規模の大小を問わず、現状のオフィスでは、コストの問題にどう取り組むかが大きな悩みとなっている。もちろん、単に「コスト」と言ってもさまざまな意味を持つが、オフィスで重要になってくるのは印刷環境、特にそのランニングコストだろう。

 たとえば印刷に利用する機器そのものに無駄はないだろうか? 現状、大企業だけでなく、中小規模の企業でも、コピー機をベースに、印刷やFAX機能を追加した大型の複合機を導入するケースが少なくない。

 しかし、そこまで高性能で多機能な複合機は本当に必要なのだろうか? 現状のリース費用や使い方を検討すれば、もしかすると、もっと機能を抑えた機種でも十分なのではないだろうか?

 また、ランニングコストは無駄にかかっていないだろうか? 複合機の場合、毎月のリース費用に加えて、コピーや印刷、FAX、1枚ごとに課金されるカウンターチャージが必要になることが一般的だ。この費用が毎月どれくらいかかっているのか? カウンターチャージも含めた1枚あたりの印刷に必要以上のコストがかかっていないか? といった点は慎重に検討する必要があるだろう。

 さらに、印刷環境が生産性の低下につながっていないかも重要なポイントと言える。印刷のためにわざわざ複合機のある場所まで移動したり、順番待ちをするといった無駄は、生産性の低下という間接的なコスト増につながっている可能性がある。

 とは言え、既存の印刷環境を保ったまま、単に印刷回数を減らす、紙を少なくする、設置場所や使い方のルールを再検討するといった工夫だけでは、改善にも限界がある。このため、現状の業務効率を低下させることなく、いやむしろ業務効率も向上させながら、それでいてコスト削減やエコへの貢献を実現する抜本的な改善が求められているわけだ。

 では、具体的に前述したような課題をどのように改善していけばいいのだろうか?

 まずは、複合機の使い方を見直してみることが重要だ。オフィスによって使い方は多少異なるが、複合機の主な用途はやはりコピーだ。であれば、複合機はコピー用としてのみ利用し、印刷用のプリンターを別途用意するという方法がある。

 これにより、複合機の台数を減らすことが可能となる。社内に複数台の複合機がある場合は、コピー用に1台だけ複合機を残し、あとはレーザープリンターやビジネスインクジェットプリンターにリプレイスしてしまうこともできるだろう。場合によっては、モノクロコピー機1台のみという、より低コストでシンプルな複合機にリプレイスすることも可能だ。

 このような改善により、カウンターチャージなどの毎月のコストも削減できる。カウンターチャージ方式の複合機をさまざまな用途に利用している場合、コピーだけでなく、文書や資料の印刷にもカウンターチャージがかかっていたが、これをコピー用のみに抑えることができるわけだ。

 もちろん、カウンターチャージの代わりに、プリンターの消耗品コストがランニングコストとして発生することになるが、プリンターの1枚あたりの印刷トナーコストや印刷インクコストは、カウンターチャージを含めた複合機のコストに比べると驚くほど安い。

 複合機の料金体系はメーカーやメンテナンス会社によって異なるが、一般的には、月額基本料金として数千円程度の料金に加え、印刷1枚あたりのコストがカウンターチャージが発生する。

 これに対して、例えばビジネスインクジェットプリンターの場合、1枚あたりの印刷インクコストは、製品にもよるが、5円程度のものも存在し、非常に安い。複合機では、毎月の基本料とカウンターチャージを合わせて数千円から数万円のランニングコストがかかるが、ビジネスインクジェットプリンターの導入によって、このコストを数分の1、場合によっては十数分の1にまで押さえることもできるわけだ。

 しかも、このようなプリンターの導入は生産性の向上につながる可能性もある。1台の複合機を共有することで設置場所までの移動や順番待ちが発生していたが、低コストで設置場所も選ばないビジネスインクジェットプリンターならオフィス内の複数の場所に設置できるため、場所の移動や順番待ちの手間がなくなるというわけだ。

ビジネス使用に特化した、エプソンのオフィリオプリンター「PX-B510」

 このように複合機の環境に、プリンター、それもビジネスインクジェットプリンターを導入することで、オフィスの印刷環境を改善し、印刷にかかる全体的なコストを削減できる。しかし、ビジネスインクジェットプリンターといってもさまざまな製品がある。果たしてビジネスシーンに適したプリンターとは、どのような製品なのだろうか? そのポイントを「ローコスト」、「エコロジー」、そして「パフォーマンス」という観点から見ていこう。

 インクジェットプリンターと言うと、家庭向けの製品を思い浮かべることが多いかもしれないが、ビジネスシーンでの利用が考慮された高性能、多機能な機種も存在する。具体的にはエプソンの「PX」シリーズなどが代表的だ。機能や価格によっていくつかの製品がラインナップしており、手頃な価格で導入できる「PX-203」から、高い実力を備えた「PX-B510」などの製品がある。

 最大の特徴は、徹底追求された低ランニングコスト仕様だ。そもそもPX-B510の本体価格はハイエンドモデルながら税込み59980円(エプソンダイレクトショップ販売価格)と導入しやすい設定となっているが、導入後にかかる印刷インクコストはA4カラー1枚あたりで約4.8円と非常に安い。

 また、消費電力も低く抑えられており、1ヶ月の電気代はわずか約15円しかかからない。エプソンのA4カラーページプリンター LP-V500と比較すると、消費電力量は約92%も低減されているため、導入後にかかる費用を低く抑えることができるというわけだ。

 続いてエコロジーという観点に注目してみよう。PX-B510の場合、3年間の利用を想定した場合のCO2排出量は103kgとなっており、エプソンのA4カラーページプリンターLP-V500との比較で、76%もCO2排出量を低減することができる。コストという目の前の課題にとらわれ過ぎると、ついついエコロジーという観点を忘れてしまいがちだが、エプソンのビジネスインクジェットプリンターでは、この2つの課題が同時に解決できるようになっている。エネルギーや資源を無駄に消費しない「エコロジー」な製品だからこそ、コストもしっかりと削減できる「エコノミー」な存在と言えるだろう。

 
1カ月の消費電力量の比較(エプソン評価条件による)
 
3年間のライフサイクルでのCO2排出量の比較(CO2換算:kg)(エプソン評価条件による

 最後にパフォーマンスについて見ていこう。複数のユーザーでプリンターを共有したり、多くの枚数の文書を印刷することを考えると、高速な印刷ができることは、ビジネスシーンには欠かせない条件と言える。その点、PX-B510の印刷スピードはカラー・モノクロともに最速で約37枚/分と非常に高速になっている。インクジェットプリンターは、インクを射出するヘッドを左右に動かしながら紙に印刷するというしくみになっているが、このヘッドをワイド化したり、高速に移動させたり、インクの射出量を拡大したりすることで、高速に印刷できるように工夫していることになる。

   
【動画】PX-B510の印刷動作イメージ。カラー・モノクロともに最速で約37枚/分の印刷スピードを実現した
 
【動画】ワイドヘッドの印刷イメージ。従来よりもワイド化したヘッドで、一度のヘッドの移動でより多くのデータを印刷できる
 
【動画】ワイドヘッドのインク射出イメージ。インクを射出するノズルを各色2列ずつ配列している

 このほか、標準で両面印刷に対応していたり、有線/無線のネットワーク機能も標準で搭載するなど、オフィスでの利用に欠かせない機能もオプションなしで利用することができる。まさに、業務効率を向上させながら、それでいてエコノミーでエコロジーな一台と言えるだろう。

 
プリンターとの接続は、USBのほか、有線/無線のネットワーク機能も標準で搭載
 
PX-B510は、標準で両面印刷ユニットを搭載する
印刷機能のみで、1万円台を実現した「PX-203」

 なお、印刷枚数が少ないため、もっと手軽な機種で十分という場合は、9月2日に発表されたビジネスインクジェットプリンター「PX-203」を選ぶのも1つの手だ。機能を印刷機能だけに絞りこみ、1万円台とリーズナブルな価格に設定し、手軽に導入することができる。こちらもA4の印刷インクコストがA4カラーで1枚約9.0円となっており、オフィスの印刷コスト低減に貢献できる。さらに、スピードもA4カラー、モノクロともに、最速で約38枚/分と高いスピードを実現しており、小規模なオフィスや部門単位のプリンターとして利用するのに十分な実力を備えている。両面印刷機能や有線/無線のネットワークももちろん標準対応だ。

 
フロントカセットに、最大250枚の用紙をセットできる
 
ブラックインクは大容量のものを採用している

 全国の家電量販店やショッピングセンターなどでも扱われており、プリンター本体だけでなく、消耗品インクの入手がしやすいのも大きな魅力となっているので、用途や規模によっては、PX-203の利用も検討してみるといいだろう。

 このように、PX-B510やPX-203などのビジネスインクジェットプリンターを利用すれば、社内の印刷環境をガラリと一新することが可能だ。

 たとえば、既存の環境から、カウンターチャージ方式の複合機を1台に削減して、社内の部門単位(島単位)にPX-B510を設置すれば、フロアの端から移動しなくても済むうえ、印刷待ちも最小限で済むようになる。しかも、1枚あたりの印刷インクコストが安いため、資料の中のカラーの部分が少ないなどで、これまで複合機での印刷をガマンしていた資料もすべてカラーで印刷できるようになる。役員向け資料だけカラーで他はモノクロといった使い分けをする必要もなくなり、仕事自体を効率化することもできるだろう。

 このようにエプソンのビジネスインクジェットプリンターは、ビジネスの現場で課題となっているコスト削減や業務改善に適した製品と言えるが、中には、これまで家庭用製品に多かった「インクジェット」という方式のイメージから、「本当にビジネスで使えるのか?」と疑問を持つ人も少なくない。しかし、エプソンのビジネスインクジェットプリンターであれば、このような心配は不要だ。

 たとえば、品質という面では、インクの「にじみ」を心配する人が多いかもしれないが、全色顔料インクを採用した製品であれば、にじみを気にする必要はない。

 同じインクジェットプリンターでも、水に溶ける性質の染料インクを採用している製品の場合、普通紙への印刷で文字がにじんでしまったり、水に濡れたり、マーカーなどで上から線を引いてしまうと、文字や図版が見えなくなるほどにじんでしまう場合があるが、耐水性の高い顔料インクを採用したインクジェットプリンターであれば、普通紙にもエッジの際だったはっきりとした印刷できるうえ、雨などで若干ぬれたしてもにじむことがないので文字をしっかりと読み取ることができる。

 インクジェットだから「にじみ」に弱いというのは、もはや必ずしも当てはまるものではなく、エプソンのビジネスインクジェットプリンターのように、顔料インクの採用できちんと対策をしていれば、もはや問題にはならないわけだ。

     
【動画】顔料インクの耐水性実験ムービー。水に強くにじみにくい
 
【動画】顔料インクの耐汚性実験ムービー。水性マーカーでマークしてもにじみにくい
 
【動画】顔料インクの速乾性実験ムービー。プリント直後に指でこすってもかすれない
 
【動画】顔料インクの定着性実験ムービー。重ねた印刷物の上からペンでメモしても裏に跡が残らない

 また、用紙やインクのメンテナンスに手間がかかるとも思われがちだが、これも必ずしも当てはまらない。PX-B510では、フロントカセット500枚+リアASF150枚の合計最大650枚の大容量給紙が可能となっており、用紙切れによる印刷の中断や頻繁な給紙に悩まされることがない(※1)

 PX-B510では、フロント側にインクカートリッジが独立して装着されているため、万が一、インク切れになってもすばやく交換することができる(※2)。また、ワイパークリーナーによってドット抜けの原因となるヘッドの汚れを自動的にクリーニングしたり(※3)、ノズルのつまりをチェックして自動的にヘッドをクリーニングする自動ノズルチェック機能なども搭載しているため、ドット抜けのトラブル対策に追われることもない(※4)

 
フロントカセット500枚、リアASF150枚の、合計最大650枚の大容量給紙が可能
 
インクカートリッジや用紙補給など、主な操作部を前面に集中させている
 
大容量のインクカートリッジを搭載し、カラー印刷の低コスト化に貢献している
 
前面に配置される操作パネル
   

 毎日休みなく、大量の印刷が求められる業務用のプリンターでは、ハードウェア自体の劣化や故障も心配になるが、この点の対応も万全だ。PX-B510の耐久枚数は10万枚(※5)となっており、頻繁に利用しても故障する可能性が非常に低くなっている。つまり、メンテナンス作業やトラブル対応、故障にかかる手間や時間を軽減し、業務が中断する時間を最小限に抑えることができるというわけだ。

 「インクジェットプリンターは仕事には向いていない」というのは、もはや過去の話、もしくはビジネスシーンでの利用を想定していない製品の話であり、エプソンのビジネスインクジェットプリンターには当てはまらないのだ。

さまざまな用紙への印刷に対応しており、窓付き封筒やハガキへの印刷もできる

 このほか、かつてはオプション扱いの場合が多かったネットワーク機能も標準で搭載されており、買ってすぐにビジネスの現場に投入できるのも魅力だ。また、ビジネスインクジェットプリンターならではの豊富な用紙対応能力によって、封筒やハガキ、名刺の印刷が手軽にできたり、チラシやPOPの制作なども簡単にできるのも大きなメリットと言える。

 コストを削減し、エコに貢献しながら、業務の改善に大きく役立つ。このように、ビジネスインクジェットプリンターをビジネスシーンで利用するメリットは非常に大きいと言える。これからは、むしろ「ビジネスだからこそインクジェット」と、積極的にビジネスインクジェットプリンターを選ぶべき時代と言えそうだ。

※1:PX-203は最大250枚
※2/3/4/5:PX-203は非対応

(Reported by 清水理史)

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