“その思い込みは間違っている”〜先入観を覆すIDCフロンティア クラウドサービスの使用感

分かっている人向けではない、“おもてなし”のあるクラウドサービス

日本市場にクラウドサービスが浸透/定着して数年がたつが、初期の「とりあえず始めてみた」レベルのサービスから受ける印象をいまだに引きずっているユーザーも少なくないようで、「仮想マシンの処理能力を安価に利用するために、使い勝手が犠牲になっているサービス」だと思われてしまっている面もあるようだ。

現実にはそのイメージ通りのサービスも存在するだろうが、すべてがそうだということはない。例えば、IDCフロンティアが提供する「IDCフロンティア クラウドサービス セルフタイプ(以下、IDCFクラウド)」は、コストと使い勝手を高度にバランスさせた魅力的なサービスとなっている。IDCFクラウドは、「競合サービスと同程度に利用した場合の価格がざっくり半分」という価格競争力がある一方で、実際には高い技術力を有するスタッフがユーザー目線で高品質なサービスを実装し、低コストで提供するための努力を重ねているのであって、決して「安いんだからそのくらいは自分でやって」という突き放した態度を取る事業者ではない。

ここでは、IDCFクラウドが実際にはどんなサービスなのか、先入観を取り払って見ていくことにしよう。

Step1:サーバーを稼働開始する

サービス利用契約は基本的にオンラインで完了し、迅速に利用を開始できる点はイメージ通りだ。米国発のサービスであれば「支払いはクレジットカードのみ」となりがちだが、IDCFクラウドでは請求書払いなど、日本企業にとって一般的な決済手段も選べるなど、すでに米国流一辺倒ではなくなっているのも、実はあまり知られていないポイントかもしれない。とはいえスペースもあまりないので、具体的な使い勝手についてどんどん見ていくことにしよう。

まずは仮想マシンの立ち上げだが、あらかじめ用意されたテンプレートから選ぶだけ、ではない。もちろん事前構成/テスト済みのテンプレートが用意されているのは当然だが、すでにIaaSを利用しているユーザーであれば稼働中のサーバーイメージも持っているはずだろう。IDCFが用意するメニューはシンプルだが、幅広い状況に柔軟に対応できるように吟味された構成になっている。

 

仮想マシンを作成するには、テンプレートからシステムイメージを選択する。「テンプレート」にはIDCフロンティアがあらかじめ用意した有用なイメージが集められており、後述するAPIが利用可能な環境が構築されていたり、LAMPスタックが利用可能だったりと、きめ細かな環境構築が行われている

「リソース」タブの「テンプレート」では、ユーザーが独自のテンプレートを追加できる。ここで既存の仮想マシンイメージのOVAファイルの所在を「URL(http://)」で指定すると、システム側でイメージをダウンロードし、ユーザーテンプレートとして追加してくれる。この機能を使えば、別のIaaSで使っていた仮想マシンを移行するのも容易だ

仮想マシンの構成は、IDCFが準備したテンプレートか、ユーザーが独自に構成したテンプレートかのどちらかを選択できる。ユーザー独自のテンプレートは、実のところ標準的な仮想マシンイメージであるOVAを指定できるので、すでにほかのサービスで稼働中の仮想マシンイメージをそのままIDCFクラウドに移行することが容易にできる。

ことさらに「仮想マシンを移行できます」とアピールしてはいないが、「ユーザーができてほしいと思うであろうことは当然にできるようにサポートしていく」、という同社の姿勢がうかがえるポイントだ。

また細かい点だが、ユーザー目線でサービスを吟味していることがよく分かるポイントとして、仮想マシンの削除はユーザーのコマンド発行後即座に実施するのではなく、10分程度の余裕を見ている点が指摘できる。削除のような危険な操作を実行する際にはくどいくらいの確認が行われるのが普通だが、逆にあまりにくどいために確認作業を機械的にすっ飛ばしてしまう、ということも現実には起こる。

こうした「いきおい余ってミスした」という場合、そのミスには即座に気がつくのが普通だ。最後の「OK」をクリックした瞬間に「しまった」と気づいて青くなる、という流れなわけだが、このときわずかでも実施までの猶予が作ってあることで救われる例は相当多いだろう。システムの運用管理に普段から携わっている人であれば、この10分の猶予を「たった10分程度じゃ意味がない」などとは決して考えないはずだ。

こういうサービスは特別なコストをかけなくても実現できるが、「分かっている人が分かっている人のために用意する」形でないと実装できない。サービス開発担当者が、ユーザーがどのような状況でどのような操作をするか、正しく理解しているからこそのサービスなのである。

Step2:サーバーの規模の拡大

IaaSサービスを利用する場合、サービス間の移行作業の負担がどの程度なのか、という点が気になるが、IDCFクラウドなら、そこは問題なくクリアできることはお分かりいただけるだろう。そうして運用開始されたサーバー環境が、その後順調に成長していくとすると、今度はそれに応じたサービス体制が充実しているかどうかが気になり始めるだろう。

稼働中のサーバーの台数が増えてきたり、ストレージやネットワークなどのリソース使用量が増えてきたりした場合には、予算に対して現時点での利用状況はどのくらいなのか、という点が気になるはずだ。IaaSなどのクラウドサービスは「使った分だけ支払う」従量制課金が特長だが、逆に言えば「使いすぎてしまった場合は支払額も膨らんでしまう」ということでもある。

 

運用管理者がサービスにログインするとまず表示されるダッシュボード画面の最も目立つところに「リソースカウンター」が置かれ、現在使用中のリソース量などが大きく表示される。また、「利用状況サマリ」では予算視点の表示やユーザーが独自に設定できるアラートなど、多彩な視点で利用状況が可視化される

運用管理のためのモニタリング画面。画面左側にホスト一覧とそれぞれの監視状態が表示されており、監視状態を簡単に切り替えることができる。また、画面中央部分にはアラート数がグラフで表示され、その下にはアラート履歴がわかりやすく表示されている

小規模なシステムであれば特に予算を決めずに運用する例もあるだろうが、ある程度の規模のシステムを一定期間運用すれば、おおよそ毎月のリソース使用状況の目安は立てられるようになってくるだろう。そうした“いつもの感じ”から大きく逸脱した場合には、何らかの異変を疑う必要がある。そうした異変を見逃さないためのインターフェイスの工夫も望まれる。

IDCFクラウドでは、稼働中のサーバーの監視機能が充実しており、サーバーの稼働状況やストレージやネットワークといったリソースの使用状況をさまざまなビューでグラフィカルに把握できるようになっている。

そもそも、ユーザー向けのポータル画面の一番目立つところには現在のリソース使用状況がサマリー表示されており、「いつの間にこんなに使ったんだっけ?」などということがないように工夫されている。

一般的には有償オプションとして提供されることも多い「HAロードバランシング」機能が無償提供される点も、Webサーバーの運用を行うユーザーにとってはありがたいポイントだろう。単独のWebサーバーを運用するだけでは用途も限られるが、HA構成にできるのであれば話は変わってくる。「話題のクラウドをちょっと試してみる」といった段階から「業務システムを本番稼働する」ところに無理なくステップアップできる可能性もある。

Step3:大規模システムの運用

徐々にシステムの規模が拡大し、業務上重要なシステムの運用も始まると、やはり運用管理のための日常的な作業や繰り返し実行する必要のある定常作業などを自動化したくなってくるだろう。

クラウドサービスの場合、運用管理のための分かりやすいWebインターフェイスが提供されるのが一般的で、IDCFクラウドでも独自の工夫が盛り込まれたWebインターフェイスを通じたシステムの監視や設定変更ができるのはすでにお分かりいただいているだろう。

 

APIの使い方に関するわかりやすい資料がオンラインで公開されている。特に“Getting Started”はチュートリアル形式になっており、APIコマンドがあらかじめセットアップされた仮想マシン(テンプレートに用意されている)を使えばその場で試しながらAPIの使い方を学ぶことができる

多くのユーザーから繰り返し寄せられた質問はFAQに収録され、オンラインで公開されているので、まずここを確認することでたいていの問題は自力で解決できるだろう。サポートスタッフに問い合わせたい場合も、ダッシュボード画面の「チケット」を使ってオンラインで質問を送れば迅速に回答が得られる体制になっている

それに加えて、IDCFクラウドでは標準的なクラウドAPIがサポートされており、コマンドを利用したきめ細かな運用管理作業や、ちょっとしたスクリプティングで作業の自動化を実現したり、といった応用ができる。

APIは、パブリッククラウドでのデファクトスタンダードと言っても過言ではないCloudStackのAPIなので、独自のAPIを新たに学習し直す、といった不便はない。とはいえ、APIにはなじみがない、というユーザーにはオンラインで提供されている詳細なドキュメンテーションやサンプルコードが役に立つ。

IDCFクラウドの特長の1つが、こうした手厚いユーザーサポートだ。ユーザーサポートにはコストもかかるため、価格重視のサービスではサポートを削る分を価格に反映させる、というポリシーが珍しくなく、「安いが技術力のあるユーザーにしか使えない」というユーザーを選ぶサービスになりがちだ。

しかし、IDCFの場合はオンラインでの情報提供に力を入れており、FAQの整備やサンプルコード、デベロッパーズガイドといった高度なドキュメンテーションまで、さまざまなリソースを参照可能だ。こうしたオンラインリソースはユーザーからの問い合わせを減らすためにも有効で、実際IDCFではサポートの問い合わせが減少した結果、個々の問い合わせに手厚く対応してもサポートコストはさほど膨らまずに済んでいるのだという。

こうした地道な努力がコストパフォーマンスに優れたサービス提供と、ユーザーからの評価も高い手厚いサポート体制の両立を可能にしているのだ。

APIを活用すれば、例えば仮想マシンのCPU利用率を監視し、100%に達したら新規の仮想マシンを自動的にプロビジョニングして追加、負荷分散を図る、といった“オートスケール”機能を作り込むこともできる。

日常的な運用監視では、例えば複数のWebサーバーのバックアップを最低限の負荷で実施するために1台ずつ順次スナップショットを作成していく、といった処理も可能だろう。ユーザーのアイデア次第でさまざまな作業が実現できるのはAPI利用のメリットだ。

このほかにも、運用管理のためのVPN機能の提供が計画されていたり、仮想マシン(仮想サーバー)を中心としたIaaSサービスでありながら物理サーバーを占有できるサービスがメニューとして用意されていたりと、ユーザーがどのような使い方を望むかを知り尽くしている点が、IDCFクラウドの特長といえる。


米国から始まったIaaSサービスだが、日本市場にあったきめ細かなサービス品質をすでに達成している事業者がすでに存在している。しかも“分かっているユーザー”に甘えるのではなく、“分かっているユーザーに評価される”サービスの提供に努力している事業者がちゃんとある。

“安かろう悪かろう”の先入観にとらわれず、どのようなサービスが提供されているのか、現在の最先端のトレンドを把握しておくことでIaaSサービスの活用の新しいアイデアも生まれてくるのではないだろうか。

(渡邉 利和)

 

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