最近、ノートPCが劇的に欲しい俺。理由はいくつかあるが、例えばWindows Vistaはモバイルによく適したOSなんじゃないかナと思ったこと。それから、仕事関係でノートPC必須な状況が増えたこと。また、家の中のどこにいても思い立った時にノートPCを使いたいという思いも。

 そのあたりを考え合わせつつ、これから買うノートPCに求められる要素を挙げると、まず持ち歩けること。なるべく軽くて小さいのがイイ。んですけど、単に小さいってだけだと……画面表示もキーボードも小さいわけで、読みづらく書きづらいノートPCになってしまう。小さく軽いけど、読みやすく書きやすいのがいい。

 それからバッテリーのもち。言うまでもなく、長時間使えるほど有り難い。実際は5〜6時間使えれば十分役立つが、もっとバッテリー持続時間が長ければ、その分、充電のコトを気にせず気楽に使える。ので、電池のもちは長ければ長いほど嬉しい。  同時に、モバイルPCだからと言って1スピンドル、つまりHDDのみ搭載で光学ドライブがナイのは寂しい。つーか実際やや不便。時にはCD-Rにデータを書き込む必要がある。また、どこにでも持ち運べるPCなら、好きな場所で音楽CD聴いたりDVD観たりしたい。となると、やはり2スピンドルノートが欲しいキモチ。

 あと、外見。せっかく選ぶんだから、飽きのこないカタチだったり色だったりするのがいい。ていうか外見は重要っすよマジで。ぶっちゃけ、気に入らない外見のノートPCだと、いくら安くても高性能でも、使うときの満足感っつーものに乏しい。

 ついでに、欲を言えば、ワンセグが観られて、Bluetoothアダプタ内蔵で、もちろんOSはWindows Vistaで……と、いろいろな要望が出てくるモンですな。  2スピンドルで小型軽量で電池がもって原稿とかガシガシ書けたりもしてワンセグにもBluetoothにも対応で、って、我ながらなんか無理な欲望!? そんなノートPCあんのか!? と思って探してみたら、スコッと見つかった。富士通のFMV-BIBLO LOOX T70UN。てなわけで、早速このノートPCを試用してみた。

 可搬性が!! バッテリーが!! 光学ドライブが!! とか細かいコトをぬかしている俺だが、まずはFMV-BIBLO LOOX T70UN(以下、LOOX T)の外見に惹かれた拙者。てゅーかですね、コレ、カッコイイんすよ。


FMV-BIBLO LOOX T70UN
 
総じて大人っぽい静かな佇まい

 何と言うか、総じて大人っぽいトコロが良い。直線を基調としたデザインで、至って静かな佇まい。ノートPCとして風変わりだったり突飛だったり、あるいは出しゃばったりするような印象がない。

 こういうデザインだと飽きなさそうですな。見た途端、「あ、ソレって○○でしょ」とかメーカー・型番を言い当てられるノートPCだと、なんつーかですね、自分の持ち物というよりも、どこぞのブランドの例のアレ、という見え方になりがち。そういう意味で、LOOX Tの“お仕着せがましくない意匠”は好きだ。こういう方向のクールな外見は、多くの人に受け入れられやすそうである。

 ちなみに、カタログモデル(店頭市販モデル)のLOOX Tのカラーは、ベルベットブラウンとレザーホワイト。どちらも光沢なしのシンプルな色だが、もうちょい色気が欲しい!! てな場合、WEB MART限定カスタムメイドモデルが楽しい。

 WEB MART限定カスタムメイドモデルとは、LOOX TのHDDやメモリ、ソフトウェアを自由に組み合わせて注文できる、いわゆるCTO販売モデルだ。WEB MART限定カスタムメイドモデルの場合、LOOX Tの天板カラーを9色から選べる。

 で、この天板の色、これがかなり魅力的。俺的見解では「こんな色の天板って、誰が買うんスか(笑)」みたいなアリエネー色がない。どれも深く静かで渋めの色合いで、選択にかなり迷いそうなカラーラインナップ。派手過ぎとか下品系といったイメージの色がなく、総じて“和”を感じさせる美しい色合いの天板となっている。

光沢無しのマットカラー天板が5色。白と茶以外はWEB MART限定カラー   光沢ありのグロスカラー天板は4色。こちらはWEB MART限定カラー   光沢あり天板は、艶やかでグロス感たっぷり

筐体表面に突起や段差が無いフルフラット・サーフェスデザインなので、クールな印象だ
 実際にLOOX Tを使ってみて、まずポータビリティの高さとPCとしての使いやすさを実感した。って文章で書くとカンタンになっちゃうんですけど、可搬性が高く、かつ、使いやすいモバイルノートって、そう多くはないんである。

 第一に、LOOX Tの質量が持ち歩きに向くこと。標準添付のバッテリーを装着した状態で、約1キロ程度。外形寸法は272.9×200.9×27.1〜29.9ミリで、ビジネスバッグにすっぽりと収まるコンパクトサイズ。これなら毎日持ち出してもさほど苦にならないだろう。

 もちろん、もっと小型・軽量のモバイルPCもある。が、LOOX Tの場合、軽さ・コンパクトさと、ノートPCとしての使いやすさを両立しているのだ───液晶ディスプレイは10.6型ワイド・1280×768ドット表示なので長時間見続けても疲れにくい。フルサイズキーボードに近いキーピッチがあり、一部キーがヤケに小さいというような変則的な部分がほぼない点が使いやすい。モバイル指向のコンパクトさを保ちながら、いきなりタッチタイピングで原稿を書けちゃうという実用性は、素直に嬉しい。


変則的な部分がほぼない、使いやすいキーボード
 
いきなりタッチタイピングで原稿も書けちゃう!

 このサイズで、この液晶とキーボード。というコトを意識してイロイロな場所で使ってみたが、なんつーかこのバランス、ノートPCを使う場合においてちょうどいい感じですな。会議・会合でちょいと開いて使うにもいいし、喫茶店とかでモバイルするにも快適。家の中で場所を変えて使うノートとしても、液晶もキーボードも小さすぎるってコトがないので気楽に使える。

 メインPCにするには、んー、画面のサイズと解像度がもっと高い方がいいなぁ、とは思う。が、いろいろな利用シーンを想定可能なモバイル指向のノートPCとして、非常に良いサイズ・質量・使用感のバランスを持っているLOOX Tだと感じた。


必要に応じ、光学ドライブや増設バッテリーをセットできるモバイル・マルチベイ構造
 前述の“ノートPCに対する俺的要望”を満たすノートPCって、実際のところ、LOOX Tくらいしかナイかも。

 だいたい、2スピンドルとか言い始めた時点で、ある程度大きなノートPCになる。また質量も大きめになりますな。それに、2スピンドルのノートPCだと“ヤケにバッテリーがもつ”という機種も少なくなってくる。

 が、LOOX Tの場合、2スピンドルのノートPC───HDDに加えて内蔵の光学ドライブを使えるノートPCである。そして実は、最大約14.1時間のバッテリー持続時間を誇るノートPCでもある。さらに、前述のように“モバイルに適するサイズ・質量・使用感”がある。……なんか微妙にウソっぽい話だが、これホント。その秘密は、LOOX T(やFMV-BIBLO MGシリーズ)に採用されているモバイル・マルチベイ構造にある。

 モバイル・マルチベイ構造は、本体右サイドにある汎用のスロット。必要に応じ、このスロットに光学ドライブや増設バッテリーをセットできる。ココに何も入れなければ、その分、本体が軽量化される。

 例えばですね、出先でバリバリとモバイルしたい場合、モバイル・マルチベイに増設バッテリー(オプション品)を入れる。と、最大約14.1時間も使えちゃう。連続して使うと人間のほーが先にシャットダウンですな。ここまでバッテリーがもてば、数日の出張でもACアダプタが不要かも!?

 あるいは、このモバイル・マルチベイにスーパーマルチドライブ(DVD±R DL書き込み対応/標準添付品)をセットすれば、ソフトウェアのインストールやCD-R・DVD-R等への書き込み、音楽CDやDVDビデオの再生を行える。外出時、モバイル・マルチベイに増設バッテリーを入れて持ち歩き、必要な時だけスーパーマルチドライブに挿し換えて使うってのもアリですな。

増設バッテリーと併用で、最大約14.1時間も使えちゃう!
 
必要な時だけスーパーマルチドライブに挿し換えて使うってのもアリ

朝から晩まで一日中ACアダプタなしでも、電源の心配全然ナシ!

 LOOX Tをとにかく軽快に持ち歩きたい!! てな場合は、モバイル・マルチベイに何も挿さない。この場合、標準添付のモバイル・マルチベイ用カバーをセットしておくわけだが、この状態で1キロ程度の重さになる。かなり軽量にモバイルできるってわけだ。

 最初は「ふーん、そういうシクミなのね」程度に思っていたモバイル・マルチベイだが、実際使うとマジ便利ですなコレ。

 俺の使い方では、例えば室内使用では、モバイル・マルチベイに増設バッテリーを入れて使う。と、前述のようにヤケにバッテリーがもつわけですよ。実質、朝から晩まで、テレビ観ながらとかコーヒー飲みながらとか毛針巻きながらとかして場所を移動しつつ使っても、電源の心配全然ナシ。室内にはコンセントが多々あるのでACアダプタでの使用が現実的、とか思いがちだが、ACアダプタに束縛されずに一日中たっぷり使いまくれる現実は、ことのほか快適である。

 屋外モバイル利用では、状況に応じてイロイロと───丸一日使えればいいなら、本体付属の標準バッテリーだけで使う。標準バッテリーだけでも最大約10.4時間使えるLOOX Tなので、ま、一日たっぷりとバッテリーがもちますな。1〜2日以上続けて使い、さらに出先で充電のチャンスがないかも!? てな場合、モバイル・マルチベイに増設バッテリーをセット。前述のとおり、最大約14.1時間も使えるので、5時間の会議が2日連続であったりしても安心できる。場合によっては、これに光学ドライブを追加して持ち出すことも。

 通常でも十分バッテリーがもつモバイルノートPCとなり、時にはヤケクソにバッテリーもちまくりなノートPCとなりながらも、実は小型・軽量2スピンドルノートPCにもなるLOOX T、の、モバイル・マルチベイ構造。なるほど!! こりゃノートPCの利用幅を広げるアイデアだわ!! と改めてその利便性を感じた次第だ。

 LOOX Tを使ってみて、いちばん良かったのは、前述の“サイズ・質量・良好な実使用感のバランス”と、それをより現実的にするバッテリー持続時間およびモバイル・マルチベイ構造。あ、あと外見もですけど。他にも、細かいながらも好印象となった点が多い。

 例えばワンセグ対応という点。最初は「ノートPCでモバイルでワンセグ観るかぁ!?」とか思った拙者である。……ぶっちゃけ、ワンセグはケータイでいいんじゃない? とか思ったが、LOOX Tの場合、まずスゲくバッテリーがもつし、ディスプレイ表示も美しい&大きく見やすく設定できるので、LOOX Tでワンセグ観たほーがラクだし楽しいですな。

 それからBluetoothアダプタ内蔵ってコト。実はLOOX Tにはaudio-technica製のハイクオリティなヘッドホンが付属していて、コレがなかなかイイ音で快適だが、一方でBluetoothヘッドセットとの併用がナイスだったりする。要は無結線でLOOX Tからの音を聴けるわけですな。LOOX Tをパカッと開き、Bluetoothヘッドセットを装着し、ワンセグ視聴。このスムーズさスマートさ、そして快適さは、ワンセグ&Bluetooth対応PCならではだが、バッテリーを気にせずコレを行えるのはLOOX Tならではの強みだと思う。

 それと、LOOX Tにこっそり実装されているデバイス類。画面上部にはWebカメラおよびデジタルマイクが内蔵されているので、各種テレビ電話系サービスなんかをサクッと利用できる。キーボード部手前のタッチパッド下方には、指紋センサーが内蔵されている。これにより、Windows Vistaへのログオンを指先のタッチだけで行えたり、あるいはウェブブラウザ等使用時には指先のスライド操作でスクロールを行える。


キーボード部手前のタッチパッド下方には、指紋センサーを内蔵
 
Vistaへのログオンや、ウェブブラウザ等の使用にも使えて便利!

 モバイルPCってコトで、耐久性にも工夫がある。例えば本体は設計時に天板方向からの全面加圧で200kgfもの試験をクリアしているので、通勤時に満員電車で少々押されたりしても安心できそうだ。また、本体内の3D加速度センサーによるHDDプロテクション(衝撃が加わるとHDDのヘッドが待避する)機構により、突然の衝撃からHDDを守る。ちなみに、このHDDプロテクション機構、付属のShock Sensor Utilityにより動作モード等を変更できる。また、衝撃の度合いをリアルタイムで見られたりして、ちょいと楽しげだったりもする。


HDDプロテクション機構により、突然の衝撃から守られるHDD
 
Shock Sensor Utilityでは、衝撃の度合いをリアルタイムで見られる

グロス感バツグンでカッコよく、さまざまなシーンで活用できる一台だ!

 他、LOOX TはWindows Vista Home PremiumをOSとして搭載したノートだが、Windows Vistaは問題なく使えております(当然ですけど)。Aeroもしっかり動いてますな。状況によってはHDDアクセスが多発して若干動作が遅く感じられることもあるが、通常使用時はおおむね快適。Windows Vistaの場合、ClearType対応日本語フォントであるメイリオが使えて、文字のDPI値も容易に変更できるので、画面上の日本語を非常に読みやすく設定できて快適だ。

 てなわけで、LOOX T、家の中でも外でも、場所・使用スタイルを問わず快適に使えるWindows Vista対応ノートとして、強い現実味を感じた。モバイル特化型とか、デスクトップリプレイスメント系とか、ノートPCとして特定のジャンルに属さないあたりが魅力。ユーザーの使い方に合わせて、さまざまなシーンで活用できる一台だと思う。

 

関連情報

・富士通 FMV
http://www.fmworld.net/fmv/

・富士通 FMV-BIBLO LOOX T シリーズ
http://www.fmworld.net/product/hard/pcpm0701/biblo_loox/lt/index.html

・WEB MART LOOX T シリーズ
http://www.fujitsu-webmart.com/


関連記事

・富士通、1.18kg/10.4時間駆動の「LOOX T」〜Core 2 Duo搭載「BIBLO MG」は1.68kgより(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0115/fujitsu2.htm

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。