モバイルを次なる高みに  レッツノートR8  〜Windows 7 RCとUQ WiMAXでさらなる飛躍
レッツノートのプレミアムエディションといえば、そのスペシャルな外観はもちろん、スペックの点でも店頭販売モデルでは入手できないものが満載で、パワーユーザーには垂涎の存在だ。今回は、その先駆けともいえるR8夏モデルのプレミアムエディションを試してみた。

SSDがモバイルの不安を払拭する

レッツノートR8

マイレッツ倶楽部で購入可能な「ジェットブラック」モデル。天板、ボディともにシックな黒色

「シルバーフェザー」のボディ色も用意されている。ちなみにマイレッツ倶楽部で購入する場合、天板色を選択可能。「ジェットブラック」モデルなら5色、「シルバーフェザー」モデルならなんと12色から選ぶことができる

 自分自身がずっと、レッツノートRシリーズのヘビーユーザーなので、今回のレビューは興味津々だ。ただ、手元に届いたR8を観察しても、現役で使っているR7との違いは見あたらない。同じジェットブラックモデルということもあるが、かろうじて、キーボード下部のCF-R8という表記に違いがあるのみだ。

 でも、中身はまるで別物だ。プラットフォームはMontevina、プロセッサにはCore2 Duo超低電圧版SU9600(1.6GHz)を搭載、さらには、128GBのSSDを積む。これで、通常モデルよりも30グラム軽量になり、バッテリ駆動時間は1時間延長され、9時間運用が可能になるという。ストレージに関しては500GB大容量HDDとの二択なので、自分で購入するとしたら、どちらを選べばいいか一晩くらいは悩むかもしれない。けれど、実際に使ってみると、SSDの絶対的な安心感は何ものにも代え難いことがわかる。ただ、正直なところ、本当はさらに大容量のSSDが欲しいところだ。

 当たり前の話だが、レッツノートは軽い。たとえば、液晶ディスプレイを起こして使い始めるときにも、ちょっと油断すると本体が簡単に持ち上がったり、その反動でテーブルに音をたてて当たったりして、ドキッとすることがある。特に、HDDのアクセスランプが点灯しているときなどは、大丈夫かなあと不安にもなる。

 また、今では珍しくなった4:3の10.4型液晶を装備するコンパクトなボディは、打ち合わせ中の相手などにちょっと何かを見せるようなときにも便利なのだが、本体を手渡して見てもらっているときに、相手が何気なくでも荒っぽく扱ったりすると、ハラハラしたりもする。普通の人は、こんな小さな筐体の中で、HDDがビュンビュンと回転していることなど意識すらしていないのだ。

 レッツノートのタフ設計では、それくらいの衝撃は問題外ということになっているし、実際、過去に、こうしたことが原因でトラブルを起こしたこともない。そうはいっても、やっぱり心配は心配で、それが、レッツノートをフィールドで使う際の、ちょっとしたストレスにもなっていた。でも、SSDなら、そんなことではビクともしない。RシリーズのようなモバイルPCは、SSDで、その真価を発揮するのだと確信する。

「レビューにならない」!? Windows 7のインストール

レッツノートシリーズのハードウェアは素直だ。最新Windows 7のRC版もスンナリとインストールできる

レッツノートなら、初期導入ドライバーやソフトウェアをサポートサイトからダウンロード可能だ。新規OSをクリーンインストールしたけれどソフトが無い、動かない…などと困ることは無い

 そんなレッツノートR8だが、今回は、速攻で、今話題のWindows 7 RCを入れてみることにした。いったんR8を工場出荷状態に戻し、あらかじめUSBメモリにコピーしておいたWindows 7 RCからセットアップを開始、アップグレードインストールを試みた。

 注意点はひとつだけ。アップグレード前に、デスクトップに置かれたマカフィーのセットアップ用ショートカットを削除しておくことだ。このショートカットがあると、Windows 7は警告を出してセットアップを続行できない。

 また、Windows 7では、Bluetoothスタックが一新される。レッツノートのBluetoothでは、東芝スタックが使われているが、あらかじめ、このスタックをコントロールパネルで削除しておくと、Windows 7ネイティブのスタックが使われるようになる。

 なお、Windows 7では、SSDを認識して、専用の設定が適用されるはずだが、RCの振る舞いを確認する限り、レッツノートのSSDはHDDとして認識されている。そこで、HDDの自動最適化、つまりデフラグのスケジュールを無効にしておくなどの後作業をしておいたほうがいいだろう。

 ちなみに、元の工場出荷状態に戻す際には、通常、起動時にF8を押して、コンピュータの修復を実行すればいいのだが、Windows 7を入れてしまうと、これができなくなってしまう。だが、BIOSを起動し、そこから修復に入れば、内部に格納されたプリインストールイメージを展開することができる。もっとも、添付のリカバリDVDを使えば同じことができるのだが、手元にすぐに外付けDVDドライブを用意できないときのために覚えておくと便利だ。

 Windows 7へのアップグレードインストールに要する時間は数十分といったところだろうか。まったく問題なく終了し、まるで、プリインストールだったかのようにWindows 7が使えるようになる。というか、あまりにも問題がないのでレビューにならない。

 レッツノートの場合、Panasonicのウェブサイトに導入済みドライバがすべて公開されているし、起動ドライブのルートフォルダ内にはUtilという名前のフォルダが用意され、ここにすべてのプリインストールプログラムが格納されているので、クリーンインストールも簡単だ。あらかじめこのUtilフォルダを待避しておき、クリーンインストール後、各種ドライバやユーティリティ類を入れていってもいいわけだ。

 いずれにしても、これまで10台近くのPCにWindows 7 RCを入れてみたが、中でもレッツノートはノートラブルでWindows 7 RCのインストールが可能な素直なPCとしておすすめできる。秋とされているWindows 7の発売や、Windows 7プリインストールのレッツノートなどを待たずに、現行のレッツノートを入手しても、アップグレードには何の心配もないことがこれでわかった。

 ちなみに、夏モデルのプリインストールはVista BuisinessのSP1で、つい先日リリースされたSP2は間に合っていない。これは、Windows Updateで入手できるので、ぜひ、導入してほしい。どうしてVistaの評判が悪いのか理解に苦しむような快適環境が手に入るはずだ。

接続を意識せずにつながるWiMAX

UQ WiMAXのPCMCIAカードタイプアダプタ「UD02NA」をPCカードスロットに装着。USB接続アダプタと異なりガッチリ固定できるので、モバイル時の不安感も少ない

専用のユーティリティで接続。利用IDなどは端末と紐付いているため、ID/パスワードの入力は必要なく、この手軽さはうれしい

RBB todayのスピードテストで回線速度を計測したところ、下り11.1Mbps、上り919kbpsとなった。モバイル「ブロードバンド」の名に恥じない速度だ(平日昼間に屋外にて計測)

 Windows 7が快適に動き始めたR8で、これもまた話題のWiMAXを使ってみた。UQが7月から本サービスを開始することになっているWiMAXだが、順次、サービスエリアを広げながら、実験サービスを継続運用中だ。

 今回試したのはPCカードタイプの端末で、コンパクトなR8の筐体に装着すると、はみ出し部分が大きく、いかにも大げさな印象を受ける。レッツノートではF8に内蔵モデルが用意されているのがちょっとうらやましい。でも、USB端末のように使うときだけ装着するというのではなく、PCカードスロットに装着しっぱなしで使ってみると文字通りシームレスなインターネット接続を体験できる。

 液晶を開いてレッツノートをスリープから起こす。起きるのに約1秒。パスワードを入れてデスクトップを表示する。ここまでが約3秒だ。そのころには、PCカードのWiMAX端末が認識され常駐していたユーティリティが接続を試行する。その接続に約3秒。

 WiMAX圏内にいれば、レッツノートを開いてから、長く見積もっても約10秒後にはインターネットにつながっている。

 サービスエリア外ではWi-Fiがバックアップする。たとえば、ドコモの公衆無線LANサービスは802.1x認証で、あらかじめ設定しておけば、無操作で勝手につながる。もちろん自宅の無線LANにも自動接続なので、とにかく、レッツノートを開けば、いつでもどこでも必ずインターネット接続済みという環境が手に入る。これらのサービスの特徴は、ユーザーが接続するという行為を特に意識しなくていい点だ。

 それでもつながらない場所では、パナソニックの携帯電話にBluetooth接続して手動でダイヤルアップすればいい。ぼくの場合、これだけ準備しておくことで、少なくとも日本国内では、インターネットにつながらないのは、無線デバイスを禁止されている飛行機の中と、電波が届かない地下鉄の駅間だけになってしまった。

ネットブックと比べるのが間違い

今となってはすっかり希少になってしまった4:3のディスプレイサイズ

膝にちょこんと乗るサイズに、キーピッチが広く打鍵しやすいキーボード。レッツノートR8の白眉

 Rシリーズのサイズは使ってみればわかるが、電車の中などで使うには絶妙なサイズだ。10.4型のスクエア液晶を持つライバルが、ほぼ不在という点もあるが、このフォームファクタはなくなってほしくない。座って使う場合には、膝の上にちょうどのり、両脇の乗客に迷惑をかけることもない。座れない場合も、ドアなどにもたれれて、片手でささえながらWebを見るくらいなら、その軽さもあって負担はない。

 スペックとしては約0.9kgとなっているが、これは控えめな値で、手元の実機を実測したら880gだった。よくぞ、このサイズ、この重量の中に、これだけの高いパフォーマンスをパッケージしていると、今さらながら感心してしまう。

 ネットブックの登場で、Centrino2は、多少、影が薄くなっているような印象があるが、実際にこうしてレッツノートR8プレミアムエディションを使ってみると、モバイルPCはこうでなくっちゃという実感を頻繁に感じることができる。ベンチマークテストでの数値をネットブックと比べても、もちろん比較にならないくらい差が出るし、数値以上に、使ってみての快適さ、その体感は次元が違う。打てば響くようなレスポンスをネットブックに求めるのは無理だ。だが、R8にはそれがある。ぜひ、自分の眼で確かめてほしい。

----- Reported by 山田祥平

 
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