前回は日立Woooの3D対応プラズマテレビ「GP08シリーズ」をチェックしたが、今回は同時発表のLED液晶テレビ「XP08シリーズ」の機能に迫ってみよう。
「XP」は日立Woooのハイスペックモデルで、録画やネットなど多彩な機能を装備したWoooの中核を担うシリーズだ。前モデル「XP07シリーズ」は“名機”と呼べる完成度の高さを実現していた。そうした名機の系譜を継承する最新モデルが「XP08シリーズ」である。
「『XP08シリーズ』は、録画機能など私たちが長年築き上げてきた、Woooの機能をさらにブラッシュアップしたハイスペックな液晶テレビで、従来機能だけでなく『スマート録画』という新しいコンセプトを加えて開発した製品となります」
と、Wooo開発陣が語るように、これまでの完成度の高さに「スマート録画」のコンセプトが加わったら、どのようなテレビになるのだろうか? と期待は高まり、実にチェックのし甲斐がありそうだ。ということで、今回もWooo開発陣へのインタビューを交えて、「XP08シリーズ」の豊富な機能を探ってみよう。
「XP08シリーズ」には42V型(L42-XP08)、37V型(L37-XP08)、32V型(L32-XP08)の3モデルがラインアップされている。各モデルともに広視野角178度のIPS液晶パネルを採用し、画面の光沢処理によって艶のある色と深みのある黒を表現している。LEDバックライトは、42V型で16分割のエリアコントロール対応(32V型を除く)で、コントラスト感のある映像を見せる。通常の毎秒60コマの映像を毎秒120コマに変換処理することで、液晶の残像感を低減する「倍速120コマ」機能のほか、バックライトを上から下に帯状に点滅し、擬似的な黒を表示させ、残像感を低減する「バックライトスキャニング」にも対応(32V型を除く)している。LEDバックライトのエリアコントロールをしながら、同時にスキャニングも行っている点が高度だ。
外観は「GP08シリーズ」と同様に、飽きがこないシンプルで上品なデザインを採用。前向きに配置したアンダースピーカーと高音質技術「CONEQ」によって、定位感のある聞きやすいサウンドを実現している。
「録りたい番組を簡単に探せて、ワンタッチで予約でき、録画したら手軽に整理してライブラリも簡単に作れる、そのような録画テレビが理想です。高機能を追求すると同時に、機能を充実させて手軽に録画を楽しめるテレビを作りたい。そういう思いで開発を続けてきました。その結果、『XP08シリーズ』では、ほぼ目標に近い録画機能を実現できたと思っています」
今、録画テレビを選ぶなら、Woooはトップランクに挙がるだろう。上記の開発陣のコメントのとおり、Wooo伝統の録画機能は更に進化し完成の域にあり、高機能とフレンドリーな自動機能の両方を実現しているからだ。
まず録画モードが多彩である。デジタル放送をそのまま記録するTSモード録画だけでなく、H.264記録対応の映像圧縮LSI「XCode HD」を採用し、TSEモード(2倍 MPEG-2記録)、TSX4モード(4倍 H.264記録)、TSX8モード(8倍 H.264記録)でハイビジョン録画に対応している。また、長時間優先のTSX24モードも採用している。TSX24はSD画質となるが、ニュースなどのメモ録りで重宝する。内蔵HDDの容量が従来の320GB(XP07シリーズ)から500GBへアップされ、ハイビジョン放送をTSX8モードで録画すれば最大約400時間の長時間録画が可能になった。
録画モード | HDD容量と録画時間(*1) (時間) | 解像度 (水平×垂直) |
圧縮方式 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
500GB | 320GB | 250GB | 160GB | ||||
TS(HD) | BS/CSデジタル | 約45 | 約28 | 約22 | 約14 | 1,920×1,080 | MPEG2 |
地上デジタル | 約63 | 約40 | 約31 | 約20 | 1,440×1,080 | MPEG2 | |
TS(SD) | 約135 | 約87 | 約68 | 約43 | 720×480 | MPEG2 | |
TSE(2倍) | 約100 | 約64 | 約50 | 約32 | 1,440×1,080 | MPEG2 | |
TSX4(4倍) | 約200 | 約128 | 約100 | 約64 | 1,920×1,080 | MPEG4 AVC/H.264 | |
TSX8(8倍) | 約400 | 約256 | 約200 | 約128 | 1,440×1,080 | MPEG4 AVC/H.264 | |
XP | 約104 | 約66 | 約52 | 約33 | 720×480 | MPEG2 | |
SP | 約200 | 約127 | 約100 | 約64 | 720×480 | MPEG2 | |
LP | 約396 | 約254 | 約198 | 約126 | 720×480 | MPEG2 | |
TSX24 | 約1,190 | 約761 | 約594 | 約379 | 720×480 | MPEG4 AVC/H.264 |
*1 録画時間:「XP08シリーズ」に内蔵されているHDDは500GBです。別売「iVDR-S」は、500GB、320GB、250GB、160GBがあります。
録画メディアも高機能である。500GBの内蔵HDDのほか、着脱可能なカセットHDD「iVDR-S(別売)」対応のiVポケット搭載。カセットHDDを使えば容量を無制限に増やすことができる。カセットHDD「iVDR-S」はデジタル放送の録画(著作権保護)に対応したHDDであり、メディアの互換性が保証されている。このため、本機で録画したカセットHDDを他のiVポケット搭載Woooや対応プレーヤー/レコーダー、iVアダプタ対応機器でも再生できるのがメリットだ。この点が、録画したテレビでしか見られない一般の外付けHDD録画とは異なる部分である。また、アクトビラ ビデオ・ダウンロードのダビングにも対応している。こうしたアドバンテージを活かして、カセットHDDをタイムシフトだけでなく、本格的なライブラリ保存用にも活用できる。
ここにきてカセットHDDが一気に手頃になり、いよいよ本領を発揮する時代になった、という印象だ。8倍長時間録画と合わせて使えば、さらにコストパフォーマンスの高い録画が楽しめる。また、家族別やジャンル別にカセットHDDを用意して録り分ける、といった使いこなしもしやすくなった。ダビングは内蔵HDDとカセットHDD間で高速ダビングできるほか、光ディスクに保存したい場合は、対応するBDレコーダーへの外部ダビングも可能である。
チューナー構成も本格派だ。本機は地上デジタルチューナーを3基、BS・CSチューナーを2基搭載し、地デジの視聴中に、他のデジタル放送の2番組録画が可能だ。2番組ともにTSX8などの長時間モードでも録れるのがポイントで、上位モデルにふさわしい録画スペックといえるだろう。
予約機能や番組検索もとても高機能である。見やすく色分けされた電子番組表(EPG)で番組を選んで、リモコンの録画ボタンを押すだけで一発録画予約できる。予約番組には赤丸のチェックマークがついて、新聞のテレビ欄に赤鉛筆でマークするような感覚で予約ができてしまう。
録りたい番組を自動的に探してくれる検索機能は、フレンドリーな機能として特に充実している。
「Woooおすすめ番組」は、以前に録画、予約した番組情報をもとに、ユーザーの好みに合った番組を自動検索してくれる親切な機能だ。検索結果から録画ボタンを押すだけで一発録画予約できる上に、検索に条件が付けられ、放送波のほか、出演者でカスタマイズができる。また、番組のおすすめレベルを三つ星で表すのも分かりやすい。おすすめ番組タイトルは、番組表では星マークが付いて一目で分かるしくみだ。本機能を使えば、今まで見過ごしていた新しい番組と出会える。要らない番組を除外することもできるので、上手に設定すれば見たくない番組を勧められることはない。
「Gガイド注目番組」は、各放送局がお勧めの番組を紹介してくれるGガイド提供の機能である。放送波で展開される電子番組表には載っていない約1カ月先までの番組情報を知ることができて、先行して録画予約できる点が便利だ。
「キーワード自動録画(*2)」は、キーワードを入れると関連した番組を自動的に録画してくれるスグレモノである。ジャンルや出演者などの検索条件を付けることもでき、設定した検索条件を複数登録したお好み条件を作り、検索できる。これらのお好み条件を最大8つまで選んで自動録画を行なうことも可能だ。検索条件を絞り込めば、見たくない番組を大量に自動録画されてしまう心配がない。これらの機能を使えば、予約を忘れがちな不定期のスポーツ番組などを自動録画できる。うっかり予約をし忘れた時に、あって良かった!と思える機能だ。なお、自動録画は常に2.5GB(TSX8で約2時間)の空きを確保しつつ、最新の番組を録画し、古いものから順に自動削除していくしくみになっている。
録画リストもフレンドリーだ。録画の一覧表示には同社伝統の「ワケ録」を採用し、HDDに録画した大量の番組を分かりやすく自動分類してくれる。本機能を使えば、録画した番組をジャンルや未試聴などのフォルダに分けて管理できるので探しやすい。同じタイトルの番組を二度録ると番組名のフォルダが自動的に生成され、自動分類してくれるなど、連続モノを視聴する際もとても重宝する機能である。自動録画番組は、録画リスト上に青色で表示され、設定したお好み条件別にフォルダ分けもされる。自動削除したくない番組は、ボタンひとつで削除を禁止して保護できるようになっている。
というように、録画機能はとても充実しており、かつフレンドリーだ。単にテレビにレコーダーを内蔵するのではなく、テレビとともに録画機能を進化させることでテレビにフィットした独自の録画再生機能を実現している。録画テレビでは間違いなくトップレベルといえるだろう。
DLNA(*3)はサーバーとクライアント両対応で、自在にAVネットワークが作れる。マルチタスク性能も高度で、ダブル長時間録画をしながら再生を行い、同時にDLNAの配信もこなせる、という多芸ぶりだ。このため上記の諸機能を実用的に使いこなせる。また、ネット機能は「Wooonet」を起点に「アクトビラ」、「NHKオンデマンド」、仮想ビデオレンタルショップ「T's TV」などにアクセスできる。
*2 条件により録画が実行されない場合があります。残りのHDD容量によって、自動録画で録画された番組が優先的に自動で消去されることがあります。
*3 DLNAを使用するには、DLNA(DTCP-IP)対応機器とルーター/ハブ経由での接続が必要です(別売)。
さて、ここまでは伝統の録画機能を見てきたが、「GP08シリーズ」と同様に、「XP08シリーズ」でも新しく対応した機能が、「スマート録画」をコンセプトにした、スマートフォンやタブレットと連携できる「スマフォ&タブレットリンク(*4)」だ。こうした先進機能が、PC的なマニアックさではなく、家電的なフレンドリーさに結実している点が同社らしい。
「ソフト開発チームでは、以前から時代を先取りした新しい操作性を実現したい、という目標がありました。今回もソフト開発チーム自らが、スマートフォン連携をやりたい! と願い出て実現した機能です。基本的なコンセプトは暖めていたので、独自性のある機能を盛り込んで開発しました」
一見するとトレンド機能に思えるが、実現するためには先見的な準備が必要である。
先進機能と言っても操作はシンプルだ。iPhone®(3GS、4)、iPod touch®(第3世代以降)、iPadTMに対応アプリをダウンロードすれば、ネットワークにつないだWoooを操作することができる。対応アプリとして「Wooo Remote LITE(無料)」が、iTunes®のApp StoreSMで提供されている。iOS4.3以降に対応で、操作できるテレビは「GP08シリーズ」、「XP08シリーズ」となっている。
操作環境は、家庭内に無線LAN環境が必要だ。まずLANケーブルでテレビをルーターに接続する。次にiPhoneやiPadなどを無線LAN接続すれば環境が整う。
テレビ側の設定としては、初期設定で「ネットワーク連携」を「入」にする。テレビの名前(サーバー名)と認証コードを指定すれば準備完了だ。
「Wooo Remote LITE」を立ち上げると、初回は「機器選択」画面が表示され、テレビとスマートフォンなどが同じネットワーク上にあれば、上記で指定したテレビの名前が一覧表示される(最大9台まで接続可能)。接続したいテレビを選んで認証コードを入力すれば接続が完了するしくみだ。GUIが分りやすいので、簡単に接続できる。
これで準備OK、「Wooo Remote LITE」でテレビを操作してみよう。
まず本アプリの「リモコン機能」を使ってみる。スマートフォンの画面にはリモコンとほぼ同じキーが表示されるほか、従来のリモコン操作だと、メニュー画面の階層に含まれている機能のダイレクトキーなどが表示される。目的のキーをタッチすることでWoooの操作が可能で、アプリ画面をフリックすると「電源とテンキー」「十字キー」「録画再生キー」「その他の機能」の順に表示され、どれもリモコンと同じルック&フィールにデザインされている。これなら誰でも直感的に操作できるだろう。
部屋の照明を落として、ゆっくりシネマを楽しみたい時でも、手元の操作画面は光って表示されるので、見やすく使いやすい。ホームシアターファンなら、海外製の高級学習リモコン的な使い勝手といえば、すぐに理解できると思う。また、無線LAN接続なので赤外線リモコンのようにテレビに向けて操作しなくて良い点も使いやすい。なお、操作で大きなタイムラグは感じられなかった。
リモコンのGUIはとても端正で見やすい。開発者によると、リモコン画面を拡大縮小せずに、iPhoneとiPad別々のGUIデータを用意することで、すっきりとした分りやすい操作画面を実現した、ということだ。iPadのリモコン画面はiPadの解像度に合わせた専用データなので、グラフィックの拡大に伴うジャギー(斜め線の段差)がなく、確かにすっきりとしている。iPadの画面は超特大リモコンという印象で、最初はちょっと戸惑ったが、使ってみると見やすくタッチしやすかった。
また「その他の画面」には、付属のリモコンにない「ダイレクト入力切り替え」「番組説明」「予約一覧」「オフタイマー」などのボタンも用意されている。
「リモコンでキーをレイアウトする際に、入れたい機能は多くあるのですが、面積や操作性の制限でやむなく省いてしまった機能がありました。アプリでは制限がないので、これらの機能も追加しました」
特にHDMIなどの入力切り替えがトグルではなく、一発でダイレクトに選べる点が使いやすく感じた。
次に「録画一覧」機能を使ってみよう。これはWoooでHDDに録画した番組をアプリ画面に一覧表示して、手元で選んでテレビに再生できる機能である。録画番組の一覧はWooo本体同様に「ワケ録」を採用しており、全タイトルのほか、未視聴、番組名、ジャンル別、自動録画、ユーザー別などのフォルダに分けた一覧表示もできる。タイトルの再生では、30秒スキップや10秒バックもできる。またタイムバーで見たいシーンにジャンプすることも可能だ。
iPhoneでは、画面サイズの関係で、GUIはタイトル一覧と操作画面に二分されている。iPadでは、大きな画面を活用して、タイトル一覧のほか、再生系のキーも一覧の下段に用意されている。このため、iPadのほうがより使いやすく感じた。
本アプリの大きな特徴は、テレビ画面を一切変えずに見たい録画番組が選べることだ。今まではテレビ画面に録画一覧を呼び出して選んでいたが、本アプリでは、テレビは放送を映したまま、手元で録画一覧を表示し、番組が選べてしまう。家族がテレビを見ている時に録画一覧画面を出すのは気が引けるが、視聴を妨げることなく大量の録画番組からでもスクロールして、サクサクと手元で録画番組が選べるのが便利だ。
「テレビ画面を変えずに録画一覧を選ぶためには、テレビ側にバックグラウンドの処理が必要になります。このためにテレビのソフトウエアの一部を変更しています。今までのテレビにない処理なので変更に苦心しました」
操作の一部を手元のスマートフォンやタブレットに分担させることで、テレビ画面がよりシンプルになる。こうした“手元操作”の発想がとても斬新に感じられる。いわゆるテレビのPC化によって、テレビ画面も高度な10フィートGUI(10フィート離れて操作できる操作画面)を装備するのだろうか? と筆者は予想していたが、GUI操作をアプリに分担させれば、スマートフォン上でシンプルな画面のままで手元操作することも可能なのだ。
「テレビには高度なGUIが必要という発想もありますが、そうした部分は、スマートフォンなどに分担させて手元で操作できたほうが便利でしょう。テレビは放送などのコンテンツを映すシンプルな表示装置として進化するほうが自然と考えております」
さらに、iPad専用アプリとして「Wooo Remote(有料)」が年内に提供される予定で、番組表のデータなどが配信される予定だ。本ソフトではリモコン機能と録画一覧のほか、電子番組表の表示と予約、放送中の番組の選局指示、注目番組表示も可能になる。ここまで手元で操作できれば、テレビの画面にGUIを呼び出す必要はほとんどないだろう。年内に開始予定のサービスに期待したい。
*4 アプリケーションをダウンロードしたiPhone®、iPod touch®、iPadTMを家庭内ネットワークでつなぐことでお使いいただけます。
さて、続いて「XP08シリーズ」の画質についてだが、前モデルから映像回路もブラッシュアップされ、より効果的に活用されている。
本機は映像エンジン「Picture Master 3」を搭載。このエンジンはいくつかの高画質回路から構成されている。それらの主な回路は以下の通り。
「アドバンスドダイナミックコントラスト2」は、映像の輝度分布をより細やかに分析し、滑らかな階調と暗部コントラストを表現する回路である。
「3次元デジタルカラーマネージメント2」では、映像の色情報を分析し、人の目に敏感な特定4色を中心に色を鮮やかに補正する回路。というように多彩な映像回路を搭載している。
「アドバンスド3次元ノイズリダクション」は、映像のシーンごとに多段階のノイズ低減を行うノイズリダクション回路だ。ノイズ低減の弊害であるぼやけも防いでいる。
上記のPicture Master 3に加えて採用されているのが、超解像技術「ピクセルマネージャーSG」である。本回路は、映像の解像度分析によってSD画質かハイビジョン画質かを判別し、映像の特徴を分析する。この分析の結果にあわせて、それぞれに合った超解像処理を行い、奥行き感のある映像を表現している。
「『GP08シリーズ』の超解像技術は3Dとプラズマ対応ということで、本来あるべき立体感をリファレンスにして各処理を設定しました。これに対して『XP08シリーズ』では、液晶の残像感を払拭するため、超解像処理の効果をより高め、ディテール感の高さが実感できることを目標にしました。この際にノイズを強調しないように“アドバンスド3次元ノイズリダクション”のノイズ低減処理を強化しています。解像感を上げつつ、いかにノイズを減らすか、この点に苦心しました」
前モデル「XP07シリーズ」の超解像処理はやや控えめでおとなしい味付けだったが、本機は持てる力を積極的に活かして、攻めの画作りをしている印象だ。テレビのロケ番組などでは、映像自体のクオリティが低く、暗部ノイズが目立つシーンがある。そうしたソースでも、本機は解像感を上げながらノイズは逆に低減している。この実力には、とても感心した。
Woooは視聴者のニーズに応える多彩な映像モードを搭載している。例えば、リビングで映画を楽しむための「リビングシアター」モード、部屋を暗くして本格的に映画を楽しむ「シアタープロ」モード、センサーが部屋の明るさと色温度を感知し、映像ジャンル別に画質を自動調整する、全自動の「センサーオート」モードなどが用意されている。ここまでは前モデルと同じだが、「XP08シリーズ」に搭載した「インテリジェントオート高画質3」では、全自動の「センサーオート」モードに、さらにエコを取り入れた「センサーオートe」モードが新設された。これは画面の明るさを適切かつ可能な限り低く制御して省エネを行うモードで、従来比で最大49%の節電(*5)を実現しているという。
*5 L42-XP08(全白映像表示)測定時
「明るく大きな映像を表示すると、人の目にはまぶしく感じられます。センサーオートeモードでは、明るく感じる映像の輝度を抑えることで省エネを実現しています。これはプラズマテレビの電力制御の手法なのです。プラズマテレビは消費電力を抑えるために、明るい映像の場合は輝度を抑えて表示します。こうした電力制御の手法を液晶の『XP08シリーズ』にも適用することで、さらなる省エネを実現しました。もちろん、バックライトで電力制御を行うことによって、階調性はしっかり確保しています」
プラズマと液晶ともに手がける同社らしい省エネ機能といえるだろう。
実際にセンサーオートeモードで視聴してみると、画面がわずかに暗くおとなしく感じられるものの、一般的な夜のリビングの明るさ(150〜200ルクス)では目が慣れると不満は感じられない。プラズマの「GP08シリーズ」と並べて見比べたが、確かに同条件のプラズマとほぼ同じ輝度制御をしているのが分かった。液晶では限界に近い画作りではあるが、それでも黒方向の階調が確保されバランスが保たれている。節電になるといっても我慢をして見たくはない、という人でも納得できる映像だ。
「今回の『GP08シリーズ』と『XP08シリーズ』では、3Dや録画など一部の機能が注目されがちですが、画質はもちろん、省エネ性能やネット機能、サウンド機能など、どの部分をとっても完成度の高いバランスのとれた高性能なテレビに仕上げることができた、と思っています。同時に、スマートフォン連携で新時代の操作性にも対応し、新しい使いこなしも提案できた、と思っております」
開発陣の言葉には、すべての機能にこだわるモノ作りへの情熱が感じられる。こうして作られた「XP08シリーズ」は多彩で高度な機能を満載している。その気になれば、多機能さを活かしてマニアックに使いこなせる奥の深さを備えている。それだけではなく、自動で高画質を堪能し、スマートに録画を楽しむこともできてしまう。この懐の深さと広さが新コンセプト「スマート録画」を実現させた本機の魅力といえるだろう。成熟した諸機能はWoooの進化の成果といえ、薄型テレビの開拓者としてWoooが歩んできた歴史が感じられる。画質の高度さを含めて、本機はひとつの完成形といえそうだ。と同時に、スマートフォン連携という新たな進化のSEED(種)が仕込まれていることも分かる。本機は未来を開くモデルでもあるのだ。
高画質な映像と充実した機能は上位モデルにふさわしく、多くの使いこなしに応えられる満足度の高いテレビに仕上がっている。「いろいろな用途に安心して使える新時代のテレビがほしい」というニーズに応えてくれるモデルといえるだろう。
(増田和夫)
* 写真・イラストはイメージです。
* 画面ははめこみ合成です。
* iPhone、iPod touch、iPadはApple Inc.の商標です。
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