レノボ・ジャパン コンシューマ事業製品事業部 プロタクトマネージャー 藤井宏明氏
本日はよろしくお願いいたします。改めてお聞きしますが、A720のセールスポイントは何でしょうか?
「ご覧のように、この液晶は完全に水平にもできる設計で、10本指でのマルチタッチが可能です。また、27インチという大型のオールインタイプのPCでありながら、他社さんの同カテゴリ製品に比べても、コストパフォーマンスがいい点ですね。」
液晶画面が完全に水平になるというのは、どういうコンセプトなのでしょう?
「そのあたりは、まずはビデオを見ていただくのが、わかりやすいかと思います。今回、A720には、マルチタッチに対応した各種アプリケーションを搭載しています。ビデオ中にも出てきますが、このホッケーゲームや、ピアノといったアプリケーションが、A720のコンセプトを明確に表しています。たとえば、リビングのテーブルにA720を置いて、家族で周りを囲む。そこで、A720に向かってゲームで対戦したり、ピアノの合奏をしたりと、今までにないPCの使い方が可能になったと自負しています」
【動画】Lenovo IdeaCentre A720 All-In-One Tour
VIDEO
テニスゲーム。2本の指でタッチすると、指間にラケットが出現。それを使ってボールを打ち返す。実際に遊んでみたが、対戦中でもふたりが意のままにラケットを操ることが可能で、タッチパネルの認識性はかなり高いと感じた
ピアノアプリでは、写真のようにエレクトーンのような2段鍵盤で演奏できるほか、鍵盤を対面に配置し、連弾を楽しめる。こうした、「ファミリーで楽しめる」ことが、A720の提案する新しいPCの使い方だ
PCの基本性能についてお聞かせください。第3世代 インテル® Core™ i7プロセッサーの採用、GPUの搭載など、オールインワンとしてはスペックが高いように思うのですが。
「ファミリー向けを指向したオールインワンタイプのA720ですが、リビングに置くという前提からも、パフォーマンスは重要と考えました。最新のゲームや、AVコンテンツにも対応でき、操作時にもストレスを感じない。そんな製品を目指し、CPUには4月24日に発表されたたばかりの、第3世代 インテル® Core™ i7プロセッサーをいち早く採用しました」
AV機能というと、BDビデオの再生も可能なんですか?
「はい、対応しています。実は、この薄い本体のなかにスリットタイプのBDコンボドライブを搭載しています。高速なCPUを採用したことも、リビングでの快適なBD視聴を可能とすることがひとつの理由ですが、加えてビデオにはGeForce GT630Mを搭載しました。これにより、ストレスなくフルHDでBDを観賞できます。また、AV機能に関しては、いくつかの工夫もされています。たとえば、液晶画面は垂直方向から5度ほど前傾が可能。これは、リビングのテーブルにA720を設置し、ソファーから、見上げる角度で映像を観賞する場合のための工夫で、実際に使ってみると、非常に見やすく便利です」
日本発売モデルは、テレビチューナーは搭載していないのですね。
「それに関しては議論もあったのですが、こうしたリビング用のPCを購入するデジタルデバイスに対するリテラシーの高いユーザーを想定してみると、テレビではないだろうと。むしろ、リビングの中心になるデバイスとして位置付けることが重要。代わりといってはなんですが、録画用デッキや、家庭用ゲーム機などの映像を映し出せるように、A720にはHDMI入力端子を搭載しました」
PCのスペックに戻りますが、基本構成、そして拡張性などはどうでしょう
「本体には、無線キーボードと無線マウスが付属します。キーボードですが、これはちょっと面白いのですが、画面にバーチャルキーボードも用意されています。文字入力が必要なときには、キーボードアイコンが表示されますので、簡単にキーボードを呼び出してタッチ入力が可能です」
これは面白いですね。バーチャルといっても、画面が27インチですし、タッチ機能もついているので、リアルなキーボードとほとんど変わらないという(笑)
「ですので、キーボードも、マウスも、ほとんど触らなくても使えるかもしれません。話を戻すと、本体には、無線LAN(802.11b/g/n)、Bluetoothも搭載しています。したがって、電源ケーブルだけを接続すれば使えるシンプルさとなっています。あえて言うなら、1000BASE-Tのコネクタもつけてありますし、USB 3.0×2、USB 2.0×2と、拡張性も確保してあります。また、液晶上部にはカメラ、本体には6メディアに対応したカードリーダースロットも搭載していますので、一般的な用途であれば、まず困ることはないと思います」
文字入力が必要なシーンでは、バーチャルキーボードが利用可能だ。大型の画面サイズと10本指でのマルチタッチ液晶があいまって、使用感は実際のキーボードに遜色ない
本体背面の端子部。USB 3.0×2(背面1、側面1)、USB 2.0×2端子を装備。Bluetoothにも対応し、この薄さながら拡張性にはまったく問題ない
タッチ機能や、バーチャルキーボードは、Windows 7のほかの機能でも使えるのですか?
「マルチタッチ機能は、Windows 7の基本機能であるWindowsタッチに対応しています。Windowsタッチ自体は2本指での操作となりますが、マルチタッチは、この機能を独自に機能拡張し、10本指での操作を可能としています」
マルチタッチに対応したアプリケーションはどんなものがありますか?
「さきほどもご覧いただきましたが、10本を超えるゲームや、画像、動画ビューアーなど搭載しています。また、これらのアプリケーションは、デスクトップ上のから『Idea Touch』を呼び出すことで、簡単に起動できます。このほか、計画段階で未定ではあるのですが、Windows 8登場のタイミングに合わせ、独自のアプリケーションを弊社のサイトからダウンロードできるようなサービスも検討しています」
マルチタッチに対応したゲームなどのアプリケーションは、左の画像のようにデスクトップ上部に設置させる「Idea Touch」のアイコンをタップすることで、簡単に呼び出し可能
タッチで楽しめるアプリケーションが複数用意されている(※画面は英語版のため、実際とは異なります)
A720はどこで購入できますか?
「先行してレノボの直販ショッピングWEBにて販売開始しました。また今後は、大手量販店などでご購入できるモデルの発売を検討しています。第3世代 インテル® Core™ i5プロセッサーを搭載し、より安価でお求めやすい製品を店頭販売する予定です。やはり、この完全フラットと、10本指のマルチタッチによる操作性のすばらしさは、実際に店頭で触って味わっていただくのが一番ですから(笑)」
どうもありがとうございました。
今回、インタビューに併せ、 A720の実機をお借りして試用する機会をいただいた。小さな本体に大きなタッチ対応液晶が載っているということで、ぐらつきや、設置時のバランスの悪さが少々気がかりだったが、実際に使用してみると、 本体にバラストを搭載しているということと、 想像以上にしっかり、かつ、繊細な動きをする液晶部には、正直驚かされた。また、10本指でのマルチタッチ機能も、本文で触れたとおり高感度で、さすがレノボだと唸らされる。レノボでは、リビングに置く2台目の PCとして本機を想定しているようだが、書斎に置くPCとしても、十分に活躍してくれる。そんな、自信を持ってお勧めできるオールインワン PCだという印象を強く持った。
製品名
IdeaCentre A720
ダイレクト販売価格
168,000円(税込)
CPU
インテル® Core™ i7-3610QM プロセッサー/2.3GHz(ターボブースト時3.3GHz)
チップセット
インテル® HM76 Express チップセット
メモリ
8GB(4GB×2)/PC3-10600/DDR3 SDRAM/2スロット(空き0)
HDD
1TB(5400prm) (シリアルATA/3.5インチ)
光学ドライブ
ブルーレイ・コンボ・ドライブ(Blu-rayDisk書き込み不可)
OS
Windows 7 Home Premium with Service Pack 1 (SP1) 64ビット 正規版
ディスプレイ
マルチタッチ対応 27型ワイドFull HD LED液晶(1920x1080ドット1,677万色)(16:9)
グラフィックス
NVIDIA GeForceGT630M
イーサネット
10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T
ワイヤレス
IEEE 802.11b/g/n
インターフェイス
USB:USB2.0×2(側面×1、背面×1)、USB3.0×2(背面×2)、イーサネット:RJ-45×1、サウンド:マイクロフォン/ヘッドフォン、HDMI(in×1、out×1)、6 in 1 メディア・カード・リーダー
サイズ/重量
650 x 220 x 480mm(幅×奥行き×高さ)/約11kg
[Text by 小黒直昭]