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 前編ではHP製UPS/PDUの魅力に迫ったが、後編はHP製IPコンソールスイッチの優れた機能と導入のメリットなどについて話を伺ってみたい。

 ところで、IPコンソールスイッチという製品をご存じだろうか。複数のマシンでキーボード、マウス、ディスプレイを共有するための機器であるKVM(Keyboard/Video/Mouse switch)スイッチは、サーバが多数存在するデータセンターやサーバルームになくてはならない存在だが、近年では「IPコンソールスイッチ」として進化を遂げ、さらに便利な機能がさまざまに盛り込まれるようになったのである。ここでは、日本HPが提供するIPコンソールスイッチの魅力を紹介しよう。


エンタープライズ ストレージ サーバ事業統括ISS ビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部、村上志雄氏

 サーバルームに多数のサーバが設置されている場合、多くの企業では、キーボード、マウス、ディスプレイを共有するKVMスイッチを使用している。KVMスイッチは、いってしまえば、複数のサーバに付いているキーボード、マウス、ディスプレイの各ケーブルを延長して、切り替え機能を付けたもの。サーバルームのラックなどに設置し、管理者がその横でコンソールを切り替えつつ、多数のサーバを順次操作していく、といった利用イメージになるので、サーバの管理者が現地で作業を行う必要があった。

 IPコンソールスイッチも、サーバのキーボード、マウス、ディスプレイなどを共有するための製品であり、一見してKVMスイッチに似ているように思われるが、データをIPプロトコルに変換して、社内のネットワークに接続するという点が異なっている。IPコンソールスイッチでは通信に一般的なIPプロトコルを用いるので、ネットワークに接続されているPCがあれば、どこからでも操作できる。つまり、大阪にあるサーバを東京で管理したり、海外支社にあるサーバを日本で管理したりすることが可能になるのだ(もちろん逆もOKである)。

 また、管理者の操作端末に直接接続された光学ドライブやUSBメモリを、遠隔地にあるサーバにマウントして利用可能な「仮想メディア機能」も、KVMスイッチではできないことだ。

 「仮想メディア機能を利用すれば、管理者の操作端末に直接接続されたDVDドライブなどを、あたかもサーバに直接接続されているかのように、仮想的に使用できます。これなら、サーバのソフトウェアやファームウェアのアップデートを行う時でも、寒いサーバルームにこもって作業することもありません。IT管理者のPCから直接、作業ができるのですからね。今までなら、ソフトのアップデート作業で1日サーバルームにこもって体の調子が悪くなってしまう、ということも起こりがちでしたが、IPコンソールスイッチを使えばそこに行かずに済みますから、体調を悪くすることもないでしょう(笑)」(日本HP エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 ISS ビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部の村上志雄氏)。

IPコンソールスイッチなら、多数のサーバがあっても効率的に管理できる
※クリックで拡大します
仮想メディア機能では、あたかもサーバに直接接続されているかのように、光学ドライブなどを使用可能だ
※クリックで拡大します




ESSプリセールス統括本部 ISSソリューション本部 ISS技術部 IT スペシャリストの花田茂氏

 加えて村上氏は、「加えて、最も重要なことは、リモートでの管理の比重が高くなるため、余計な社員がサーバルームに入ることがなくなります。これは、セキュリティ面では大きなメリットだと思います」とも話す。

 確かに、会社の心臓部ともいえるサーバルームにいろいろな人が出入りするようでは、セキュリティ、コンプライアンスといった面では不安が残る。鍵としてICカードなどを使うセキュリティシステムを導入していたとしても、多くの人の出入りがあると、何が起こるか分からない。やはりサーバルームは、社員とはいえ、頻繁に出入りするべきではない。日本HPのIPコンソールスイッチを使えば、キーボードやマウスの操作はもちろん、ソフトウェアインストールなどの作業もリモートの管理PCから行えるため、サーバルームに出向く回数は確実に減る。

 また、「キーボード、マウス、ディスプレイのデータを社内のネットワークに流すというと、『セキュリティは大丈夫か?』と心配されます。しかしIPコンソールスイッチと管理者の操作端末間でやりとりされるデータはすべて暗号化されているため、ネットワーク経路でデータを盗み見ることはできません。」と話すのは、日本HP ESSプリセールス統括本部 ISSソリューション本部 ISS技術部 IT スペシャリストの花田茂氏だ。

 このようにセキュリティが確保された状況でリモート化が行えるなら、サーバルームは遠距離にあっても関係ないだろう。物理的な故障に備える必要はあるが、管理だけなら、地方でも海外でも対応可能。これが、一番分かりやすい魅力ではないだろうか。



 また日本HPのIPコンソールスイッチでは、KVMスイッチと組み合わせて3階層のカスケード構成がとれるため、最大4096台ものサーバを1台のIPコンソールスイッチで管理することができる。ここまで大きな環境はそうたくさんあるものではないが、10台以上のサーバを一度に管理するというのはよくあることで、一度に多くのサーバを管理するのは、管理者にとって大変な負担になってしまうのではないだろうか。

 しかし同社のIPコンソールスイッチでは、「スキャンモード」という画面表示機能によって、管理者の負担を逆に軽減できるという。「スキャンモードでは、サーバの画面を縮小表示して、一度に最大で16台分の画面を表示できます。これを使えば、どのサーバにトラブルが起こっているのかを一目でチェックすることができるのです。もちろん、スキャンモードで表示されている画面をクリックするだけで、そのサーバに簡単にアクセス可能。スキャンモードの画面を管理PCのディスプレイ上に表示しておき、IT管理者は別の作業をPC上でしていても、何かトラブルがあれば、すぐに気付くことができます」(前出・村上氏)。

スキャンモードでは、サムネイル画面で最大16台までのコンソール画面を表示できるため、複数台の稼働状況を常時監視可能だ。 ※クリックで拡大します


 さらに、障害復旧を効率的にする「デジタルシェアモード」機能も非常にユニークな機能だ。

 「この機能では、最大12人までのユーザーが遠隔地から、同時にある1つのサーバの画面を共有することができます。同時にひとりのユーザーしか、サーバの操作は行えませんが、画面はほかの人間も見ることが可能で、サーバの操作権限を別のユーザーに渡してサーバを操作させるような使い方もありますね。エンジニアが遠隔地に分散しているような場合にも有効ですし、1つのサーバを階層別に管理している時などは、ハードウェアに近い部分を管理している管理者から、OSなどのインストールを行う管理者、アプリケーションの管理を行う管理者へと、サーバの操作を引き渡していくことで、効率的なサーバ管理を行うことができるでしょう」

 「また、この機能を利用すれば、エンジニアの教育も簡単にできるでしょう。実際の画面を見ながら、サーバの管理を教えることができるし、操作権限を渡せば実際に操作を行うことも可能です」(以上、前出・村上氏)。

 こうした、KVMスイッチでは実現できない、IPコンソールスイッチならではの機能を利用することで、大幅なメリットが得られるのである。


 なお、日本HPのサーバには、リモート管理システム「iLO(integrated Lights-Out)2」というハードウェアが用意されている。大まかな機能を見てみると、iLO2とIPコンソールスイッチでは、あまり機能が違わないように思えるのだが、村上氏はこれを否定する。

 「確かに似ているところはありますが、iLO2とIPコンソールスイッチは、競合するものではなく、相互に補完しあうものだと思います。例えば、IPコンソールスイッチの特徴の1であるスキャンモードやデジタルシェアモードなどは、iLO2ではサポートされていませんし、逆にIPコンソールスイッチでは電源のオンなどが行えません。iLO2プラスIPコンソールスイッチによって、サーバの管理を行う手法が望ましいのではないでしょうか。また別の側面では、iLO2は当社のサーバ向け機能のため、他社のサーバで使うことはできませんが、IPコンソールスイッチは、標準的なインターフェイスを使うので、他社のサーバでもきちんと動作するメリットがあります」。

 複数のサーバを一括で管理するにはIPコンソールスイッチがぴったりだが、電源のオン/オフや電源ボタンの長押しといったiLOにしかできない機能も存在する。実際の運用を考えれば、IPコンソールスイッチでほとんどの操作を行い、必要な部分はiLOを利用するといった使い方になるのだろう。



 今回筆者は実際にIPコンソールスイッチのデモを見せてもらったのだが、一見しただけで、非常に便利なのがよく分かった。例えば、会議室にノートPCを持っていき、そこでシステムインテグレータと打ち合わせしながら、サーバの状況を説明するといったことも簡単にできる。また、VPNなどでセキュリティ性の高いネットワークが利用できれば、長時間かかるインストール作業などは、会社に泊まり込むのではなく、家からリモートでも行えるだろう。こうした便利なところを目の当たりにすると、今後、サーバの管理は、KVMスイッチからIPコンソールスイッチに変わっていくと確信できる。サーバが複数ある環境であれば、今後、導入を積極的に検討すべき製品だといえよう。



山本 雅史

Windows95の時代から、パソコンやITを見続けている。ここ、10年は、企業におけるITシステムの状況をさまざまなメディアに寄稿している。特に、マイクロソフト社関連に関しては、OSから、サーバー用アプリケーションなど、幅広く関心を持っている。






URL
  日本HP - HP ProLiant サーバ
  http://h50146.www5.hp.com/products/servers/proliant/
  日本HP - HP KVM/IP サーバ コンソールスイッチ
  http://h50146.www5.hp.com/products/servers/proliant/options/kvm.html
  日本HP - リモート マネジメント
  http://h50146.www5.hp.com/products/servers/proliant/essentials/ilo-adv_sh.html


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