日立マクセル HP-SP03 HP-IP23

スマホユーザー必携! 対応ヘッドホンで、使い勝手が大幅向上 スマホ対応モデルと、iPhone/iPad/iPod対応モデルも登場

ここ最近人気沸騰中のスマートフォンだが、その人気っぷりをまざまざと感じさせるのが通勤電車内。タッチ・ディスプレイ上、指をシャッシャッと動かしている人の多いこと! ちょっと前までは珍しい光景であったが、下手をすると二つ折りの携帯電話を持っている人の方が今や車両内では少ないんじゃないかと思うくらい、スマホ・ユーザーは多くなったなと実感させられる。

この人気ぶりに呼応するように、ヘッドホン・メーカー各社はスマートフォン対応機を続々とリリースしているようだが、そうした中で日立マクセルもついにこの市場へ参入。同社初のスマートフォン対応ヘッドホン「HP-SP03」を今夏(7月30日)発売し、続いてiPod/iPhone/iPad対応のリモコン付きモデル「HP-IP23」を9月5日にリリースした。

日立マクセルと言えば、お手軽な価格でありながら、高級機種さながらの抜群の音質を出力してくれるヘッドホンを輩出しているメーカーとしてお馴染みであろう。今回紹介する2商品も、ヘヴィな音楽リスナーを納得させるようなクオリティの高い音質を保持しながら、リーズナブルな価格を実現しており、非常に魅力的な仕上がりを見せている。

基本スペック

まず先行して発売された「HP-SP03」が前述したとおり、スマートフォンに対応したマイク付きリモコンが付属されたモデルである。気になる対応状況だが、Xperiaシリーズを除く、各社(NTTドコモ、au、ソフトバンク)の人気機種に対応している。日立マクセルのWebサイト内に最新対応表も用意されているので、気になる方はそちらを参考していただきたい。

「HP-SP03」のスペックで注目したいのが「インナー遮音コート」の採用である。これはハウジング内部にラバー・コーティングを施すことにより、不要な振動を抑え、音漏れを軽減するというもので、同社の「HP-CN01」と比べて、その遮音性は約50%向上しているという。加えて音の出るポート部分を楕円形にした「オーバル型ポート」を採用することで、耳の穴へのフィット感が増し、これにより密閉性も高まっているので、この技術も遮音性を高めるのに貢献している。音漏れについては自分ひとりでは把握しづらいので、友人に立ち合わせてチェックしてみたところ、確かに少ないという印象を受けた。電車などで利用する際、音漏れは結構気になるもので、周囲を気遣うあまりにミュージック・プレイヤーのボリュームをかなり下げて聴かざるを得ない状況になりがちだが、本機の場合、これだけ遮音性が優れていれば、そこまで神経質にボリュームをコントロールせずとも安心して使えそうだ(それでも周囲へのマナーには十分気をつけましょう)。

カラー・バリエーションはブラック、ブルー、イエロー、マゼンタの4色。蛍光色で仕上げられたマゼンタとイエローがアゲアゲな感じで、目立つこと間違いなし。単略的かもしれないが、レゲエを聴くならイエローが似合いそう。最近発売されたWindows Phone(IS12T)のカラバリとも偶然(?)の一致。価格は2,000円前後とお手頃なところもいい!

ブラック、ブルー、イエロー、マゼンタの4色展開

オーバル型ポートで遮音性が向上

続いて「HP-IP23」だが、こちらに備わっているリモコンはアップル認定のICチップを搭載したもので、iPod/iPhone/iPadにおいては再生/停止、曲送り/曲戻しの操作、そしてiPhoneではリモコンによる通話応答やハンズフリー通話をすることが可能となっている。ヘッドホン部のスペックで注目したいのが、筐体に切削アルミニウムを採用しているところだ。ボディに軽量で剛性に優れたアルミを使用することで、ボディ内部の不要共振を抑えながらも、音質面ではクリアなトーンを実現。ちなみにマクセルの既存モデルで高解像度の音質で高い評価を受けている「HP-CN23」と同じアルミ・ボディが「HP-IP23」で採用されているという。

カラー・バリエーションはフレイム、オーシャン、ユニバース、スノーの4色で、アルミ・ボディの光沢と相まって、シックな装いとなっている。価格は3,000円前後と、アルミ・ボディを採用したヘッドホンとしては破格の値段が魅力だ。

ユニバース、スノー、オーシャン、フレイムの4色

切削アルミニウムボディが不要共振を抑える

iPhone/iPad/iPodを手もとで
操作できるリモコンボタン

この他のヘッドホン部のスペックだが、「HP-SP03」と「HP-IP23」で共通しているところを列挙してみたい。まず筐体のデザインだが、昨年よりマクセルのスタンダード・シェイプとして定着している双円錐(バイコーン)形を採用。耳に収まりやすい優れたシェイプで、フィット感も良好だ。ドライバユニットは9mm径のダイナミック型で、ネオジウムマグネットを採用。インピーダンスは16Ωで、再生周波数帯域は20Hz〜22kHz。付属しているイヤーピースは、L/M/S/SSという4種類のサイズが用意されており、抗菌作用のある銀イオンを練り込んだ清潔感の高い仕様は、日立マクセル独自の技術である。ケーブルは1.2m長で、入力はL型プラグの4極端子(金メッキ)ステレオミニプラグを使用しており、機器に出っ張らずに装着できる。当然、収納もスマートだし、プラグの色がアクセントとなり、スタイリッシュだ。

どちらもイヤピースは、L・M・S・SSの4種類付属

「HP-SP03」のマイク付きリモコンを試す

「HP-SP03」は搭載されているマイク付きリモコンのボタン操作により、電話の着信応答、通話終了が行なえるということだが、今回は「iPhone 4」を使ってその操作が問題なく行なえるかチェックしてみたい。

対応するスマートフォンの着信応答・通話終了操作ができる「HP-SP03」のリモコンボタン

まずはマイク付きリモコンが搭載されている位置だが、Y型ケーブルのR側(右耳用)イヤフォンの途中に配置されている。そのL側イヤフォン本体部からリモコンまでのケーブルの長さはおよそ120mm。実際に筆者がイヤフォンを耳に装着してみると、マイク付きリモコンはちょうど顎の位置に来る感じであった。肝心のリモコン操作をするスイッチ・ボタンだが、黒い円筒形のリモコン本体部・全体がいわばスイッチとなっている。指で軽くつまむとクリック感があるので、着信時及び切断時の操作としては、ボタンを押すというよりはリモコン全体を軽くポチッとつまむ感じ。

スマートフォンで着信応答・通話終了を試してみた

実際に「iPhone 4」で音楽を再生しながら、友人からの電話を待つことに。着信されると「iPhone 4」側で自動的に音楽はフェード・アウトされ、着信音に切り替わる。そこでリモコン本体をポチッと抓み、電話に応答。電話を切る時はもう一度リモコンをポチッと抓めば、通話は切断され、それまで聴いていた音楽が再開する。

リモコンボタンで着信に応答

リモコンボタンで通話を終了

iPad 2のボリューム操作をリモコンボタンで

前述のとおり、マイク付きリモコンが筆者の口より下側に位置していたため、通話の際、こちらの声がはっきり相手に伝わっているのか不安であったが、そんな心配は無用。マイクの感度は上々で、むしろ電話機で話すより、音声はクリアなくらいであった。

なお、このリモコンでは電話の着信と切断という操作以外に、対応している機種なら音楽や動画の再生/一時停止も行なうことも可能だ。ポケットあるいはカバンの中に入れていたスマートフォンをわざわざ取り出さずとも、こうした一連の操作ができるので、この使い勝手の良さを一度味わってしまうと、病みつきになりそうだ。

「HP-SP03」の音質チェック

ヘッドホンの音質をチェックするのに、今回真っ先に掛けた音源は、筆者が現在ハマっていて、ヘヴィローテーションで聴いている相対性理論だ。ヴォーカルのやくしまるえつこが透明感のあるヴォイスに、ディレイが終始掛かりっぱなしのギターが加わり、全体的にマッタリとした、浮遊感のあるサウンドが持ち味となっている。そして魅力はなんと言っても不思議ちゃんワールドを炸裂した不条理な歌詞で、個人的には相対性理論を聴く時、ついつい詞を追いかけてしまっていたりする。そんな彼女たちの楽曲を「HP-SP03」で試聴するとヴォーカルが際立って聴こえるので、歌詞が聞き取りやすく、その摩訶不思議な世界観に浸ることができた。

この他に新旧のロック、クラシック、ジャズなどいろんな音源で試聴したところ、「HP-SP03」のサウンドの傾向としては中低域が強いなという印象をまず受けた。例えばジャミロクワイの「Canned Heat」(『シンクロナイズド』収録)におけるシンセ・ベースの重低音などは、筆者が普段愛用しているマクセルの「XL-S HP-CN40A」よりも聴感上、低域の迫力は上だと感じた。ちなみにスペック上では「HP-CN40A」が13mm径のドライバユニット、再生周波数帯域が10Hz〜25kHzに対し、「HP-SP03」は、ドライバユニットが9mm径で、再生周波数帯域は20Hz〜22kHzとなっており、この数値が示すとおり、高域の抜けの面ではたしかに「HP-CN40A」の方に軍配は上がるが、低域においてはスペック・データで見られる数値の開きをまったく感じないどころか、「HP-SP03」の方が音が太く感じた。

よって「HP-SP03」はクラシックやジャズなどのようなダイナミック・レンジの広い音源よりは、ロックやJ-Popから今時のダンス系ミュージックなどを聴くのに最適であろう。

まとめ

今回紹介した「HP-SP03」と「HP-IP23」は、スマートフォンやiPod/iPhone/iPadを快適に使うためのリモコンを備えているところが最大のセールスポイントだが、ヘッドホンとしての基本性能においてもマクセル・ブランドのプライドが感じられる気合いの入った音作りがされており、そのクオリティの高さに太鼓判を押したい。

加えてコスト・パフォーマンスの面でも「HP-SP03」が2,000円前後、アルミ・ボディを備えた「HP-IP23」で3,000円前後と、嬉しい値段設定も大きな魅力であることは間違いない。スマートフォン・ユーザーに是非とも試していただきたい。

(ashtei)