前編のインタビュー、中編の北海道でのレビューを通じて、ミシュランのスタッドレスタイヤの最新モデル「MICHELIN X-ICE XI3(以下XI3)」が素晴らしいタイヤであることがとてもよくわかった。スタッドレスタイヤは日々進化しているわけだが、前記事でお伝えしたとおりで、個人的にもXI3の能力の高さに大いに満足した次第である。
そして、今年もまもなく冬本番がやってくるわけだが、まさにそのタイミングで、雪国に住んでいる父親からちょうど、「スタッドレスタイヤを新調したいのだが、どれを選んだらいいのか?」という相談を受けた。もちろんオススメしたのはお気に入りのXI3だ。
ウチの父親はすでに齢70歳をすぎている。とはいえ、まだ現役バリバリで働いていて元気そのもの。
実家は富山にあるのだが、仕事の関係でお隣りの新潟にも住まいがあり、富山〜新潟間を雨の日も雪の日も関係なく頻繁に行き来している。お隣りといっても実家のある富山県滑川市と新潟市では約250kmも離れているから、年間の走行距離は軽く2万kmを超える。素人のドライバーとしては、かなり走るほうだろう。せっかくならば雪国在住の素人代表として、父親にXI3のインプレッションも聞いてみたい。
というわけでミシュランを薦めたわけだが、ここで1つ問題があった。他の多くの国内タイヤメーカーと違って、ミシュランには専門の販売ショップがない。ミシュランのタイヤがどこで売っているのかわからないという声もしばしば聞こえてくるが、実はウチの父親もそうした一人だった。
しかし、そんな人の強い味方をミシュランは用意している。ミシュラン直営のオンラインストア「ミシュランストア」、つまりタイヤのネット通販だ。
深夜でも出先からでもいつでもどこでも注文ができ、自宅まで届けてくれるネット通販はとても便利で筆者もよく愛用している。しかしそれがタイヤとなると話は別だ。時々ネットで格安なタイヤを売っていることもあるが、タイヤを家に送り届けられても置き場所に困るし、いざお店に装着を頼もうと思っても、持ち込みタイヤは対応してくれなかったり、割高な工賃を取られたりして、結局安くすまないことになる。
しかしミシュランストアに限っては、当然だがそんな心配は無用だ。ミシュランストアでは、すでに全国各地の多くの店舗と提携しており、オンラインから、近所のお店を検索し、装着の予約までできる。タイヤも自宅ではなく選んだ店舗に送られる。しかも送料も無料だ。
もう一つ気になるのが工賃。選んだお店によっては高い工賃を請求されるのではたまらないが、その点もぬかりはない。実際に購入手順を踏んでみると分かるのだが、タイヤの組み付け工賃、さらには外した古いタイヤの廃棄代まで、全てミシュランストア上で決済が完了する。つまりお店によって工賃が変わることもなければ、そもそもミシュランストア上で決済が終了するので、基本的にはお店でお金を払う必要はない。初めて行くお店だとなにかと不安もあるが、これなら安心してタイヤを購入、装着することができそうだ。
そこで筆者は、この際たまには親孝行をと思って、このミシュランストアを使って父親にタイヤをプレゼントすることにした。
実際に使ってみると、まず価格が一発で分かるというのがうれしい。多くの場合、タイヤはオープンプライスなので、直接お店に行かないと実際の価格が見えないのだが、欲しいサイズのタイヤがいくらか一発でわかるというのは、購入を検討する段階でも大いに役立つ。
さらに店舗の検索も、東京にいながらにして新潟の父の家の近所のお店を検索することができた。大径ホイールや低偏平のタイヤだと、装着できないお店もあるのだが、そういった情報も掲載されているので、一発でお店を探すことができる。
他にもミシュランストアで購入するメリットは数々あることがわかった。まず、購入金額の5%分のポイント還元がつくのである。ポイントといっても、なかなかタイヤを買う機会もないと思うが、ポイントはYahoo!ポイントや、楽天スーパーポイント、QUOカードなどとして還元できるので、貯めたポイントはミシュランストア以外でも使うことができる。
さらに、タイヤパンク修理、空気圧点検、バランス調整、ローテーションなど(※バランス調整、ローテーションは1回限り)の1年間有効なフリーメンテナンスが付帯する。これは事実上、1年間の無料保証といえるだろう。そして、万が一タイヤが修理できないようなパンクをした場合には、お得な1年間有効のリピート割引制度も用意されている。
筆者がクルマ関係の仕事をしているとは言え、父親は特別クルマに詳しいわけでもない。特に年間走行距離も多いので、このようにサポートがしっかりしているととても安心できる。これならあまりクルマに詳しくない友人にも勧められそうだ。
本当は父親のみがお店に行ってXI3に履き替えることも十分に可能だったが、ちょうど新潟方面に仕事に行く予定もあったので、せっかくだし筆者もついていくことにし、その日に合わせて装着希望の予約を入れた。
そして当日、いざ装着へ。筆者も新潟に向かい、午前中に仕事を済ませ、お昼に父親と合流して、予約を入れた15時の少し前にお店に向かった。
選んだお店は新潟市内にある「ニッタタイヤ タイヤショップbub(ブブ)新潟店」(以下bub新潟店)。店舗の横に大型のガレージを持つが、中を覗くとそのガレージを埋め尽くすほどのタイヤが目に飛び込んできた。もちろんそのほとんどがスタッドレスタイヤだ。
訪れたのは11月の下旬。関東ではまだまだ雪の気配すらない時期だが、こうした雪国の地方では、すでにタイヤの流通がはじまっているのだ。お店の人によると、この山積みのタイヤがすべて今冬、このお店だけではけてしまうそうだ。
ということは、逆に考えると、関東圏でも早くスタッドレスタイヤを予約しないとサイズ不足になる可能性があることになる。よく、関東で雪の予報が出てから慌ててスタッドレスタイヤを買いに行ったら、すでに在庫切れだった、などという話を聞くが、こうして雪国でいち早く大量に販売されていることを踏まえると、そうなるのも納得である。
また、装着を予約したbub新潟店は、ミシュランストアの契約店舗ではあるが、ミシュラン以外にもあらゆるメーカーのタイヤを扱うタイヤのプロショップだった。今回はすでにネットで注文済みではあったが、いろいろなメーカーのタイヤの情報が聞けるというのは、ユーザーにとっては大変参考になる。実際に店頭には各メーカーのスタッドレスタイヤが並べられていて、実際に見たり触ったりして比較することができたし、また、ミシュランのタイヤもたくさん販売しているので、伊藤店長も、筆者が体験したのと同じミシュランの試乗会に招待され、いち早くXI3の優れた性能を体感しているのだとか。こういう業界にも通じた人にタイヤのアドバイスをしてもらえるというのは、利用者にとってもありがたい。倉庫に大量にあったあのタイヤが売れるというのも納得だ。
ちなみにせっかく新潟のお店に来たので、例えば関東など非降雪地域から引っ越してきたばかりの人と、長年新潟に住んでいる人で、雪道の走らせ方で違いなどがあるのか伺ってみた。当然雪国の人の方が雪道の運転は得意だろうと予想しての質問だったのだが、その答えは全く逆だった。むしろ雪国の人ほど、逆に雪に慣れてしまっていて、使用限界を超えたスタッドレスタイヤをそのまま履いていたり、運転技術を過信したりして、事故を起こしてしまうケースが多く見受けられるのだとか。やはり、せっかく最新のスタッドレスタイヤがいくら高性能になっても、履き替えなければ意味がないし、慎重に運転することが重要だと伊藤店長は語ってくれた。
さて、XI3の装着作業が終わると、日の短いこの時期だけに、すっかり暗くなってしまった。そこでこの日は早々に帰宅して、翌日、父親と近くにドライブに出かけてみた。さすがの新潟でもまだ降雪前だったので、乾燥路のみでの走行だったが、父親の第一印象としては、それまでサマータイヤよりも、むしろ乗り心地がよくなって、静粛性も向上したと感じたようだ。
この記事が掲載されるころには、新潟も本格的な雪シーズンが到来するだろう。せっかくXI3を装着したので、ウチの父親には、今年から来年にかけてじっくりXI3を味わってもらって、ごく普通の街中で、ごく普通の速度で、ごく一般のドライバーが運転したときどのように感じるのか、そのレビューを来年じっくりお届けしたいと思う。