電子書籍の楽しみ方の基本は、電子書籍を配信するストアでデータをダウンロードし、それをビューアで閲覧する。それだけです。ただ、現在、電子書籍ストアの数は非常に多く、ストアの使いやすさ、書籍のラインアップ数、そして専用ビューアの機能性などは、まさにピンからキリまで。だからこそ、自分にもっとも合っている電子書籍ストアをセレクトしたいところ。
シャープが運営する「GALAPAGOS STORE」は、2010年末にサービスを開始した電子書籍ストアです。比較的新しいストアだと思われていますが、シャープの電子書籍への取り組みは歴史が長く、2001年に始まった「シャープスペースタウン」のザウルス文庫から数えれば、10年の蓄積を持つ老舗ともいえます。
そんなGALAPAGOS STORE、書籍ラインアップの積極的な拡充や、メーカーならではのユニークかつ充実した機能を持つビューアが特徴です。基本的にはAndroidアプリ「電子書籍 GALAPAGOS」をインストールして利用する形式で、当初はシャープ製Android端末のみで利用が可能でしたが、現在はほぼ全てのAndroid端末に対応しています。
さらに、4月20日に発表されたアップデートで、待望のクラウド対応も実現し、非常に勢いがあるサービスと言えます。今回は、この「GALAPAGOS STORE」の特徴や私なりの使いこなしを紹介していきたいと思います。(すずまり)
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私がなぜ電子書籍を利用するようになったか。ひとつは、本をいつでもどこからでも購入できるので、読みたい!と思った瞬間に本を買って読めること。ふたつめは、紙の本と違い物理的なスペースをとらず、管理も簡単なこと。そして3つめは、読む場所を選ばないことです。スマートフォンやタブレットがあれば、外でも、家でも、電車でも、トイレでも、空いた時間に本を読むことができます。
ちなみに私は半身浴でゆっくりと入浴するのが好きなのですが、防水対応の端末を使えば、お風呂に入りながらでも本を読めるのがたまらない魅力です。お湯にゆっくり浸かり、汗をかきながら、スマートフォンで好きな本や雑誌を読みます。読み終わったとき、その本に関連する本を読みたくなったら、そのまますぐ「GALAPAGOS STORE」で検索。見つけるや否や購入して、続けて読み始めてしまうんです。そうやってお風呂に入ったまま、立て続けに3冊購入したこともあります。夜中、お風呂に入りながら書店を散策し、立ち読みをして、本を購入できるんですからスゴイ。
購入した本は、端末の中にどんどんストックされていきます。当然ですが、何冊買っても端末の重さは変わりません。重たいビジネス書、技術書、辞書を何冊もカバンに入れて持ち歩くのは相当大変なことですが、そんな苦労もありません。購入した本をまるごと持ち歩いて、お風呂だけでなく、寝る前の布団の中、打ち合わせに向かう電車の中、ファーストフード店での休憩中などに読めます。急いで調べ物をしたいとき、仕事で悩んだとき、解決したい事案が生じたとき、そっと自分を励ましたいとき、そのときどきで読みたい本をサッと呼び出すことができるのです。音楽でいえば、ポータブルCDプレイヤーの時代にはCDを何枚も持ち歩き、その都度聞きたいCDに入れ替える必要がありましたが、現在は何十、何百、何千もの曲を一台のスマートフォンにデータとして入れ、聞きたい曲を聞きたいときに聞くことができます。電子書籍の便利さは、まさにそれと同様です。
部屋の中にモノも増えません。紙の本の場合、すぐに読む必要はないけれど、興味がある内容だから、とりあえず買っておく――特に、雑誌の場合は、しばらくすると書店の店頭から姿を消してしまうので、読むかわからないけどとりあえず買っておこう!となってしまいがちです。そうして、「とりあえず」買った書籍がテーブルや床の上に積み上がることがよくあります。積み上がった本はやがて山となり、上にリモコンなどが置かれて物置と化し、いつしか部屋の隅に移動され、部屋のオブジェのひとつと化してしまう……。そして積んだら最後、ほとんど手が伸びないのは不思議。みなさんのお宅でもありませんか?
こうしたことが、電子書籍では起こりにくいのです。「GALAPAGOS STORE」では、多くの本で試し読みができますし、気になる本を見つけたら、カートとは別に「いつか買う」リストにどんどん登録しておけます。在庫切れはなく、雑誌もバックナンバーがいつでも購入できますので、慌てて買う必要もなし。ときどき「いつか買う」リストをチェックして、今なら読める! 今読みたい! そう思えた瞬間に購入。これなら、読みたいとき、読む準備が整ったときに買えるので、買ったはいいけど積ん読タワー行き……という事態が少なくなり、お金の無駄使いも防げそうです。
紙の本の場合、「読み終えた本」の取り扱いが悩みのタネ。多くの人は、読み終えた本をすぐに処分してしまうということはあまりなく、基本的には本棚などにため込んでいくことが多い気がします。その理由のひとつは、「あとでまた必要になるかもしれないから」。
たしかに、面白いと思った本や役に立つ本は、また読み返したいと思います。あとで読み返すときにわかりやすくするために、本にマーカーを引いたり、付箋紙を挟んだり、ページの端を折ったりする場合も多いでしょう。しかし、いくら印を付けてみたところで、積み上げたり棚にしまった本が、再び開かれることは滅多にないのではないでしょうか。なぜなら、いくら個々の本に印を付けたところで、その本を本棚から探し当てることができなければ、まったく意味がないからです。
「電子書籍 GALAPAGOS」のビューアに備わった「しおり」と「マーカー」機能は、その問題を解決してくれます。「しおり」と「マーカー」はその名の通り、紙の本に挟むしおりと、蛍光ペンなどを使うマーカーを電子書籍上で再現することができます。1冊の書籍につき、「しおり」なら6箇所、「マーカー」は1箇所につき1000文字まで引けて、付けられる箇所は事実上無制限です。「マーカー」の色は8色用意されているので、色ごとに自分なりのテーマを決めて塗り分けられます。しおりや付箋紙は、たくさん挟むと読みにくくなりますが、こちらもデジタルなら全く邪魔になりません。もちろん、不要になったしおりやマーカーはいつでも消すことができます。
なにより便利なのが、しおりやマーカーを付けた本、付けた箇所を、あとで簡単に探し出せること。
「しおり」や「マーカー」を付けた箇所は、その電子書籍を開いている最中なら「しおり/マーカーリスト」を開けば一覧で確認でき、1タップで該当箇所を開けます。さらに、「ブックシェルフ」画面の「しおり/マーカー」画面を開けば、「しおり」や「マーカー」をどこかに付けた本や雑誌を一覧表示できます。きわめつけは、そこから本のタイトルや著者名、さらにマークした箇所の本文までを対象にしたキーワード検索ができること。おかげで、「大切な箇所に印を付けたはいいけれど、肝心のその本が探せない」「付箋を入れすぎてどこかわからなくなった」という問題を同時に解決できます。
本を読みながら「マーカー」をつけていくだけで、いわば「情報スクラップ帳」があっというまに完成します。心に響いた偉人のセリフ、繰り返し読んで頭にたたき込みたい心構え、仕事に取り入れたいビジネス手法など、個々の本や雑誌の枠を越えて、いつでも参照できる自分だけのスクラップ帳を作り出せるのです。
ビジネスパーソンなら、新聞やビジネス系雑誌記事のチェックは欠かせないでしょう。毎朝、電車の中で芸術的な折り込み方をした新聞を読んでいる方を見かけますが、激しく混み合った時間帯は、「こんなときに、何もそこまでして」と周りに思われているかもしれません。
移動時間中に新聞や雑誌を読みたい方には、「GALAPAGOS STORE」の「定期購読」がお勧めです。一度契約すれば、毎朝決まった時間に、端末に当日の新聞や雑誌の最新号が自動でダウンロードされます。一度ダウンロードされれば、電波の届かない地下鉄でも、最新のコンテンツを読み通すことができます。手のひらサイズのスマートフォンなら、新聞紙を裏返したり、折り目を変えたりすることもなく、つり革につかまりながら片手でページめくりが可能です。デジタルなので、たまった新聞や雑誌をあとでヒモで縛って束にする必要がないのは言うまでもありませんね。もちろん、定期購読以外の通常の電子書籍も、いちどダウンロードすればオフラインで通読できます。
電子書籍の場合、はた目には何を読んでいるのかわかりにくいというのも、ある意味大きなメリットです。スマートフォンやタブレットなら、本のタイトルまではわかりませんから、ちょっと人に知られたくない本も、移動中の車内で気にせず読めます。最近では女性がマーケットの主役ということも少なくありませんから、情報収集のために、ビジネスマンが女性向けの雑誌を購入して目を通す、なんてことも、気にせずにできちゃうわけです。でも、もし万が一、自分が購入した本のタイトルを誰かに見られたら……? そんな方もどうかご安心ください。「電子書籍 GALAPAGOS」には、特定のタイトルだけ隠せる「シークレット登録」機能があります!
年配の方の多くは、最初に電子書籍のページめくりに興味を抱くようです。画面を指でスッとなぞるとページがカールして、あたかも紙の本をめくっているような体験ができるということで、みな興味津々。しかし、本当に便利な点は、ページや文字サイズを自在に拡大・縮小できることかもしれません。
年配の方に限らず、「文字サイズが小さすぎて読みづらい……」というのは誰しもあるのではないでしょうか。そんな問題も、電子書籍は解決してくれます。「GALAPAGOS STORE」の本は、いちいち設定画面を開くことなく、本を読んでいる最中にピンチイン、ピンチアウトで文字サイズを変更できます。ただ文字が大きくなるだけではありません。ページ全体は画面に収めつつ、禁則処理もしっかり行うので、レイアウトは保ったまま、文字サイズを調整できるのです。(※)一部書籍/雑誌や、マンガのフォントは対応していません。また、雑誌によっては、紙の本そのままのレイアウトを再現したモードと、小さい画面でも読みやすいようにテキストだけを抜き出したモードを切り替えられるものもあります。
本の背景色やフォントは、「電子書籍 GALAPAGOS」アプリの設定で調節できます。背景が明るいとどうしてもまぶしくて読みにくいというときは、白黒反転表示を選ぶことも可能(中にはあらかじめ設定されていて、変更できないものもあります)。
電子書籍を読んでいる最中に、単語を選択してそのまま辞書を引ける辞書連携機能も便利です。「GALAPAGOS STORE」で購入した辞書なら、複数辞書で串刺し検索できるのもありがたいですね(辞書はシャープ製メディアタブレットには最初から内蔵。その他のスマートフォンはストアから購入の必要あり)。
さらに、「GALAPAGOS STORE」で販売されている本の中には、動画や音声を内蔵した新しいタイプの電子書籍もあります。単に文字だけでは伝わりにくいものは、実際の操作を動画で確認するといった体験も可能です。ほかにも、定期購読新聞の「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」などは、日本語記事と英語原文を切り替える機能があります。
このように、デジタルだからできる機能も目白押し。最近どうも小さい字が読みにくいので、読書から遠ざかっているという方には、ぜひ一度お試しいただきたいと思います。端末にお気に入りのカバーを掛ければ、本との距離が、再び縮まるかもしれません。
ちなみに、.bookフォーマットの書籍を読むアプリ「T-Time Touch for GALAPAGOS」では、これらの機能はまだ未対応だそう。残念! 今後の進化を期待したいです。
普段から書店に行く習慣がないと、なにか面白い本がないかな、と足を運んでも、その陳列点数に圧倒されて迷うことがあります。読書は、自分の読みたい本を読むのも良いですが、ときにはヒット中の本や、誰かにおすすめされた本を読むのも良いものです。私自身、足繁く書店に通うタイプではありませんし、流行の本にも疎いので、新しいジャンルを開拓するためにも、そうした出会いのチャンスがあるとありがたいです。
「GALAPAGOS STORE」では、「電子書籍 GALAPAGOS」のアプリ起動時に最初に表示される「デスク」の「未読・おすすめ」で、毎日6〜8冊の本を紹介してくれます。ここに並んでいる書籍は、機械的に抽出されているものではありません。実は、本マニアな“中の人”が、過去の売れ筋や、属性からニーズを探りながら、毎日選んでいるのだそうです。
「GALAPAGOS STORE」のほとんどの書籍は、冒頭部分を無料で「試し読み」できるので、それがさらなる一押しとなって「未読・おすすめ」から買ってしまうことがよくあります。広い書店では、手に取ることすらない本だったかもしれません。このように、アクセスしただけで、新しい本と出会える可能性があるというのはステキですね。
「GALAPAGOS STORE」に並ぶ電子書籍の商品点数も、かなりの勢いで増えているようです。最近では、紙の本とほぼ同時に電子書籍も販売するという流れになりつつあるため、書店で平積みになっているような最新刊・話題書も多く並んでいて、とにかく新刊が読みたいという方のニーズを満たせるようになっています。現在では、大手出版社のほとんどをカバーしており、取扱い総数は、4月13日時点で約59,000点(バックナンバーを含む)。その内訳は、書籍 約40,000点、コミック約16,000千点、雑誌約3,000点、新聞7紙。特定のジャンルに偏らず、総合的にカバーしているのが特長です。サービス開始当初は取り扱い点数が少なく、コミックのラインアップもほとんどなかったことを考えると、このラインアップ拡充の勢いは将来的にも期待が持てる気がします。
ちなみに、古めの書籍は扱わないのかといえば、そんなことはありません。「GALAPAGOS STORE」の強みは、運営元(シャープ)が出版社と直接交渉できるため、ユーザーから吸い上げた要望が伝わりやすい点です。強い電子書籍化リクエストがあれば、かなえられる可能性は十分あります。過去の本で電子書籍化してほしいものがあったら、是非、GALAPAGOSのTwitterアカウントなどに要望を寄せてみましょう。
ちなみに、「GALAPAGOS STORE」は、電子書籍配信だけでなく、「生活情報サービス」をプッシュ配信するプラットフォームとしても進化しています。ゲームや音楽など、動画、音声をプラスした最新のメディアミックスコンテンツもオフラインでチェックでき、幅広い情報が集められるようになります。また、「コネクトゲート」と呼ばれる画面にアクセスすると、各サービスのリアルタイムの最新情報をチェックできます。こちらも、これまで接点のなかった情報に触れるきっかけになってくれそうです。
「GALAPAGOS STORE」の大きなメリットのひとつが、ひとつのアカウントで最大3端末まで利用できること。それぞれの端末に同じ電子書籍を同時にダウンロードできるので、出先では携帯性を重視してスマートフォンで読み、帰宅後はタブレットで読む、といったことも可能です。
ただ、これまで電子書籍を購入した端末以外で読むときは、購入画面や購入履歴からダウンロードし直すか、メモリーカード経由でデータを受け渡すしかありませんでした。また、同じ本を読んでいても、本につけた「しおり」や「マーカー」は各端末ごとにバラバラでした。
そうしたこれまでの不満点を払拭するのが、4月20日から始まった最大の目玉機能、「ネット書庫」です。これまでメモリーカードに保存していたデータをすべてクラウド上に移し、読みたいコンテンツだけ端末にダウンロードできるようになったのです。保存容量の上限はなく「GALAPAGOS STORE」で購入したコンテンツはすべて「ネット書庫」に保存できます。保存期限はないので、端末からうっかり削除しても、端末そのものが壊れても、いつでも取り出せるので非常に心強いです。
さらにうれしいのは、「しおり」や「マーカー」もネット書庫に保存し、各端末で共有できること! たとえば、自宅のタブレットで本の大事なポイントに「マーカー」をつけておき、仕事中に、スマートフォンで再確認なんてことも簡単にできるわけです。前述の情報スクラップ帳が複数の端末上で共有できるわけで、さらに活用の幅が広がりそうです。多数の本を用いて、引用や出典を明らかにしながら資料やレポートを作成する、というときにも、かなり威力を発揮するのではないでしょうか。
最後に「ネット書庫」とあわせて活用したい、「GALAPAGOS STORE」の新しい進化もご紹介しておきましょう。4月20日から、「GALAPAGOS STORE」は通常のWebブラウザに対応しました。これにより様々な端末から「GALAPAGOS STORE」にアクセスし、本を購入できるようになりました。
これまでは、パソコンからは書籍の扱い有無を確認できるだけで、実際の購入はスマートフォンやタブレットを出して、また検索して……と少々面倒でしたが、これからは休憩時間に愛用のWebブラウザで「GALAPAGOS STORE」にアクセス。検索から購入までノンストップです。購入したコンテンツは、すべて「ネット書庫」に保存されるので、端末にダウンロードするだけですぐ読めます。探したい、買いたい、読みたいという旬を逃しません。
「GALAPAGOS STORE」を利用する際、会員登録も、ログインIDを覚えるのも面倒という方にも朗報です。これからは、使い慣れたTwitterやFacebookのIDでユーザー登録できます。「ネットのサービスって、アカウントややこしくて、すぐわからなくなるからイヤ……」という方は、ぜひお試しあれ!
ログインしたら、新しい本と、これまでご紹介してきた数々の便利な機能が待っています。さっそく今日から「GALAPAGOS STORE」にアクセスしてみてください。今日出会った本の知識が、明日のあなたを助けるかもしれません。
(すずまり)
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