ポータルの世界へようこそ!

 本作「Portal 2」は、米国の有名ゲームデベロッパーValveによる、FPS(ファースト・パーソン・シューター)。いや、ファースト・パーソン・サイエンスと言った方が正しいかも。

 主人公はAperture Scienceという研究組織のテスト施設に閉じ込められた、とある被験者。距離や障害物を無視して2地点の空間をつなぐ事のできる摩訶不思議な「ポータルガン」だけを手に、あの手この手で空間パズルが構成されたテスト・チェンバーをクリア、脱出を目指すゲームなのだ。

 2007年末にPC版がリリースされた前作「Portal」は、もともとはValveの看板タイトル「Half-Life 2」のスピンオフ作品。「Half-Life 2: Episode Two」などValve製タイトル3作が収録された「The Orange Box」の、いわばオマケ的な存在として登場したのがはじまりだ。

 そのオマケ的存在が翌年、世界のゲーム業界で最も権威があると言われるGDC(Game Developers Conference) 2008のアワードで大賞を受賞したというのだからビッグニュース。

 奇抜で広がりのあるゲーム性、緻密でおもしろいパズル、そして抜群の演出とストーリー。全てが高い次元で融合した全く新しいゲームとして、最高の評価を受けたのだ。

■「Portal」の基本システム

青いポータルとオレンジのポータルを活用してテスト・チェンバー(部屋)から脱出していくのがゲームの基本だ

 そして満を持して登場するこの「Portal 2」は大幅パワーアップ。ポータルガンを使って空間を科学するゲーム性はそのままに、世界観をさらに深め、壮大な物語と絶妙なパズルをたっぷり楽しませてくれる作品として生まれ変わった。

 今作では前作の3倍ものボリュームを持つシングルプレイゲームに加え、ふたりで遊べる協力プレイモードも搭載。ひとりでも、ふたりでも、最高におもしろい空間科学体験が味わえる。 そんな「ファースト・パーソン・サイエンス」を、家庭用ゲーム機で楽しめる日がついにやってきたのだ!

このポータルマジックを解けるかな?

変わり果てたテスト施設。いったいどれだけの時間が……?

 ここはAperture Science。Black Mesa研究所に資金力で負け、競争に敗れてしまったライバル企業の巨大実験施設だ。ここではおかしなことが起こっている。任意の2地点を量子的効果によってダイレクトにつなげる携帯型装置──「ポータルガン」の完成間近に、研究所内の人間が全滅してしまったのだ。

 事故後、この施設のマザーコンピューターを務めるAIコア「GLaDOS」は、ポータルガンの実験を続けるという機械的な本能に従って、生き残った唯一の「被験者」に過酷なテストを強いた。ほとんど殺意と同義と言える科学への情熱によって。

 しかし被験者──主人公はそのテストを乗り越え、ついに「GLaDOS」の破壊と脱出に成功したかに見えた……というのが前作までのお話だ。

 しかし騒動は終わらない。本作の冒頭、主人公は古びたホテルの一室で目覚める。どこからともなく流れてくる音声ガイダンスに従いベッドに横たわると……とてつもない時間が流れていた。

 ここはポータルガンのテスト被験者のためのコールドスリープ室。何らかのエラーにより、施設の管理機能が完全に止まってしまっていたらしい。

主人公の脳を心配するWheatley。しゃべる言葉は英国なまり

 そこで現れるのが、お調子者のAIコア「Wheatley」。ボール型ながらそこらの人間よりも人間らしい彼が言うには、施設の予備電源が底をついて、センター全体で被験者を起こせなくなってしまったと。

 いちおう被験者の管理を担当するWheatleyとしては、その責任を取らされるかもしれないとビビりまくっており、唯一の生存者である主人公の力を借りて一刻も早く施設を脱出したいということなのだ。

 施設全体が植物に覆われているという有様でいったいどれだけの時間が経ったのかわからないほどだが(一説では数百年!)、兎にも角にも、こうして主人公とWheatleyのドタバタ珍道中が始まってしまう!

Wheatleyはちょっとおバカで、道中何度も笑わせてくれる。憎めないやつだ

廃墟と化したテスト施設に録音メッセージが虚しく流れるが……その内容が絶妙にズレていておもしろい

床に設置された2つのボタンは、同時に押すことで扉を開く。ポータルを使って解決!(でも褒めてくれるのは録音メッセージだけ…)

プレーヤーを待ち受けるテストチェンバーの数々。さて、キミはどう解く?

 こうして始まる序盤のゲームでは、プレーヤーはブルーのポータルを開けるシングル・ポータルガンを手に入れる。ポータルガンを使えば大抵の白い壁にポータルを開けることが可能で、あらかじめ開いているオレンジのポータルと空間をつなぐことができる。

 あるステージではこれを利用して移動し、地面のボタン(1500メガワット Aperture Science 強化超衝突スーパーボタン)に箱(Aperture Science荷重格納キューブ)を置いて扉を開き、次のステージへ。

 こうしてサクサク進んでいくうちにWheatleyがトタバタしながらも脱出経路を見つけてくれる。だがそこに待ち受けていたのは……。

GlaDOS様復活! 被験者はあんなことやこんなことをされてしまう!

「ずいぶんお久しぶりですね。お元気でしたか? 私は多忙でした。死んでいるのも楽ではありません。何しろあなたに殺されたので...!」

 GLaDOS。冷酷で、皮肉屋で、何より科学への情熱にかけては針が振りきれるほどのマザーコンピューター。しかも今度は、前作で彼女を葬った主人公への復讐心まで追加されている!!

 そして我らがお調子者のWheatleyはあっけなく潰され、主人公は復讐に燃えるGLaDOSに拉致されて、死ぬまで彼女の「テスト」に付き合うハメに。

 デブだのゴミだの、両親に愛されていないだのと主人公の悪口を言い続けるGLaDOSのツンツンぶりにちょっとトキメキつつ、彼女自慢のテスト・チェンバーをクリアしていくのだ。

 しかし、予測可能な日々は長くは続かない。まもなく主人公はGLaDOSとAperture Scienceそのものにまつわる大きなストーリーの渦に、否応なく巻き込まれていく。最高のパズル、最高のシナリオを存分に楽しもう。

GLaDOSの毒舌に付き合いながら、過酷なテストをこなしていく……。とっても楽しい

やがて主人公は、Aperture Scienceの「裏側」を知ることになる……?

 今作ではシナリオはもちろんパズルそのものにも力が入れられている。Aperture Scienceの科学力から生まれた様々なギミックが、ポータルガンを使った空間パズルにさらなるウィットを与えてくれるのだ。

■阻止ビーム方向転換キューブ

壁の装置から照射されるビームを屈折させ、任意の方向に向けられる箱。これを複数組み合わせたパズルも……?

■空中信頼性プレート

別名ジャンプ台。乗ると決まった方向に大ジャンプする装置で、アクロバティックな空間利用法を演出。

■偏位運動ファンネル

被験者を空中散歩に誘う不思議な円柱フィールド。運べるのは自分だけでなく、他の物体も……!

■反発ジェル

謎の技術で作られた青い液体。塗布面に飛び乗ると係数1の反発を引き起こし、大ジャンプが発動!

■加速ジェル

謎の技術で作られたオレンジの液体。塗布面を歩くとツルツル滑って超加速!他のジェルと組み合わせたパズルも?

ふたりでなら解ける! クリアできる!

 ひとりで楽しいソロプレイモードをひと通りプレイしても、Portal 2の魅力はまだまだこれからだ。本作では念願の協力プレイモードが実現。ふたりのプレーヤーが力を合わせてクリアする、新たな科学の旅が待っている。

 協力プレイモードで登場するテストコースは、シングルプレイモードとは全く違ったものだ。それもそのはず、プレーヤーが扮する2体のテスト用ロボット「Atlas」と「P-Body」とそのテストコースは、前作で主人公がGLaDOSを破壊する少し前、人間の被験者が居ずにヒマを持て余したGLaDOSが、テスト欲を満たすために別途作ったものなのだ。その名も協力テストイニシアチブ!

COOP オフィシャルPV

ふたりで力を合わせよう!

 そこで出くわすステージは、ひとりでは絶対にクリアできない、手ごわいパズルばかり。各テストチェンバーを乗り越えるためには、ふたりのプレーヤーが絶対に、綿密に協力する必要がある。

 ポイントは、各プレーヤーが出せる1対のポータルが、そのプレーヤーの出したポータル間でしか空間を繋がないこと。他のプレーヤーの出したポータルを利用して移動することはできるが、自分のポータルと相手のポータルを直接つなぐことはできない。独特の頭の使い方が必要だ。

 この仕組みを理解した上で、様々なギミックで構成されたステージに挑戦。自分が落下中に相手にポータルを出してもらう、相手にスイッチ操作をしてもらいつつ自分が先に進む、箱をふたりの間で受け渡す……考えうるありとあらゆる協力の形。 信頼、友情、そして遊び心。

ふたり揃ってゴール!

 各ステージはふたりの協力が必須であるだけに難しそうだが、実際のところ簡単すぎず難しすぎず、ちょうどいい難しさで構成されている。ついつい「先に解いた法が勝ち!」と競争になりそうだが、そこは慌てずふたりで考え、ふたりでクリアしていこう。

 ひとりでクリアする達成感も素晴らしいものだが、ふたりでクリアするパズルはもっと楽しい。時には失敗して相手を破壊しちゃったり、想定外のトラブルにゲラゲラ笑いながら楽しむ、そんな満ち足りた時間を是非、お友達と一緒に満喫してみよう。

「Ping Tool」を使えば、相手に見てほしい場所を伝えることができる

勝利の喜びをジェスチャーシステムで表現!……、GLaDOS様はお怒りのようだ

AtlasとP-Body

GLaDOSが2体を創りだした、本当の目的とは?

協力プレイモードのステージはなかなかすごいボリュームで、一気に最後までプレイするのはとても大変。しかし、相手の都合で途中で止めることになっても安心だ。協力プレイモードでは、ゲームセッションの中でいつでも、好きなステージから開始できる機能が備わっているのだ。

 ゲーム全体はいくつかのテストコースに分けられ、それぞれ別個のテーマに沿って構成されている。「チーム作り」、「重力と加速度」、「ハードライトブリッジ」……。自分と相手のクリアしたステージはそれぞれゲーム内で管理されていて、いつでも協力プレイのハブからアクセスすることができる。

 これを使って、一度中断した協力プレイゲームをスムーズに再開することができるほか、自分だけ先のステージまでクリアしていても、相手のクリアしていないステージを見てそこから始めることもできる。良く考えられたシステムだ。

PlayStation 3がSteamに対応!

 PlayStation 3ユーザーに朗報だ。本作のPlayStation 3版は、コンシューマーゲーム機ではじめてSteamに対応する。

 Steamというのは、ValveがPCとMacで展開してきたゲームのオンライン流通システム。ゲームの購入、場所を選ばないダウロードとプレイ、そしてフレンド機能やマッチメイキング機能など、沢山のコミュニティ機能も備えた総合的なオンラインシステムだ。

 PlayStation NetworkとSteamのコラボによって、2つの画期的な機能が実現している。ひとつは、協力プレイモードに関して、PlayStation 3版とPC/Mac版のクロスプラットフォームプレイが可能になることだ。異なる機種持ちのお友達とそのまま一緒に遊べてしまうというわけ。

 もうひとつはもっとすごい。PlayStation 3版の所有者はSteam上でPC版とMac版も所有しているとみなされ、なんと無料でPC/Mac版のダウンロード/プレイが可能なのだ。これはもともとPCとMacの間で「SteamPlay」と呼ばれていた要素なのだが、今回はじめてPlayStation 3がその輪に加わることになったというわけだ。

Valveタイトルではおなじみの、「開発者による解説」モードも搭載。クリア後に舞台裏をじっくり楽しんでみよう

 大傑作だった前作の要素をさらに高くまとめ挙げ、ボリューム、密度、質のすべてでプレーヤーを満足させてくれる「Portal 2」。新しい体験を与えてくれるゲームとして、システム、ステージ構成、シナリオとも、非のつけようがない出来に磨き上げられている。

 今作では特にPlayStation 3版のSteam対応がゲーム業界的にも大きなニュースとなっており、ますますValveが展開する良質なゲームの世界が広がっていきそうだ。PlayStation 3版を購入するユーザーの皆さんはPC/Mac版ユーザーともプレイできるので、ぜひいろんな人と協力プレイを楽しみ、友達の輪を広げてみてほしい。

 またValveでは、本作のPC版、Mac版、PlayStation 3版については「同時にアップデートしていく」と表明している。つまりアップデートがあるということで、追加コンテンツの登場にも期待が持てる。これはもう、今のうちに全クリして、ワクテカしながら待機しておくしかない!

 そんな夢も広がってしまうおもしろさの「Portal 2」。ゲームファンならぜひぜひ、挑戦してみてほしい。

[Reported by 佐藤カフジ]

Portal 2 (ポータル 2)製品情報
http://www.japan.ea.com/portal2/

EA、PS3/Xbox 360「PORTAL 2」を5月19日に発売
世界に衝撃を与えた傑作3次元パズルアクションの最新作
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110401_436804.html

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