AX3は、レッツノート AXシリーズのUltrabook最新モデル。AXシリーズは、11.6型のコンパクトボディの製品だ。液晶パネルが360°回転することで、ノートパソコン型からタブレットへと姿を変えるユニークな変形機構は、一度見たら忘れない、百発百中で見る者の興味を惹きつける。
もちろん見た目のインパクトだけでなく実用性もバッチリで、ノートパソコン型にしたときには快適なキーボード入力とタッチパッド操作を実現しつつ、タブレット型のときには、キーボードが無効化されることで誤操作はなく、液晶パネルのタッチ機能を使って操作ができる。
この360°回転式の変形機構は、もうひとつメリットがある。それは軽さだ。ノートパソコン型⇔タブレット型の変形機構には、いくつか方法があり、例えば同じパナソニックの法人向けパソコン「タフブック」の「CF-19」などでは、1点を軸とする回転ヒンジを採用している。しかし、1点の軸で液晶パネルを支える必要があり、十分な強度をもたせるためには頑丈な造りが必要で、軽さを追求するモデルには向いていない。レッツノートは、これまでのシリーズでもビジネスモバイルのなかでとりわけ軽さを追求してきたモデルだ。AXシリーズでもそれを継承している。360°回転式のヒンジは、通常のノートパソコンのヒンジとさほど変わらぬ構造をしつつ実現されており、AX3の重量は、Ultrabookとして見てもむしろ軽量クラスといってよい約1.14kgに抑えられている。
AXシリーズのもうひとつユニークなところは、バッテリーが交換できる点だ。ノートパソコンを使っている人なら「あたりまえじゃん」と思いそうなところだが、これがUltrabookとなると話が変わってくる。Ultrabookは、ノートパソコンと比べて軽さ、薄さを追求したデザインが特徴だ。しかし、そのデザインを優先するために、バッテリーが交換できない機種も多い。まず、覚えておいていただきたいのが、「バッテリーは消耗品」という点だ。1年、2年と使い続けるなかで、バッテリーが当初の性能を発揮できなくなった際、バッテリーが交換できない製品では「修理」か「買い替え」が迫られる。一方、AXシリーズなら「バッテリー交換」で使い続けることができる。ライフサイクルコストを重視するなら、バッテリー交換対応はかなり大きなポイントになるはずだ。
また、Ultrabookは一般的なノートパソコンと比べるとバッテリー駆動時間が長いとはいえ、営業職などで丸一日モバイルしなければならないような状況では、さすがにお手上げだ。予備バッテリーに交換できるAXシリーズなら、予備バッテリーのぶんだけ駆動時間を延長できる。そしてそのバッテリー交換の仕組みもアイデアものだ。
モバイル時におけるノートパソコンのバッテリー交換は、「電源を落としたうえで交換」する。しかし、簡単に中断できないような処理をしている場合など、すぐに電源を落とすことができないときもある。AXシリーズが賢いところは、交換可能なバッテリーに加え、本体内にもバッテリーを内蔵することで、電源を落とさずにバッテリー交換できるところだ。もちろん、内蔵バッテリーまで使い切ってしまうと電源オンのまま交換できるチャンスを逃してしまうが、その点に気をつけつつオプションでバッテリーを購入しておけば、24時間連続バッテリー駆動も夢ではない。もっとも、実際にはそこまでバッテリー駆動し続けなければならないようなシチュエーションは少ないわけだが、AX3店頭販売モデルの内蔵バッテリー+標準バッテリー+交換用バッテリー(1個)で太平洋横断フライトくらいは徹夜で作業しつづけられるというものだ。
そして忘れてはならないのが堅牢性。ビジネスモバイルにおいては、満員電車の中での圧迫はもちろん、カバンの落下、デスク上からの落下など、パソコンにとっては「ヒヤッ」とする機会も多い。そんなハラハラするシチュエーションに耐えうる設計がレッツノートの伝統であり、それはとくにかく薄くて軽い、パッと見ではそんなにタフとは信じられないAXシリーズにも受け継がれている。
レッツノートの堅牢性のヒミツは、天板に見られる「ボンネット構造」だ。折り紙ではよく知られるところだが、ペラペラの紙も凹凸に折り曲げることで強度が増す。これと同じ技術がレッツノートには用いられている。ただし、AXシリーズは薄さと軽さが第一なので、あまり大きな凹凸を作ると薄さの追求に支障が出る。そこで、塗装の下の内部構造をごく小さな階段状とし、一見するとほんのわずかな段差だが実は100kgf加圧にも耐えるタフさを身につけている。そして、タブレット型にも変形するAXシリーズでは、液晶ヒンジの耐久性もちゃんと試験済み。落下試験も30cm(26方向・非動作時)、76cm(底面方向・動作時)を実施している(*)。だからといってラフに扱ってよいというわけではないが、モバイル時の「安心感」は高い。
(*)タブレットスタイル時を除く
AX3は、AX2の持つこうしたユニークな特徴を引き継ぎつつ、さらなる高性能化、使い勝手の向上を追求した最新モデルだ。では、AX3がAX2から進化したところを重点的にチェックしていこう。
ノートパソコン型のときでもハッキリと違いが分かるところだが、とくにタブレット型にしてみるとより効果が体感できるだろう。テーブルの上に置いたときというのは、ちょっと斜めから覗きこむことになる。そのちょっと斜めから見たときに、色みが変化することなく正しい色で見えるというわけだ。
ビジネスなら、プレゼンテーションでその効果を発揮する。小規模な会議や対面でのプレゼンテーションなどでは、自分を含めた複数人がひとつの画面を覗きこむ。このような状況でも、AX3のIPS液晶は上下左右170°の視野角を実現しているので、画面正面に「集まれー!!」と密集隊形をとらずとも、ゆったりしたポジションからちゃんと内容が確認できる。
ただし、ノートパソコンの画面サイズとして見ると11.6型は小さめだ。これがフルHDとなると文字までも小さくなってしまうことを心配されるだろう。そこで、AX3の標準フォントサイズは「中」に設定されている。Windowsの標準である「小」と比べると125%のサイズであり、これで「文字が小さすぎて読めない」ということもかなり緩和されている。それでも小さいという方も、「大」(150%)に変更すればさすがに大丈夫だろう。
ふたつ目の進化ポイントは性能とまたまたバッテリー駆動時間。これはIntel 最新CPU、「第4世代Core iプロセッサー」(開発コードネーム:Haswell)を搭載することによって実現されている。
AX2に搭載されていたのは第3世代Core iプロセッサー。ひとつ世代が進化したわけだが、この2つ、実はCPUの性能を表現する際によく用いられるトランジスタはともに22nm 3次元 トライゲート・トランジスタで変わらない。スペックをよく確認していただければ分かるが、動作周波数もほとんど変化がない。しかし異なるのはアーキテクチャだ。このアーキテクチャの違いによって、性能はアップ、バッテリー駆動時間はさらに伸びている。
まず性能についてだが、同じトランジスタでも最適化が進み、同じ動作周波数でも10%の性能向上が実現されている。また、大きく進化したのがCPUに統合されているグラフィックス機能だ。GPUとして別のチップを搭載することに対し、CPUの統合GPUを使うのは、これまでコストや消費電力を抑える目的であることが多く、とりあえず画面を表示できる程度と思われていた方も多いだろう。ただし、これも昔の話。Core iプロセッサーの時代になってからは、世代を重ねるごとに性能向上を果たし、今回も前世代比で1.3〜1.4倍の性能向上を実現したという。この強化されたグラフィックス機能により、AX3では2Dグラフィックだけでなく、ビジネスでも3Dグラフィックをガンガン活用できるだけの性能を手に入れた。3Dを活用したインパクトあるプレゼンテーションやデモンストレーションなどが可能だ。
そしてバッテリー駆動時間に関してはまず数値で確認して欲しい。前世代のAX2では、本体内蔵バッテリーが約3時間に、標準バッテリーが約6.5時間の計約9.5時間と、これでも十分にUltrabookをリードする長時間駆動を実現していた。これがAX3になると、本体内蔵バッテリーが約4時間に、標準バッテリーが約9時間の計約13時間へと伸びた。予備バッテリーを1個加えれば約22時間だ。ほぼ丸1日、バッテリーだけで使い続けられる時代へと突入する。
第3世代と第4世代Core iプロセッサーでバッテリー駆動時間にここまでの差がつくのは、いくつか理由があるが、まず大きなものが「1チップ化」だ。復数に分かれていたチップをひとつのパッケージに収めることで、電力のムダを排除している。次がCステートと呼ばれる電源管理ステータスを追加し、アイドル時に停止させられる回路をこれまでよりさらに拡大した。そしてCステートはC0〜C10までレベルがあり、常にそれぞれを行き来しているが、ハードウェアとソフトウェア両面で最適化を進めることで、この行き来を抑制し、ここでもムダを省いている。
パソコン全般に言えることだが、「普段使いならCPUのパフォーマンスはもう十分」と考えている人もいるだろう。しかし、今やプロセッサーは、世代を重ねるごとに性能だけでなくバッテリー駆動時間も大幅に改善しているのがポイントだ。とくにバッテリー駆動時間は数パーセントというレベルではない。AX3のように、約3.5時間もの違いとして表れれば、さすがに誰もが納得できることだろう。
ではAX3に話を戻して、こちらに搭載されているCore i7-4500Uについて説明していこう。Core i7-4500Uは、デュアルコアのCPUで、Hyper-Threadingによって4スレッドの同時実行が可能だ。定格動作は1.8GHz。Intel Turbo Boost Technologyに対応し、必要な際には3.0GHzまで動作クロックをインテリジェンスに引き上げる。先に説明したとおり、同じ動作クロックでも、第4世代Core iプロセッサーならその性能は第3世代より上だ。
その他のスペックについても紹介しよう。まず今回紹介するのは店頭販売モデルの「CF-AX3WEABR」だ。店頭販売モデルに関しては、カラーリングと付属品、Office搭載・非搭載以外のハードウェアスペックは同じなので、基本スペックとして捉えて構わない。ここまで説明してきていないスペックでは、メモリの容量が4GB、SSDが128GB、ワイヤレス機能としてBluetooth 4.0・Class 2とIEEE802.11a/b/g/n無線LANとWiMAXを備えている。
なお、店頭販売モデルには全て予備バッテリーが付属するので、最大約22時間駆動をすぐに体験できる構成になっている。その他店頭販売モデルのバリエーションは、シルバーの「CF-AX3WEABR」とブラックの「CF-AX3WETBR」と、それぞれのOffice搭載モデル、さらに「CF-AX3WERBR」は名刺サイズのプロジェクターを付属したモデルだ。CF-AX3WERBRの小型プロジェクターは、持ち運べるコンパクトサイズながら距離1mで27インチ、2.2mで60インチの投影が可能で、出先でのプレゼンテーションに活用できるほか、出張時のホテルで天井に投影すれば、寝ながらビデオが楽しめる。
ユニークな変形機構を継承しつつ広視野角、高解像度なIPS液晶を搭載することでプレゼンスタイルの自由度を高め、第4世代Core iプロセッサーの採用により性能とバッテリー駆動時間をさらに延長したのがAX3だ。そして堅牢性、インターフェースの面でもビジネスマンの求めを満たした、「実戦」仕様といえるだろう。
また、レッツノートといえば、国内生産もポイント。例年1回、子供向けに「手づくり レッツノート工房」も開催している。パソコンがどのように作られているのか、実際に組み立てることで体感できるイベントだ。普段からこうした取り組みを行なっているのも、信頼を追求するパナソニックのノートパソコンならではだ。なお、今年の募集は7月5日(金)締め切りなので、参加希望の場合は早めに応募した方がいいだろう。
レッツノートは2つの販路から購入できる。ひとつは店頭販売、もうひとつが直販サイト「マイレッツ倶楽部」経由での購入だ。
マイレッツ倶楽部をオススメしたいのは、まずAX3をガンガン使うPC上級者だ。マイレッツ倶楽部モデルも基本スペックはそのままだが、メモリが8GBに、SSDは128GBに加えて256GBを搭載したモデルも用意されている。復数のアプリケーションで作業をしたり、ブラウザのタブをたくさん開くといった作業でより快適になる。なお、マイレッツ倶楽部モデルでは、予備バッテリーが含まれていないが、そのぶん価格が抑えられており、もちろん同時購入することもできる。
次にマイレッツ倶楽部をオススメしたいのが、個人で買われる個性派ユーザーだ。AX3のカラーリングはブラックとシルバーが用意されているが、マイレッツ倶楽部で販売されている「カラー天板」を装着すれば、気軽にイメージチェンジできる。カラーは7色。プレミアムカラーの「サンダーブルー」に、ベーシックカラーが「リラクシーブルー」「エナジーレッド」「フラッシュピンク」「ジェットブラック」「シルバーダイヤモンド」、これに新色「アーマーメタル」を加えた7色が用意されている。
そして今なら「夏モデルデビュークーポンキャンペーン」としてパソコン本体が5%オフに加え、先着1000名には「AX3専用本革ケース」プレゼントも開催されている。
そして、AX3シリーズではまだ展開されていないが、もっと個性なレッツノートを求める方には姉妹サイト「PanaSense」の「カスタムデザインサービス」もある。こちらではカラーもデザインもオリジナル、世界にたったひとつのSX2/NX2専用天板カバーをオーダーすることができる。世界に1台のオリジナルノートパソコンが欲しい方は、こちらもチェックしてほしい。
(石川ひさよし)