卓上スマホライフに最適 ワイヤレス充電器「エアボルテージ」
場所をとらないスタンド型 操作しながら充電可能!
場所をとらないスタンド型 操作しながら充電可能!
「Qi」をご存じだろうか。ワイヤレス給電技術の規格の名称で、「チー」と読む。あまりなじみのない言葉だが、「Qi」には、気功やドラゴンボールでおなじみの「気」という意味があるらしい。
本物の「気」ではないが、Qiも接触しないでエネルギー=電力を伝送できる。たとえばQi対応のケータイをQiの充電器の上に置けば、それだけで電力が供給され、充電できてしまうのだ。ケーブルをつなぐ必要も、電極を接触させる必要もない。ただ置くだけ、非常に簡単だ。
Qi対応のAndroid端末は、昨年末から徐々にラインナップも増え、iPhone 4と4Sは、マクセルから発売されている充電カバー「WP-SL10A」を装着すればQiを利用できる。
そして今回紹介するマクセルの「エアボルテージ WP-QIST10」は、このQi規格に対応した充電器である。Qi対応の充電器というと、従来の製品がパッド形状(平置き)をしているのに対し、この製品は充電パッド部分が斜めになったスタンド型となっている。そしてこのスタンド型のデザイン、スマートフォンとの相性が非常に良い。
WP-QIST10の充電パッド部分の角度は約45度。卓上に置いたとき、スマートフォンの画面を真正面から見やすい角度になっている。パッド部分は滑りにくい素材となっていて、さらにほど良い重さがあるため、スタンド上のスマートフォンをタップ操作しても、かなり安定している。普通の卓上ホルダと比較すると、充電中の見やすさ・操作しやすさは段違いだ。
ワイヤレスで給電しているので、スマートフォンを横向きに置いても充電できる。これにより、縦画面だけでなく、横画面で作られているアプリも充電しながら利用できる。これも普通の卓上ホルダにはないポイントだ。
当然だが、充電パッドに置いた状態でも3G/Wi-Fi/Bluetoothなどの各種無線通信に影響はない。Wi-Fi接続もできるので、iOS5のiPhoneならば、そのままでパソコンとWi-Fi経由の同期もできる。大容量の通信はバッテリーの消耗も激しいので、充電しながら行なえることは重要なことである。
このWP-QIST10を使うことで、卓上でのスマートフォンの使いやすさは格段に向上する。
たとえば、メールやSNSなどのコミュニケーション系のアプリは、スタンドに置いたままで新着情報をチェックできる。職場でも、プライベートなメールやSNSは仕事用のパソコンではなく、スマートフォンで扱うようにしておけば、いろいろな面で安全だ。もちろん、電話がかかってきたときも、ケーブルを外したりせずにすぐ応対できる。
あまり推奨できないが、スマートフォンのゲームもプレイしやすい。とくにソーシャルゲームのような、定期的にアクセスすると有利なゲームは、もう危険なくらい、仕事や勉強に支障がでないように注意しないといけないレベルで捗る。
横置きができるので、映像コンテンツも楽しみやすい。YouTubeや動画配信サービスはもちろん、テレビ放送を楽しむのもオススメだ。Qi対応のAndroid端末ならば、ワンセグやDTCP-IPのDLNAに対応しているし、iPhoneならソフトバンクセレクションの「SB-TV02-WFPL」を使うことで高画質なフルセグも見られる。今年はロンドンオリンピックもあるので、卓上にテレビ視聴環境を用意しておけば役立つこと間違いなしだ。
もちろん、置くだけで簡単に充電できる、ということも重要である。ただ充電するだけならば、充電ケーブルにつなぎっぱなしにすれば良いが、しょっちゅう使う必要のあるスマートフォンは、なかなかそう簡単にはいかない。充電端子を取り付けるのが面倒で充電するのを忘れ、いざ外出するときにバッテリー残量が少なかったり、もしくは逆に端子を外すのが面倒で、離席時に持ち出すのを忘れたりしてしまったり、ケーブル充電だとこういった失敗がつきものである。しかしQiならば、そういった失敗は皆無なわけだ。
ワイヤレス給電技術にはいくつかの方式があるが、Qiでは渦巻き状の平面コイルを使う電磁誘導方式を採用している。おおざっぱに言うと、送電側のコイルで磁束を発生させ、その磁束から受電側のコイルで電力を生み出す、というものだ。
この方式、出力や効率の面で有利だが、コイル同士が離れていると電力の伝送ができないという欠点がある。そのため、何らかの方法で2対のコイルを近づける必要がある。
たとえば充電パッド内のコイルをアクチュエーターで動かし、充電対象のコイルに自動で近づける方法もある。この方法だと、2つのコイルを最短距離にまで近づけることが可能だが、しかし可動部品があるため充電パッドは大きくならざるを得ず、また可動部品があるため故障のリスクも高くなる。
一方、マクセルのQi充電器は、充電パッド内に複数のコイルを少しずつ位置をずらしながら固定し、それらのコイルのうち、もっとも充電対象に近い最大3つのコイルを使うという、「コイルアレイ」と呼ばれる方式を使っている。
コイルアレイ方式ならば、コイルを配置できるスペースさえあれば良いので、充電パッド部分は薄く作ることができる。また、可動部品がないので、充電パッド部分を斜めにすることもできる。つまり、コイルアレイ方式だから、WP-QIST10のようなスタンド型デザインが可能になるのだ。
便利なだけがQiの特徴ではない。QiはWPC(Wireless Power Consortium)という業界団体が策定している標準規格だ。WPCには家電メーカーから周辺機器メーカー、部品メーカーまで、多様な100以上の企業が参加していて、国際的な共通規格としてQi対応製品を作っている。
この複数の企業が参加している国際的な共通規格、というところも重要なポイントとなっている
これまでのワイヤレス給電を使った製品というと、多くは電力を受ける側と送る側はセットになっていて、その組み合わせを変えることはできなかった。たとえ同じ電磁誘導式であっても、形状や電気の仕様があっていないと送電はできないからだ。
しかしQiの場合、仕様が規格化されているので、Qi規格の機器同士であれば、異なるメーカーの機器にも送電できる。これはユーザーにとっても、製品の選択肢が広がるなどのメリットになっているが、実を言うと、Qi機器の開発や販売をする企業にとっても大きなメリットとなっている。
たとえばスマートフォンのメーカーや携帯電話会社にしてみると、機種ごとに個別の充電用の卓上ホルダを用意する必要がないので、開発・流通・調達のコストを削減できる。マクセルのようなQi対応の充電器を作るメーカーにしても、1つの製品でサポートできる市場が大きいので、さまざまな製品を作りやすい。そしてQi対応機器のバリエーションが増え、そのコストも下がれば、当然ユーザーにもメリットとなる。
このような理由から、現在NTTドコモは、「おくだけ充電」としてQi規格を推進している。Qi対応のケータイを積極的に増やしているほか、Qi対応の充電器を飲食店や空港ラウンジなどに設置するような提携も進めている。おサイフケータイのように、NTTドコモが推進した結果、インフラとして全国に普及した例は多い。
ユーザーにしてみると、Qiは「置くだけで充電できる」という利便性だけで導入する価値のあるものだが、実は対応製品の広がりなど、将来性の面も十分に期待できるものと言えるわけだ。
使いたいときにバッテリー残量が足りないようでは、どんな高機能なスマートフォンも意味がない。充電ケーブルにつなぎっぱなしで、使いたいときに自由に使えないスマートフォンも意味がない。しかしQiならそういったことがない。
スマートフォンなどの日常的に使うデバイスは、ほんの小さな使い勝手の違いが、利便性の大きな差につながることが多々ある。WP-QIST10は、その大きな差につながるものだ。
もしQi対応スマートフォン、あるいはiPhone4/4Sを使っているならば、是非とも卓上でWP-QIST10を使ってみて欲しい。iPhone4/4Sの場合、マクセルから発売されている充電カバーのWP-SL10も必要になるが、その価値はある。
対応機種を持っていなくても、スマートフォンの充電忘れなどの失敗が多い人は、この際、機種変更してでもQi対応端末とWP-QIST10を利用する価値があるかもしれない。いますぐQi対応端末に機種変更することが無理でも、次の機種変更時に備え、Qi対応機種とWP-QIST10なら充電忘れの失敗が減る、と覚えておこう。