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昨年末、各社から登場した第1世代のUltrabook。どの製品もパッと見は薄型で同様の見た目を持っているが、その中でも圧倒的な支持を受けたのが、東芝のdynabookだった。 ライバルたちよりも200グラム以上軽量で、最も厚い部分で約15.9ミリ以下というフラットで薄型の筐体。それに軽量ではあるものの質感を出しにくいマグネシウム合金で、しっかりとした金属感ある仕上げを実現。軽量さ、丈夫さ、キーボードの打ちやすさなど、様々な要素を高レベルに融合させ、Ultrabook部門での販売台数一位の記録をしばらく更新している。 一般に、薄型を追求すると軽量化のハードルは高くなる。パーツを重ねずに並べなければならないため、底面積が大きくなり軽量化が難しくなるからだ。また、ボディを薄くすると剛性を出しずらくなるため軽量化は意外に難しい。 薄く作りながら丈夫さを兼ね備え、きちんとバッテリ駆動時間も維持する。これらの要素を程よくバランスさせて製品開発を行えるのは、25年以上の長きにわたってノートPCにこだわり続けてきた東芝ならではだ。 さて、薄型ノートPCを作り続けてきた東芝も、インテルの最新版プロセッサ発表を受け新機種へと更新され、第2世代Ultrabookとなった。第一世代で王者に君臨し続けた東芝の最新Ultrabookを見てみよう。 dynabook R631が大人気だった理由は、Ultrabook最軽量(※1)の13インチモデルという冠だけが理由ではない。もちろん、少しでも軽量ならば、鞄に入れて持ち歩く際の負担は小さくなる。重量がモバイル用途での利便性を高めたUltrabookの特性を考えれば重要なスペックであることは間違いない。 (※1)13.3型ワイド液晶搭載ノートPCとして。2012年6月、東芝調べ しかし、R631にはもうひとつ、OSやアプリケーションの起動時間が高速で、操作感も軽快という評判があった。これは最新・最速のSSDを搭載したからだ。もちろんシステム全体のチューニングの成果もあるが、人が感じる「速さ」はSSDの性能に依存していた部分が大きい。 SSD性能を引き出すことは、モバイル環境で使うことが多いUltrabookを開発する上で、もっとも重要なポイントと言える。使いたい時に使え、日常的な作業で速さを感じる応答性、体感速度は、プロセッサ自身の絶対的な処理速度もさることながら、内蔵ストレージの速度に依存する傾向が強いからである。 最新のインテル製プラットフォームに切り替えたdynabook R632に搭載された128GバイトSSDは、従来に比べて読み出し速度で2.5倍(※2)、書き込み速度で5.8倍(※2)に達するが、このSSDを搭載するだけではパフォーマンスは引き出せない。プラットフォームの変更により、毎秒600Mバイトもの転送速度を実現するSATA3に対応することで、速度の上限が大幅に高まったのである。 (※2)東芝従来機R631とR632との比較。東芝調べ。お客様の環境によって速度が異なる場合があります。 実際、使い始めるとそのパフォーマンスの高さが実感できる。電源オフからの起動速度は、あくまでも参考値(環境によって異なる上、実際の運用時には完全に電源オフする機会は少ない)ではあるが、最新SSDとSATA3の組み合わせでR631の約15秒起動から約8秒短い、約7秒起動という大幅な高速化が図られている。 PCMark 07のスコア
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R631 | R632 | |
PCMark score | 3046 | 5225 |
Lightweight score | 2596 | 4115 |
Productivity score | 2235 | 3320 |
私は常々、Ultrabookのような”ツール”として持ち歩くコンピュータの場合、絶対的な性能数値よりも軽快感の方が重要だと主張してきた。もちろん、最新の第3世代インテル® CoreTM i5-3317U プロセッサーを搭載するR632は、それだけで高速(特にGPUのパフォーマンスアップは大きい)なのだが、それは他製品も同じ。ではどのUltrabookがいいの?といったところで差が付くのが、実利用時の軽快感やバッテリ駆動時間なのだと思う。
さて、軽量ボディは手で持った瞬間、みんなが実感する。そして動作の軽快感も、使い始めれば「あっ、違う?」と誰もが気付く。そんなR632だが、今回の記事執筆のためにしばらく使ってわかったのは、道具としてのシンプルさだ。
たとえば、”入出力ポートの数が多い”なんて売り文句は、いかにもカタログスペックを埋めるために考えられたようなものだが、この薄さでギガビットイーサのケーブルを直接つなぐことができて、VGA、HDMIの両出力まで装備しているのは、やはり便利。USBポートも3ポートあり、そのうち2個が背面、1個がマウスを使うことの多い右側に配置されている。
薄くするため、苦し紛れに空いているところにポートを持ってくるのではなく、背面にコネクタ類を集中させるなど、道具としての使いやすさを考慮しながら薄型化しているのは東芝の経験値の高さを想像させる。内蔵する部品、コンポーネントの重量配分もよく考えられており、液晶パネルをスッと上に持ち上げると全体を支えなくとも開いてくれる。
こうした細かな配慮が、道具としての仕上がりの良さを感じさせる。確かに前モデルの人気はパフォーマンスの良さもあったのだろうが、やはり道具として使いにくいものであれば売れなかったはずだ。
こうした道具としての使いやすさを磨き込むため、東芝は新モデルに合わせ、従来よりも小型のACアダプタを用意して添付している。長期の出張などに良さを実感するだろう。道具としての良さを追求するため、目立たない小改良を加える、良い意味での愚直さはdynabookシリーズ全体に共通する良さだ。
もっとも、今回は少しばかり派手な要素も盛り込まれている。
新色のシャンパンゴールドは、シルバーとは異なりヘアラインではなく梨地仕上げのゴールド塗装。メッキ部分はピンクゴールドで上品な仕上がりだ。メッキ部分の色合いからすると、かなり女性を意識したものなのだろう。もちろん、シルバーも併売される。なお、シャンパンゴールドのモデルはキーボードバックライトが装備されない点に注意して欲しい(キーの刻印が濃色で透過光による表現ができないため)。
さて、これからたくさんのUltrabookが市場に投入される。価格帯が同じならば、どれもスペックは同じようなものだ。しかも、どれも決まって薄型ときている。もちろん、超軽量な製品は少ないけれど、どれでもイイやと機種選択について考えることを放棄して、デザインだけで選びたくなってくるかもしれない。
派手さを強調したデザインが流行する中、R632の良さは、あるいは目立たない存在と映るかもしれない。しかし、シンプルなラインで構成したR632のデザインは無色透明でアクがない。だからこそ、無駄に意匠をこらさず、機能美に徹した美しさがあると思う。
そして実用面では、使いたい時に素早く立ち上がり、接続したい時にポートが使いやすい場所にあり、鞄の出し入れが楽で、しかも軽量。キーボードを叩いてみれば高いボディ剛性を感じるし、バッテリ持続時間だって十分に長い。
すなわち、仕事をより手早く片付けるためのビジネスツールを探している人には、他にないほどピッタリ、しっくり来る製品だ。
東芝は他にもdynabook R542という、こちらは個性の塊のようなシネスコスクリーン比率のディスプレイを持つエンターテイメント指向なUltrabookをラインナップしている。その一方でR632の超マジメ系もあり、それぞれがそれぞれのカテゴリで高い完成度を誇っているというのだから、こればかりは過去の経験蓄積というほかない。
見た目は先代モデル比で大きく変化していないR632だが、しかし、それだけに完成度、熟成度の高さが際立っている。ビジネスツールとしてのUltrabookを捜しているなら、これほど適した製品はないだろう。
(Reported by 本田雅一)
dynabook R632 スペック | |
CPU | 第3世代 インテル® Core™ i5-3317U プロセッサー 1.70GHz ((インテル® ターボ・ブースト・テクノロジー 2.0対応:最大2.60GHz)) 2コア/4スレッド(インテル® ハイパースレッディング・テクノロジー対応) |
チップセット | モバイル インテル® HM76 Expressチップセット |
メモリ | PC3-12800(DDR3-1600)SDRAM 4GB(2GB+2GB)/交換不可 |
ディスプレイ | 最大1,366×768ドット/1,677万色 インテル® HD グラフィックス 4000 |
ストレージ | 128GB SSD(Serial ATA3対応) (Webオリジナルモデルでは256GBが選択可能) |
有線LAN | 1000Base-T/100Base-TX/10Base-T(自動認識、Wake On LAN対応) |
無線LAN | インテル® Centrino® Wireless-N + WiMAX 6150 IEEE802.16e-2005準拠(WiMAX) IEEE802.11b/g/n準拠(Wi-Fi準拠、WPA/WPA2対応、WEP対応、AES対応、TKIP対応) |
サウンド | HDサウンドシステム(HDステレオスピーカー、SRS Premium Sound HD™) 、モノラルマイク |
インターフェース | ヘッドホン出力×1、ミニD-sub×1、USB3.0×1、USB2.0×2、マイク入力×1、Webカメラ(約130万画素)、LAN(RJ45)×1、HDMI出力端子×1 |
セキュリティ機能 | 指紋センサー(スライド方式)、BIOSパスワード、HDDパスワード、 インスタントセキュリティ、セキュリティロック・スロット |
バッテリー駆動時間 | 約9.0時間 (社団法人電子情報技術産業協会の「JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver1.0)」(http://it.jeita.or.jp/mobile/index.html)。本体のみ(周辺機器の接続なし、出荷時構成)、省電力制御あり、満充電の場合。ただし、実際の駆動時間は使用環境および設定などにより異なります。) |
外形寸法 | 約316.0(幅)×227.0(奥行)×8.3〜15.9(高さ)mm |
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