Googleといえば、さまざまなツールやサービスを提供しているが、やはりメインとなるのは検索サービスだろう。GoogleではPC向けだけではなく、ケータイ向けにも検索サービスを提供している。このケータイ向けの検索サービスは、年々重要度を増している。 とくにケータイの場合はPCと異なり、いつでもどこでも使えることがポイントとなる。テレビを見ながらや布団の中、あるいは最近増えつつある防水ケータイならば台所やお風呂場など、ケータイが使われる場面は多い。そういった場面で、ちょっと調べたいことや気になったこと、欲しいものがすぐに検索できてしまうのだ。 グーグル株式会社のソフトウェア エンジニアの向井淳氏は、「検索件数でいっても、PCと遜色のない量の検索がケータイから来ています。ケータイで検索するという行為は、より重要になりつつあります」と語る。 ケータイでのGoogle利用がそれだけ多いのであれば、自分のケータイ向けサイトをGoogleで検索できるようにすることは、集客面では大きな意味がある。しかし、さまざまな理由でケータイ向けサイトがGoogleから検索できないケースもある。連載企画「Googleで加速するモバイルサイトビジネス」、第2回の今回はそういったケースについて、向井氏に話を聞きながら対策を解説しよう。
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Google検索のケータイ版は、ケータイのWebブラウザーから「http://www.google.co.jp/」にアクセスすることで利用できる検索サイトだ。PC版のGoogle同様に、フリーワードで検索するのがメインの、非常にシンプルな構成となっている。ちなみにPCからでも同様に、「http://www.google.co.jp/m/」からケータイ版Googleにアクセスできる。 ケータイ版のGoogle検索で検索すると、ケータイ向けサイトを中心とした検索結果が表示される。しかしよく見ると、ケータイのアイコンがついたケータイ向けサイトに混じって、PC向けサイトも一緒に表示されている。実はケータイ版のGoogle検索にはPC向けサイトをケータイで表示できるように自動変換する機能があり、ケータイ向けサイトだけでなく、PC向けサイトの情報も閲覧できるように作られているのだ。 また、一部のキャリアのケータイでは、公式メニューからGoogle検索を利用できる。こちらでは、インターネット上の一般サイトだけでなく、いわゆる公式サイトも含めた検索が可能だ。着うたやゲームなど、公式サイトならではのコンテンツを探すときに便利である。しかし「http://www.google.co.jp/m/」からアクセスするGoogle検索の方が画像検索などの機能も多く、かつ表示もシンプルで見やすいので、一般的な情報を調べるときは、あえてwww.google.co.jp/のGoogle検索を使う人も多い。 さて、Googleの検索結果はどのように生成されるのだろうか。 Googleの検索機能では、「クローラー」と呼ばれるボット(自動プログラム)がクロール(データの自動巡回・収集)したインデックスデータを元に検索結果が生成される。このクローラーには、通常のPC向けサイト用のクローラーと、ケータイ向けサイト用の「Googleモバイルクローラー」の2種類があり、それぞれ別々にクロールをしている。前者はUser Agent内に「Googlebot」という文字列を、後者は「Googlebot-Mobile」という文字列を含んでおり、識別が可能となっている。 ケータイ向けサイトがケータイ版Google検索で検索結果に表示されるためには、このGoogleモバイルクローラーのクロールを受け付け、インデックス化されている必要があるというわけだ。 自分のサイトがケータイ版Google検索にインデックス化されているかどうかを確認するいちばん簡単な確認方法は、実際にGoogleで検索することだ。PCからでも、「http://www.google.co.jp/m/」にアクセスし、「site:mobile.watch.impress.co.jp」のように、自分のサイトのURLでサイト内検索をすればよい。ケータイ向けサイトであることを示すケータイのアイコンとともに検索結果が表示されれば、正しくインデックス化されていることになる。 さらに細かい情報を知りたいならば、Googleが提供するサイト運営者向けのサービス「ウェブマスター ツール」を使えば良い。Googleのボットによるクロール状況が確認できるほか、自分でモバイルサイトマップを送ることで、Googleにサイトの存在を通知することもできる。 |
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ケータイ版のGoogle検索で自分の運営するケータイ向けサイトが検索できない、という場合は、いくつかの原因が考えられる。 まず、サイトが作られたばかりで、Googleモバイルクローラーがまだクロールに来ていないケースがある。そんなときは、Googleのウェブマスター ツールでモバイルサイトマップを送信することで、Googleにサイトの存在を通知できる。 しかしGoogleモバイルクローラーがやってきても、正しくクロールされないケースもある。その典型的な例として向井氏が指摘するのは、不用意なリダイレクトやアクセス制限のせいでGoogleモバイルクローラーがケータイ向けサイトにたどり着けていないケースだ。 PC向けサイトとケータイ向けサイトの両方を運営している場合、同じURLへのアクセスに対してサーバー側がアクセスしてきた端末の種類をなんらかの手段で判別し、PCならばPC向けサイトに、ケータイならばケータイ向けサイトにリダイレクトさせるときがある。あるいは、PCからのケータイ向けサイトへのアクセス自体を制限するケースも存在する。 たとえば、ケータイ向けサイトをPC向けGoogle検索の検索結果に表示されないようにするために、サイトにアクセスしてきた端末のUser Agentに「Googlebot」の文字列が含まれていたらPC向けサイトにリダイレクトする、という設定にした場合、User Agentに「Googlebot-Mobile」の文字列を含むGoogleモバイルクローラーも同様にPC向けサイトにリダイレクトされてしまい、ケータイ向けサイトをクロールできなくなる。 また、ケータイは各事業者ごとに端末で使うIPアドレスが決まっているので、User AgentではなくIPアドレスでPCかケータイかを判別し、アクセスをコントロールしているケースも多い。この場合、ケータイに割り振られたIPアドレスのみがケータイ向けサイトにアクセスできるような設定にしていると、やはりGoogleモバイルクローラーがクロールできなくなってしまう。 いずれの例も、ケータイ向けサイトにケータイ以外からアクセスさせまいとするための処理が原因となっているが、そもそもサイトへのアクセシビリティという観点から見れば、ケータイ以外、つまりPCやPC向けクローラーからのアクセスを制限ないしリダイレクトすることは、あまりおすすめできない(もちろん、ケータイからPC向けサイトへアクセスしたときにケータイ向けサイトへリダイレクトするのは、この限りではない)。たとえばGoogle検索のページ(http://www.google.co.jp/)は、下記のようにして各端末からのアクセシビリティを確保している。
ただし、ケータイに特化した商用サイトなど、アクセスする端末を制限することがやむを得ない場合もあるので、前述のクロールされない問題への対処法を考える必要がある。前者のUser Agent誤認に関しては、GoogleモバイルクローラーのUser Agentに含まれる「Googlebot-Mobile」という文字列をホワイトリストに登録すればよい。 後者のIPアドレスによるフィルタリングに関しては、向井氏によれば、「IPアドレスによる制限自体、できるならば使ってほしくない方法」とのことだが、もしどうしてもその方法を継続したい場合は、Googleモバイルクローラー自身のIPアドレス範囲が公開されているので、それらのIPアドレスからのアクセスを制限しないよう設定しておくことができる。
もちろん、上記2例のようなアクセス制限等を行なわないに越したことはないが、やむをえずそのような手段をとる場合は、Googleモバイルクローラーの存在を意識しておくことが必要といえるだろう。 ちなみに、サイトがクロールされない他の例として、Googleモバイルクローラーがケータイ向けサイトにたどり着けても、そのページをケータイ向けだと判別できず、インデックスに取り込まないこともある。基本的にはコンテンツをケータイ向けのフォーマットで記述し、かつ、DOCTYPEにおいて「XHTML Mobile」や「Compact HTML」などの宣言をしていれば問題ない(適切な宣言については、下記関連リソースや各ケータイキャリアが公開しているリソースを参照されたい)。
■関連リソース |
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まれな例としては、リダイレクトの利用が意図せずにサイトの偽装、いわゆる「クローキング」と見なされ、Googleが検索結果として表示しないケースもあるという。 クローキングとは、Googleのクローラーをはじめとする検索エンジンのボットにだけ、検索に有利な内容のコンテンツを見せることで、検索結果の上位に入ろうとする行為を指す。一般ユーザーにしてみると、実際にコンテンツ内に存在しない単語で検索結果にかかるなどの不便が生じてしまうため、Googleはクローキングには厳しく対処する方針をとっている。具体的には、もしクローキングが判明した場合、そのサイトは検索結果から除外されることになっている。
では、ケータイ向けサイトにおいて、いかなる場合に意図しないクローキングとなってしまうのだろうか。たとえば、ケータイ向けのみにサービスを提供しているサイトで、PCからアクセスするとエラーのHTMLにリダイレクトする…という場合。それだけならば問題ないが、GoogleのPC向けクローラーがアクセスした際、リダイレクトされずに普通にケータイ向けサイトが見えてしまうと、PCのWebブラウザーが見る内容とGoogleのPC向けクローラーが見る内容が異なるということで、クローキングの誤認を受ける可能性がある。 やや複雑に思えるかも知れないが、要するに「GoogleのPC向けクローラーにはPCのWebブラウザーと同じコンテンツを、GoogleモバイルクローラーにはケータイのWebブラウザーと同じコンテンツを見せる」ようにしていれば問題はない。 余談になるが、PC向けにしろケータイ向けにしろ、Googleのクローラーがサイトにアクセスした際に、HTTPステータスコードにおいて適切な値を返すことは、上記のようなクローキング誤認を防ぐだけでなく、検索エンジンにフレンドリーなサイトを構築する上で非常に重要だ。なぜなら、「200」や「404」といったステータスコードは、Googleのクローラーをはじめとするボットが確実に理解できる数少ない言語だからだ。たとえば、サイト内でURLが変更されたコンテンツにアクセスしたときに、「このページはこちらのURLに移動しました。こちらのページへアクセスしてください」と書いてあっても、多くの場合、Googleのクローラーは理解できない。しかし、HTTPステータスコードにおいて適切な値、たとえばこの場合は「301」と、移転先のURLを返せば、Googleのクローラーは「このページはこちらのURLに移動したのだな」と認識でき、検索結果もそれに従って適切に表示されるようになる。 結局のところ、自サイトが適切にクロールされ、検索結果に表示されるようにするためには、Googleのクローラーの仕様や挙動を理解し、その存在を絶えず意識しながらサイトを構築するべきだろう。
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ケータイ向けに限らず、とにかくサイトを管理しているならば、まずGoogleのウェブマスター ツールに登録すると良い。Googleから正しく検索できているかを確認できるだけでなく、ほかのサイトからのリンク情報やアクセスにつながった検索単語など、サイトを改善していく上で役に立つさまざまな情報を得られる。 また、自分のサイトがGoogleから正しく検索できてないときも、どのような問題が生じているかを確認できる。さらにウェブマスター向けのヘルプには、検索結果に関する問題解決のためのさまざまな情報が掲載されている。それでも問題が解決しないのならば、Googleのスタッフも参加しているヘルプフォーラムで質問をすることもできる。この記事の公開とほぼ同時に、新たにケータイサイト向けのカテゴリも開設されているはずなので、そちらも是非チェックしてみてほしい。 以上で挙げたサイトやツールは、Google ウェブマスターセントラルとしてまとまっており、ケータイ向けサイト運営者にとっては福音となる情報やツールが盛りだくさんとなっている。正しく検索され、多くのユーザーに自分のサイトに来てもらうためにも、これらをうまく利用しながら、正しくサイトを作り込もう。 【Reported by 白根雅彦】 |
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7月28日公開予定! |
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関連情報■Google ウェブマスター セントラルhttp://www.google.co.jp/webmasters/ http://www.google.co.jp/ |
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