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 企業では、サーバを導入する場合、CPUやメモリ、HDDなど、サーバが持つ処理性能ばかりを気にするケースが多いのではないか。しかし、サーバ性能と同じぐらい重要なのにもかかわらず、電源トラブルへの対応は見逃されがちだ。x86サーバ「HP ProLiant」などを提供する日本HPは、サーバメーカーとしてよく知られているが、実は、サーバの周辺機器についても多くの製品を用意しており、電源トラブルに備えるための無停電電源装置(UPS)なども提供している。ここでは、なぜ電源トラブルへの対応が必要なのかをあらためて説明するとともに、実製品における、日本HPならではの特徴を見ていこう。


 日本では、諸外国に比べて電源環境がしっかりしているため、電源が瞬断するということはそれほど多くないが、それでも昨今の温暖化の影響なのか、“ゲリラ豪雨”に付随する激しい雷などで、システムが被害を受けたという話はよく耳に入る。また工事ミス、設定ミスなど人為的な要因による電源トラブルも多く見受けられる。

 また、社屋の一部をサーバルームにしていることが多い中堅・中小企業などでは、ビル自体の電源が不安定なところもあるし、さらに、部門サーバとして、オフィスの隅にファイルサーバが置かれている環境では、デスクトップPCなどと同じようにタコ足配線で電源を取っている場合も多い。

 こうした環境では、ほかの機器との電源供給の兼ね合いから、正常に稼動しているように見えても、実は電圧が不安定でサーバの性能が十分に発揮できていない、ということもあるし、直接的なトラブルに見舞われることもあるだろう。ビル全体としてぎりぎりの電力容量のため、消費電力が高い機器を利用することでサーバがダウンしたり、もっとも笑えない例としては、お昼に社員が弁当を暖めようとして給湯場に置かれている電子レンジを使ったら、ブレーカーが落ちて、サーバがクラッシュしたという話もあるほどだ。

 このように、サーバを運用する上では、電源についてきちんと意識を持ち、対策しておくことが絶対に必要だ。普段は目立たない部分だが、いざという時にシステムや大事なデータが損壊してからでは遅い。

 こういった電源トラブルに備える重要な要素が、UPSなのだ。



エンタープライズ ストレージ サーバ事業統括ISS ビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部、村上志雄氏

 多くのIT管理者が知っているように、UPSは、サーバやデスクトップPCなどのコンピュータの電源に接続し、停電が起こった時でも、バッテリからの給電で一定時間動作させるための装置である。企業では、サーバを導入する時にUPSの導入を検討することもあるだろうが、そうした場合でも、UPS自体の違いはあまり気にしていないようだ。このため、どのメーカーのUPSでもいいとして、単に価格の安い製品を選択したり、システムインテグレータが薦めるままに導入したりしているケースが多いという。

 しかしサーバに使用するUPSだからこそ、サーバとの連動を考えた、サーバメーカーのUPSも検討に加えるべきではないだろうか。「日本HPがUPSを販売していると話すと、ご存知のない方が多かったり、意外に思われたりするようです。当社では、サーバの電源バックアップに最適な機能を盛り込んだUPSを開発しているのです」と話すのは、日本ヒューレット・パッカード株式会社のエンタープライズ ストレージ サーバ事業統括ISS ビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部、村上志雄氏。

 「日本HPのUPS製品は、サーバのことを考えた製品となっており、UPSをコントロールする管理ソフト『HP Power Manager』を無償で用意しています」と村上氏が述べる通り、サーバ向けのUPSとしては、サーバとどう連携できるか、という部分が重要になる。HP Power Managerでは、電源の状態をチェックしてサーバを安全にシャットダウンする機能はもちろんのこと、スケジュールでのシャットダウン・起動機能、ストレージデバイスの電源管理機能、入出力電圧/熱の温度/バッテリ容量/バッテリ電圧などをグラフで確認するデータグラフ機能も搭載している。

 「またHP Power Managerは、当社のシステム管理ソフト『HP Systems Insight Manager(SIM)』との連携もサポートしています。SIMはサーバやストレージ機器を一元的に管理できるツールで、UPSから入手したデータもSNMP経由で送信させることができます」(前出・村上氏)というように、サーバ管理ソフトとして定評のあるSIMと連携しても動作するため、IT管理者にとっては、非常に使いやすい。

UPSの管理であるHP Power Managerでは、使い慣れたWebブラウザからUPSの管理を容易に行うことができる ※クリックで拡大します ログをもとに、バッテリ容量の推移などをグラフィカルに確認することも可能だ ※クリックで拡大します



 加えて日本HPでは、UPSの管理ソフトだけでなく、ハードウェアの性能向上もきちんと行っている。

 「当社のUPSは、充電時間の最適化などを行うバッテリ管理機能(EBM:Enhanced Battery Management)によって、バッテリの長寿命化を実現しています。ほかのメーカーでは多くの場合2年保証となっていますが、当社では、EBMなどの差別化機能によって3年という長期の保証が可能になりました」(前出・村上氏)。

 UPSは消耗品であるバッテリを使用するために、その寿命が一番問題になる。UPSを積極的に利用している企業によると、頻繁にバッテリを交換している印象があるというほどで、これはサーバの寿命に比べると、UPSのバッテリの寿命の方が短いためだ。しかし日本HPのUPSは、徹底的な評価試験を行って製品品質を高めるとともに、EBMにより、バッテリの寿命を競合製品の2倍以上にあたる約5年にも引き延ばしている。これにより競合他社よりも長い、3年のパーツ保証が可能になっているのだ。

 またEBMには、バッテリの事前故障通知機能も用意されているため、故障が起きるまで状態がわからないということはない。トラブルを事前に予測して、必要があれば、故障が起こる前に、バッテリを交換することができるのだ。

バッテリ寿命2倍延命、充電時間の最適化、バッテリの事前障害通知などを特徴とする特許技術だ。


 HP製UPSのラインアップには、サーバラックに入れるラックマウント型だけでなく、オフィス内での部門サーバとして利用しやすいタワー型も用意している。具体的には、タワー型のエントリー機種「UPS T750」(500W/750VA)から、ラック型の「UPS R3000」(200Vモデル:3000VA/2700W)、「UPS R5500」(4500W/5500VA)など全7製品が提供され、ユーザーは形状や電源容量から、自社に最適なものを選択可能だ。

 この中でも、UPS R3000/R5500は、瞬断がなく電源効率も高いラインアダプティブ方式を採用している点が特徴。さらに、ラック/タワー両用の「UPS R/T2200」を加えた3製品では、拡張バッテリモジュール(ERM)を追加することで、バッテリからの電源供給をより長時間行えるため、ユーザー環境への柔軟な導入を実現できる。また、全製品でバッテリのホットスワップに対応しているので、業務に必要なサーバを、UPSのメンテナンスでダウンさせることなく、運用を継続していける。

ラック型の「UPS R3000」  ※クリックで拡大します モニタ機能付き Smartパワー ディストリビューション ユニット(PDU) ※クリックで拡大します


UPS長所matrix
MODEL 補足説明(RoHS) 3年保証 管理ソフト 方式 寿命
T750 RoHS対応済* ラインインタラクティブ 3年
T1000 G2 RoHS対応済* 5年★
T1500 G2 RoHS対応済* 5年★
RT2200 G2 RoHS対応済* 5年★
R1500 G2 RoHS対応済* 5年★
R3000 RoHS対応済* ラインアダプティブ
停電、復電時にも無瞬断の良質で高効率(95%)な電力が供給されます。
5年★
R5500 RoHS対応済* 5年★

●=標準 ★=EBM機能のあるUPS

【HP UPSの優れている点】
その1=標準保証が3年/その2=管理ソフトが無償/その3=電池寿命が長い



 電源関連ということでもう1つ、見過ごされているのが電源タップだ。多くのIT管理者は、ラックマントのサーバを構成する場合でも、電源タップをあまり気にしたことはないのではないか。電源ケーブルが抜けないような仕組みがあるか、配線がしやすいか、といった点を気にすることくらいはあっても、その違いに大きく気を配ることは、通常はないだろう。

 しかし単なる電源タップでは、各ロードセグメントがどのくらい電力を消費しているかすら、把握できないのだ。このため、すでにギリギリの状態になっているセグメントに電源プラグを挿し、そのセグメントの機器を不安定にしたり、最悪クラッシュさせてしまったり、という事態を招きかねない。

 そこで日本HPでは、長年サーバやストレージなどのデータセンター向け製品を提供してきた経験から、電源タップの重要性に着目。「Smart PDU(Power Distribution Units)」という製品群を提供している。「当社のSmart PDUは、ラックマウントのサーバやブレードサーバなどに対して、配線が取り回しやすい、ラック内のスペースを有効活用できるといった基本的な機能以上のものを提供しています。PDUに『PDUマネジメントモジュール』を追加することで、電源の状況把握を行えるようになるのです」(前出・村上氏)。

 Smart PDUにPDUマネジメントモジュールを装着すれば、個々のロードセグメントごとに電源の使用量や負荷などを、WebブラウザやTelnetを使って一目で確認をできるようになるほか、ログ取得機能もあるために、どういった状況で電源が変化しているのかについても、きちんと確認したり、比較分析を行ったりすることが可能だ。またUPSと同様、日本HPのシステム管理ソフトであるSIMとの連携が可能な点も、日本HPならではの大きな特徴といえるだろう。

PDUマネジメントモジュールもUPSと同様、Webブラウザからの管理に対応する
※クリックで拡大します
各ロードセグメントの状況を詳細に確認可能だ
※クリックで拡大します
イベント通知機能を備えているため、管理者による迅速な対応が可能になっている
※クリックで拡大します







 今回、こうした電源関連機器についてのお話を、日本HPの担当者から伺って思ったのは、サーバをCPUやメモリといったスペックだけで図るのではなく、「システム」としてとらえることの重要さだ。サーバを安定して運用するためには、さまざまな機器が必要になる。特に、電源関連の機器は、サーバの安定性に直結するため、非常に重要な要素であることをあらためて思い知らされた。従ってIT管理者は、サーバシステムの電源について正しい知識を持ち、大きなトラブルからシステムを守るためにも、電源関連に対しての十分な備えを心がける必要があるだろう。

 そうした中でHPは、サーバを自ら開発し、全世界で多量に販売をしているベンダーだけあって、自らのノウハウに基づいて開発された、非常に使い勝手のいい周辺機器をラインアップしている。その中でも、今回紹介したUPS/PDUといった機器は、単に機能面が充実しているだけでなく、管理ソフトが標準添付され、さらにサーバ管理ツールとの連携が図られているなど、IT管理者にとっては心強い機能がきちんと盛り込まれている。

 そういった意味で、日本HPのUPS/PDUは、同社のサーバと併用するのにぴったりな製品だ。IT管理者には、HP製UPS/PDUの導入をお勧めしたい。



 さて、次回の後編では、データセンター/サーバルーム管理に効果的なもう1つのソリューション、IPコンソールスイッチについて、そのメリットを紹介する。






山本 雅史

Windows95の時代から、パソコンやITを見続けている。ここ、10年は、企業におけるITシステムの状況をさまざまなメディアに寄稿している。特に、マイクロソフト社関連に関しては、OSから、サーバー用アプリケーションなど、幅広く関心を持っている。



URL
  日本HP - HP ProLiant サーバ
  http://h50146.www5.hp.com/products/servers/proliant/
  日本HP - HP ProLiant サーバ オプション - UPS R3000 - showcase
  http://h50146.www5.hp.com/products/servers/proliant/options/ups-r3000_ov.html
  日本HP - HP ProLiant サーバ オプション - UPS R5500 - showcase
  http://h50146.www5.hp.com/products/servers/proliant/options/ups-r5500_ov.html


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