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従来の固定電話とほぼ同等の使いやすさを実現しながら、月額の基本料、通話料を下げることができる直収サービスは、昨年末から今年にかけて各社そろってサービスを開始し、話題となっている。それでは直収サービスの、電話としてだけでなくインターネット接続も含めたインフラとしての魅力は、どこにあるのだろうか? KDDIの「メタルプラス」を例に、そのメリット、そして移行時の注意点を探っていこう。
KDDIのメタルプラスは、いわゆる直収サービスと呼ばれる新しいタイプの電話サービスだ。従来の固定電話は、マイラインによって中継網をユーザー側で選択することもできたが、最寄りのNTT収容ビル内に設置される交換機、そこから家庭へと続く電話回線と、基本的にはNTTの設備を利用したサービスであった。
これに対して、直収サービスで利用する設備は、すべてサービスを提供する事業者が提供するようになっている。中継網、NTT収容ビル内の回線収容機器、収容ビルから各家庭へと配線される電話回線(ドライカッパを利用)と、まさにユーザー宅からの回線が事業者に直接収容されるイメージとなっている。
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※発信側・通話先ともにマイラインを利用した場合。 |
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※発信側・通話先ともにメタルプラス電話を利用した場合。 |
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このような提供形態によって、従来の固定電話と何が変わるのかというと、その料金だ。通話料に関しては、マイラインやIP電話といったサービスでも中継網を提供する事業者によって比較的安く設定されていたが、KDDIメタルプラスのような直収サービスでは、電話回線や収容ビル内の機器なども事業者が提供するため、通話料に加えて、いままでNTTの聖域とされていた基本料までもが割安に提供されている。
具体的にどれくらい安くなるのかというと、以下の表の通りだ。KDDIのマイラインとメタルプラスの料金を比較した場合、基本料で300円程度安くなり、通話料に関しても市内、県内市外は一律3分8.4円、県外は3分15.75円とあらゆる面で安くなる。遠距離通話が多い人にとってのメリットが大きいのは言わずもがなだが、県外(100km超)にかけた場合、メタルプラスならマイラインよりも3分あたり42.75円も安くなる。実は固定電話をあまり使わない人にとっても基本料を節約できるというメリットがあるのだ。
[メタルプラス料金]
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マイライン(KDDI) |
メタルプラス |
基本料(3級局の場合) |
1,785円 |
1,365円(まとめて請求利用)※ |
通話料 |
一般電話 |
市内/3分 |
8.925円 |
8.4円 |
県内市外(30km超〜60km以下)/3分 |
22.05円 |
県外(100km超)/3分 |
58.5円 |
15.75円 |
国際電話(アメリカ本土)/1分 |
42円 |
9円 |
携帯電話 |
au宛/1分 |
17.955円 |
17.85円 |
au以外宛/1分 |
18.9円 |
18.375円 |
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※窓口でお支払いの場合は1,470円/月となります。 |
また、インターネット接続も含めたトータルの通信環境として考えても割安感は高い。KDDIのメタルプラスでは、電話サービスの「メタルプラス電話」に加えて、インターネット接続サービスの「メタルプラスネット DION ADSL50」も合わせて提供されている。この組み合わせで利用した場合、NTTの固定電話+フレッツ・ADSLという組み合わせに比べて、月額のコストを1,000円以上節約できることになる(実際の差額は利用するプロバイダーによって異なる)。
[ADSLを含めた月々のコスト]
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一般加入電話+フレッツADSL |
KDDIメタルプラス電話+ネット(DION ADSL50) |
電話基本料(3級局の場合) |
1,785円 |
1,365円(まとめて請求利用)※ |
開通工事費 |
− |
105円(開通後60ヶ月のみ) |
ADSL利用料 |
2,940円 |
3,024円 |
モデムレンタル料 |
567円 |
819円 |
プロバイダー料金(DION) |
1,312円 |
− |
合計 |
6,604円 |
5,313円 |
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※窓口でお支払いの場合は1,470円/月となります。 |
このように、料金的に大きな魅力を持つKDDIのメタルプラスであるが、その利用にはいくつか注意しなければならない点がある。中でも特に大きな問題となるのは、以下の2点だ。
・一部かけられない番号がある
・他事業者のADSL接続サービスは利用できない
まずは、かけられない番号がある点だが、これはKDDIのメタルプラスに限らず、ほかの直収サービス、IP電話サービスなどにも共通する問題点と言える。KDDIメタルプラスの場合、「050」番号を利用したIP電話サービスと比べれば、はるかに従来の固定電話に近い感覚での利用が可能で、「110」や「119」などの緊急通報を利用することが可能なうえ、一部制限があるが基本的には「0120」、「0077」などのフリーダイヤルに電話をかけることができる。もちろん、電話番号も「03」や「06」など従来の番号をそのまま利用できる。とは言え、やはり「0570」や他事業者が提供するフリーダイヤル(0088など)に電話をかけることはできない。従来の固定電話と完全に同じサービスが使えるとは言えない状況であるのは確かだ。
しかしながら、この状況は徐々に改善されていくと予想できる。かけられない番号があるというのは、その番号を提供する事業者が異なるからというのが主な原因だが、かけられない番号があるのは相互に不利益となるため、今後、ずっと未接続のままの状態ということにはならないだろう。
また、利用者側の対策も今後、進んでいくことだろう。現状、「0120」や「0570」といった番号はチケットの予約、企業への問い合わせなどで主に利用されているが、直収サービスやIP電話サービスの普及によって、かけられないユーザーが増えてくれば、この番号を利用している企業側も対策を考えざるを得ない。現状でもIP電話や携帯電話ユーザー向けに、「0120」や「0570」に代わる通常の電話番号をホームページなどに併記する企業も増えてきているので、今後はさらに直収サービスユーザーを考慮し、どの回線からでもかけられる番号を併記するという対応が増えてくるはずだ。
一方、プロバイダーの変更がインターネット接続環境に与える影響も小さくない。NTTの固定電話であれば、そのうえでどの事業者のADSL接続サービスを利用することも可能だったが、直収サービスの場合はそうはいかない。KDDIメタルプラスの場合はメタルプラスネット DION ADSL50といったように、特定のADSL接続サービスの利用に限られ、他事業者のADSL接続サービスは利用できないようになっている。
このため、現状、DIONのADSL接続サービスを利用しているユーザーがメタルプラスに変更する場合はモデムの変更があるだけでほぼ問題ないが、他のプロバイダーのサービスを利用している場合は、サービスを変更せざるを得ない。プロバイダーを変更するということは、メールアドレスなども変更しなければならないことになる。
ただし、この問題も工夫次第で回避することが可能だ。たとえば、以前のプロバイダーを解約せず、ダイヤルアップ接続向けなどに提供されている数百円程度の安いコースに変更して、メールアドレスを残すという方法もある。数百円程度であればそのまま併用し続けても負担は少ないが、旧メールアドレスから新メールアドレスへの移行期間を数ヶ月程度取り、その間だけ併用するというのもひとつの手だろう。
また、思い切って、メールやホームページなどをプロバイダーに依存しないサービスへと移行してしまうという手もあるだろう。最近では、月額数百円程度で利用できるレンタルサーバーサービスも数多く存在する。個人的には、メタルプラスへの変更を機に、メールやホームページを独自ドメインへと移行するというのもなかなか良い考えだと感じるところだ。
なお、既存のADSL環境からの変更の場合でも、移行のタイムラグはほとんど発生しない。工事日に既存のサービスからメタルプラスへの切替えが可能になっているため、インターネット接続や電話が使えない期間は、純粋に切替え工事が行なわれている瞬間だけとなる。手軽に移行することができるので、電話、そしてメールアドレスやホームページなども含めたインターネット接続環境を見直してみる良い機会と言えるだろう。 |
では、実際にどのようにメタルプラスに申し込めばいいのだろうか? これは非常にカンタンだ。KDDIのホームページや電話から申し込むこともできるが、近くのauショップで申し込みをすることもできる。ホームページからの申し込みの場合、申し込み後に特別な手続きなどは一切必要なく、開通日まで待つだけで利用できるという手軽さがメリットだが、サービス面でいろいろな相談をしたい場合は電話やauショップなどで申し込むといいだろう。
ホームページからの申し込みはこちら >>
なお、メタルプラスは基本的に全国で展開されているサービスだが、地域によってはまだサービスが提供されていない場合があったり、設備の環境でサービスの申し込みが一時的に中断されている場合がある。同社のホームページで電話番号と郵便番号を入力することにより対応エリアや対応状況を確認できるので、一度、アクセスしてみるといいだろう。
KDDIメタルプラスサービスエリアチェックはこちら>>
また、現状、申し込みから開通までの期間が多少かかる点にも注意したい。短い場合は申込み後3週間程度で開通するが、開局待ちとなっているエリアでは開局予定となっている時期より手続きが開始され、その後1ヶ月程度開通までに時間がかかる(開局予定時期についてはエリアチェックで確認が可能)。事務手続きにある程度の時間がかかることを事前に念頭に置いておくといいだろう。
最後に、電話としての信頼性や安定性、トラブル時の対処などに不安を覚えるユーザーもいるかもしれないが、この点はあまり心配する必要はないだろう。そもそもKDDIは固定電話で1000万回線、携帯電話で1900万回線のサービスを提供する通信事業者だ。その実績を考えても信頼性という点では心配ないだろう。もちろん、KDDI側の対応も万全だ。KDDIのカスタマーサービスセンターでは、電話での問合せが365日、無料で受付けられているうえ、接続・設定についての質問・相談にも24時間・365日、年中無休で答えてくれる。ライフラインとして安心して利用できるサービスと言えるので、この機会に加入を検討してみるといいだろう。
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さらに、KDDIのメタルプラスで見逃せないのは、auの携帯電話との併用でサービスがさらにお得になる点だ。たとえば、メタルプラスとauの請求をひとつにまとめる「KDDIまとめて請求」を利用すると、メタルプラス電話の基本料が税込み105円割引となる。すでにauの料金をクレジットカードで支払っている場合は、そこにメタルプラスの料金をまとめることが可能だ。
また、「KDDIまとめて請求」によって、auのポイントとKDDIポイント大作戦の両方のポイントを合算することも可能だ。このため、メタルプラス電話の通話料やDIONのインターネット接続などでたまったポイントをauの携帯電話の機種変更時などに利用することができるようになる。このほか、クレジットカードで料金を支払えば料金が105円割り引きになるうえ、メタルプラスとauの料金の両方でカード会社のポイントを効率的に貯めることもできる。
メタルプラスはもともと基本料や通話料などがお得になるサービスと言えるが、こういった付加価値的なお得要素も備えている。auの携帯電話を利用しているユーザーは、メタルプラスへの移行を真剣に検討すべきだろう。 |
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清水理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。
最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。 |
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