法林岳之レビュー

細かなブラッシュアップを続ける電子書籍サービス
「GALAPAGOS STORE」の最新動向

メジャーバージョンアップしたAndroid版アプリもチェック

さまざまな目的に活用できるスマートフォンやタブレット。ここ数年の急速な普及により、コミュニケーションやエンターテインメントなど、多様なサービスが展開されるようになってきたが、なかでも電子書籍サービスは書籍から雑誌、新聞、コミックなど、いろいろなジャンルのコンテンツが扱われ、多くのユーザーから注目を集めている。シャープが提供する電子書籍サービス「GALAPAGOS STORE」は、2010年のサービス開始以来、利用環境の拡大や多くの電子書籍フォーマットへの対応など、着実に進化を遂げてきたが、この9月、Android版アプリのバージョンアップが行なわれる。デザインの一新、端末ローカルと「ネット書庫」のUI統合、その他使い勝手の向上など、さらに幅広いユーザーが快適に使える環境を提案している。GALAPAGOS STOREで楽しめる読書体験の最新動向をチェックしてみよう。

サービス拡充を続けるGALAPAGOS STORE。専用アプリ「電子書籍GALAPAGOS」Android版のバージョン3.0もリリースされたので、それについても見ていこう

スマートフォン/タブレットの普及&高スペック化で
電子書籍は「使える」サービスに

ここ数年で、あっという間に身近な存在となったスマートフォンやタブレット。そして、ビジネスツールとして、広く利用されているパソコン。いずれも私たちの生活や仕事に欠かせないものであり、そこではさまざまなサービスが提供されている。

これらのデジタルツールで利用できるサービスというと、パソコンではビジネスアプリケーション、スマートフォンやタブレットではコミュニケーションやエンターテインメントなどがすぐに思い浮かべられるが、いずれの環境でも着実にユーザー層を広げつつあるのが電子書籍サービスだ。

あらためて説明するまでもないが、電子書籍サービスは書籍や雑誌、新聞をデジタルツールで読むことができるサービスだ。紙に印刷された出版物と違い、何冊も持ち歩いてもかさばったり、重くなることもないうえ、閲覧時に自由に文字のサイズを変えて、見やすくしたり、気になる言葉を検索できるなどのメリットがある。紙に印刷された出版物の良さもあるが、ポータビリティや機能性、検索性などは明らかにデジタルな出版物に軍配が上がる。

こうした電子書籍サービスは比較的古くからパソコン向けなどを中心に提供され、ここ数年はスマートフォンやタブレット向けにも展開されてきたが、ハードウェアの進化を考えると、昨年あたりから非常に利用しやすい環境が整ってきた印象が強い。たとえば、スマートフォンのディスプレイは、ハイエンドモデルで5インチクラス/フルHD、ミッドレンジで4.5インチ前後/HDに対応した機種が主流になりつつあり、電子書籍コンテンツの視認性が格段に向上している。

高解像度化で、活字やコミックもかなり読みやすくなってきたスマートフォン。写真左のドコモ「SH-06E」と真ん中のSoftBank「206SH」は解像度フルHD。右のau「SHL22」はHD解像度

そして、タブレットについても10インチクラスのディスプレイを搭載するモデルに加え、ポータビリティに優れた7インチクラスのディスプレイを搭載するモデルが増えている。通信手段も従来は各携帯電話会社のモバイルデータ通信モジュールを内蔵したモデルが中心だったが、最近ではWi-Fiモデルのラインアップが増え、公衆無線LANサービスをはじめ、安価なモバイルWi-Fiルーター、スマートフォンのテザリングなどの通信手段が選べるようになったことで、かなり扱いやすい環境が整っている。数年前に比べれば、スマートフォンでもタブレットでも電子書籍サービスが利用しやすくなっているわけだ。

7インチクラスのタブレットはコミックを読むにはちょうどいいサイズ感。写真はドコモの「AQUOS PAD SH-08E」で、解像度は1920x1200ドット

マルチデバイスで楽しめるGALAPAGOS STORE
Android/iOS/Windowsで利用可能

iOSやAndroid、PCなど多様なデバイスで電子書籍を楽しめる「GALAPAGOS STORE」。上の画像はiOS版アプリ「電子書籍 GALAPAGOS」のもの

現在、国内ではいくつかの事業者が電子書籍サービスを提供しているが、スマートフォンを利用するユーザーにとって、身近な存在でもあるのがシャープの「GALAPAGOS STORE」だ。シャープはまだスマートフォンが数えるほどしかラインアップされていなかったころ、いち早くスマートフォン向けの電子書籍サービスをスタートさせ、ユーザーが利用しやすい環境を整えながら、総合電子書籍ストアとして進化を続けている。

まず、GALAPAGOS STOREの特長として挙げられるのがマルチデバイス対応だ。2010年12月にサービスを開始した当初はシャープ製の電子書籍専用端末でサービスインしたこともあり、シャープ製端末のみ、あるいはAndroidプラットフォーム向けと勘違いされることもあるが、実はAndroidiOSWindowsのマルチデバイスに対応する。動作環境の仕様についてはこちらの通りだが、Androidスマートフォンやタブレット、iPhone、iPad、iPad miniなど、現在、多くのユーザーが利用している端末にアプリをダウンロードすることで利用できる。

マルチデバイスの使い勝手の良さを実現しているのは、GALAPAGOS STOREで購入した書籍が「ネット書庫」で一元管理されているためだ。GALAPAGOS STOREで購入した電子書籍は、すべてクラウド上の「ネット書庫」に保存され、そこから必要に応じて端末にダウンロードする。複数の端末を登録しているときは、いずれかの端末で書籍を購入すれば、さまざまな端末でダウンロードでき、将来的に端末を買い替えても、書籍を再購入する必要はなく、永続的に楽しむことができるわけだ。また、端末の空き容量が少なくなったときは読み終わった電子書籍を端末から削除して、また読みたくなったら再ダウンロード……といったことも可能だ。

もちろん利用できる端末の数も『マルチ』になっている。サービス開始当初は利用可能デバイス数は最大3台でスタートしたが、現在は最大5台までの端末を登録することができるため、メインで利用するスマートフォンだけでなく、電子書籍に適したタブレット、自宅やオフィスではパソコンといった具合に、利用シーンに合わせて端末を使うことができる。もちろん、その組み合わせは、たとえばすべてiOSでも構わないし、AndroidスマートフォンとiPadといった異なるプラットフォームの組み合わせでも利用可能だ。パソコンのWindowsについてもWindows 7とWindows 8に対応している。ちなみに、端末を機種変更したときなどは、GALAPAGOS STOREのサイトにアクセスし、新たに購入した端末を登録し、[アカウント]-[端末の登録・解除]で従来の機種を削除することができる。

購入した本は最大5台の端末で利用できる。端末買い換えの際などはWebサイトから手軽に端末解除→再登録が可能

マルチデバイスで利用できるということは、改めて説明するまでもないが、これらのいずれの端末でも基本的に同じ電子書籍コンテンツが楽しめることを意味する。たとえば、スマートフォンで話題の新刊を購入したが、旅行での移動中にゆっくりと読みたいというときは、タブレットなどに同じ新刊をダウンロードして、読むことができる。もちろん、組み合わせる端末はパソコンでもiPadでもかまわない。さらに、「しおり」をはさんだ場所、マーカーを引いた箇所、読書メモなども、複数のデバイスで同期することができる。

たとえば外出中にスマートフォンではさんだ「しおり」や引いた「マーカー」などを、帰宅後にそのままタブレットでも利用、ということが可能

また、電子書籍を購入するときの決済方法については、クレジットカード払いのほかに、ドコモケータイ払いやauかんたん決済を利用することもできる。すでに、NTTドコモか、auのスマートフォンやタブレットを利用しているユーザーであれば、簡単に利用できる。ただし、後述する新聞や雑誌などの定期購読コンテンツには、クレジットカードでの支払いが必要になる。電子書籍コンテンツは旅行中などにも読むことが多いが、GALAPAGOS STOREで販売されているタイトルは、日本国内で発行されたクレジットカードがあれば利用できるため、海外出張中はもちろん海外赴任されている方でも利用できる。また、事前購入しておいた「GALAPAGOSポイント」を利用して電子書籍を購入することもできる。ポイントは購入額によってボーナスポイントが付与され、多くの電子書籍を購入する人ほど利用価値が高くなる。

国内最大級の12万冊を超えるラインアップ
定期購読は「プッシュ」で端末に配信も

使いやすさがよく考えられているGALAPAGOS STOREだが、ユーザーとしてはタイトル数も気になるところだ。9月1日現在、GALAPAGOS STOREには全体で12万冊を超えるタイトルが揃っており、その内訳は、7万冊以上の書籍、4万冊以上のコミック、5千冊以上の雑誌があり、さらに新聞や辞書などもラインアップに含まれている(GALAPAGOS STORE サービス仕様)。

こうした豊富なラインアップが揃っている背景には、GALAPAGOS STOREが電子書籍の対応フォーマットを積極的に拡大してきたことが挙げられる。シャープが従来から手掛けてきた「XMDF2.0/3.0」をはじめ、「ドットブック(.book)」「EPUB(Open Manga Format)」「ePub3」に対応しており、現在も着実にタイトル数が増えてきている。タイトル数だけが多ければいいというものでもないが、やはり、幅広いフォーマットに対応しているサービスだからこそ、多くのタイトルが楽しめるというわけだ。

GALAPAGOS STOREでもうひとつ特徴的なのは、プッシュ型サービスに対応しており、新しいタイトルとの出会いも考えられている点だ。たとえば、もっとも身近なシチュエーションで言えば、常に毎号愛読している雑誌などがあったとする。普段であれば、書店やコンビニエンスストアなどで見かけたら購入するという流れになるが、GALAPAGOS STOREで定期配信サービスを利用すれば、Androidプラットフォームでは定期購読を申し込んだ雑誌や新聞が発売日に自動的に配信され、iOS端末やWindowsではネット書庫に自動的に追加される。つまり、買い逃しもなければ、読み逃すこともないわけだ。

Androidなら、朝起きると端末に定期購読の最新号がダウンロードされている……といった利用スタイルが可能

プッシュ型サービスではこうした自動配信のしくみのほかに、アプリのメイン画面に「おすすめ」のタイトルが並ぶのも面白いところだ。よく書店などに出かけたとき、同じようなテーマの書籍が並んでいたり、同じ著者のタイトルが並んでいることがあるが、それに近い感覚で新しい書籍に出会うことができる。

話題書やプライスダウン中の書籍などをおすすめしてくれる「未読・おすすめ」パネル。こちらはAndroid版
こちらはiOS版の「未読・おすすめ」パネル

さらに、GALAPAGOS STOREで配信されるコンテンツには、フルHDの4倍の解像度に匹敵するページあたり2400×4096ドットという高画質で電子書籍化されているものもある。雑誌をはじめ、写真集や図鑑などのも高精細コンテンツが配信されており、美しい写真や文字のコンテンツを楽しむことが可能だ。

Android版がVer.3.0にアップデート

サービスとしての利用しやすさと充実したラインアップを揃えるGALAPAGOS STOREだが、実際のアプリの使い勝手はどうだろうか。今回、Android版のアプリがVer.3.0.0にアップデートするため、その改善点などを踏まえながら、チェックしてみよう。

ここまでも説明してきたように、GALAPAGOS STOREはマルチデバイスでサービスを提供している。そこで、今回のアップデートではiOS/Androidで基本的なユーザーインターフェイスを統一することで、できるだけシームレスに利用しやすい環境を作り込んでいる。

まず、アプリを起動すると、書棚が表示される。ここは大きく分けて、4つの書棚から構成されており、画面を左右にフリックすることで、回転表示をさせながら切り替えることができる。4つの書棚はそれぞれにタイトルが付けられており、「未読・おすすめ」では新しいタイトルとの『出会い』、「すべての本」ではさまざまなタイトルの『併読』、「お気に入り」では気に入ったタイトルの『重読』、「定期購読」では継続的にタイトルを楽しむ『習慣』という意味が込められている。

この書棚には書籍や雑誌がサムネイルで表示されるため、一目でどんなタイトルがあるのかがわかるが、購入したタイトルが増えてくると、「すべての本」の書棚は目的のタイトルが見つけにくくなってしまうことも考えられる。そこで、タイトルを「購入順」「読んだ順」「取り出し順」「タイトル順」「著者順」「しおり/マーカー」で並べ替えられるようにして、さらにネット書庫のタイトルをリスト表示に切り替えられるようにしている。これにより、画面を一度タップするだけでタイトルが取り出せるようになるほか、リスト表示から複数のタイトルを選んで、端末に一気にダウンロードできるようにしている。

並び替えで電子書籍がより探しやすくなった
サムネイル表示とリスト表示を選択可能
ネット書庫から一括で複数書籍をダウンロードすることも可能

前述のように、GALAPAGOS STOREでは複数の端末を登録できるが、しおりやマーカーについてもネット書庫に同期する仕様を採用している。これまではその同期は手動で実行しなければいけなかったが、今回のバージョンから自動同期となり、よりユーザー体験が向上した。たとえば、外出先ではスマートフォンで読んでいたタイトルを帰宅後にiPadに切り替えて、続きを読むといった使い方ができる。つまり、電子書籍コンテンツをシームレスに読むことができるわけだ。

UIデザインについてもリニューアルされ、従来に比べ、フラットでスッキリしたデザインに変更されている。ボタン配置などもフルHD環境でも使いやすいように見直され、全体的に初心者にもわかりやすいデザインに仕上げられた印象だ。実際の操作については、従来は書棚の画面からブックシェルフを起動し、表示をネット書庫に切り替え、タイトルを選ぶという流れになっていたのに対し、新しいバージョンではアプリ起動画面がネット書庫(グリッド表示)になっており、前述のソートを利用しながら、ワンタップでダウンロードを開始することができる。目的のタイトルに短いステップで到達しやすくなり、電子書籍コンテンツを数多く愛読するユーザーにも使いやすい環境を整えている。

キャンペーンで「今すぐ」電子書籍が始められる!

スマートフォンやタブレット、パソコンなど、私たちの身のまわりにはさまざまなデジタルツールがあり、多様なサービスが提供されている。しかし、ユーザーとしてはそれぞれのプラットフォームごと、デバイスごとにサービスが分かれてしまうことは、あまり使い勝手が良くなく、できることなら、どんな環境でも同じようにサービスが利用できることが望ましい。それはエンターテインメントやユーティリティといったサービスだけでなく、コンテンツサービスにおいても同じことが言える。

シャープが提供する総合電子書籍サービス「GALAPAGOS STORE」は、書籍、雑誌、新聞といった電子書籍コンテンツをさまざまな環境や端末で同じように、シームレスに活用できるようにしている。話題のタイトルも豊富に取り揃えるだけでなく、テーマに基づいたタイトルラインアップやユーザーの嗜好を考慮したおすすめなど、電子書籍がはじめてのユーザーから慣れてきたユーザーまで、幅広い層にフィットするようにサービスが構成されている。

現在、Androidアプリ バージョン3.0リリース記念で、割引やポイントアップキャンペーンも実施しており、GALAPAGOS STOREで電子書籍を始めるには絶好のタイミングだ。マルチデバイスの時代を迎える今だからこそ、ぜひともGALAPAGOS STOREで多彩なコンテンツを楽しんで欲しい。復刻版のシャープ製品カタログなど、シャープならではのコンテンツにも注目だ。

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法林岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows 8」「できるポケット docomo AQUOS PHONE ZETA SH-06E スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」「できるポケット+ GALAXY S4」「できるポケット au iPhone 5 スマートに使いこなす 基本&活用ワザ 210」「できるポケット SoftBank iPhone 5 スマートに使いこなす 基本&活用ワザ 210」「できるポケット+ Optimus G Pro」(インプレスジャパン)など、著書も多数。ホームページはこちらImpress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。