「ただ、映ればいい」という要件で安価なディスプレイを選ぶユーザーは多い。しかし、PC、動画、ゲームデバイスなど、ますます多用途化が進む液晶ディスプレイは、ユーザーが考える以上に、長く付き合うことになるデバイスだ。となれば、メインディスプレイは高品位なモデルを選びたい。

 そんなメインディスプレイに最適な液晶ディスプレイ製品が三菱電機から発表された。その名は「RDT233WX-Z(BK)」。

 IPS方式液晶パネル、多様な入力、高画質化処理、ゲーミング性能など、エンターテインメント用途としてはこれ以上望むべくもないスペックを備えつつ、「120Hz駆動、倍速補間機能」がプラスされた、パワフルなディスプレイとなっている。

メインディスプレイに相応しい高品質&多機能

三菱電機「RDT233WX-Z(BK)」は、エンタメ用途においてユーザーが求めるスペックを高水準で実現したディスプレイだ

 まずはじめに、「メインディスプレイに望む要件」とはなにか。

 第一に「液晶パネルの基本性能が高いこと」と言うのが思い浮かぶ。どんなに馬力のあるクルマでもタイヤが悪ければ、そのパワーを路面に発揮できないのと同様、高画質化処理がどんなに凄くても、液晶パネルのポテンシャルが低ければ、美しい映像表示を行うことはできない。

 第二に要求されるのが、「あらゆる映像を高画質化できる高い適応能力を持った高画質化エンジン」だ。今やPCディスプレイには「PCを繋ぐ」だけ以上のことが求められることも多く、特にパーソナルユースにおいては、ゲーム機やAV機器など、多様なソースを接続するAVセンター的に活用されることも珍しくない。またPC接続に限っても、低解像度のネット動画から高解像度の写真データまで、表示する映像はさまざまだ。そして、様々な映像ソースを表示するとすれば、そのソースごとに適した高画質化処理が必要になる。

 さらにゲームユースでは、高品位な表示を低遅延で、なおかつ残像も少なく表示できることが求められる。特に、三菱のDiamondcrysta Wideシリーズは、歴代モデルにおいて、この部分に関しては突出した特徴を持っていただけに、ユーザーの期待感も大きい。

 最後に、もちろん、HDMIをはじめとするさまざまな映像入力に対応しているのは必須要件だと言える。

 最初に言ってしまうと、「RDT233WX-Z(BK)」は、以上の4点に関して、非常に高い性能と、多様なニーズにマッチする機能を備えている。しかも、120Hz駆動+倍速補間機能による動画表示品質の強化という、エンターテインメント用途を指向するユーザーにとっては見逃せない機能も搭載されている。では、以下でそれぞれの機能の詳細を見ていこう。

120Hz駆動対応のIPS方式液晶パネル採用

RDT233WX-Z(BK)は、23インチ、1920×1080ドットの120Hz駆動IPS方式液晶パネルを採用

 RDT233WX-Z(BK)では、画質の本質を決定づけることになる液晶パネルとして画面サイズ23インチ(対角584mm)のフルHD解像度(1920×1080ドット)のIPS方式液晶パネルを採用している。IPS方式液晶パネルは高広視野角特性を持つ液晶パネルとして知られており、日本では、高画質液晶パネルの代名詞として認知度も高い。

 IPSとはIn-Plane Switchingの略で、液晶分子を画素セル単位に平面的に配置した電極で横電界駆動して光を制御する仕組みとなっている。この構造によりIPS方式液晶パネルは、視線角度に依存しない階調特性を持つのだ。広視野角…という一言で済ましてもいいが、筆者としては視点を移動したときの色調変位が少ないのがIPS方式液晶パネルの美点として大きいと感じている。正確な色情報と階調情報をユーザーの目に伝えることを目的としたディスプレイ機器において、IPS方式液晶パネルの強健な表示性能には"高画質"という言葉の意味を超えた価値がある。

広視野角と正確な色調再現が利点のIPS方式液晶パネル

 RDT233WX-Z(BK)では、前述の通り、そのIPS方式液晶パネルが倍速駆動に対応している点も特記すべきポイントだ。

 意外や意外。IPS方式液晶パネルを採用した液晶ディスプレイはなくはないが、IPS方式液晶パネル採用機で120Hz駆動対応のものは、三菱電機のハイエンドモデル「VISEO MDT231WG」以外に、製品としてほとんど無いのだ。もちろん、リビング等で使用される大型テレビ製品にはあるのだが、液晶ディスプレイで、120Hz駆動対応機というと、これまで倍速補間機能ではなく3D表示を目的としたTN型液晶パネル採用機の方が主流だった。

 RDT233WX-Z(BK)はその意味で、「IPS方式液晶パネル×倍速駆動」という、ありそうでなかった製品であり、高品位な表示を確保したいメインディスプレイの要件にはズバリ適合する。

そもそも、倍速駆動ってなに?

 今や当たり前のように語られる倍速駆動というキーワード。RDT233WX-Z(BK)にとって、この「倍速駆動」は機能面において大きなポイントとなっているので、改めて解説するとしよう。

 今と昔で、表示している映像自体のフレームレート(秒間コマ数)は変わらないのに「ブラウン管の方が残像が少なかった」という声を良く聞かれるのは、ブラウン管では、映像自体が一瞬だけ表示されるがすぐに消えてしまう表示原理だったからだ。この表示方式を「インパルス型表示」という。

 人間の視覚には、見た映像がしばらくのあいだ知覚に「残って」しまう厄介な性質がある。例えば、2枚のコインを指先で高速に動かすと3枚に見える…という子供だましの手品などは、まさにこの視覚特性(残像現象)を応用したものだ。

 ブラウン管のようなインパルス型表示では、前の映像がすぐに消えてしまうので、こうした視覚上の残像が残りにくい一方、液晶の場合は構造上、常時バックライトから放たれている光で映像を表示しているために、前の映像が表示されたままの状態で、現在の映像表示にサッと切り替わる。こうした表示方式を「ホールド型表示」という。

 映像機器で表示される映像は、実際には連続撮影した静止画の羅列を見ているに過ぎないので、撮影対象の動きが速い場合には、各コマのあいだで撮影対象どうしが「離れすぎて」しまう。このような動画をホールド型表示すると、その撮影対象の"移動後の像"を、離れた位置にある"移動前の残像"付きで見てしまうことになる。こうした液晶特有の表示アーティファクトを「ホールドボケ」などと呼んだりする。

 ここで「現実世界の情景はインパルス型表示では無く、むしろホールド型表示なのに残像が感じられにくいのはどうして?」という疑問が浮上するかもしれない。これは、言ってみれば、現実世界の情景は、フレームレート無限大で目に飛び込んでくるためだ。

 現実世界は秒間コマ数無限大の世界なので、直前の情景と現在の情景が連続して視覚されるので、実際にはホールドボケのような残像は知覚されていても、動きが連続的すぎてホールドボケが感じづらいのだ。逆に言えば、現実世界でも、動きが速すぎるものについては、人間の視覚は残像を知覚してしまう。前出のコインの手品がまさにそうだ。

 そして、秒間有限コマの映像を、現実世界の情景の「フレームレート無限大」に多少なりとも近づけようとするのが、倍速駆動技術になる。元々は、毎秒60コマしかない映像を120コマにして、なるべく現実世界に近い、連続時間表示に近づけ、ホールドボケを低減しようというわけだ。

 よく、液晶パネルの応答速度のスペック値が「動画表示能力の優秀さの指標」に引っ張り出されるが、実は、どんなに応答速度が高速でも、液晶がホールド型表示である以上はホールドボケは改善されない。下図は、応答速度5msの同一応答速度の倍速駆動対応のIPS方式液晶パネルと、TN方式液晶パネルのぼやけ時間を比較したものだ。同じ応答速度の液晶パネルでも、倍速駆動の有無で、見た目のぼやけが全く違っているのが分かるだろう。

動画応答時間を示す指標「MPRT」による、従来型TN方式液晶ディスプレイと、RDT233WX-Z(BK)倍速補間の比較。
MPRTは数字が少ないほど、人の目が感じるぼやけ感が少ないことを表す

 もちろん、秒間60コマの映像を120コマに増やすということは、存在しない中間コマを生成する必要がある。これは前後のコマの画素の動きを分析し、算術的に間のコマを合成する。もちろん、合成した映像が100%正しい保証はないので、60コマ分の実体フレームを主として、算術合成した中間フレームはいわば従として支援的に表示する…というのが、現在の倍速駆動技術の実際だ。

 「RDT233WX-Z(BK)」で倍速を有効にすることで秒間60コマ映像が秒間120コマ映像に補間され、残像感が軽減されるだけでなく、動画がよりなめらかに表示されるようになるのがわかるだろう。

RDT233WX-Z(BK)の倍速補間の模式図。主フレームと補間フレームが超解像技術によって補正されることで、クッキリ感を強化している

 ちなみに「RDT233WX-Z(BK)」の120Hz駆動は、単純に秒間60コマ映像を秒間120コマ映像にするだけではない。映画やアニメのような秒間24コマ映像や家庭用ゲーム機の30コマ映像に対する特別な倍速駆動モード「シネマモード」をも搭載している。

 シネマモードには「オフ」「フィルム」「なめらか」の3段階設定が用意されており、ユーザーの好みに応じて、倍速駆動の振る舞いを変更することができるようになっている。

 まず「オフ」は、秒間60コマの映像を、単純に2倍の秒間120コマとして表示するモード。

 「フィルム」は、Blu-rayプレイヤーなどで秒間24コマ映像が2-3プルダウンされて秒間60コマになった映像が入力されたとき、秒間24コマの各コマを5回ずつ、秒間120コマとして表示するモードだ(秒間30コマ映像が入力された場合は各コマを各4回ずつ表示して、秒間120コマ映像となる)。フィルムジャダーと呼ばれる24コマ映像特有の等速のカクカク感が再現されるので、原信号至上主義の映画ファンにオススメしたいモードだ。

 「なめらか」は、「フィルム」と、同様2-3プルダウンされた秒間24コマの映像を秒間120コマに変換するが、その際、映像の各コマの間に4枚の算術合成した中間フレームを挿入した上で秒間120コマとして表示するモードになる(秒間30コマの映像を入力した場合は各コマ間に3枚の中間フレーム)。3モード中、最も映像の動きがなめらかになるので、「ホールドボケをとにかく低減させたい」というユーザーには嬉しいモードだと言える。

 ちなみに、「この映像は倍速ナシの素の状態で楽しみたい」という場合もあると思うが、そうしたときには、RDT233WX-Z(BK)のリモコンの[倍速CP]ボタンを押せばいい。倍速駆動をワンタッチでオン/オフすることが可能となっている。

リモコンの「倍速CP」ボタンを押せば倍速補間のオン/オフを一発切替

倍速クリアピクチャーの設定画面

ディスプレイに最適化された
高画質化エンジン「ギガクリア・エンジンII」

 いわばベースバンド映像を出力できるPCにとって、PC画面を表示するPCディスプレイに高画質化処理は必要なのだろうか。

 多様な機器への接続性を獲得したRDT233WX-Z(BK)では、接続する機器や、多様な映像コンテンツを的確に高画質化する幅広い適応能力が求められるので「必要」と断言できる。

 では「自分はPCしか接続しない」という頑固者のユーザーにとっては高画質処理は不要なのだろうか。いや、それでも、まだ、「不要とは言い難い」と言い返すことができる。

 たとえば、PC活用の大きなウェイトを占め始めているネット動画鑑賞において。ネット動画はご存じのように画質の低い物が多く、ベースバンド映像表示を前提とした高画質処理機能がない多くのPCディスプレイでは、そうした低ビットレートネット動画の画質の悪さを際立たせてしまうことすらある。ただ厄介なのは、PC画面では、そうした低画質なネット動画が、高画質なデスクトップ画面の中に同居することがよく起こりうるということだ。

 単純な接続端子ごとの、入力映像形式ごとの高画質化処理では、こうした状況に対応できない。"メディアミックスなPC画面"だからこそ高度な高画質化処理が求められるともいえ、ある意味、テレビにおける映像処理よりもシビアということができるかもしれない。
 そんな状況にも対応すべく、RDT233WX-Z(BK)では、歴代Diamondcrysta Wideシリーズに搭載されてきた映像エンジンを最新世代の「ギガクリア・エンジンII」へと進化させている。

 「ギガクリア・エンジンII」の進化ポイントは5つ。それぞれを簡単に紹介していくことにしよう。

1. 進化した「超解像技術」

 超解像技術とは、入力された映像が解像度情報が失われた状態と仮定して、その解像度情報を予測して復元しようとする高画質化技術のこと。

 「ギガクリア・エンジンII」に搭載されている"新"超解像技術では、根本的な画質改善が行われている。RDT233WX-Z(BK)では、従来機では色情報を削って処理していた超解像が、「ギガクリア・エンジンII」では、色解像度においてもフル解像度で処理するように改善がなされている。簡潔に言えば、RDT233WX-Z(BK)では、より精度の高い超解像処理が行えるようになったということだ。

   

SD解像度の映像に超解像をかけてみたところ。適用度は左から0%、50%、100%

2. 解像度を自動判別して最適な高画質化処理を行う「解像度判別」機能

 低解像度映像では1画素が大きく、つまりは画面の面積に対する1画素の割合が大きい。すなわち、高画質化処理の効果が大きく現れ、同時に認知されやすい。しかし、高画質化処理の効果レベルをちょっと変えただけでも強く効き過ぎてしまう。一方、高解像度映像ではまるで逆の状況になる。

 RDT233WX-Z(BK)のギガクリア・エンジンIIでは、この問題に対し、適応型の考え方で取り組む機能が搭載された。それが「解像度判別」対応の高画質化処理機能だ。

 賢いのは、その解像度判別を入力された映像の480p,720p,1080pといったフォーマット種別で行うのではなく、入力映像を実際に解析して映像の"実効"解像度を把握しつつ、それに適した高画質化調整を行ってくれる点だ。

 なので、たとえば、480pのDVD映像を1080pにアップコンバートしたDVDプレイヤーの映像であってもギガクリア・エンジンIIは、実効解像度を分析して、1080p映像としてではなく、ちゃんとSD(480p)映像適性レベルの高画質化処理を行ってくれる。

 なお、この「解像度判別」機能が効くのは「超解像レベル」「ブロックノイズリダクション」「エリアコントラスト」「肌色検出」の4つの高画質処理パラメータとなっている。

 実際に、前述したような高品位なPC画面とネット動画のような低品位映像が混在する映像に対して超解像処理を掛けてみると、この解像度判別機能により、既に十分な解像感があるデスクトップ画面などに対しては超解像化が意図的に弱まり、ぼやけ成分か多い動画や映像箇所に対しては強まる効果が得られていた。

 一般的なディスプレイ製品やテレビ製品の高画質化処理機能では、映像種別が変わると効果も変わるという感じで「丁度いい掛け具合」の設定が見つけにくいことが多いが、ギガクリア・エンジンIIでは、設定した高画質強度があらゆる映像に安定して効くのだ。

Windowsのデスクトップに超解像をかけると、文字などの「超解像がかかってほしくない箇所」にはかからず、写真等の「かかってほしい場所」にはしっかり適応されていることがわかる(左が超解像オフ、右が超解像100%)

3. 「ブロックノイズリダクション」機能

 ブロックノイズとは、MPEG映像に起こりがちな、映像中にタイル状の境界線のようなものが見える現象で、特に低ビットレートのMPEG映像で起こりやすい。これを映像処理で低減させるのがブロックノイズリダクション機能だ。

 RDT233WX-Z(BK)で、この機能の効果を確認するには、プリセット画調モード(DVモード)の「ネット」モードがいい。ネット動画につきものの、強烈な正方形状の等高線をものの見事に、なだらかにして見せてくれる。前述の「解像度判別」の効果もあってか、ブロッキーな動画ウィンドウにだけ効き、デスクトップやWebブラウザをぼやかすこともないので、普段からネット動画を見ることの多いPCであれば「ネット」モードを常用していてもいいくらいだ。

ネット動画やMPEG動画にありがちなブロックノイズを低減する「ブロックノイズリダクション」。左が無効、右が有効時の映像

4. 「肌色検出」機能

 肌色検出機能とは、映像中の肌色に対し、超解像処理やブロックノイズリダクション機能の効き方を制御する機能になる。

 イメージとしては超解像処理やブロックノイズリダクション機能の補助パラメータという感じだ。

 設定はオンかオフが選べ、オン時は肌色およびそれに近い色に対し超解像処理の効果を抑え、ブロックノイズリダクション機能は肌色およびそれに近い色に対してのみ掛かるようになる。オフ時は全ての色(すなわち画面全体)に対して超解像処理の効果が適用され、ブロックノイズリダクション機能もく効くようになる。

 映像中の人肌のなめらか感とディテール感のバランスを調整したいときには、この機能をいじってみると良いだろう。

5. 「エリアコントラスト」機能

 ギガクリア・エンジンIIでは、自動的にコントラストを調節するダイナミックコントラスト機能が基本機能として搭載されている。

 一般にダイナミックコントラスト機能は、暗部の階調再現性を向上させたり、ディテール表現を鮮明に描き出す効果をもたらすが、映像全体の平均明度などから制御値を割り出すため、映像によっては、暗部階調が死んだり、明部階調が飛んで飽和してしまったりすることもありうる。

 ギガクリア・エンジンⅡでは、こうしたワーストケースが起こらないように、映像の各所で階調特性とコントラスト感を最適化する処理系を盛り込んでいる。これが「エリアコントラスト」機能だ。

 実際に、RDT233WX-Z(BK)の映像を見てみると、暗い映像ではその暗部階調を漆黒からリニアに立ち上げつつも、明部では適度な眩しさを両立させ、明るい映像では明部にまばゆい輝きを描きつつ、暗部では黒浮きの少ない暗部階調を実現させているのを見て取れる。

 この液晶ディスプレイにとって"難しめ"な表示を実現できているのは、ギガクリア・エンジンⅡがダイナミックコントラストとエリアコントラストの両方を効かせているためだ。

ゲームモニターとしても
最上級のポテンシャルを有するRDT233WX-Z(BK)

 歴代のDiamondcrysta Wideシリーズは、ゲームモニターとしてのポテンシャルも高かったわけだが、あの遺伝子はRDT233WX-Z(BK)にもちゃんと受け継がれている。

 RDT233WX-Z(BK)では、スルーモードオン時の表示遅延時間を公称値1フレーム時間未満(ギガクリア・エンジンIIがバッファリングする数十ライン分の走査線伝送時間)に抑え込んでおり、業界最速クラスの低遅延性能を誇っている。

 アクションゲームや音楽ゲームでは、表示遅延の大小が、そのままゲームプレイ時の有利不利に直結するため、RDT233WX-Z(BK)のこの低表示遅延性能はゲーマーにとっての武器となる。

 なお、この表示遅延低減モード(スルーモード)は、リモコンの[スルーモード]ボタンを押すことでワンタッチに移行が可能だ。

 筆者も、このスルーモード時の表示遅延を独自に測定したが、他社の表示遅延が最も少ないテレビ製品よりも少ないことを確認できている。RDT233WX-Z(BK)は事実上、"表示遅延なし"に極めて近い低表示遅延性能であると断言できる。

 一般に、こうした低表示遅延モードでは、一切合切の高画質処理を無効化しないと実現されないものなのだが、RDT233WX-Z(BK)では、スルーモード(低表示遅延モード)時においても、超解像機能やブロックノイズリダクション機能などのギガクリア・エンジンIIが提供する高画質化機能は一通り利用できる。そう、低表示遅延のために高画質を我慢する必要はないというわけだ。

リモコンの「スルーモード」ボタンを押せば、どんな設定からでも即座に遅延最小限の最速モードに移行できる

 ところで、筆者の独自測定では、倍速駆動を有効にさせたときは表示遅延は約2.3フレームとなっていた。倍速駆動を有効にさせた状態で表示遅延が2.3フレというのは、非常に優秀だ。但し、プリセット画調モード(DVモード)の機能の一つである3次元ノイズリダクションを有効(弱か強を選択)にすると、表示遅延は約5フレームとなった。プリセット画調モード(DVモード)が「テレビ」か「シネマ」のときは、3次元ノイズリダクションの初期設定が有効になっているため、この点は注意しておいたほうがいいが、RPGのようなゲームであれば、この程度の表示遅延ならばプレイに支障はないし、アクションゲームをプレイする時になったら、リモコン上の[スルーモード]ボタンを押せば、ワンタッチで低表示遅延モードに移行できる。倍速駆動が有効の設定になっていても、スルーモード(低表示遅延モード)を有効化すると、スルーモードの方が優先されるので、いちいち倍速駆動をオン/オフする必要も無い。

 RDT233WX-Z(BK)には、ソニーのプレイステーションポータブル(PSP)ユーザーに好評の、アスペクトモードの「ポータブル」もちゃんと搭載されている。

 PSPは、内蔵ビデオプロセッサの仕様の関係で、一般的なテレビに接続した場合は、メニュー画面こそ画面全体に拡大表示されるものの、ゲーム画面は若干小さく表示されてしまう制約がある。RDT233WX-Z(BK)では、この制約に囚われず、ゲーム画面の全画面表示が可能となっているのだ。

 さらに、RDT233WX-Z(BK)には、その上を行く「画面サイズ」機能と呼ばれる、超マニアックなゲーマー向け機能も搭載されている

 「画面サイズ」機能には「フル」「リアル」「アスペクト」「2Xズーム」と言ったモードが用意されており、ゲームマニアに歓迎されるのは、一切の拡大表示をしない等倍表示モードの「リアル」モードと、1ドットを2×2の4ドットで描き、ドット感を崩さず、ボカし無しで拡大表示する「2Xズーム」モードの2つだ。この2つのモードでは、ドット描画がボケず、1ドット1ドットがくっきりとした四辺形で描かれるため、ドット画の味わいを過不足無く楽しむことができる。

 ゲーマー向けの機能というわけではないが、RDT233WX-Z(BK)の2画面機能(子画面機能)は、使い方によっては、対戦ゲーマーやオンラインゲームユーザーに便利な機能となる。

小画面にも超解像を適用可能。もちろん強度も10%刻みで選べる

 RDT233WX-Z(BK)では、前述した超解像機能を2画面機能を活用したときに現れる子画面に対して、特別な強度でかけることができるのだ。

 そう、例えば、親画面には超解像オフとし、子画面にだけ掛けることが可能なのだ。ちなみに、子画面超解像のレベルはリモコンでの調整はできないので、あらかじめメニュー画面側で設定しておく必要がある。

 子画面サイズを「大」としたときの解像度は906×510ドットにもなるため、フルHD映像でも約1/4の解像度で表示が可能だ。ここに超解像を掛けると、子画面であっても結構よく見えるようになるため、たとえば「子画面側で開いた攻略サイトを見ながら親画面でゲームをプレイ」とか「子画面側で再生したプレイ動画を参考にしながら親画面でゲームをプレイ」とか、「子画面で対戦ロビーの動向を確認しながら、親画面でWebブラウジング」といった芸当もできてしまうのだ。

   

小画面のサイズは3段階で変更可能

PCもAVもゲーム機もOKな接続性。実はサウンド機能も使い勝手良好

シリーズ伝統の充実した入力端子群

リモコンのボタンで入力ソースを一発で切り替えられるのもポイント

 RDT233WX-Z(BK)は、PCディスプレイ製品なので、背面側に常時接続端子の位置付けとして、DVI-D入力端子(デジタルRGB接続)とD-sub15ピン端子(アナログRGB接続)のPC接続端子を設けている。

 ミニステレオジャックの音声入力端子も1系統あり、PCとここを接続することでRDT233WX-Z(BK)の内蔵スピーカーからPCサウンドを出力することもできる。RDT233WX-Z(BK)のスピーカーはステレオ出力3W+3Wに対応したものが実装されているので、PCスピーカーなどを別途用意せずともRDT233WX-Z(BK)だけでPCの映像と音声の両方が単体で楽しめるのは便利だ。

 比較的高頻度に脱着が想定されるAV機器接続向けの端子はアクセス性が良好な側面に配されている。

 ここにあるのは2系統のHDMI入力端子、1系統のD5入力端子、計3系統だ。

 D5入力にはペアとなる赤白RCA端子によるステレオアナログ音声入力もあり、DVDプレイヤーはもちろん、WiiやPS2などのゲーム機のD5端子と接続すれば、RDT233WX-Z(BK)をAVモニターやゲームモニター的に活用することも可能ということだ。

 さらに、RDT233WX-Z(BK)のHDMI入力端子は映像だけでなく、デジタル音声入力にも対応しているので、RDT233WX-Z(BK)で映像と音声の両方を再生可能だ。

 ところで、RDT233WX-Z(BK)では、[音声入力]ボタンを押すことで、表示映像とは無関係に他の入力系統の音声を再生する機能が備わっている。なので、例えばHDMI入力映像を見ながらPC音声を聞いたりすることができるのだ。なお、RDT233WX-Z(BK)にはヘッドフォン端子も実装されているので、外に音を出さずに、サウンドを楽しむこともできる。

 気合いを入れてお気に入りのコンテンツを楽しむときには自慢のAVシステムを用いてサラウンドサウンドで楽しみ、ゲームやネット動画などを楽しむ時にはRDT233WX-Z(BK)側のスピーカやヘッドフォン端子経由でカジュアルにステレオサウンドを楽しむ…といった活用ができる。RDT233WX-Z(BK)のサウンド機能は地味ながらも実はかなり使いでのある機能だと感じる。

まとめ 〜2Dか3Dか。それが問題だ。

 RDT233WX-Z(BK)の実勢価格は、2011年の6月現在で約5万円前後と言ったところ。

 23インチの液晶ディスプレイは激戦区商品であり、さすがにRDT233WX-Z(BK)は激安品ではないが、「120Hz駆動IPS方式液晶パネル×倍速補間機能対応」というスペックを考えればコストパフォーマンス的には悪くない。というか、この画面サイズの「120Hz駆動IPS方式液晶パネル×倍速補間機能対応」というPCディスプレイ製品そのものが少ないので、いわばオンリーワンな製品と言ってもいい。

 そして複数世代のPCと組み合わせて長く使う"メインディスプレイ"として選択するのであれば、画質面や機能面でできるだけ妥協はしたくないはずで、その意味で、「液晶パネルの潜在能力」「接続性」「高画質化機能」「ゲームモニター」の各要素で必要条件を満たしているRDT233WX-Z(BK)は、ベストバイと呼ぶに相応しい。

 もし、万が一、他製品と悩むとすれば、同じRDT233WXの型番を名乗る立体視(3D)対応モデルの「RDT233WX-3D(BK)」(http://ad.impress.co.jp/special/mitsubishi1105/)と比較した場合だろうか。

 価格帯も全く同じだけに確かに悩ましい選択となる。

 単純かつ明解な、筆者からのアドバイスを1つ。

 倍速駆動を取るならばRDT233WX-Z(BK)!

 3Dを取るならばRDT233WX-3D(BK)!
 
 である。

 どうしても決まらないならば両方購入して、RDT233WX-Z(BK)を2Dの"メインディスプレイ"に、RDT233WX-3D(BK)を3Dの"メインディスプレイ"にすればいい。

(トライゼット西川善司)

関連情報

ワイド液晶ディスプレイ RDT233WX-Z(BK)

http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/display/product/multi/rdt233wx_z/index.html

三菱電機のホームページ

http://www.mitsubishielectric.co.jp/

 

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