インターネットの登場により、あらゆる情報を誰でも簡単に入手することができるようになった。必要とする情報を、キーボードを叩くだけで手に入れられることで、多くの人に利便性を与えている。

 オフィスにおいてもその存在は絶大だ。検索サイトをクリックすれば、ビジネスに直結するデータや文書、動画や画像が瞬く間に入手できる。今やインターネットなしの生活や企業活動は考えられないだろう。

 だがその反面、情報が洪水のように氾濫し、情報過多な状況にあるのも事実。オフィスでは膨大な情報が飛び交い、あちこちに分散され、本当に必要な情報がどこにあるのかが分かりにくくなってしまっている。今は情報を収集することと同じレベルかそれ以上に、情報を集めて活かす力、「情報集約力」が問われているのだ。

 その「情報集約力」を高めるうえで欠かせない機器となっているのが複合機だ。プリンター、スキャナー、コピー、ファクスといった機能を1台で司り、まさにオフィスのあらゆる情報を集約している。紙の資料も瞬時に電子化して、利用シーンごとに適した形式に変換し、情報のインプットとアウトプットを一手に引き受ける複合機は、オフィスの「情報ハブ」といえるだろう。今回は、20万円を切るお手頃価格を実現した注目モデル、エプソンのオフィリオ複合機「LP-M5000シリーズ」の魅力に迫ってみよう。

見やすい液晶ディスプレイと大きなボタンを備え、使いやすい操作パネル

 今回、紹介するオフィリオ複合機「LP-M5000シリーズ」は、エプソンのカラー複合機ラインアップのなかでも「ベーシックモデル」に位置づけられる製品だ。プリンター、スキャナー、コピー、ファクスそれぞれの機能をコンパクトに集約した多機能・省スペースの複合機で、オフィスや仕事場でのドキュメントワークが、これ1台で完結する。

 まず注目したいのは、その価格だ。LP-M5000シリーズはオープンプライスだが、参考価格は19万9980円(税込)からとお手頃(ファクス機能付きLP-M5000FZは、参考価格 税込43万9980円)。この価格なら企業ユーザーだけでなく、SOHOユーザーでも十分、導入できるのではないだろうか。

 経済的なのは価格だけではない。LP-M5000シリーズは、プリンターベースの複合機なので、出力枚数に応じて課金されるコピーチャージが不要だ。

コピーチャージとは、カラー/モノクロを問わず、コピー枚数(プリンターやファクスとして出力した場合も含む)に応じて課金するシステムのこと。この価格にはメンテナンス料金も含まれている。LP-M5000シリーズは、このコピーチャージが要らない。しかも、トナー交換や感光体交換などが簡単なのでほとんどのメンテナンスをユーザー自身で行え、必要に応じて保守サービス契約を結ぶことができる。つまり、コピーもプリントもファクスも消耗品代だけで使用できるというわけだ。

 ランニングコストも経済的だ。A4サイズ1ページあたり、カラー出力が約15.5円、モノクロ出力が約3.0円と安く、カラー出力メインでも、モノクロ出力メインでも月々の経費を低く抑えられる。厳しい経済情勢のなかにある現在、オフィスでの経費削減は必要不可欠。LP-M5000シリーズはそれを力強くサポートする製品だ。

 使いやすい操作パネルも特長の1つ。見やすい液晶ディスプレイと大きなボタンを操作パネルに採用しているので、誰もが簡単に使うことができる。操作パネルは、利用シーンに合わせて角度を変えて調節することができるなど、ユニバーサルデザインを採用。車いすに乗ったままでも利用でき、オフィスで働く人たちの使い勝手や使いやすさが考慮されている。

   
操作パネルはさまざまな利用シーンに対応できるように、角度を変えて調節することができる

 ここまでで、LP-M5000シリーズは「価格・経済性・使いやすさ」という複合機選びの重要部分をきっちりと抑えた製品であることがお分かりいただけただろうか。だが、LP-M5000シリーズの魅力はこれだけではない。プリンター、スキャナー、コピー、ファクスのそれぞれで、必要充分な機能が盛り込まれているのだ。以下ではそれらについて詳しく紹介したい。

複数ページをオートドキュメントフィーダーから一度に取り込む際、マルチページまたはシングルページを選択できる

 情報の集約に威力を発揮するのがスキャナー機能だ。複合機といえば、コピーやプリントがメインの使用用途と思われがちだが、このスキャナー機能を活用することでオフィスの情報のやりとりが活発になり、大きなメリットを生み出す。スキャン時には、原稿内容や用途に応じて、データの汎用性が高くビジネスでよく使われるPDF、JPEG、TIFFの3つのファイル形式から選択できる。また、複数ページをオートドキュメントフィーダーから一度に取り込む際は、複数の書類を1つのファイルにまとめる「マルチページ」と、個々のファイルに分ける「シングルページ」のいずれかを選択することも可能で、ユーザーの利便性を考え抜いた製品なのだ。

 さらに、スキャナーから共有フォルダへデータを保存したり、スキャンしたデータを添付ファイルとしてメール送信したりすることもできる。オフィスの「情報ハブ」としての真骨頂といえるだろう。

 「スキャン to ファイル機能」では、データの保存先をネットワーク上の共有フォルダに設定できる。デジタル化した文書を個人だけでなく、メンバーで共有して利用可能なため、情報をさまざまな視点からとらえることができ、その情報が新たな価値を持つようになる。スキャン to ファイル機能は、今やオフィスに欠かせないものだといえよう。

 フォルダ登録件数は10件で、LP-M5000シリーズの操作パネル上で設定が可能。転送ファイルフォーマットは、PDF、JPEG、TIFFの3つから選べる。PDFとTIFFでは、マルチページとシングルページのいずれかを選択でき、用途にあわせて使い分けられる。

 「スキャン to メール機能」では、スキャンしたデータをLP-M5000シリーズから直接メール送信できる。原稿をセットし、送信先を指定する。あとはスタートボタンを押すだけで添付ファイル付きの電子メールを送信できる。カラーの文書もカラーのまま、直接送信することが可能だ。50件までのメールアドレスを送信先として登録でき、送信ファイルフォーマットは、PDF(マルチページ/シングルページ)、JPEG、TIFF(マルチページ/シングルページ)から選べる。

 「ネットワークスキャン機能」では、標準添付されているスキャナードライバー「EPSON Scan」を、ネットワーク上の個々のPCにインストールすることにより、自席のPCからスキャンを実行し、デジタル化したファイルを保存できる。取り込み時の解像度の設定や画像の調整もPCから行える。

USBポートを備えており、PCを介さずに直接USBメモリーにスキャンできる

 利用度の高い文書や画像のデジタル化をサポートするため、紙のままコピーをとるのではなく、USBメモリーへのPCレス・スキャンが可能な「スキャン to USBメモリー」機能も備える。これにより、ドキュメントワークの効率性、機動性をよりいっそう高めている。

 情報の集約が必要とされる現在、LP-M5000シリーズの多彩なスキャン機能を活用すれば、それを効率的に行えるに違いないだろう。

モノクロ35.8枚/分、カラー8枚/分の高速印刷

 情報のアウトプットを司るプリント機能で、特筆すべきはその速さ。モノクロなら35.8枚/分、カラーなら8枚/分という高速印刷を実現している。

 「使用量の多い社内用の文書はモノクロ印刷でいいが、社外用の資料にはカラー印刷を使いたい」。そんな要望を持つビジネスパーソンは少なくないだろう。LP-M5000シリーズはそのニーズに応える製品なのだ。

 速さだけではない。高画質なのもLP-M5000シリーズの特長の1つだ。カラー、モノクロともに読みやすく、文字も画質もくっきりとシャープで落ち着いた画質を実現している。

 その秘密はトナーにある。球形に近い形状で、大きさも均質にした「EAトナー」を採用しているのだ。これにより用紙の表面性による影響を受けにくくなり、再生紙でも上質紙と比べて見劣りしない高画質プリントを可能にした。文字やグラフなどに最適なビジネス画質といえよう。

「EAトナー」を採用し、再生紙でも上質紙に見劣りしない高画質プリントが可能に
カセットユニット増設で、最大1835枚までの用紙セットができる

 豊富な給紙容量も見逃せない。MPトレイ(A3〜A5、190枚)と用紙カセット(A3〜A5、305枚)の2つを標準装備し、サイズの異なる用紙を使い分けられる「2Way給紙」を実現している。さらに、オプションで増設1段カセットユニット(A3〜A5、670枚)を用意。これを追加することで、最大1835枚までの用紙セットができるのだ。これだけ給紙容量があれば、大きな事業所での利用も十分に可能だろう。

 両面印刷機能も標準で搭載。複数ページの書類を印刷する場合、用紙枚数を半分に節約できる。紙資源を有効利用するとともに、出力したファイルの保管スペースも少なくなり、よりいっそうの経費削減が可能となる。

 USBメモリーに保存した画像データや文書ファイルを直接印刷することも可能だ。本体の前面にあるUSBポートにメモリーを装着することで、PCを介さずに直接印刷できる。オフィスの「情報ハブ」として、大いに利用してもらいたい機能である。

操作パネルのディスプレイに表示された「コピー機能設定画面」。直感的に使うことができる
ワンタッチでカラー/モノクロコピーができる

 プリント機能と同様、コピー機能でも、モノクロで35.8枚/分、カラーで8枚/分というスピードを実現している。オートドキュメントフィーダーを使えば、すばやく連続コピーすることもできる。さらに両面印刷機能を使って、片面原稿2枚を1枚の両面原稿にすることや、両面原稿の自動両面コピーもできる。

 使い方はいたって簡単。原稿台に原稿をセットし、「コピーモード」を選択。あとは、カラーでコピーしたいときには「カラー」のスタートボタン、モノクロでコピーしたいときには「モノクロ」のスタートボタンを押すだけ。カラー/モノクロ切り替えは不要なのだ。

 原稿に合わせた画像が選べる「コピー画質モード」も忘れてはならない。文字をくっきりと読みやすくする「文字モード」、写真をきれいに再現する「写真モード」、雑誌などの複写でモアレを防ぐ「文字・写真モード」、細い線を多用した図面などに適した「高精細モード」のコピー画質モードを装備している。

 このほかにも、LP-M5000シリーズは「拡大・縮小」や「割付コピー」、原稿台から浮いた部分(中央、枠)の影を消せる「影消しコピー」、原稿の上・下・左・右のいずれかに余白を確保してコピーする「とじ代(しろ)」機能など多彩なコピー機能を備えている。

 ファクス機能(LP-M5000FZのみ対応)でも、まず速さに注目したい。最高速度33.6kbpsのスーパーG3対応で、送受信時間を短く、通信コストをセーブする高速送受信が可能なのだ。また、オフィスワークに需要の多いA3サイズ対応しているのもありがたい。ただし、カラーファクスはA4サイズまでとなる。

 ファクス機能はPCと連動することで、より多彩な操作が可能。オフィスの「情報ハブ」として利用するにはうってつけだ。

 「PC to ファクス機能(Windowsのみ)」では、アプリケーションで作成した文書をパソコンから直接ファクス送信できる。これにより、ファクス送信前のプリントアウトを不要にし、用紙コストも削減できる。「ファクス to フォルダ機能」では、受信したファクスを、指定した共有フォルダへPDF形式で自動的に転送することができる。受信したファクスを任意のE-Mailアドレスへ自動的に転送する「ファクス to メール機能」もあるので、用途に合わせて機能を使い分けるといいだろう。

LP-M5000シリーズは、多彩なダイヤル機能を備える

 多彩なダイヤル機能も用意している。

 ファクス番号は最大200件まで「短縮ダイヤル」として登録でき、短縮ダイヤルの中から最大12件まで「クイックダイヤル」として操作パネル上のボタンに設定可能。素早く送信先を指定できる。短縮ダイヤルは最大20件までグループ化して、一斉送信することもできる「グループダイヤル」機能もある。

 ファクス番号や、PCファクスの宛先などをパソコンから登録できるユーティリティーソフトウェア、「EpsonNet Config」を標準添付しており、ぜひこれも使いこなしたい。

 ファクスがカラーで送受信可能なのも特長の1つだ(A4まで)。RGB各色8ビット、JPEG圧縮の「カラー送受信モード」を装備している。

 複数のPCで共有できる100BASE-TX/10BASE-T対応のネットワークインターフェイスを標準装備しているのも便利な点だ。オフィスにあるすべてのPCで共有するネットワークプリンターとして、またネットワークスキャナーとして積極的に利用できる。LP-M5000シリーズは、まさにオフィスの「情報ハブ」なのだ。

 印刷出力のセキュリティ対策もきちんと考えられている。顧客情報や社員の給与明細など、たとえ社内ではあっても、他人に見られてはいけない情報がある。こうした情報が掲載されたドキュメントを印刷する際に他人に見られたり、取り間違うリスクを低減したりする機能を備えている。「パスワード認証印刷」は、本体だけで実現する認証印刷システム。認証デバイスを用いることなく、プリンターのパネル上でパスワード入力を行い、 認証印刷が可能となる。

 また、不正利用抑止のためのセキュリティ対策「透かし印刷」機能も備えている。「透かし印刷(プリンタードライバー)」では、住民票や印鑑証明書などのように、コピーやスキャンしたときに文字が浮き上がる地紋を、ドキュメントの印刷と同時に行う。これにより、原本なのかコピーなのかを一目で見分けることができる。出力結果のトレーサビリティ(遡って確認)が向上するとともに、印刷物のコピーの不正利用を抑止することが可能になる。

 任意のテキストを透かし文字として登録することや、透かし文字のサイズ・角度・配置の設定も可能だ。

   
コピー結果:白抜き
 
コピー結果:浮き出し
 
プリンタードライバーから、任意のテキストを入力したり、透かし文字のサイズ・角度・配置の設定も可能

 複合機といえばこれまで、コピー機能やファクス機能だけを使うという傾向が強かった。だが、それでは宝の持ち腐れといっても過言ではない。プリント、スキャン、コピー、ファクスの4つの機能をすべて使いこなすことによって、その優れた利便性を実感できる製品だ。その点、使いやすい操作パネルを備え、4つの機能を簡単に使えるLP-M5000シリーズは、事業所の規模を問わず導入できるお薦めの複合機といえるだろう。

 優れているのは機能面だけではない。お手頃価格なうえに、コピーチャージは不要、低ランニングコストといった点も見逃すことはできない。

 複合機の機能をフルに活用することで、情報が活き、コミュニケーションが活発になる。結果としてオフィスの情報集約力を高め、大きなメリットを生み出すのだ。LP-M5000シリーズは、ビジネス力を向上させる1台といえるだろう。

(Reported by 百瀬崇)

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