「口金がついた様々なタイプの電球を、全てLED電球にしたい」…シャープのLED電球の進化は止まらない

新しくなったシャープのLED電球"ELM"を前に説明をする、LED照明事業推進センター副所長兼、商品企画部長の桃井恒浩氏

 2010年の春、ミニクリプトン小形電球とほぼ同じ大きさでありながら、完成度が高くしかも明るいLED電球に驚かされた。それからたった半年ほどで、シャープのLED電球の新しいシリーズ名「ELM(エルム)」の名のもとに、さらに明るさが増した小形電球タイプのLED電球と、光が広範囲に広がるように工夫されたシャンデリア電球タイプのものが同時に発売された。とても早い進化とともに、LED電球のバリエーションとクオリティが、また一つ引き上げられたのである。

 今回、E17口金の2種類の小形LED電球の試用レビューを手がけるにあたり、LED照明事業推進センター副所長兼、商品企画部長の桃井恒浩氏に直接お話を伺う事ができた。特に印象的だったのが、「口金がついた様々なタイプの電球を、全てLED電球にしたい、という気持ちで商品を作っている」という言葉だった。

 その言葉はただの理想や夢ではない。2009年の6月にLED電球を現実的に購入可能な価格帯でLED電球業界に登場した事から始まり、「調色・調光」が一灯でできるLED電球の新しいあかりの在り方を提示した。そして、実用的な明るさを持つ質の高い小形電球タイプに、業界初のボールタイプLED電球…と、短期間でいくつもエポック的な要素を含んだ製品を具現化し、世に送り出して来た事は周知の事実。常に業界をリード、牽引しているのがシャープ、と言っても過言ではないだろう。

 そんなシャープが、ユーザーの意見と要望に基づいて、小形電球タイプのLED電球をより使いやすい物へとブラッシュアップした。さらにそれを応用したシャンデリア電球タイプのものを今回は紹介しよう。

 前半に、新しくなった小形電球タイプ2種類、DL-JA42L(電球色 相当)とDL-JA51N (昼白色 相当)を、後半にシャンデリアタイプの2種類、DL-JC2BL(クリアカバー)とDL-JF2BL(乳白カバー)を、実使用例を交えながらその実力を探ってゆく。

モデル : E17口金 小形電球タイプ スタンダード・密閉器具対応

品番 : DL-JA42L(電球色 相当)
DL-JA51N (昼白色 相当)
希望小売価格: オープンプライス

モデル : E17口金 シャンデリア電球タイプ・調光器対応

品番 : DL-JC2BL(クリアカバー)
DL-JF2BL(乳白カバー)
希望小売価格: オープンプライス

  • シャープ E17小形電球タイプ・スタンダード DL-JA42L(電球色 相当)

  • シャープ E17小形電球タイプ・スタンダード DL-JA51N (昼白色 相当)

  • シャープ E17シャンデリア電球タイプ DL-JC2BL(クリアカバー)

  • シャープ E17シャンデリア電球タイプ DL-JF2BL(乳白カバー)

『新・E17口金 小形電球タイプ』

 シャープの新しくなったE17口金 小形電球タイプLED電球を最初に点灯した印象は、「確実に明るくなった」である。全体照明にも十分に活用できるだろうと、一瞬で感じられたほどだった。しかも、コンパクトな外観はほとんど変わっていないので、いろいろな小形器具への取り付けが可能である。

 変わったのは明るさだけでなく、密閉器具にも対応するようになり、寿命もE26口金LED電球と同じ、40,000時間になった。桃井氏の説明によると、より明るい高輝度形のLEDチップを自社で開発したものを新たに採用し、回路に大幅な改良を加える事によって、ユーザーからの要望に応えた製品を実現させたそうである。

 一方、新しい小形電球タイプは調光器には対応していない。というのも、以前の物の発売後のアンケートの結果、意外にも調光器が使われない環境での使用が多かった結果を受けて、先ず、スタンダードタイプとしてブラッシュアップしたそうだ。

 比較に用いる小形電球として、40W形の他、今回は60W形のミニクリプトン電球も用意した。なぜなら、ダウンライトなど、ミニクリプトン電球を用いる全体照明のほとんどは60W形を用いるからである。はたして、新しくなった小形電球タイプのLED電球の実力はどんな結果になるのだろうか。

形は小形電球とほぼ同じ。明るさは大幅にアップし、光の広がりも十分

直径35mm、高さは68mm。ミニクリプトン電球よりも1mm背が高いが、直径も同じで大きさはほとんど変わらない。若干透けて見えるLEDチップは自社開発した新しいものだ

 初めにミニクリプトン電球と並べて、シャープのE17口金 小形電球タイプの外見を比較した。パッと見では以前のものと同様に、ミニクリプトン電球と変わらない電球らしい形が継承されている。

 実測すると、35×68mm(直径×高さ)と、ミニクリプトン電球よりも背丈だけ1mm高くなった。しかし、それによって器具に入らなくなるとは考えにくい程度の変化だろう。また、発光部を覆うカバーは樹脂製ながら、見た目も触感もまるでガラス製と見間違うぐらい、質の高いものだ。

 重さも、以前のものとほとんど変わらない。電球色のDL-JA42Lが46g、昼白色のDL-JA51Nが45gだった。ミニクリプトン電球は14gなので、その3倍以上の重さにはなるのだが、器具への負担になる重さとは考えにくい。

 形状は以前と変わらず、ミニクリプトン電球並の大きさであった。さて、その小さな発光面から放たれる光の広がり方は、電球色、昼白色とも、光源部を中心にまずまずの光の拡散が得られる。しかし、放熱部がLED電球の半分以上を占めるため、ソケット付近にはあまり光が届かない。とは言え、ミニクリプトン電球よりも光が遠くまで届く印象だ。

  • ミニクリプトン電球:電球を中心に光が球形に広がり、床面もしっかり明るい

  • DL-JA42L(電球色 相当)、DL-JA51N (昼白色 相当)共に、光源部を中心に光りが球形に広がる。光りが遠くまで届いている印象だが、床面への光りの回り込みが弱い

 次にいよいよテコ入れされた、その明るさを比較した。結論を先に言うと、電球色、昼白色ともに、40Wのミニクリプトン電球の明るさを軽く上回ったのである。

 高さ550mmの位置からテーブルを照らし出したのだが、どうしても暗くなりがちな電球色でさえも520Lxの明るさが得られた。この値は、最近のE26口金のLED電球の中でもトップクラスの明るさだ。昼白色にいたっては、数値こそ60W形のミニクリプトンには及ばないものの、見た目の印象は60W形のミニクリプトンと変わらないのでは?と思わされるほど、力強い明るさが得られたのだった。

 発光面積に限りがある小形電球タイプのLED電球なのに、以前のものとほとんど外見を変えないで大幅に明るさが進化したのである。

  • 60W形ミニクリプトン電球:785Lx

  • 40W形ミニクリプトン電球:428Lx

  • DL-JA42L(電球色 相当): 520Lx

  • DL-JA51N (昼白色 相当): 665Lx

全体照明に活用できる実力アリ!

 電球色、昼白色ともに40W形ミニクリプトン電球の明るさを軽く超えたシャープの新しい小形電球タイプLED電球であるが、実際の器具に取り付けたなら、どのぐらいの実力を発揮するのだろうか。実例を紹介するためにいくつかの器具に取り付けて、その様子を撮影した。

 まず、卓上で使用する小形のスタンドに取り付けた。電球の高さはほとんど変わらないため、取り付けた印象は同じ。点灯した様子は、光色の違いはあるが、明るさや光の広がり方はミニクリプトン電球と大きく変わらない。

 とは言っても、光源と照らし出されるものの距離が短い場合、その明るさは、電球色でさえも800Lxを超えてしまうため、はっきり言って明る過ぎ。調光が出来ないという事もあり、部分照明などの補助的な使い方に収まる明るさではなくなった、と言えるだろう。

  • ミニクリプトン電球を小形の卓上スポットライトに取り付けた様子

  • 小形電球タイプを取り付けた様子は、ミニクリプトン電球より1mmの背が高いが、その高さの差がほとんどわからないほどだ。電球色、昼白色も同じ印象だった

  • 60W形ミニクリプトン電球を点灯した様子。器具の高さは35cm程度なので、力強い明るさが床面に広がっている

  • 40W形ミニクリプトン電球を点灯した様子。60W形よりも暗くなるが、それでもまだまだ明るい

  • DL-JA42L(電球色 相当)を点灯した様子。40W形のクリプトン電球よりも確実に明るくなっている

  • DL-JA51N (昼白色 相当)を点灯した様子。光色こそ違うが、60W形クリプトン電球と同じぐらいの明るさが感じられる

 そこで、今度は廊下のダウンライトに取り付けたのだが、非常に良い結果が得られた。たった一個のLED電球だけで、廊下全体が快適な明るさに包まれたからである。広範囲を照らした場合、遠くまで光が届くというLED電球の良さが活かされ、電球色、昼白色共に60W形のミニクリプトン電球の明るさと遜色ないぐらいの印象が得られたのである。LED電球に取替えても、「暗くなった」という印象にはならなかったのだ。

  • ダウンライトに60W形のミニクリプトン電球を取り付けた様子

  • DL-JA42L(電球色 相当)を取り付けた様子。昼白色も取り付けた印象は全く同じだった

  • 60W形ミニクリプトン電球を点灯した様子。廊下全体が明るい

  • 40W形ミニクリプトン電球を点灯した様子。少し暗くなるが、まだまだ十分な明るさがある

  • DL-JA42L(電球色 相当)を点灯した様子。40W形のクリプトン電球よりも明快に明るくなった

  • DL-JA51N (昼白色 相当)を点灯した様子。60W形クリプトン電球に負けない明るさが感じられ、廊下全体が明るく照らし出されている

 次に、密閉器具対応になったLED電球を風呂場で活用した。その結果、昼白色ならば、器具内に閉じ込めても60W形のミニクリプトン電球と遜色ない、清潔感のある快適な明るさが得られた。明るいLED電球の位置が器具の根元付近にあるため、器具のカバーを通して光が十分に拡散するようだ。もし、風呂場の電球に40W形の電球をお使いならば、電球色も十分にアリだろう。

  • 風呂場の器具に60W形ミニクリプトン電球を取付け点灯した様子。十分に明るい

  • 40W形ミニクリプトン電球を点灯した様子。少し風呂には物足りない明るさだ

  • DL-JA42L(電球色 相当)を点灯した様子。肉眼では40W形ミニクリプトン電球と明るさが変わらない印象だった

  • DL-JA51N (昼白色 相当)を点灯した様子。電球が器具に閉じ込められている分、60W形クリプトン電球よりも少しくらい印象になるが、実用的な明るさが感じられた>

 次は電球の取替えに手間のかかる、ガラス製のペンダントに取り付けた。40,000時間という長寿命になった事で、電球の取替えの手間がさらに少なくなるのが嬉しい。電球の交換が面倒な器具の他、明るさが十分に期待できるので、高所にある器具にも適しているだろう。電球色ならば暖かな雰囲気、昼白色ならば、爽やか雰囲気が楽しめるので、玄関など人を迎え入れる空間のメインのあかりとしても積極的に活用できる。もちろん、点灯した時の器具の雰囲気も損なわれない。

  • ガラス製のペンダントライトに60W形のミニクリプトン電球がとりつけてある。器具をバラして電球を変えるものだ。電球が目立つように撮影している

  • 60W形ミニクリプトン電球を点灯した様子。器具の内側に光りが十分にまわっていてとても明るい

  • DL-JA42L(電球色 相当)を点灯した様子。器具内部に光りが十分に行き渡り、明るく、しかも器具の印象が損なわれていない

  • DL-JA51N (昼白色 相当)を点灯した様子。力強い明るさが感じられる。

  • DL-JA42L(電球色 相当)を取り付けたガラスペンダントを玄関で使用した。玄関が十分な明るさに包まれ、しかも暖かみのある親しみやすい雰囲気になった

  • DL-JA51N (昼白色 相当)は、涼しげでスッキリとした印象の玄関になった。光色はニュートラルな白色でとても自然だ

 器具取り付けの最後は、ダイニングテーブル上の白磁製のペンダントに取り付けた。どちらも、他の照明を点灯せずとも、一灯だけで食事をするのに十分な明るさが得られた。器具とテーブルの距離は720mmで、電球色の直下の明るさは223Lx、昼白色で285Lxだった。器具内に光りが十分に回りこむので、柔らかな白磁の雰囲気がそのまま楽しめる。

 電球色は黄色っぽさが若干気になるが食事のシーンでも十分に利用できる程度。昼白色は明るく自然な白色光で、食事のシーンにもマッチする。

  • コンパクトなペンダントライトに60W形ミニクリプトン電球を取り付けた様子。白磁を通して滲み出る光が美しい

  • DL-JA42L(電球色 相当)を取り付けた様子。器具の印象はほとんど変わらない

  • DL-JA51N (昼白色 相当)を取り付けた様子。白磁を通して滲み出る光が美しい

  • DL-JA42L(電球色 相当)を点灯した様子。器具内部にも十分に光りが回り、器具の印象はそれほど変わらない

  • DL-JA51N (昼白色 相当)を点灯した様子。白磁の白さが際立ち、電球色とはまた違った印象が楽しめる

  • DL-JA42L(電球色 相当)一灯で、食事のシーンに十分な明るさが得られた

  • L-JA51N (昼白色 相当)も一灯でもさらに明るい。食事のシーンにも適したニュートラルな光色が得られた

初期購入費はLED電球の中では少し高価。しかし1年半以内にはモトがとれてしまう

 このレビューを書いている時点で、実売価格はどちらも3,254円だった。E26口金のLED電球が3,000円を下回るのが当たり前になってきている昨今、その価格は必ずしも安いとは言えない。しかし、1日8時間使用すると仮定して、60W形のミニクリプトン電球から取り替えた場合なら11カ月、40W形からなら1年5カ月と、LED電球の中でも早い時期にモトが取れてしまうのだ。

 電球代が高価でもそれだけ早くモトが取れるのは、消費電力の低さに因る。消費電力の実測値は、どちらもたったの3W。現在十分な明るさが得られるLED電球の中でも、トップクラスの消費電力の低さである。しかも、以前のものと変わらない消費電力でありながら、明るさはグンとアップしているのだから驚きだ。

 電球代のモトが取れた以降、年間の電気代は軽く1/11以下になるのだから、家計には大いに助かるだろう。さらに、1日8時間使用しても、さらに13年以上も電球の取替えが要らないのも魅力的だ。

 ところで、ここまで小形電球形蛍光灯については触れていなかった。それは「電球の大きさ、明るさ」と言う点でLED電球の方が完全に優れているからだ。突然、小形電球形蛍光灯を引き合いに出すのも恐縮だが、小形電球形蛍光灯と比較しても5年7カ月でモトが取れてしまうのだ。その期間は小形LED電球の中でもかなり早い。もちろん、頻繁な点滅に強く、点灯した瞬間から明るいのは従来どおり。密閉器具にも対応しており、電球形蛍光灯よりも確実に明るいLED電球なので、現在使っている小形電球形蛍光灯が切れたら取替える事をお勧めする。

  • 60W形ミニクリプトン電球:54W

  • 40W形ミニクリプトン電球:35W

  • DL-JA42L(電球色 相当):3W

  • DL-JA51N (昼白色 相当):3W

『E17口金 シャンデリア電球タイプ』

 次はE17口金 シャンデリア電球タイプを紹介しよう。

 キャンドルのようなフォルムが特徴的で、光色は電球色のみと、装飾的な要素の強い製品である。ラインアップはクリアカバーのDL-JC2BLと乳白カバーのDL-JF2BL の2種類。クリアカバーの内部には特殊なレンズを施し、配光性を高め、シャンデリア電球のクリアタイプのような煌き感が得られる。一方、乳白カバーのものにはレンズは内蔵されていないが、プラスチック製のカバーで、光がより拡散するように工夫されている。

 桃井氏によると、シャンデリアには25〜40W形の電球が使われる事が多いため、明るさはあえて抑え目に設定したそうだ。汎用性を高める調光器対応だが、回路部を見直し、以前の小形電球タイプのものよりも、よりスムーズな調光が可能という。また、目に触れやすい存在感のある器具に取り付けるものとして、輝く電球のような光色を再現するだけでなく、クリアタイプにいたっては、透明なガラス球を通した時にできる「自然な光りの揺らぎ」の再現にもこだわったそうだ。

 実は、初めてこの製品を手にした時、「ウチには豪奢なシャンデリアなんてないし…」と、正直言って、ちょっと後ろ向きに捉えてしまったのだ。しかし実際に使ってみると、シャンデリアに限らず、気軽に室内の雰囲気を演出する、新しいタイプのLED電球という事が分かったのである。電球としてのスペックを探るだけでなく、インテリアの質を高める身近なLED電球として、どんなシーンに活用できるのか、具体的な例を挙げながら紹介しよう。

 比較には、シャンデリア電球のクリアタイプと乳白タイプを用いた。それぞれにおいて、25W形と40W形の2つの明るさのものと、合計4つを用意した。

  • DL-JC2BL(クリアカバー)が取り付けられたシャンデリア。煌き感がありクラシカルな器具にピッタリだ (シャープショールームで撮影)

  • DL-JC2BL(クリアカバー)の様子。特殊なレンズが内蔵されており光りの拡散性を高めている。白熱電球のフィラメントのような煌き感がある

  • DL-JF2BL(乳白カバー)の様子。レンズは内蔵されていないが、乳白カバーによって光りが柔らかく拡散する

インテリアライトに活用しやすい明るさ。抜群の拡散性の良さが新しい!

 まず、シャンデリア電球と並べてその外見を比較した。それぞれを実測してみると、シャンデリア電球タイプの大きさは、35x96mm(直径x高さ)。直径はシャンデリア電球よりも3mm太くなるが、高さは全く同じだった。シャンデリア電球のようなフォルムを再現しつつ、口金付近はスタンダードタイプのようなくびれがあり、いろいろな器具への汎用性は高いだろう。

 しかし、重さは13〜14gのシャンデリア電球よりも重くなってしまう。実測で、クリアカバーは54g、乳白カバーは50gとそれぞれ4倍近い重さになってしまう。したがって、一つの器具に数多くの電球を取り付けるものには、耐加重を確認する必要があるだろうが、数個程度の同時取り付けであれば、さほど問題になるような重さにではないだろう。

  • DL-JC2BL(クリアカバー)の直径は35mm、高さは96mm。シャンデリア電球よりも直径が3mm太くなるが、高さは全く同じ。形状は異なるが、いかにもシャンデリア電球といったデザイン

  • DL-JF2BL(乳白カバー)はクリアカバーと全く同じ大きさである

 さて、光りが広範囲に広がるように工夫した商品と謳われているのだが、実際にはどのようになったのか。

 それぞれをソケットに取り付けて点灯し比較すると、クリアカバーのものはこれまでのLED電球では見られなかったほど、口金付近を明るく照らし出し、特殊レンズの効果がはっきりと表れていたのである。一方、レンズの無い乳白タイプの光りの広がりは、クリアカバーほどはっきりとしたものではないが、横方向へも穏やかに広がる印象だった。

 この結果から、ただ単にシャンデリア電球の形状を模しただけではない、まったく新しいタイプのLED電球であると言える。シャンデリアに限らず、上向きに取り付けても下方へもちゃんと光りが届くので、それまでLED電球があまり適さなかった器具にも活用できるようになるだろう。

  • シャンデリア電球・クリアタイプ:光源部を中心に、光りが側面、口金方向へと広がっている

  • DL-JC2BL(クリアカバー):側面方向はもちろん、口金に近い部分にもかなり光が届いているのがわかる。また透明ガラスを通したような、光りのムラまで再現されている

  • シャンデリア電球・クリアタイプは床面もしっかり照らされている

  • DL-JC2BL(クリアカバー)口金の直下の影は大きくなるが、光がしっかりと床面に届いて明るくなっている

  • シャンデリア電球・乳白タイプ:クリアタイプと同様に、光源部を中心に、光りが側面、口金方向へと広がっている

  • L-JF2BL(乳白カバー):光源部を中心に光が球形に広がる。どちらかというと小形電球タイプの広がり方に近い

  • シャンデリア電球・乳白タイプも床面を明るく照らしている

  • DL-JF2BL(乳白カバー):電球ほどの明るさは望めないが、全体的に柔らかな光の広がりが感じられた

 形状だけで無く、これまでとは異なる光の拡散性を実現させたシャンデリアタイプのLED電球であるが、その明るさは実際にどのぐらいのものなのか。小形電球タイプと全く同じ条件で、アームライトにそれぞれを取り付けて明るさを計測した。

 その明るさは、クリアカバーが242Lxで乳白カバーは283Lxという結果が得られた。どちらもE26口金の40Wタイプで言えば、中ぐらいの明るさになる。もともと、明るさは抑え目に設定されているLED電球ではあるが、25〜40Wのシャンデリア電球の置き換え、インテリアライトへの取り付けを目的とするならば、十分な明るさと言えるだろう。

  • 40W形シャンデリア電球 クリアタイプ:302 Lx

  • 25W形シャンデリア電球 クリアタイプ:122 Lx

  • DL-JC2BL(クリアカバー):242 Lx 40W形と25W形の中間ぐらいの明るさ

  • 40W形シャンデリア電球 乳白タイプ:340 Lx

  • 25W形シャンデリア電球 乳白タイプ:169 Lx

  • DL-JF2BL(乳白カバー):283 Lx こちらも40W形と25W形の中間ぐらいの明るさだ

 電球を上向きに取り付けるだけでなく、一般的なものと同じように下向きに取り付けても十分な明るさが得られたのである。

スタンドやインテリアライトなど、雰囲気を大切にする器具にお勧め

 非常に明るいタイプのLED電球でないからこそ、インテリアライトには逆に使いやすい。ここから電球を実際の器具に取り付け、利用している様子も交えながら話を進めたい。

 LED電球を上向きに取り付ける器具として真っ先に思い浮かんだのは、いわゆる昔からある「電気スタンド」である。これまでのLED電球は上向きに取り付けると、スタンドの下のほうへは光りが届きにくいため、本来の姿とは違った雰囲気に陥りやすかったからである。

 もちろんミニクリプトン電球と同じ明るさは望めないが、クリアカバーのものは、それらしい雰囲気が味わえる。

  • 40W形のミニクリプトン電球を取り付け、点灯した様子。器具の下方にしっかりと光りが届いている

  • 小形電球タイプのDL-JA42L(電球色 相当)は、上方向へは強い光が放たれるが、器具の下方はどうしても暗くなってしまう

  • DL-JC2BL(クリアカバー)は、光りと影の境目が多少はっきりしすぎるものの、器具の下方にちゃんと光りが届いている。

  • DL-JF2BL(乳白カバー)は、クリアカバーほどではないが、上下とも穏やかに光りが届いている

DL-JC2BL(クリアカバー)を取り付けた器具を、ベッドサイドに設置した様子。器具の下方の照らされた明るさは、200Lxを超えるため、読書も可能だ。柔らかな光りを放つ落ち着いた雰囲気をかもし出す小形のスタンドは、ベッド周りにくつろいだ雰囲気を演出する

 そんな電気スタンドは、テーブルの上だけでなく、ベッドサイドやソファ付近に置いて、補助的な照明として積極的に楽しみたい。器具の下へ光が届くので、スタンドのそばにお気に入りの写真や小物を飾って照らしたり、ちょっと本を読むにも十分に利用できるだろう。

 次は、電球がほぼ丸見えになるシンプルな筒状の器具に取り付けた。シャンデリア電球はもともとクラシカルな表情があるので、それを取り付けるだけで、シンプルな器具が表情豊かな器具に変身する。光の煌き感はとても優しく、直接目に触れても心地良い。

  • ガラス製の筒状のシンプルな器具に、40W形のシャンデリア電球・クリアタイプを取り付け点灯した様子。キャンドルライトのような雰囲気だ

  • DL-JC2BL(クリアカバー)は、煌き感もあり、LED電球でありながら、クラシカルな雰囲気が楽しめる。床面にも光りが届いている

  • 40W形のシャンデリア電球・乳白タイプを取り付け点灯した様子。クリアタイプとはまた違った優しい雰囲気になった

  • DL-JF2BL(乳白カバー)はクリアカバーほど光りは広がらないが、柔らかな光りが印象的だ

  • 小形電球タイプのDL-JA42L(電球色 相当)は、インテリアライトとして利用するには明る過ぎる上、表情も乏しくなってしまう

 クリアカバーは影がはっきりと出やすい。したがって植物をそばに置くと、葉影が壁に投影され、無味乾燥な白壁が表情豊かに変わるのも楽しいだろう。調光については後に触れるが、光量をぐっと絞って、優しげな常夜灯としても利用できる。また、時には天井の明かりを消して、ちょっとオシャレな食卓を演出するにもうってつけのLED電球だ。

  • DL-JC2BL(クリアカバー)を取り付けた器具を、植物と共に玄関先に置いた。葉影が壁面に広がり、印象的な雰囲気が演出できる

  • DL-JF2BL(乳白カバー)を取付け、調光して常夜灯として活用するのも良いだろう。乳白カバーは影の出かたが穏やかになる

  • DL-JC2BL(クリアカバー)の煌き感を活かして、時にはキャンドルディナーを楽しむのも良いだろう

 以上のようにとても表情豊かな空間が演出できるLED電球なので、シャンデリア専用とは決めつけたくない。なぜなら、インテリアの演出や、優しいあかりとして活用しやすい、魅力的なLED電球だからである。電球そのものが美しいので、クラシカルな雰囲気を湛えるランタンタイプや、ガス灯をモチーフとした器具にもしっくりと馴染むだろう。

さらにスムーズな調光が可能になった

 既に冒頭でも触れ、実使用例としても紹介しているが、シャンデリア電球タイプのLED電球は調光器にも対応している。100%の全灯から、ぐっと光量を絞り込んだほのかな明るさまで、自由に調光が出来る。

 その上、以前の調光器対応のものよりも、さらにスムーズな調光が可能になった。調光器の特性にも因るが、以前のものは調光器で25%を下回ると消えてしまっていたが、今回の製品では10%付近まで調光しても消えないのだ。白熱電球と同じ感覚で調光できるので、この点についても進化していると実感したのである。

  • シャンデリア電球・クリアタイプ:100%(全灯)

  • 75%調光

  • 50%調光

  • 25%調光

  • シャンデリア電球は最大限に光を絞り込んでもほのかに光っている

  • DL-JC2BL(クリアカバー):100%(全灯)

  • 75%調光

  • 50%調光

  • 25%調光

  • 10%調光したDL-JC2BL(クリアカバー)。まだまだ消えずほのかに光っていた

  • シャンデリア電球・乳白タイプ:100%(全灯)

  • 75%調光

  • 50%調光

  • 25%調光

  • シャンデリア電球は最大限に光を絞り込んでもほのかに光っている

  • DL-JF2BL(乳白カバー):100%(全灯)

  • 75%調光

  • 50%調光

  • 25%調光

  • 10%調光したDL-JF2BL(乳白カバー)。やはり消えずに光っていた

 対応する調光器は、500Wまで。壁面スイッチに調光器が組み込まれているものの他、手持ちの器具にコントローラーを組み合わせれば、広範囲にあかりを楽しむ事ができるだろう。また、調光しても光色が赤っぽくならないのもLED電球の一つの特徴である。

小形電球タイプと同様に初期購入費は高価。しかし最長でも1年9カ月以内にはモトがとれてしまう

 このレビューを書いている時点で、クリアカバーの実売価格は3,254円、乳白カバーで3,192円だった。小形電球タイプ同様に、電球の価格は安いものではないのだが、1日8時間使用すると仮定して、40W形のシャンデリア電球から取り替えた場合なら、1年1〜2カ月、25W形を取替えたなら、1年9カ月にはモトが取れてしまう試算結果となった。これはLED電球の中でも平均的な期間である。

 実測の消費電力は、クリアカバーが2W、乳白カバーが3Wととても低い。電球代は高価でも、40W形の電球と取替えたなら、電気代はだいたい1/15前後、25W形でも1/9前後も電気代が安くなるのも確かだ。また、シャンデリア電球の寿命は1,500時間だが、1日8時間使用すると半年ぐらいしか持たない。それに比べ、シャンデリア電球タイプのLED電球は、他のLED電球と同様に40,000時間と長寿命なので、同じように使っても15年近くも取替えが要らない。

  • 40W形シャンデリア電球・クリアタイプ:37W

  • 25W形シャンデリア電球・クリアタイプ:23W

  • DL-JC2BL(クリアカバー):2W (25%調光すると1W以下になった)

  • 40W形シャンデリア電球・クリアタイプ:54W

  • 25W形シャンデリア電球・クリアタイプ:23W

  • DL-JF2BL(乳白カバー):3W (25%調光すると1W以下になった)

E17小形電球タイプは全体照明に、シャンデリア電球タイプはインテリアライトにお勧め

 小形電球タイプのLED電球の特筆すべき点は、トップクラスの明るさを持つE26口金LEDと肩を並べられるぐらい明るい事だろう。それでいて、消費電力はLED電球の中でもとても低い。したがって、ダウンライトやペンダントなど、大きな面を照らせる電球として十分に活躍できるだろう。

 一方、シャンデリア電球タイプは、明るさは抑え気味に設計されており、調光もスムーズ。室内の雰囲気を演出する、部分照明と言われるインテリアライトとの相性が抜群に良い。また、これまでのLED電球では得られなかった、光の拡散性と煌き感を持つクリアカバーのものは特に魅力的だ。

 どちらも初期費用としての電球代は決して安くはないのだが、LED電球の中でも早い段階でモトが取れる。しかも点灯した瞬間から明るく、頻繁な点滅にも強いため、小形電球を用いている器具をお持ちなら、是非白熱電球からの買い替えがお勧めできる。

 桃井氏とのお話で、これから調光ができる明るい小形電球タイプや、光りの拡散性に効果のある特殊レンズを使用した、もっと明るいLED電球の可能性も十分にあると仰っていた。今後、シャープのLED電球がどんな進化を遂げ、業界にどんな流れを作って行くのか、今からとても楽しみである。

 最後になるが、話変わって8月に発表された業界初のLEDシーリングライトにも是非注目したい。というのも、それは細かな調色・調光ができるだけでなく、自動でコントロールする”エコあかリズム”など、これまでに無い、全く新しいタイプのシーリングライトだからだ。実物にも触れ、桃井氏からもお話も伺う事が出来たのだが、「業界初」でありながら、イキナリ完成度が高いのだ。これについては機会を改めて紹介するつもりである。

[Text & Photo by 藤原 大蔵]

8月に発表された業界初のLEDを光源とするシーリングライト。43mmと薄く、しかも調光・調色を搭載し、調節が自動で行えるという全く新しいタイプの製品だ