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INSTALL MANIAX 2009
最優秀賞(TETSUJIN) 三浦剛史さんからのコメント
サーバーとOSがもらえるだけじゃない!「INSTALL MANIAX」の魅力
INSTALL MANIAXに参戦したのは、Windows Serverやオープンソースソフトウェア(以下、OSS)に興味があったこともありますが、「サーバマシンとOSがもらえるから」というのが1番大きな理由でした。最初はそれくらい単純な理由でしたが、今では、サーバーとOSがただでもらえたということよりも、いろいろな意味で参加して良かったと思っています。
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私が「参加して良かった」と思う理由は主に3つあります。
「対決を楽しめたこと」が第1の理由です。この大会は多くのテクノロジーの基本知識が必要なだけでなく、ドキュメントの作成が必須なため、現役のITエンジニアが日頃の力を最大限に発揮して競い合い、切磋琢磨できる大会となっています。今回の大会でも前回以上の大勢の方に参加して頂き、共にこの楽しみを味わって頂きたいです。
次に、「色々なOSSを体験できたこと」です。当たり前ですがOSSを出来るだけインストールする大会なので、多くのOSSに触れることになります。インストールするOSSには有名なものも含まれていますが、大半が初めて知ったものばかりで「こんなOSSもあったのか」と新しい発見をすることができました。
そしてなによりも、「改めてWIMP(Windows+IIS+MySQL+PHP)について知ることができたこと」が大きな理由です。おそらくINSTALL MANIAXに参加したことのない大半の方はWIMPの組み合わせを試したことがないのでは無いでしょうか。仮に試したことがあったとしても、「IISでの構築は難しく、不安定」と感じていないでしょうか。私自身も、この大会以前にWindows Server 2003(+IIS6)を使ってのWIMP構成でOSSのCMSを構築したことがありますが、当時は構築手順が確立されておらず、LAMP構成に比べて使い難い印象を受けました。しかし、INSTALL MANIAXでWindows Server 2008(+IIS7)での構築を試してみると、手順も簡単になっており、安定性やパフォーマンスも良く、FastCGIやIIS Extensionsなどを活用することによって、更なる向上を見込めることに驚きを受けました。LAMP構成しか試したことが無い人にはもちろんですが、私のようにIIS6以前の構築のしにくさを経験して敬遠しがちな方には、是非今回のINSTALL MANIAXに参加して頂いてIIS7の凄さを肌で感じてほしいと思います。
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三回目となる今回のINSTALL MANIAXは"仮想化"をテーマに、Self-hostedコースで提供されるマシンやOSもパワーアップして魅力的になり、VPSコースも用意されインストールだけに打ち込める環境も整えられて今までと比べて参加しやすくなっているのではないでしょうか。仮想化は様々なシーンでメリットを提供しますが、Webサーバーの仮想化は素早いプロビジョニング、メンテナンスの容易性、消費電力の低減など、とくにメリットが大きいと思います。Hyper-Vは、Windowsならではの管理の容易性と広いハードウェアサポートが特長となっていて、Linuxなどのサポートも積極的に行われています。今回の大会ではWindows Server 2008 R2という最新のOSを使うということだけでなく、仮想化というこれからのキーテクノロジーも同時に体験することができます。
さらにはアジア大会同時開催も計画されているということで、INSTALL MANIAXもグローバル化してきているなと感じます。今後はアジア大会のみならず、世界大会が開けるくらいに有名になって欲しいですね。
三浦剛史
INSTALL MANIAX 2008
チャンピオン 田中主夫さんからのコメント
仮想化ともあいまって広がりを加速するフリーを体感する
「INSTALL MANIAX 3」
話題の「フリー<無料>からお金を生みだす新戦略(クリス・アンダーソン著)」の第7章「フリーと競争する」では、否認、怒り、取り引き、抑鬱、受容の5つの段階にわけてマイクロソフトのオープンソース対応の経緯が描かれています。この抑鬱の段階の頃の雰囲気は第1回目のINSTALL MANIAXで3月にマイクロソフト本社を訪問し、オープンソース関連の担当の方とお話した際にも感じられました。
「顧問弁護士はGPLライセンスをウィルスと同じだと考えた。(中略)社内にオープンソース研究所をつくりたいと思ったときも、まるで生物災害(バイオハザード)施設のような扱いを受けた。(同書P147)」
シアトルで担当の方々が「大変な時期もあったけれども、いまではもっともマシンの数が増えている部門だ」と楽しそうに話されていたのを思い出します。
そして、現在は第5段階の受容で、「今のマイクロソフトの立場は『フリーとの相互運用』つまり、お互いのソフトが相手のOSで作動するようにすること(同書P148)」となるわけですが、この相互運用の要となるのがIISであるわけです。
INSTALL MANIAXで数多くのPHPアプリケーションを実際にIISで稼動させて、ほぼすべてのPHP AppsがWindows+IISの構成で稼働できることがわかりましたが、相互運用を考えると主となるデータベースは統一したいものです。IIS+PHPのネックとなるCGIはFastCGIでクリアされましたが、PHP+SQL Serverについても先日、UTF-8をサポートしたSQL Server用PHPドライバがリリースされました。今後、Windows環境における主なPHPアプリケーションの導入作業はMicrosoft Web Platform Installer で「データベースを選択」して進める、といった流れになっていくのではないでしょうか。
数多くのPHPアプリの中にはCRMもありますが、さらに高度な業務系ソフトがオープンソースとして本格的に動きだしています。ここではPostgreSQL + Tomcatの組み合わせが強いようですが、組み合わせもさることながら、こうしたアプリケーションの導入には非常に工数がかかります。仮想環境の普及により設定が大変なものは導入済の仮想環境として一括提供されだしました。これをWindows環境で導入する場合、ハイパーバイザー型仮想化機構のHyper-Vを利用してOSを含む環境ごと動作させ、Hyper-V内のTomcatとベースとなるWindows上のIISを連携(ISAPI)することになります。いやはや凄い時代になったものです。Hyper-Vは、R2がリリースされ、パフォーマンス、スケーラビリティの向上や、ライブマイグレーション機能のサポートなど、大きな進歩を遂げています。
マイクロソフトの顧問弁護士がウィルスと同じだと考えた「オープンソースの仕組み」は、かつて銀行家が発明した「お金の仕組み」のように人類に感染を広めていきます。今回のInstall Maniax3では仮想化ともあいまって広がりを加速するフリーを体感することができそうです。
「堅実な企業の多くも、JavaやPHPといったオープンソース言語を採用している。そこは有料と無料が混在するハイブリッドの世界なのだ。マイクロソフトの歴史から学べる教訓は、ハイブリッドの世界はたんなる可能性ではなく、充分おこりうる、ということだ。有料だけでも無料だけでも、単独ですべて対応することはできないのだ。(同書 P149)」
田中主夫