司)

■試用ソフト

→公式ホームページ

三菱、スマホ表示機能も強化した23型フルHD IPS液晶
-応答速度3.5ms。ノングレアは実売37,800円

http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20120424_528768.html

三菱、国内最速応答速度の23型フルHD IPS液晶
〜スマートフォン向け機能や、0.1フレーム遅延を実現

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20120424_528775.html

■バイオハザード オペレーション・ラクーンシティ
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