最新クアッドコアCPU「Core i7-2675QM」を搭載し、高いパフォーマンスを実現

クアッドコアCPUのCore i7-2675QMを搭載しており、最大8つのスレッドを同時に実行できる。タスクマネージャーのCPU使用率の欄が、8個に分かれていることに注目 Windowsエクスペリエンスインデックスを計測したところ、プロセッサとメモリは7.4という非常に優秀な結果となった

パナソニックのレッツノートシリーズは、モバイルノートPCで特に重視される「携帯性」「堅牢性」「バッテリー駆動時間」の3つの要素を高いレベルで実現した製品として、高い人気を誇る。2009年に登場したレッツノートS8/N8では、CPUが超低電圧版から標準電圧版に変更され、パフォーマンスが大きく向上。携帯性と堅牢性、バッテリー駆動時間はそのままに、A4サイズのスタンダードノートPCと同等以上の性能を実現し、製品としての完成度がさらに向上した。

レッツノートシリーズは、製品ラインナップが充実していることも魅力であり、液晶サイズなどの違いによって、Jシリーズ/Nシリーズ/Sシリーズ/Cシリーズ/Bシリーズの5シリーズが用意されている。今回紹介するレッツノートB10クアッドコアCPUモデルは、レッツノートシリーズの中で最も液晶サイズが大きな製品であり、高解像度の大画面液晶と高い携帯性を両立させていることが魅力だ。レッツノートB10シリーズは、店頭モデルと直販サイトの「マイレッツ倶楽部」でのみ販売されるマイレッツ倶楽部モデルに大別できる。マイレッツ倶楽部モデルは、店頭モデルよりも高性能なCPUが搭載されていたり、仕様をカスタマイズすることが可能なことが魅力で、スペックにこだわるヘビーユーザー向けといえる。マイレッツ倶楽部モデルの中でも、特に高性能な製品がプレミアムエディションと呼ばれるモデルだ。

今回取り上げるレッツノートB10 クアッドコアCPUモデルは、レッツノート誕生15周年を記念してプレミアムエディションに追加された特別なモデルで、レッツノートシリーズで初めて、クアッドコアCPUを搭載したことがウリだ。インテルの最新CPUであるCore iシリーズは、上位からCore i7/Core i5/Core i3という3つのシリーズがある。デスクトップPC向けのCore i7シリーズはすべてクアッドコアCPUだが、ノートPC向けのCore i7シリーズ(型番の末尾にMが付くのがノートPC向け)は、デュアルコアCPUとクアッドコアCPUがある。従来から、レッツノートのプレミアムエディションには、Core i7シリーズを搭載したモデルが用意されていたが、それらに搭載されていたのはデュアルコアのCore i7シリーズであり、デュアルコアであるCore i5シリーズとの性能差はそれほど大きくはなかった。また、他社の製品でも、携帯性を重視したモバイルノートPCで、クアッドコアのCore i7シリーズを搭載したモデルはなかった。

しかし、今回登場したレッツノートB10 クアッドコアCPUモデルは、その名の通り、クアッドコアのCore i7-2675QMを搭載している。Core i7-2675QMは、インテルが発表したばかりの最新CPUで、動作クロック2.2GHzのクアッドコアCPUである。ちなみに、インテルのノートPC向けCPUでは、型番の末尾が「QM」または「XM」となっている製品がクアッドコアだ。いわゆる開発コードネーム「Sandy Bridge」と呼ばれる第2世代Core iシリーズで、新命令AVXに対応するほか、内蔵グラフィックス機能も強化されている。また、1つのコアで同時に2つのスレッドを実行可能なHyper-Threadingテクノロジーをサポートしているため、最大8スレッドの同時実行が可能だ。動作クロックは2.2GHzだが、自動オーバークロック機能のTurbo Boost 2.0により、最大3.1GHzまでクロックが向上する。重さ2kgを切るモバイルノートPCとしては、世界最高レベルの性能といってよいだろう。

参考のために、Windowsエクスペリエンスを計測してみたところ、プロセッサとメモリが7.4、グラフィックスが4.5、ゲーム用グラフィックスが6.2、プライマリハードディスクが6.8と、非常に優秀な結果となった。

冷却機構と基板の再設計によりクアッドコアCPUの搭載を実現

レッツノートB10 クアッドコアCPUモデルに搭載されたCore i7-2675QMは、クアッドコアの高性能CPUだが、その分、TDP(熱設計電力)がデュアルコアCPUの35Wから45Wに増えている。そのCPUからの熱に対応するために、冷却機構も一から見直すことになったのだ。下の比較写真を見れば分かるように、B10店頭モデルとB10クアッドコアCPUモデルでは、CPUに接してCPUの排熱を奪う受熱ユニットの形状や材質が大きく変わっている。店頭モデルでは、受熱ユニットがアルミ板でできており、サイズも小さかったが、クアッドコアCPUモデルでは、受熱ユニットがダイキャスト化され、CPUと接する部分に熱伝導率の高い銅チップが埋め込まれた構造に変わっている。また、表側には多数の突起が設けられ、CPUの熱を効率良く吸収できるようになっている。排気部の放熱フィンの材質もアルミから銅に変更され、フィンのピッチも1mmから0.8mmへ狭められている。放熱フィンの表面積を増やすことで、排熱効率を向上できる。さらに、排気口の形状も変更され、開口面積が大きくなり、風量が増している。

また、クアッドコアのCore i7とデュアルコアのCore i7では、CPUの信号本数や周辺の電源回路が異なるため、基板自体もクアッドコアにあわせて再設計されている。こうしたパナソニックならではの優れた技術によって、従来と同じボディにTDPが増加したクアッドコアCPUの搭載を可能にしたのだ。

B10 クアッドコアCPUモデルの基板(左)とB10店頭モデルの基板(右)の比較。B10 クアッドコアCPUモデルでは、基板の右側にある受熱ユニットの材質や形状が大きく変わっており、表側に多数の突起が設けられている B10 クアッドコアCPUモデルの受熱ユニット(左)とB10店頭モデルの受熱ユニット(右)の比較。ユニットのサイズも一回り違う B10 クアッドコアCPUモデルの受熱ユニット(左)とB10店頭モデルの受熱ユニット(右)の裏側の比較。B10 クアッドコアCPUモデルのCPUと接する部分には、銅チップが埋め込まれている
B10 クアッドコアCPUモデルの放熱フィン(上)とB10店頭モデルの放熱フィン(下)の比較。B10 クアッドコアCPUモデルでは、放熱フィンの材質がアルミから銅に変更されており、ピッチも1mmから0.8mmに狭められている B10 クアッドコアCPUモデルでは、左側面の排気口の形状が変更され、開口面積が拡大。風量が増している 基板から受熱ユニットを外したところの比較。B10 クアッドコアCPUモデル(左)のほうが、B10店頭モデル(右)よりも、CPUダイがより縦長になっており、サイズも大きくなっている

256GBの高速SSDとブルーレイドライブを搭載

標準で8GBのメモリを実装しており、最大16GBまで増設が可能だ 光学ドライブとして、ブルーレイドライブを搭載。トレイを手前に引き出すようになっているので、横に書類などを置いている場合でも邪魔にならない

レッツノートB10 クアッドコアCPUモデルは、CPU以外のスペックも高い。標準実装メモリは8GBで、店頭モデルの2倍の容量だ。さらにSO-DIMMスロットが1基空いているので、最大16GBまで増設できる。標準実装の8GBでも、大抵の用途なら十分だが、ハイエンドデジタル一眼レフで撮影したRAW画像を一気に現像するといったメモリを多量に消費する作業でも、メモリを16GBに増設すれば余裕を持って行なえる。

また、ストレージとしては、256GB SSDが搭載されている(店頭モデルは640GB HDDを搭載)。SSDはHDDに比べて、アクセス速度が高速で、消費電力が低く、衝撃にも強いという利点があり、モバイルノートPCのストレージとしては理想的なデバイスだ。さらに、パナソニック独自の高速起動機能「クイックブートマネージャー」により、電源オフの状態からでも最短約12秒でWindows 7が起動する。アプリケーションの起動や操作も高速で、非常に快適だ。一度、SSD搭載モデルの快適さを知ってしまうと、もはやHDD搭載モデルには戻れない。

光学ドライブとして、レッツノートシリーズで唯一ブルーレイドライブ(トレイ式)を搭載していることも高く評価できる(店頭モデルはDVDスーパーマルチドライブ搭載)。一般的なノートPCでは、右側にトレイを引き出すようになっている製品が多いが、レッツノートB10では、トレイを手前に引き出すフロントドライブを採用しているため、横に書類などを置いていても邪魔にならずに、ディスクを出し入れできるので、机の上のスペースを有効に活用できる。片面2層のブルーレイディスクに対応し、約50GBの大容量記録が可能なので、データのバックアップや配布にも便利だ。

目の疲れが少ないノングレアタイプのフルHD対応15.6型ワイド液晶を搭載

キーボードは全90キーで、キーピッチは19mmと広く、キー配列も標準的で使いやすい。右側に画面解像度や無線機能などの切り替えをワンタッチで行えるユーティリティボタンが用意されているのも便利だ ユーティリティボタンを押すことで、切り替えメニューが表示される。画面解像度は、1,280×720ドット、1,366×768ドット、1,600×900ドット、1,920×1,080ドットの4段階に切り替えが可能

レッツノートB10は、レッツノートシリーズの中で最大サイズとなる15.6型ワイド液晶を搭載していることが特徴だ。単にサイズが大きいだけでなく、1,920×1,080ドットのフルHD解像度に対応しており、高解像度の広いデスクトップ画面を利用できることが魅力だ。一般的なノートPCの液晶解像度である1,366×768ドットに比べると、一度に画面に表示できる情報量は約2倍にもなる。また、ノングレアタイプの液晶を採用しているため、外光の反射や映り込みが少なく、長時間使っていても目が疲れにくい。解像度が高いので、3D CADやDTPといった用途にも適している。さらに、画面を分割して利用できる「ウィンドウ・セパレーター」を搭載しており、高解像度画面をフルに活用できるのも嬉しい。

キーボードは全90キーで、キーピッチは縦横とも19mmとゆったりしている。キー配列も標準的で、快適にタイピングが可能だ。また、キーボードの右側に、画面解像度や無線機能などの切り替えをワンタッチで行えるユーティリティボタンが用意されているのも便利だ。ポインティングデバイスとしては、レッツノートシリーズではお馴染みのホイールパッドを採用。周囲をクルクル指でなぞることで、連続的なスクロール操作が行えるので便利だ。

USB 3.0やBluetoothにも対応

レッツノートB10 クアッドコアCPUモデルは、インターフェースも充実している。USB 3.0×1とUSB 2.0×2を搭載し、外付けHDDなどのUSB 3.0対応周辺機器の性能をフルに発揮できる。外部ディスプレイ接続用端子としては、HDMI出力とアナログRGB出力を搭載。さらに、インテルが開発したワイヤレスディスプレイ接続技術「WiDi」にも対応しており、WiDiアダプターを接続した大画面テレビなどに、無線LANを利用してワイヤレスで映像と音声を転送することができる。カードスロットとしては、SDメモリーカードスロットを搭載。大容量のSDXC/SDHCカードに対応していることはもちろん、高速転送規格のUHS-Iもサポートしている。

ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11a/b/g/n対応無線LAN機能のほか、店頭モデルでは非対応のBluetooth Ver2.1+EDRにも対応している。Bluetooth対応機器も、Bluetoothアダプターを装着することなく、スマートに利用できる。

左側面には、有線LAN、HDMI出力、USB 2.0×2が用意されている 右側面には、USB 3.0とアナログRGB出力が用意されている 前面には、ヘッドホン出力やマイク入力、SDメモリーカードスロットが用意されている

新型の高容量バッテリー採用で約8時間駆動を実現

レッツノートB10 クアッドコアCPUモデルの重量は約1,920gであり、店頭モデルの約1,880gに比べてわずかに重い。もちろん、手で持って違いが分かるほどの差ではなく、15.6型ワイド液晶搭載ノートPCとしてはトップクラスの軽さであり、十分に持ち歩ける範囲だ。この重さの差は、バッテリーの高容量化のためだ。店頭モデルや他のマイレッツ倶楽部モデルのレッツノートB10のバッテリーは、容量2.25Ahのセルが使われているが、レッツノートB10 クアッドコアCPUモデルでは新型の3.0Ahセルが採用されており、バッテリー(6セル)の容量が従来の4.5Ahから6.0Ahに増加している。バッテリーの容量が増えたことで、バッテリー駆動時間は店頭モデルの約6時間から、クアッドコアCPUモデルでは約8時間へと2時間も延びた。レッツノートB10シリーズは、他のレッツノートに比べるとバッテリー駆動時間がやや短く、出張などAC電源のないところで一日使おうとするとやや心許なかったが、レッツノートB10 クアッドコアCPUモデルなら安心して使うことができる。消費電力が増えたことで、ACアダプターは多少大きくなったが、15.6型ワイドクラスのノートPCのACアダプターとしてはコンパクトで軽く、携帯性は十分だ。

バッテリーパックもクアッドコアCPUモデルでは新型になり、容量が従来の4.5Ahから6.0Ahに増加。駆動時間は店頭モデルの約6時間から約8時間へと2時間も延びた ACアダプターは多少大きくなったが、15.6型ワイドクラスのACアダプターとしてはコンパクトで軽い

フルHD搭載で重さ2kgを切るクアッドコア搭載モデルとして唯一無二の製品

ハイエンドノートには絶対にWindows 7 Professional

このように、レッツノートB10 クアッドコアCPUモデルは、クアッドコアCPUとSSDの搭載により、一般的なA4スタンダードノートPCを遙かに超える高い性能を実現していることが魅力だ。性能と携帯性という、相反する要求を高いレベルで両立させた、まさに究極のモバイルノートPCと呼べる製品だ、その分、店頭モデルに比べると価格は高いが、価格だけの価値はある。もちろんWindows 7 Professionalがインストールされている。プロカメラマンやデザイナー、CADエンジニア、ビデオ制作者など、CPUなどに高い負荷がかかる作業を外出先でも行わなくてはならない人に、特にお勧めしたい。

レッツノート S/N シリーズ プレミアムエディション限定のプレミアムカラーが登場!
マイレッツ倶楽部の利点の一つに、レッツノートの天板の色を自由にカスタマイズできることが挙げられる。今回、新たにレッツノート S/N シリーズプレミアムエディション限定プレミアムカラーとして「ローカスライン」に加え、「アライメントグリッド」が追加された。ともに限定200枚のみだが、美しく印象的なカラーであり、外観にこだわりたいという人にお勧めだ。
レッツノートS/Nシリーズ プレミアムエディション限定のプレミアムカラー「アライメントグリッド」 シャンパンゴールドにジオメトリック柄が立体的に浮かび上がる、華やかなカラーだ

(石井 英男)

ビジネス スキルアップアカデミー

パナソニックのモバイルノートパソコン「Let's note(レッツノート)」は、15周年企画の一環として、「ビジネス スキルアップアカデミー」をFacebook上に開講。20〜30歳代のビジネスパーソンのスキルアップに役立つ講座を、Facebookページから配信。
一橋大学の米倉先生にモデレーターをお願いし、ローソンの新浪社長にお話しいただく特別講座を、10/7から配信予定です。

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