薄くても変わらずタフ!さらにモバイル性能は向上 パナソニック レッツノートSX1

 PCメーカーが春向けの製品を発表する中、パナソニックも新型PCを投入した。その中で筆者がもっとも注目するのが、SX1シリーズだ。久々のフルモデルチェンジで、B5サイズの光学ドライブを搭載した製品。SX1は従来機種S10と比較しても大幅に薄くなっておりトピックも多い。ここでは、S10と比較しながらSX1がどのように進化したのかを検証してみたい。

マイレッツ倶楽部を利用して より高性能なレッツノートをゲット!

 各メーカーが春のラインナップ一新で新製品を次々と投入している。レッツノートでおなじみのパナソニックもこの1月に新製品を発表した。その中でも注目度が高いのがSX1だ。

 評価のためにお借りしたSX1は、マイレッツ倶楽部で購入可能なハイエンド機、CF-SX1HEMDP/NDPだ。CPUには、2.8GHz動作のCore i7-2640M vProを採用し、高速な読み書きのできる256GBのSSDを搭載している。モデルごとの仕様については、下の表にまとめてみたので参考にしてほしい。

 レッツノートシリーズは、店頭でもいくつかの製品ラインナップが用意されているが、パナソニックのWebサイトにあるマイレッツ倶楽部では、より詳細なカスタマイズなどをすることが可能な上に、ハイスペックなCPUやストレージ、オプションなどを選択できる。店頭モデルにもシルバーとブラックの2ラインナップが投入されているが、マイレッツ倶楽部では、さらに天板部分の色をカスタマイズすることが可能だ。より高性能で個性的なレッツノートが欲しい人は、マイレッツ倶楽部の利用をおすすめする。また、そうでなくとも、レッツノートの購入を考えるのなら、一度サイトを覗いてどのような製品がWebサイトから購入できるのかを確認しておいたほうがよいだろう。

  Webモデル
型番 CF-SX1GEEDP/FDP CF-SX1HECDP/DDP CF-SX1HEMDP/NDP
CPU(動作周波数、ターボ・ブースト時動作周波数) Intel Core i5-2540M vPro(2.6GHz、3.3GHz) Core i7-2640M vPro(2.8GHz、3.5GHz)
メモリ 4GB(8GB) 8GB(16GB)
ストレージ HDD:640GB SSD:256GB
光学ドライブ スーパーマルチドライブ
モニタ(解像度) 12.1型ワイド(1,600×900ドット)
LAN 1000BASE-T
IEEE802.11 a/g/n
WiMAX
Bluetooth
OS Windows 7 Professional 64bit版 SP1 or Windows 7 Professional 32bit版 SP1
シルバー or ブラック
バッテリー バッテリーパック(L) or バッテリーパック(S) or バッテリーパック(L)+バッテリーパック(S)
駆動時間 (L)約16時間、(S)約8時間 (L)約15時間、(S)約7.5時間 (L)約16時間、(S)約8時間
ACアダプター ノーマルACアダプター+ミニACアダプター
本体重量(バッテリを含む) (L)約1.41Kg、(S)約1.2Kg (L)約1.33Kg、(S)約1.12Kg
Microsoft Office ★あり or なし ★あり or なし ★あり or なし
無償保証期間 3年間保証 3年間特別保証
『カラフルな天板』
Webモデルでは、カラフルな天板も用意されている。筺体色と同じシルバーやブラックのほかにCore i5搭載機では2色、Core i7搭載機では4色を選択可能。光沢の黒と青がプレミアムエディション限定天板だ。

こんなに薄くなったSX1! 徹底比較、S10 vs. SX1。

『一目で分かる厚みの違い』
左はS10、右はSX1。SX1は従来のS10と比較して、一目瞭然の薄さを手に入れた。

 性能もさることながら、見た目の進化のインパクトが非常に大きいSX1。何より目立つのがその薄さだ。ここでは写真を見ながらS10とSX1の違いを見ていくことにしよう。

 製品の厚みは数値にするとS10の本体部分の厚みが27.7mm、液晶部分の厚みが8.9mmで、合わせて36.6mm。SX1では、本体部分が19.2mm、液晶部分が6.2mmで合わせて25.4mm。写真で見れば一目瞭然だが、SX1の本体の厚みは本当に薄くなっており、S10の液晶部分を除いた厚みよりも、SX1の液晶部分を含んだ厚みのほうが薄いのだ。その薄さの秘密はボンネット構造の見直しにあると言う。レッツノートシリーズでおなじみのボンネット構造は、強度を大幅に高めるというメリットがあるのだが、デメリットとして、ボンネットの膨らみの分だけ厚みが増してしまうことがある。SX1では、このボンネットの膨らみが極端に薄くなっているのだ。いままでのレッツノートの強度に信頼性を置いていたユーザーにとっては不安に感じるかもしれない。しかしながら、強度を犠牲にして薄くしたのではなく、同程度の堅牢性を維持していると言う。ポイントはボンネット部分の厚みの付け方で、ボンネットのハジの部分の厚みを増しているというのだ。

 本体部分のパームレストも、従来は強化プラスチックであったパーツをマグネシウム合金化することで堅牢性が高まっている。Wシリーズから伝統的に採用されているシェルドライブは、サイドトレイ式と違い、ボディの枠に大きな穴をあける必要がなく強度の高さに貢献していた。しかし、シェルドライブはパームレスト部分の造形を複雑にするため、金属加工は難しい。そのため、今までは、強化プラスチックを採用していた。SX1では、光学ドライブの部分を別パーツ化し、パームレストやキーボード下などを含むトップ筺体をマグネシウム合金で製造している。

 ほか、性能を向上、維持するためのギミックも興味深い。

『SX1の天板全景とS10、SX1のボンネット部分のアップ』
レッツノートシリーズでおなじみのボンネット構造の天板。真ん中がS10で、右がSX1のボンネットの膨らみ部分のアップ。ボンネットの膨らみが小さくなっているのが分かる。大幅に薄くなったため不安を感じるかもしれないが、強度が落ちているわけではない。
『天板の裏面』
強度の秘密は、天板の造成過程にある。天板にはボンネットの膨らみはあったが、もともと厚みは均等に近かった。SX1では、膨らみ部分のハジの厚みを増すことによって従来と同程度の強度を保っている。写真の縦に筋が入った部分は肉厚になっている。
『シェルドライブ』
レッツノートでおなじみのシェルドライブ。スタイリッシュなだけでなく、一般的なノートPCに採用されているサイドトレイタイプと違い、強度を高める役割も果たしている。
『マグネシウム合金製のトップ筺体』
パームレスト部分を含むトップ筺体は、従来のプラスチック製からマグネシウム合金製になった。これにより、大幅な強度アップを図ることができたと言う。
『S10とSX1のCPUクーラー』
左の2枚はS10のCPUクーラーで、右がSX1のCPUクーラー。SX1では、放熱構造にも改善が加えられている。S10ではCPUなどの受熱部はアルミ板金であったが、SX1では、アルミダイカスト(鋳造したアルミ)で、小径の冷却フィンも追加。ファンも形状が改良されている。
『本体底面の主な突起』
シルバーはS10、ブラックはSX1の底面写真。左2枚はパームレスト下の突起で、右2枚は背面のバッテリ部分横にある足。SX1では、バッグからの取り出しもスムーズに行なえる形状になっている。

凹凸の少ないボディで、バッグからの出し入れ楽々 素早い起動で快適なモバイルライフ

 SX1のウリは、何も薄さだけではない。モバイルでの使い勝手を高めるための工夫が随所に見られる。上の写真で比較もしているが、今までのSシリーズは底面などに突起部分が多く、バッグから出す際に引っかかりやすい。また、突起部が一緒に入っている書類にあたり、不都合が起こるという声もあったと言う。SX1では、その声にこたえ、突起部を極力減らし底面の平面化を図ったようだ。実際、SX1の底面は、ほぼ水平で、パームレスト下の足と後部のバッテリ部分のみに膨らみがある程度。バッテリ部分もS10では足のみの突起であったのに対し、SX1ではバッテリ部分も少し膨らませることで、引っかかりが少ないように工夫されている。パームレスト下の足もかなり小さくなっているし、何より薄さが段違いでバッグからの取り出しがスムーズに行なえる。

『標準のACアダプターとミニACアダプター』
通常のACアダプターのほか、小型のミニACアダプターが用意されている。ミニACアダプターはPC稼働時には稼働用の電源しか確保できず、PCの電源がOFFになっていないと充電が行なわれない。しかし、小型で可搬性が高く、持ち歩いて使うには非常に便利だ。

 また、クイックブートマネージャーの存在も忘れてはいけない。このSX1、起動がかなり速い! S10も早かったが、SX1ではデスクトップが表示されるまで、最短約9秒という驚異的な早さだ。クイックブートを使うには設定が必要で、設定を行なう前は電源ONからデスクトップが表示されるまで約19秒であったが、設定を行なうことによって実測値で10秒台まで縮めることができた。

 「バッグから出してサッと使える」を実現するために組み込まれた工夫や機能は、ストレスのない快適なモバイルライフを実現してくれる。加えて用途に応じてSとLの容量選択が可能なバッテリのほか、WiMAXやBluetoothなどの通信機能に標準で対応しているのもうれしい点だ。

 さらに、ACアダプターは標準のACアダプターのほか、新しくミニACアダプターが用意された。ミニACアダプターは、PCの稼働と充電を同時に行なうことができないが、もともと小さなACアダプターをさらに小型化したもの。持ち運びを常とするノートPCでは、ACアダプターを持ち歩いたり、二つあったら便利だと考えられるシチュエーションもわりとよくあったりすることだ。そんなこまやかな点にも配慮がなされている。

『SX1のインターフェース』
インターフェースはUSB 2.0が一つ、USB 3.0が二つで、そのうちの一つは電源OFF時にも給電ができるポート。LANやSDカードスロット、ヘッドホン、マイクのほか、映像出力としてDsub 15ピンとHDMI端子が用意されている。IEEE 802.11a/g/nやBluetooth、WiMAXのON、OFFを手動で切り替えられるスイッチも本体手前に備えている。
『バッテリー(S)』
バッテリーパック(S)は背面から飛び出さない程度の大きさ。写真はないが、バッテリーパック(L)は、奥行きが伸びる形で厚みが大きくならない構造だ。
『工夫のこらされたキーボード』
キーボードの形状はリーフ型で爪の引っかかりを軽減している。ストロークも2mmが確保されており、キーのタッチも良好。右側にも配置されたFnキーとBackSpaceキーとの組み合わせにより片手で可能なCtrl+Alt+Del。奥にいくほど高くなる形状で押しやすさを高めているファンクションキーや、キートップに印字された文字も従来よりも太く大きくするなど、誤入力率を抑えるアイディアも盛り込まれている。
『720pの高解像度Webカメラを搭載』
従来のレッツノートには、ほとんど搭載されることのなかったWebカメラも標準搭載されている。720pの高解像度Webカメラだ。

使い勝手を考えて進化したSX1シリーズ どんな用途にもこたえてくれる心強いモバイルPC

 薄型筺体の実現や短時間で起動できる機能のほか、モバイル性能の高さも重要だが、本来のPCとしての使い勝手に手を抜いては本末転倒だ。SX1では、その点にもぬかりはない。

 PCの心臓部とも言えるCPUには、通常電圧版の高性能モバイルCPU、第2世代Core iシリーズのCore i7やCore i5を搭載している。

 内蔵グラフィックス機能も優秀で、ちょっとした3Dゲームなら楽々動かせるほどのポテンシャルを秘めている。通信機能も豊富で、先に上げたWiMAXのほか、1000BASE-Tや高速通信の可能な802.11a/g/n、Bluetoothなど多彩だ。

 作業領域として重要な液晶パネルだが、今までのSシリーズでは、アスペクト比が4:3のパネルを採用していた。SX1では16:9の高解像度パネルを採用しており、その解像度は1,600×900ドット。このクラスのノートPCとしてはかなりの高解像度パネルだ。作業領域が広いため、複数のウィンドウを開いてもストレスが少ない作業環境だと言える。

 SX1には、Jシリーズにも採用されていたリーフ型キーボードに改良を加えた、新リーフキーボードが搭載されている。リーフ型キーボードはキートップの左上と右下部分を丸めた形状で、爪など指の引っ掛かりを軽減してミスタイプを少なくすると言う。とくに爪を気にする女性には効果が高そうだ。新リーフ型キーボードでは、2mmのストロークを確保しており、最上段のキーにあたるファンクションキーにもちょっとした工夫がされている。それ以上上段にキーがないファンクションキーは、キートップの奥側が緩やかに厚みをおびる形状になっており、スッと指を流したときに、軽く引っ掛かりを感じるような構造になっている。細かい点だが、面白い工夫だ。また、キートップの印字も視認性を向上するために文字を太くして誤入力を低減する効果を上げている。キーボードのほかにも、最近のレッツノートにはあまり搭載されていなかったWebカメラも標準装備しているのもトピックだ。

 そして、 筆者が注目しているスマートフォン連携機能(※1)を紹介しよう。お借りしたモデルでは開発中とのことで搭載されていなかったこの機能だが、SX1ではスマートフォンとレッツノートをBluetoothで接続し、連係動作させることができると言う。具体的には、スマートフォンで閲覧が可能なMicrosoft WordやExcelなどのファイルをPCからコピーして、PCなしでデータを見たりすることができる。このあたりなら、ちょっとPCに精通していれば特別な機能を使わなくても実現できそうだが、SX1では、スマートフォンでPCを操作し、電子メールなどの閲覧ができると言う。さらに、PCの電源制御なども可能だというのだ。これが実現できるのなら、電車の中などノートPCを広げるには 困難な場所でPCを起動しPCを操作することが可能になる(※2)。 非常に気になる機能だ。専用のユーティリティが2月下旬からダウンロード開始予定なので、今から注目しておこう。

(※1)パナソニック製スマートフォン2012年春モデルの一部機種。スマホ連携用のユーティリティは、2月下旬よりパナソニックホームページより ダウンロード開始予定。
(※2)パソコンをかばんに入れた状態でスマートフォンからリモート機能を使用してパソコンを操作すると、かばん内部の温度が上昇し、熱に弱いもの(食品、化粧品、医薬品、合成樹脂を使用した製品など)が溶けたり、変形、変質したりする場合があります。熱に弱いものはかばんから取り出してから、操作を行ってください。

『横幅と奥行き』
従来とはアスペクト比の違うパネルを採用したため、横幅は少しだけ大きくなっている。一方、奥行きは小さくなった。
『高解像度パネルのアスペクト比は16:9』
アスペクト比、16:9で1,600×900の高解像度パネルを採用しているため、作業領域が広くストレスなく作業をこなせるスペースが確保できる。
『電源が入っていなくても給電できるUSB』
PCの電源を切っていても充電可能なUSB端子が用意されている(要設定)。バッテリ不足に悩むスマートホンユーザーにはありがたい機能だ。

 Webモデルでは、水濡れにも対応する3年間特別保証などが用意されており、バックアップ体制にもぬかりはない。震災以降意識の高まるピークシフト機能の取り入れや先に紹介したクイックブートマネージャー、そのほか、オリジナルのユーティリティなども揃っており、いたれりつくせりの盛りだくさんな内容だ。

『Windows 7 Professional』
ハイエンドノートには絶対にWindows 7 Professional

 TPM(HDDの暗号化機能)やvProにも対応しており、セキュリティ面やメンテナンス性能に関しても、ビジネスユーザーのニーズにこたえられるパフォーマンスを持っており、OSにはビジネスユースに必須のWindows 7 Professionalがインストールされている。

 薄型化されたボディに高いポテンシャル。高いセキュリティで一般的なモバイル用途からビジネス用途までオールマイティに活躍できるノートPC。レッツノート SX1はモバイルPCとして要求される、すべてを満たした近年まれにみる秀逸なノートPCだ。

まだまだあるぞ! レッツノート春モデル

 レッツノートの春の新製品ラインナップの目玉がSX1というのは間違いないが、SX1はあくまでも高いパフォーマンスとモバイル性能を一体化させるため、高度なバランスをとった製品だ。性能第一、モバイル性能が第一と用途を絞った場合には、ほかのシリーズを検討することも必要となってくる。SX1のほかにも興味を惹かれるモデルがバージョンアップされているので、それらをここで簡単に紹介して、この記事を締めくくる。

●レッツノート NXシリーズ  SX1と同サイズの12.1型ワイドパネルを採用したモバイルPC。乱暴な言い方をしてしまうなら、SX1から光学ドライブを取っ払ってしまったシリーズとも言える。光学ドライブが搭載されていない分、高いパフォーマンスと可搬性を融合させたシリーズで、近年では光学ドライブの活躍する機会も減ってきており、性能が高くて、少しでも軽い製品が欲しいというニーズにぴったりな製品だ。

●レッツノート Bシリーズ  15.6型のワイド液晶を搭載したパフォーマンスノートPC。クアッドコアのCPU、i7-2675QMを採用し、Blu-rayディスクドライブを搭載したモデルで、性能面でみた場合にはフラグシップ的な製品となる。15.6型ワイド液晶の解像度は1,920×1,080のフルHD。高いパフォーマンスと広い作業環境でさまざまな作業をこなせるハイエンドノートPCだ。

●レッツノート Jシリーズ  昨年、ジャケットスタイルPCとして登場したばかりのモバイルPC。スタイリッシュな合皮製のジャケットは、底面にバンドがあり、片手をバンドに挟み片手で操作といった新しいスタイルでのモバイルPCとして活躍できる。パネルサイズは10.1型ワイドでSX1と同様にクイックブート機能で最短約9秒の起動速度を実現している(SSD搭載モデル)。持ち運んで使うモバイルに特化したノートPCが欲しいなら要チェックだ。

(山本 倫弘)

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