JWord株式会社 代表取締役社長 古梶 秀樹 氏
「全ての人に喜びを与えられるビジネスでありたい」

 Webブラウザのアドレスバーにキーワードを直接入力して検索できる便利な検索サービス「JWord」。企業のSEMにも有効な同サービスを提供するJWord株式会社は、数あるインターネットサービスの中でもオンリーワンの存在感を持つ企業だ。2007年3月に新たに同社の社長となった古梶秀樹氏は、そんなJWordについて、「ユーザー、クライアント、パートナーすべてにメリットをもたらす希有なビジネスモデル」と絶賛する。同サービスのビジネスモデルのすばらしさとはなにか。そして、JWordは今後どのような方向に進んでいくのか。古梶社長にお話を伺った。

■累計で4千万台を超える「JWord」の利用環境

●JWord株式会社
 代表取締役社長 古梶秀樹

●「JWord」トップページ

●アドレスバーにキーワードを入力すると、登録サイトがダイレクトに表示される。ブラウザの左側には、検索バーが出現。続けての検索対応も可能

−−−まず、JWordの現状についてお聞きしたいのですが。

 日頃からいろいろな方とお会いしてお話を聞く機会があるのですが、よく言われるのが「ユニークな会社だね」ということです。ユニークなのは株主の構成にも出ていまして、国内のホスティングサービスでは間違いなくトップであるGMOインターネット株式会社さんに60%超の株を持っていただいて、さらに日本のインターネットサービスの中では知らない者はいないヤフー株式会社さんに、33.4%という数字を保有いただいています。

 通常ならば競合する場面もあるかもしれない企業同士がともに手を取り合って、JWordのビジネスモデルや、そのユニーク性を評価してご支援くださっているという状況です。旧社名(アクセスポート)から続いて、もう創業して7年近くになりますが、このような移り変わりの激しい業種の中では長生きをしている企業だと自負しております。

−−−現在、JWordはユーザーに対してどのようなサービスを提供しているのでしょうか?

 基本的には「JWordプラグイン」というソフトを配って、それをユーザーの皆様にインストールしていただくことで利用可能になる「ダイレクトアクセス」というサービスがメインになります。つまり、アドレスバーに直接キーワードを入力して検索できる機能です。

 検索結果として表示されるJWordの登録情報は、他社の検索エンジンのようにロボットが自動で集めるのではなく、JWordの社員が実際に目で見て確かめて、登録情報として提供しています。また、これに加えて複数の検索エンジンの結果を切り替えて使える「同時検索タブ」という機能も追加しました。このように、どんどんバージョンアップを重ねて機能強化を図っています。

−−−プラグインソフトはユーザーにどれくらい浸透していますか?

 4月に最新の数字を発表したのですが、「JWordプラグイン」の配布数は累計で4千万本を超えました。これは、国内のインターネットが使えるパソコンが7,500万台くらいといわれている中で、約半分の方にご利用いただける状況になっているということです。また、プラグインソフトをインストールしていない方にもJWordのサービスを使っていただきたいということで、ポータルサイトで検索した場合に、JWordに登録されているキーワードに「J」のマークを付けるサービスも提供しています。ユーザーの皆様はこの「J」マークを参考にすることで、公式サイトや関連サイトが見つけやすくなり、効率の良い検索が可能になります。

 株式会社ビデオリサーチインタラクティブさんによるネット視聴率調査によると、4月現在で推定接触者数は699万7千人で、「yahoo.co.jp」や「google.com」に次いで第3位となっています。ネットレイティングス株式会社さんの調査でも、約500万人の利用者がいらっしゃいます。

−−−たとえプラグインソフトをインストールしていなくても、JWordのサービスは常に身近に存在するわけですね。

 そうですね。また、企業のサイトを運営している方には自社名やブランド名を弊社にキーワード広告としてご登録いただくと、ユーザーの皆様がそのキーワードで検索した場合に、ご登録いただいたサイトがダイレクトに表示されるようになるというメリットが、JWordのキーワードを購入していただいている大きな理由のひとつとなっています。

 ご登録いただくクライアントの企業様にとっては、これだけの提携先を持っている媒体というのはなかなか無いのではないかと思います。弊社に一つキーワードを登録いただくだけで、検索ポータルサイトを初めとしたさまざまな検索サイトで露出の機会が格段に増えますから、クライアント側から見ればお得なサービスであり、ユーザー側から見るとリーチの大きなサービスであるという見方ができます。

■誰も損をしないスパイラルアップのビジネスモデル

●今後の展望を語る古梶秀樹氏

●「同時検索タブ」は検索サイトにアクセスした際などにブラウザの下部に表示される

−−−新たに社長に就任されたということで、貴社の今後の展望をお聞かせください。

 現在は、とにかく膨大になってしまっているインターネット上の情報を、ユーザー様が「検索」によって選別しているという状況なのですが、これはおそらく今後5年から10年くらいは変わらないのではないかと思っています。そして、この「検索」という分野はJWordのもっとも得意なところであり、これからも同分野に経営資源を集中させて、特化していきたいと考えています。

 ちなみに弊社のキャッチフレーズは「インターネットをシンプルに!」です。「同時検索タブ」の機能一つを見ても、実は私どもがやっていることは他のポータルサイトではなかなかやりづらい。なぜならポータルサイトにとって、他社を含めた複数の検索サービスを提供するのは難しいからです。今後もこのように、他のサービスと同じことはやらず、しっかりと差別化していくことが大事だと思っています。

−−−ということは、今までの方向性を基本的には変えることなく、拡大発展させていくと?

 今までこれだけの急成長を遂げられたのは、やはり方針として間違っていなかったからだと思いますし、いろんな分野に大量にリソースを振り分けることはあまり考えていません。あくまでも「検索」という事業に集中特化していく。ユーザーの皆様の利便性を追求することで、最終的にはクライアント企業様のご満足を引き出していく。このモデルについては間違っていない。絶対に続けていくべきだし、これからもそうしていきたいと考えています。

−−−古梶社長がJWordに入社されたのは2年前ということですが、外から見たJWordと、実際に入ってみて内側から見たJWordとで、ギャップのようなものは感じましたか?

 実は、入社するまでJWordの検索の仕組みについては、あまりよく分かっていなかったのですよ(笑)。なんか色々なところ(検索結果)に、ちょこちょこと出てくるな、というイメージがあって。で、実際に面接の場で前社長にいろいろと細かく質問したところ、一つ一つの質問に丁寧に答えてくださったんですね。「1ユーザーとして、こういうところが良く分からないな」と思う質問をどんどん投げかけても、きちんと説明して返してくれる。で、「ちょっと思っていたのとは違うな?」と。実に明解なサービスで、ビジネスモデル的にも、えらくまともな会社じゃないか、と思ったわけです(笑)。

 で、実際に入ってみたら仕事が面白いし、ビジネスモデルもすばらしい。また、以前は一部のユーザーに「スパイウェアではないか?」というような誤解を受けているという点でも挑戦のしがいがあると。私も同じような疑念を多少持っていた時もあったのですが・・・JWordは、利用者を特定するような機能もありませんので安心してご利用いただきたいと思っています。マイクロソフト社や国内主要のスパイウェア検出ツールを出している会社の皆様には、その辺はご理解いただいている状況です。

−−−具体的には、JWordのビジネスモデルのどんな点に魅力を感じたのですか?

 JWordのビジネスモデルというのは、誰も損をしない仕組みになっています。まず、プラグインソフトの配布や検索結果を露出するパートナー企業様がいて、その活動によってユーザーの皆様にJWordを使っていただける環境が普及していく。そうすると、キーワード広告のクライアント企業様は、「JWordの媒体力が上がってきたな」と評価して、JWordにどんどんキーワードをご登録くださる。弊社は代理店の方々を通じてキーワード広告を販売しているのですが媒体力が上がってくると販売が好調になり、代理店の皆様からJWordに収入が入る。その収入の一部を、何%かの割合でプラグインソフトを配布するパートナー様たちにお返ししているわけです。

 パートナー様からすれば、「配れば配るほど、露出すればするほど儲かるんだ」ということになりますから、もっとプラグインソフトの配布や検索結果の露出に力を入れてくださったり、Webサイトの良い位置にJWordの情報(検索結果)を掲載していただけるわけです。そうすると、もっともっとJWordの利用環境が普及して、さらに媒体力が上がり、クライアント企業様からの評価も高まっていく。

 このスパイラルアップのビジネスモデルを、JWordに入社してから理解し、「これはすごい!」と。こんなモデルで成り立っている会社は、そんなに無いんじゃないかと思ったんですね。とにかく私がこの会社に入って心酔しているのは、このビジネスモデルです。こんなにうまくできているモデルはなかなかありません。

■ほかの広告モデルとは違う三つのメリット

●JWordのビジネスモデルを語る古梶秀樹氏

−−−ほかの広告モデルと比べて、クライアントにはどのようなメリットがありますか?

 クライアント企業様に対して、JWordがお約束している要素は三つあります。

 まず一つめは「定額」であること。ほかのリスティング広告は多くが"クリック・パー・コスト"で、ユーザー様がマウスを押した分だけお金が発生する仕組みになっています。だから、たとえばテレビであるタレントさんが「ココアが健康に良い」と紹介すると、急にクリック数が増えて料金が跳ね上がってしまったりします。でも、JWordは一定の金額で確実にキーワードを押さえられるので、そういった情報に左右されません。非常に予算化しやすく、計画しやすい安心なモデルであると言えます。

 二つめは「定位置」であることです。これには二つの意味があって、いつどんな状況でも常に同じ場所にある「アドレスバー」からキーワードを入力することで、ダイレクトに結果が出ることがまず一つ。もう一つは、「Yahoo! JAPAN」などのポータルサイトで検索した場合に、「J」マークが付いたスポンサーリンクがいつも上位の目立つ位置に表示されることです。そういう意味では常に定位置を確保していて、不変であるということですね。

 三つめは「期間」ですね。1年間とか3ヶ月間とか、ある一定期間にキーワードを確実に押さえられることです。

−−−「価格」「位置」「期間」の三つの要素をクライアントに約束できるわけですね?

 もう一つ重要な点として、検索結果が「1行=1社だけ」というのも挙げられます。ほかのリスティング広告の場合は、他社を含めて複数行が出されますよね。JWordというのは、あくまでも1キーワードにつき1社独占です。だから、「他の企業サイトと比較されない」というメリットがあります。つまり、クライアント企業様から見ると1社だけを直接画面表示させることが出来るので、メインペインではほかのサイトと比較されず、訴求力が大きいわけです。

 新しい商材をリリースしたばかりの企業様にとっては、自然検索結果で上位に表示するのは難しい。でもJWordなら新商材の発売と同時に定額、定期間、定位置、一社独占で、一度に多数の提携先への表示が可能なわけです。最近はJWordの強みを理解してくださるクライアント様が増え、商材の発売とセットでご登録いただく例が増えてきています。

■新たなビジネスモデルを目指して

●「JWord5周年」キャンペーンサイト

●「本プレ」キャンペーンサイト

−−−JWord検索サービスの5周年記念企画が始まりましたが?

 5月17日から6月16日まで、JWord5周年を記念して、「JWordサーチポイントキャンペーン」を実施します。これはHMV様とのタイアップで実現した企画ですが、JWordの検索結果をクリックして「HMVオンラインストア」に移動してCDなどの商品を購入した場合に、通常のポイント(HMVマネー)の還元率よりも多いポイントを、「プラスJWordポイント」としてプレゼントする企画です。詳しくは、弊社のキャンペーン告知ページをご覧いただければと思います。

 また、これとは別に「本プレ」という社会貢献企画の第2回目も実施する予定です。これは小学校の図書館に書籍を寄贈するというもので、ユーザー参加型の企画です。ユーザーの皆様が検索結果の中から協賛企業のリンクをクリックすると1クリックにつき5円が溜まり、100万円が貯まった時点で5つの小学校にそれぞれ20万円分の本をプレゼントするという内容です。ユーザーの皆様のクリックは、あくまでバーチャルなものなので、ユーザーにはお金は一切掛からず、JWordや協賛企業が支払うという形になります。

−−−検索サービスがこのようなキャンペーンを実施するのは珍しいですね。

 今までの検索サービスは、インターネットから情報を選別して見せるという利便性を、ユーザーの皆様に還元していたわけです。しかしそこから一歩進んで、インセンティブをユーザーにお返しするというのは、この業界ではあまり行われていなかったのではないかと。このモデルは今後のJWordを占う企画になるだろうと、個人的には期待している企画です。もしこの5周年企画が好評なら、今後も継続してこういうユーザー還元型のキャンペーンを定期的に行うことも考えています。

−−−最後に、読者に対してメッセージをお願いします。

 結局、今のインターネットのモデルは、なんらかの利便機能を提供して人を集めて、そこに広告を出すことで成り立っているんですね。私はそうではないモデルをJWordで作りたい。たとえば今回の「感謝のJWordサーチポイントキャンペーン」のように、検索するとポイントが返るという形かもしれないし、「本プレ」のような社会貢献企画かもしれません。それも一つの挑戦だと思ってますので。

 「人を集めて、そこに広告を出して終わり」というモデルはもう古いし、つまらないですよね(笑)。だから私は、なにも考えなくてもユーザーの皆様が便利に使えて、かつクライアント企業様も含めて皆様が笑顔になるビジネスモデルをJWordで作りたい。既存のモデルで満足することなく、誰も考えなかったようなビジネスを目指していきたいですね。

(インタビュワー 下柳泰三)

関連情報

・JWord 検索サービス 公式サイト 
http://www.jword.jp/