【特別企画】LGエレクトロニクス開発者に聞く
いま最もハイスペックなAndroid スマートフォン
「Optimus G」 開発の狙いと魅力


 現在発表されているAndroid スマートフォンの中では、グローバル市場を含めて最もハイスペックにも関わらず、日本市場に向けた防水仕様、ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信といった機能を備え、2012年のAndroid搭載機の中では最高クラスとの呼び声も高いLGエレクトロニクスの「Optimus G」。その開発に携わった、日本向け事業を統括するLGエレクトロニクス モバイルコミュニケーション日本マーケティング常務の「 炯基(べ ヒョンギ)氏、LGエレクトロニクス 開発日本担当 常務の朴 熙峰(パク ヒボン)氏に、「Optimus G」の開発の狙いや、その魅力を聞いた。

LGエレクトロニクス モバイルコミュニケーション日本マーケティング常務 「 炯基(べ ヒョンギ)氏、LGエレクトロニクス 開発日本担当 常務 朴 熙峰(パク ヒボン)氏

――改めて「Optimus G」の魅力について教えてください。

ドコモから登場する「Optimus G」

 まず「Optimus G」は現在考えられる最もハイスペックなスマートフォンです。クアルコム社のクアッドコアプロセッサー「Snapdragon S4 Pro」、高視野角のIPS液晶、大容量バッテリー、そしてXi(LTE)に対応しています。LTEに関して、我々は世界で最も多くの特許を保有し、技術力には一日の長があります。どのスマートフォンと比較しても劣るところはありません。

 それに加えて、私たちはお客さまが何を求めているかを徹底的に考え、新しいUX(User Experience 製品やサービスの使用・消費・所有などを通じて、人間が認知する体験の意)を開発しました。その主なものが、「デュアルスクリーン」、「Qスライド」、「ライブズーム」です。

――その3つについて詳しく教えて下さい。

「デュアルスクリーン」で、映像出力先の画面と手元の端末とで違う画面を表示したところ

 「デュアルスクリーン」は、Wi-FiやMHL(USB経由でHDMI機器と接続が可能な端子。「Optimus G」のmicroUSB端子は同端子に対応)を利用して「Optimus G」をテレビなどに接続して映像などを見ているときに、手元の「Optimus G」の画面では別のアプリを起動できる機能です。これにより、「Snapdragon S4 Pro」のポテンシャルを活かしてゲームや映像を再生しているときに、Webページを検索したり、TwitterやLINEなどを使ってコミュニケーションができるのです。

 この機能はPowerPointを使ったプレゼンテーションのときにも使えます。その際は、手元の「Optimus G」には次のスライドを表示させたり、事前の準備があれば、“カンペ”を見ることもできます。

 「Qスライド」は、映像を見ながら別のアプリを起動できる機能を一画面で実現している機能です。NOTTV、ワンセグ、LGビデオプレーヤーといったアプリで映像を見ているときに、そのままホーム画面に戻って別のアプリを起動できるのです。別アプリを起動したときは、そのアプリの画面の濃淡を変えて、オーバーレイ表示(半透明に重ねた表示)します。映像を見ながら、何か別なことを同時にしたいときなどに便利です。たとえば乗り物で移動中などに、自分の見ている映像の内容を隣の人に覗き見されないようにする、といった使い方も面白いかもしれません。

「Qスライド」で動画の上にホーム画面を重ねたところ。画面の上側にあるスライダーでホーム画面の透過率を変更できる ホーム画面側を透明に近づけたところ。「Qスライド」が機能していると、見えなくてもアイコンのタップなどは判定される

 「ライブズーム」は再生中の映像を、ピンチイン/ピンチアウトで拡大/縮小できる機能です。たとえば複数のメンバーがいるアーティストのライブ映像では、自分が注目しているメンバーの顔の表情を詳しく見たい、といったことがありませんか? こういうときに拡大して、その映像を見られるのです。同じような使い方は、サッカーの試合などで注目している選手や、映画やドラマで複数の役者さんなどを見たい時にも良いかもしれません。お子さんがいらっしゃる方なら、学校の発表会の映像を拡大して見られます。この機能はテレビなどの外部モニターに接続しているときにも使えますので、家族や仲間で一緒に映像を見るときにも楽しさを演出してくれるでしょう。

「ライブズーム」で、一部分を拡大したところ

 こうした機能はデュアルコアのCPUでも実現しますが、スピード感や体験したときの快適さは劣ります。「Snapdragon S4 Pro」の高速処理、そして(ストリーミング映像などの場合は)「Xi」の高速通信のポテンシャルが発揮される場面といえます。使った方が自然に感じられるような、トータルでのUXを目指しました。

――この3つの機能のほかには、どんなものがあるのでしょう?

 本体側面のボタンを押して手書きメモを作成し、そのメモを常時表示しておける「Qメモ」という機能があります。これは電話番号や製品の品番など、ちょっとメモしておきたいことを、ペンと紙がなくても実現してくれるものです。忘れちゃいけないことを手のひらに書いておく習慣のある人などには、とても重宝してもらえるのではないかと思っています。

 このほかアイコンを自分で撮影した写真などに変更できる「アイコンカスタマイザ」という機能もあります。スマートフォンのアプリのアイコンは、誰もが同じ絵柄を使っているので個性がありませんよね。これをいろいろな画像(JPEG形式)に変えることができるので、より楽しくなるはずです。頻繁に電話をする相手先なら顔写真、よくアクセスするWebページならロゴマークなど、いろいろな使い方が考えられます。アイコンサイズは最大4倍にすることができるので、より使いやすくすることもできます。この機能はシニアの方などにとって便利かもしれませんね。

手書きメモを常時表示しておける「Qメモ」 アイコン画像を変更したりアイコンサイズを変更できる「アイコンカスタマイザ」

――グローバル市場で存在感のあるメーカーながら、ローカライズにも力を入れているのがLGエレクトロニクスの特徴ともいえます。それだけ日本市場に力を入れているということでしょうか?

 日本のビジネスは8年目になるのですが、日本のお客さんがこういう商品が欲しい、こういう機能は入れてくれといった要望を集め、丁寧に応えています。スマートフォンになってからは、デバイスの開発や調達力、市場動向への対応の速さなど、われわれの強みが発揮できるようになって来ました。

 今回の「Optimus G」はコンパクトにしたうえで日本市場向けにプラスアルファのカスタマイズをしています。

 苦労は多いのですが、今後もこうしたスペシャルモデルに関しては日本市場とグローバル市場は同時発表できることを目指し、日本のお客さんに喜んでいただけるような商品を出していきたいですね。