憧れの3画面環境を実現する「HPE-260jp/CT」
AMDの最新6コアCPU、ATI Radeon HD 5770を搭載しつつコンパクトに纏められた筐体。完成度の高い3画面プラットフォームだ
「HP Pavilion Desktop PC HPE-260jp/CT」は、PCゲームの世界に「3画面ゲーミング」という新たなスタンダードを提案する野心的なモデルだ。最大の特徴は何と言っても、パッケージに23インチWLEDワイド液晶モニター「HP 2310e」を3台同梱していること。多画面コンピューティングを標準で採用するというわけである。
その3画面を活かすため、CPUにはAMD Phenom II X6 6コア・プロセッサ 1035T(2.6GHz/3MB L2キャッシュ)を搭載。さらにグラフィックスにはATI Radeon 5770というAMDコンビを採用している。スペック面で特に注目したいのは、この組み合わせでAMDの「Vision Black」テクノロジーに準拠する点だ。
「Vision Black」とは、ハイエンドゲームや大容量の映像・データ処理が可能な技術的水準を、そのPCが持っているという証だ。これに準拠したモデルである「HPE-260jp/CT」では、最新PCゲームがスイスイ動かせるだけでなく、多画面環境での超高解像度ゲーミングが可能となる「ATI Eyefinity」テクノロジーが利用可能。これにより、パッケージされた3画面を使ってウルトラワイドスクリーン環境でのゲーム体験をすぐに実現できるわけである。
3画面でPCゲーミングというと敷居の高さを感じる方も多いかもしれないが、少なくともこの「HP-260jp/CT」はそう尻込みするようなものでもない。まず価格面で159,810円という抜群のコストパフォーマンスを実現していること。HPダイレクト価格で1つ39,900円という最新モニターを3台同梱してこの価格というのは、間違いなく驚異的な数字だ。
さらにハイパワーの構成を求めるユーザーに幅広いカスタマイズオプションが用意されている点も注目だ。CPUはAMD Phenom II X6 1090T(3.2GHz)という上位版が選択可能、さらに標準4GBのメインメモリーは、最大で16GBまで増量できる。ゲームサウンドを重視するユーザーなら、サウンドボードを「Creative Sound Blaster X-Fi Xtreme Audio」にカスタムすることもオススメだ。さらに標準のDVDスーパーマルチドライブをブルーレイ再生対応タイプに置き換えたり、HDDを2TB RAIDストライプ構成にすることで、ゲームはもちろんマルチメディア用途にも強力な環境を構築できる。
ちなみにこの「HP 2310e」というモニターは、ホワイトLEDバックライトを搭載することによりダイナミックコントラスト8,000,000:1というメリハリのある映像を実現する魅力的なモデル。解像度1,920×1,080、最大輝度300カンデラ/平方mのTNパネルを採用し、応答速度5msという低遅延を実現していることもゲーマーには嬉しいポイントだ。もちろんHDMI端子を搭載しているので、個々にお手持ちの最新ゲーム機での利用も可能という点も見逃せない。
|
|
|
パッケージに同梱されるWLED液晶モニター「HP 2310e」。スリムで軽いため、3画面の設置はとっても簡単
|
バックライトに白色LEDを採用しており、非常に薄いボディを実現している
|
3画面の設置は思ったよりも簡単。設置するための机の幅は150〜180cm程度が必要になるが、これはおよそ和室1畳分弱のスペース。一般的な6畳程度の個室にも充分にゆとりを持って置ける寸法だ。モニターにはDVI、HDMI、DisplayPortの3つの接続端子が装備されており、PC側背面にそれぞれ対応する端子がある。DVIで1画面、HDMIで1画面、DisplayPortで1画面というふうに、それぞれの端子で3つのモニターを接続。これでハードウェア環境のセットアップは完了だ。
HPE-260jp/CT 標準スペックシート
OS
|
Windows 7® Home Premium 正規版(32/64bit)
|
CPU
|
AMD Phenom II X6 6コア・プロセッサ 1035T
(2.6GHz/3MB L2キャッシュ + 6MB L3キャッシュ/4,000MHz Hyper Transport)
|
VGA
|
ATI Radeon HD5770
|
メモリ
|
4GB(1GB×4)
|
HDD
|
500GB
|
光学メディア
|
DVDスーパーマルチドライブ
|
モニター
|
HP 2310e 23ワイドWLED液晶モニター ×3
|
|
|
|
「HP-260jp/CT」。背面。Radeon HD5770にはDVI2系統、HDMI、DisplayPortの各端子が用意されているほか、テレビチューナーの端子も装備
|
「e2310」背面。DVI、HDMI、DisplayPortの3端子を装備
|
|
3画面のデスクトップを活かして、Webブラウジング、テレビの視聴、その他アプリケーション作業を同時にこなすことも可能。6コアのCPUでサクサクと動作してくれる
|
セットアップを完了して、早速レースゲームをプレイ!アーケードの体感筐体なみの迫力だ
ハードウェア環境のセットアップが完了したら、ここで少々ソフトウェア側の設定が必要だ。設定と言ってもそれほど難しい話ではなく、3画面をゲームで利用する「ATI Eyefinity」に適切なモニター配置を教えてあげるというだけの内容なのでご心配なく。
通常、Windowsのマルチモニター環境は、それぞれのモニターが別個のスクリーン空間として扱われている。3画面の場合、スクリーン1、スクリーン2、スクリーン3、と別々の描画領域が存在するという感じだ。その全てを1つの描画領域としてウルトラワイドなスクリーン空間を実現するのが「ATI Eyefinity」テクノロジーというわけ。デスクトップを右クリックして「ATI CATALYST Control Center」を起動し、「デスクトップとディスプレイ」という項目でその設定が可能だ。
起動直後の状態ではここで3つのモニターが別々に認識されているので、右クリックして「グループを作成」という項目を選択。そこで「3ディスプレイ(3×1)」を指定して、画面の指示に従ってモニターの配置順を正しく指定すればOKだ。
続いて「ベゼルコレクション」の設定。これはモニターの表示面同士の間に来るベゼルの幅に併せて、スクリーン領域を調整する機能。画面を正面か見た際に、図形がスクリーンをまたいできれいに連続して見えるように左右位置を調整すれば準備完了だ。ベゼル幅を加味した特殊な解像度が有効になり、まるでベゼルの裏側にもスクリーン空間が連続しているかのような描画が可能になる。これは3Dゲームの臨場感を高める上でとっても有効なのだ。あとはゲームを起動して圧倒的な「包囲感」を楽しむだけ。早速3画面によるゲームへのメリットに迫ってみよう。
これだけの画面領域を描画しつつプレイアブルなフレームレートを実現。Radeon HD 5770の高いパワーを感じる
広い視野角のおかげで、真横を走るライバルカーの様子も目に見える。ハンドルを握る手に思わず力が入る
3画面を体験するために、まずはじめにプレイしてみたのはレースゲームの「DiRT 2」(Codemasters)。2009年末に発売された、ラリー系レースゲームの最高峰だ。スピード感あふれるゲーム性と、DirectX 11に対応した凄いグラフィックスはPCゲーマーならずとも一見の価値あり!
最新のゲームということでもちろん3画面のウルトラワイドスクリーン環境にも対応している。「ATI Eyefinity」を有効にしてからゲーム側の画面設定オプションで解像度の項目を見ると、通常の最高解像度である「1920x1080」の上に「4800x900」、「5760×1080」といった超高解像度オプションが現れるのだ。そして驚いたのは、フルHDの3面分に相当する5,760×1080という解像度でも充分にプレイアブルなフレームレートが出ていること。これは「HPE-260jp/CT」に搭載された6コアCPUと、Radeon HD5770のグラフィックスパワーが存分に発揮されているということだろう。
そして3画面のレース体験は感動的の一言。3Dのレースゲームというのは画面奥に向かって猛スピードで進んでいく動きが基本になってくるが、左右のサラウンドモニターにより視野角が広がることによって、流れていく風景が目の端にとらえられ、1画面でプレイする以上のスピード感と臨場感が得られる。
特にライバルカーとのデッドヒートを繰り広げて、サイド・バイ・サイドで並走するようなシーンの迫力は本当にすごい。1画面では映ることのない、ほぼ真横を走るライバルカーの姿が目端に入ってくる。その状況だけでも燃えてくるのがゲーマー心理だが、これによって得られる情報も重要だ。ライバルとの位置関係が明確になることで、どのようなライン取りで走行するか、抜かれないためにはどう対処すべきか……といった勝負上の判断にも有利を与えてくれるのだ。
視野角が広がることによって臨場感が高まるだけでなく、これまでは得られなかったゲーム上の情報まで得られるようになるというのは、ゲームの面白さを追求するゲーマーにとっての新境地。これをいちど体験したら、ありきたりなシングルモニター環境がひどく退屈に思えるようになるかもしれないのでご注意を!
BFBC2Screen.jpg 「Battlefield: Bad Company2」で解像度を設定。最近のPCゲームではこのように柔軟な設定が可能なものが多い
3画面環境に対応するゲームはそれほど珍しいものではなくなっている。昔ならば解像度が固定だったり、選択可能なオプションが決め打ちの数値になっているゲームが多かったものの(例えば800×600、1024×768、1280×1024の3択など)、最近のゲームでは利用可能な解像度をDirecXに問い合わせて、使えるもの全てを列挙してくれるものが主流であるためだ。
というわけで「DiRT 2」で3画面レーシングをひとしきり楽しんだ後、試してみたその他のゲームも問題なく3画面に対応していた。そのひとつは「BattleField: Bad Company 2」(Electronic Arts)。オンライン対戦モード大人気のチーム戦FPSだ。
高詳細なグラフィックスを持つこのゲームも、フルHD3画面分にベゼルコレクションを付加した6132×1080という特殊解像度でスムーズに動作。もともとゲーム世界に展開する情報量がとても多いこともあって、3画面によるサラウンド映像が与えてくれる迫力は息を飲むほどだ。
さらにこのゲームはチーム戦タイプのFPSということで、チームメイトとの連携がとっても重要だ。それがまさに、3画面で広がった視野角が大きく生きてくるポイントでもある。左右のサラウンドモニターのおかげで横に展開するチームメイトや、死角から回りこんでこようとする敵の動きがいち早く察知できる。シングルモニター環境では得られない情報を得て、より高いレベルでプレイできるという実感が得られる。
|
視野角の広がりにより、広大な戦場の風景に囲まれる感覚。まさに驚くべき臨場感だ
|
|
横に立つ味方の姿がサラウンドスクリーン部分に映し出される。こういった情報量の増加は3画面ならではのメリットだ
|
|
筆者自宅に設置した環境で「Empire: Total War」をプレイ中の図。囲まれ感がすごい。ちなみにマウスパッドは幅80cmもある巨大タイプで、3画面環境にぴったりだ
|
こっちも凄いに違いない、と考えて試してみたもうひとつのゲームは、合戦ストラテジーゲームの「Empire: Total War」(Creative Assembly)。数千の兵士が広大な戦場で大激戦を繰り広げるというゲームで、その臨場感と映像の迫力がウリのひとつというゲームだ。
本作は最近のPCゲームの中でも特に動作が「重い」部類に入るのだが、今回ウルトラワイドスクリーンでのプレイを確かめてみたところ、「HPE-260jp/CT」での動作は予想以上に軽快だった。5,000人近い兵士をひとつの戦場に登場させてもサクサクと動作するのは驚きだ。
そのおかげで、3画面の効果も存分に楽しむことができる。もともと戦場となるフィールドが非常に広大で、ユニット数が多く、画面内よりも画面外に広がる情報量のほうが多いというゲーム。3画面サラウンド映像による印象は、まるで動く戦場絵巻を見ているような感覚だ。戦場のあちこちで砲声がとどろき、戦列歩兵の一斉射撃が噴煙を上げる。この圧倒的な戦場環境に「囲まれる感じ」は、まさにゲーマー冥利に尽きるというものだ。
非常に幅のある戦列のあちこちで銃撃や白兵戦が発生するというゲーム性も3画面のメリットを印象づけてくれる。特に、素早い動きで側面攻撃をかけてくる敵の騎兵に対し、いちはやく察知して対応できるというのは大きなポイントだ。このように3画面ゲーミング環境はストラテジーゲームでも絶大な効果を発揮してくれるわけで、思わず取材を忘れ、ひとしきり夢中になってプレイしてしまった次第。オススメである。
|
戦場のあちこちで展開する銃撃戦や白兵戦が一望の下に展開する。まさに動く戦場絵巻状態
|
|
幅広く布陣した陣形の様子もスクロールせずに一度に確認することができ、プレイ効率的にも良好
|
|
敵騎兵の突撃にいちはやく反応し、方陣を組んで対抗。こういった判断のためにも3画面の情報量が嬉しい
|
本機は日本HPの「東京生産モデル」だ
スペースの表現に「畳」という言葉を使った手前、本当に畳の上に置いてみた。この程度のスペースなら確保できそう?
このように多くのゲーマーにとって「未体験ゾーン」の3画面ゲーミングを楽しめる「HP Pavilion Desktop PC HPE-260jp/CT」。最新のPCゲームを軽々と動かすことのできるCPUとグラフィックスのパワーをコンパクトなミドルタワーに閉じ込めつつ、高速応答に優れるTNパネルを採用したモニターをセットすることで非常に高い完成度のシステムとなっている。ちなみに本機は日本ヒューレット・パッカードの昭島工場で生産された「東京生産」モデルであり、工業製品としての質にも信頼がおける。
多くのゲーマーにとっては設置スペースが問題になりそうだが、実際のところは想像するよりも敷居が低いかもしれない。今回に筆者自宅に3画面環境を置いてみたところの実測では、ユーザーを囲むように配置した際のモニター幅は150cm程度、さらにPCを床に置いて、モニターのスタンドがギリギリ収まる範囲ならば、幅130cm程度の机でOKだった。これなら1畳にも満たないスペースで充分に設置が可能だ。
そして得られる3画面サラウンド映像の迫力、ゲーム上の情報量の増加といったメリット。この完成度のシステムが全部入りで159,810円と、想像以上の安価な価格で手に入るというのは、多くのゲーマーにとって真剣に検討する価値のある選択肢だと言えよう。
ちなみに、この環境を実際に触ってみたいという方に朗報だ。日本HPではこの8月27日より、ビックカメラの6店舗(有楽町店本館、新宿西口店、池袋本店パソコン館、立川店、なんば店、名古屋駅西店)にて「3モニタータッチアンドトライキャンペーン」を展開する。これにはどなたでも参加可能で、今回の3画面環境を実際に触れるほか、3画面対応オンラインゲーム「タワーオブアイオン」(NCソフト)の15日間無料IDが貰えるというおまけ付き。さらに同時開催で「3モニター体感&クイズキャンペーン」を実施。店頭でクイズに答えると、その場の抽選で豪華プレゼントがもらえるという。
|
これが店頭で出題されるクイズと、抽選で当たる豪華賞品だ。是非ともビックカメラ6店舗に足を運んで挑戦してみよう
|
行って触るだけもよし、勢い余って買ってしまうもよし。運が良ければプレゼントまで!? ということで、是非とも店頭で、多くのゲーマーの方に3画面のPCゲーミングの威力を楽しんでみてほしい。
【佐藤カフジ】
|