WINTER MAXXで関東周辺のアリガチな雪道を走るゼ!!

 昨年、ダンロップから断トツの性能を誇るスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX(ウインターマックス)」が登場した。「WINTER MAXX」は、それまでダンロップの最強のスタッドレスタイヤだった「DSX-2」を大きく上回る性能を持つタイヤで、氷上ブレーキ性能が11%向上(※1)していたり、ライフ性能(タイヤ寿命)が48%も向上(※2)していたりする。

 てか、凍った道での「止まる性能」が1割以上高まったってスゴいすよね。しかもタイヤが1.5倍近く長持ち。ほかにもいろいろな特徴があるというので、実際に真冬の北海道のテストコースにて「WINTER MAXX」の実力を試した俺。

ダンロップ史上No.1の氷上性能を実現したWINTER MAXX。その実力はいかに?

 そしたらまあ凄いんですよ「WINTER MAXX」。氷上や雪上の性能が十分高いと感じられた「DSX-2」よりさらに高性能であることをハッキリ体感できた。俺はタイヤとかクルマに関しては素人だが、それでも「あらこんなに違う!!」と驚いてしまった。これからスタッドレスタイヤ買うなら絶対「WINTER MAXX」だな~と痛感した。

 とは言っても、「WINTER MAXX」を試用したのは、前述のとおり「真冬の北海道のテストコース」である。ガッチガチに凍った凍結路、乾いた雪がギュッと固められたような圧雪路、さらに凍った坂道など、様々なシチュエーションにて確かに「WINTER MAXX」は凄い性能を発揮した。しかし同時に「世の中こんなテストコース的な道ばかりじゃないよな」とも思った。

 たとえば首都圏寄りの関東周辺エリアの雪道とかって、コンディションが様々じゃないスか。ビチャビチャ半解け凍結路とか、中途半端に解けた雪が夜間に固まった凸凹の雪道とか、ブラックアイスバーンなんかも点在する。真冬の北海道のように、シッカリ固まった氷結路とか、乾いた感じの圧雪路というコンディションの方がむしろ少ない感じ。

 つまり、「WINTER MAXX」が真冬の北海道の雪道に強いのはわかったが、じゃあ「関東周辺の冬の道路」はどうなんだ「WINTER MAXX」さんよォ、と。まさか北海道だけに強ぇんじゃねーのかぁ「WINTER MAXX」ちゃんはさぁ、なあおい、と。あれ? 何で俺、超偉そうなの? しかも上から目線のヤンキー風喧嘩腰で何様って感じ?

 いやともかく、「WINTER MAXX」が関東のアリガチな雪路でどんな性能を発揮してくれるのか、試したい俺なのである。というわけで、「WINTER MAXX」を装着したクルマを借り、都内から群馬県の万座温泉に走りに行ってみた。

 なお、万座温泉は海抜1800mに位置する温泉で、通年クルマで行ける日本最高所の温泉のひとつ。そこへ向かう途中、高速道路のドライ路面も走るし、雪国に近づくとビチャビチャの雪道もあるだろうし、さらに進めば圧雪路や氷結路もあるハズ。そういう様々なコンディションの路で、「WINTER MAXX」がどんな性能を見せてくれるか試そうってわけですな。

高速道路もフラつかず快適走行♪

 さてさて、まずは都内から高速道路に乗り、群馬県は万座温泉へ向けて走行開始。クルマはスバルの「インプレッサ」。これに「WINTER MAXX」を装着して走り始めた。

 走り始めて間もなく気づいたのが、ドライ路面での走行性能。結論から言えば、「WINTER MAXX」には夏タイヤに近い走行感があるということだ。スタッドレスタイヤで雪ナシのアスファルト(ドライ路面)を走ると、微妙に足回りがフラついたりするじゃないですか。一般的なスタッドレスタイヤの多くが柔らかいタイヤなので、たとえば高速道路でレーンを変えるときに「あっ……ととと」的にフラつきに一瞬汗が出たりする。そして「そうだスタッドレスだった、スピード落とさなきゃ」みたいな感じになりがち。

 だが「WINTER MAXX」だとそういう不安が少ない。ややもすればスタッドレスタイヤで走っていることを忘れちゃう感じ。そのくらいタイヤのシッカリ感があってフラつきが少ないと感じられる。

氷上性能だけでなくドライ性能も向上している。OUT側のブロックを大型化したことで剛性もアップし、フラつきの少ないコーナリング性能を実現した

 あと、一般的なスタッドレスタイヤだと、曲がりながら急加速したりすると簡単にタイヤが滑って鳴いちゃったりする。ドライ路面に対するグリップ力があまり高くない一般的なスタッドレスタイヤの場合、ドライ路面上でちょっと無理すると簡単に滑るんですな。

 ところが、「WINTER MAXX」だとこの滑りやすさも少ない。まあ意識的に無理すれば滑るんですけど、駐車場からの出だしとか、立体駐車場内のカーブなんかでも非常に滑りにくいと感じられる。

 これは「WINTER MAXX」の素材である独自の「ナノフィットゴム」による効果なのだろう。ナノフィットゴムは「ゴム全体としては剛性が高く、接地面はナノ領域(0.000000001mレベル)では柔らかいというゴム。これによりタイヤ全体としてはシッカリとクルマの重量を支え、路面に対して高いグリップ性能を発揮するんだそうだ。

ダンロップ独自素材である「ナノフィットゴム」は高い剛性と柔軟性を両立。ゴムの変形を抑えるので操縦安定性も高まる

 もちろんほかにも「乾いた路面でWINTER MAXXが夏タイヤに近い走行感」を感じさせる理由/要素はあると思うが、まあスタッドレスっぽくないスタッドレスタイヤですな、「WINTER MAXX」は。冬、雪のない道路をスタッドレスタイヤで走ると、タイヤのコシのなさや若干のフラつきで疲れたりスピードを出せなかったりするが、「WINTER MAXX」だとそういうストレスが非常に少ないと思う。

 ちなみに、前述のとおり「WINTER MAXX」はライフ性能(タイヤ寿命)が48%も向上している。「冬場は何度か雪道を走るのでスタッドレスを装着する必要があるが、いつもは雪のない路を走る」てなドライバーにとって、「WINTER MAXX」は経済的だしエコなタイヤでもあるのだ。減らないと言うことは早めに交換したほうが何かいいことがいっぱいありそう。そういえば雪が降った日にタイヤ交換しにカーショップやガソリンスタンドなどに行くと、どこもかしこも交換の行列で待ち時間がとてつもなかったような……。ということでまだ夏用タイヤの人はこの「WINTER MAXX」で早めに交換することをオススメするのだ。

半端な雪道も危なげなく走れる

 そして目的地の万座温泉が近づいて来た。が、あいにくこの日は気温高めで降雪もナシ。中途半端な雪道なのである。でもアリガチなシチュエーション。

 具体的には、雪はあるものの、半分以上が解けちゃっててベチャベチャ状態。シャーベットですな。スタッドレスタイヤが苦手とする「濡れたような雪道」である。

 が、「WINTER MAXX」は平然とベチャベチャ雪路を突き進む。「あれ、滑らないネこのスタッドレスタイヤ」とか思って、若干急ハンドルを切ってみたり、急加速をしてみたり。でもほとんど滑らない。

 まあ、もちろん無理に滑らせようとすれば滑るような路面。だが、そういった挑戦的な運転をしなければ、危なげなく「ベチャベチャのシャーベット雪路」も安定感をもってクリアできる「WINTER MAXX」って感じですな。

 これは、「WINTER MAXX」の排水性能/排雪性能によるものだと思う。具体的には「WINTER MAXX」にはそのための独自のブロックパターンがあること。水平方向の溝が雪に対するグリップ力を高めており、縦方向の太い溝が排雪/排水を効率よく行うのだという。

 これにより、雪があったり濡れた路面だったりするような中途半端なシャーベット状の雪道でも、危なげなく走れる。独自のブロックパターンが雪を掴んで滑らない。雪が解けた水を効率よく排水するので、これまた水による滑りも生じにくいというわけだ。

縦方向センター部の溝容量が40%アップし、排水性が向上。中途半端なシャーベット状の雪道でも安定感のある走行を可能にする 走った後にはトレッドパターンがきれいに残る。排雪性の高さの表れだ
オレンジ色の溝が雪をつかみ、赤い色の溝が排水性能を確保する つかんだ雪を排雪しやすいのも特徴

 冬場にスキーとか温泉とかに行くと、こういう中途半端な雪路はどうしても通ることになりますな。そんなシチュエーションでも滑らず安心して運転できる「WINTER MAXX」。疲れず快適に目的地に向かえるスタッドレスタイヤだと感じた。

アリガチな「重めで濡れた雪」も楽勝クリア

 ドライ路面とベチャベチャ雪路だけじゃまだまだ物足りないということで、鋭意雪道を探して走り込んでみた。当日のコンディションはやや気温高めで、全体的に解けつつある雪道という印象。ただ、山陰になっているあたりは雪が解けずに残っている。そんな雪路を走ってみた。

 雪路の印象は、関東圏ではアリガチな雪路ですな。水気が多めの、やや濡れた感じの重い雪。表面を手ですくうと、水っぽいシャーベットが取れる、みたいな。北海道の乾いた感じの圧雪路とは違い、非常に走りにくそうで滑りやすそうな雪路だ。

 しかしこのシチュエーションも「WINTER MAXX」だと問題なく走破。非常に滑りそうだし、実際にフツーのスタッドレスタイヤだと滑ると思われる「部分的にシャーベットで力をかけると全体がズルッと崩れるような感じの雪」なのだが、「WINTER MAXX」だとグイグイ進める。不安は全然感じられなかった。

 むしろいつもの感覚で走れるから愉快。たまに通るほかのクルマは、恐らくソコが滑ることを知っているようで、ゆっくりと運転している。でもこちらは「WINTER MAXX」装着車、スイーッと駆け抜けられる感じで、なんかこう、優越感のようなものに浸れますな♪

所々に残った解けかけの雪の上を走ってみるが、排水性が高いためか安心して走ることができた

タチの悪い凍ったデコボコ路もイケる

 さて、さらなる道中、ヒッジョーに滑りそうな道を発見した。それは、ほとんどクルマが通らない道で、一度解けた雪がさらにカチカチに凍ったデコボコがある氷雪路だ。

 裏話をすると、そんな道を見つけて「ここは絵になりますね~」とクルマを降りたカメラマンが即座に転んだ。「そんなに滑る?」と思って俺もクルマから降りてみたが、まあデコボコで足場は悪いし、そのデコボコの表面は微妙に解けていて、超滑るのであった。北海道のテストコースでは磨かれた氷盤路を走ったが、デコボコの氷は設置面積が少なくて歩くのが危険なレベル。これもまた、関東圏ではアリガチなタチの悪い氷結路である。

 さすがにここまでヤバい状況だと、「WINTER MAXX」でも滑りがち。注意深く走る必要がある。のだが、超滑る道だということを心得て、ゆっくりめに走れば問題ナシ。ステアリングを切ればちゃんと曲がるし、アクセルを踏めば前に進んでいく。

 ちなみに、今回使ったクルマはインプレッサ。このタチの悪い氷結路を走行中、インプレッサのVDC作動状態を表すマルチインフォメーションディスプレイが4輪とも頻繁に赤くなった。つまりそのくらい滑りまくりの道なのだ。「WINTER MAXX」の氷結路走破性能があり、そのうえでさらにクルマのVDCがキッチリ働いてくれるとなると、クルマがスタックしちゃうような心配は、まぁ~ず、ナイですな。実際、若干の坂道でもスタックして動けなくなるような不安は全く感じなかった。

まともに歩くのも難しいアイスバーンのような道でも、きちんと曲がるし、しっかり進んで行くのには驚かされた
VDCが作動するような滑りやすい路面でも、しっかりコントロール性が残っていて安心感が高い

もっとスゴい雪のなかも走りたい!!

 てな感じで、とりあえず目的地の万座温泉に到着し。その日は一泊。

 で、その翌朝、ちょっとイイ感じの体験ができた。駐車場はベチャベチャ的な雪だったんだが、朝にはガチガチに凍っていた。「これ、出られるかな」的な状況。前述の「カチカチに凍ったデコボコがある氷雪路」をクルマの周囲に後から作られちゃったようなシチュエーションなのだ。

 が、結論から言えばアッサリと脱出できた。周囲に駐めてあるクルマに気を付けてゆっくり発進したこともあってか、全然滑らなかった。安定的かつ楽勝でデコボコ氷結駐車場から脱出することができた。ゆっくり走ればだいたい無敵っすね「WINTER MAXX」。

 余談だが、スバルのインプレッサの新たな側面っていうか、スバル車の凄みみたいなものも見てしまった。この駐車場での朝、夜間の降雪により、クルマのウィンドウにうっすらと雪と氷が張り付いている状態になっていた。

 ぶっちゃけ「こうなっちゃうと走り始めるまでに時間がかかるなー、ウィンドウの氷解けないと前が見えないんだよな~」てな状態。「雪&氷の解け待ち」みたいな。

 ところが、インプレッサのエンジンをかけると、見る見るうちにウィンドウに付着した雪と氷が解けていった。フロントガラスやリアガラスだけでなく、ドアミラーやサイドガラスなど、運転するのに見えて欲しい箇所から素早くスッキリと雪が解けていくのであった。凄い♪

エンジンをかけると瞬く間にウインドーの雪と氷が解けていく。これなら寒冷地のドライブでも快適だ

 Car Watchの担当者によると、もともとスバル車は雪国での使用を想定した設計思想があり、たとえばバッテリーは標準で大型のサイズを装備していたりするそうだ。逆に雪国仕様はない、みたいな。また、インプレッサの場合、「クリアビューパック」というオプションをつければヒーテッドドアミラーや、ワイパーが凍るのを防ぐワイパーデアイサーなど、雪や氷を克服するための装備が全て付いてくるんだそうだ。

ワイパーブレードの凍結を熱戦で解かすワイパーデアイサー、曇りや凍結を取り除くヒーテッドドアミラーはオプションで装着可能

 ちなみに、ワイパーデアイサーは、ワイパーがガラスに張り付くのを防ぐだけの装備ではない。ワイパー自体が凍ってしまい、ガラスの曲面に追従しなくなり、結果、拭き取りができなくなるという不都合も防いでくれる。また、HIDヘッドランプにウォッシャーが標準装備されているが、これはハロゲン光源と違って熱を持たないHID光源のための雪対策なのだという。しかし凄いネ、スバル車。これまでいろいろなスバル車を試乗してきたが、降雪地域でこういう性能を発揮するとはビックリ。

HIDヘッドランプは熱を持たないため、ヘッドランプ部分に装備されたウオッシャーが雪を解かしてくれる。標準装備というのがありがたい

 ところで、予定では、関東圏の重く湿った雪がガンガン降るなか、いろいろな道で「WINTER MAXX」の性能を体感したかったんだが、天気の都合でそこまではできなかった。が、ドライ路面での安定感~フラつきのなさ、タチの悪いベチャベチャ雪道の走破性、それから人も簡単に滑るデコボコ氷結路でもシッカリとその実力を見せてくれた「WINTER MAXX」であった。

 でもやっぱり「湿った雪がガンガン降るなか」で「WINTER MAXX」を試した~い!! ということで、毎日天気予報をチェックしつつ、「この日だ!!」と狙って雪降る新潟に行ってみた。てなわけで、後編ではさらにシツコく「WINTER MAXX」の性能を検証していくので、ぜひお楽しみに~♪

※1:試験条件 ●タイヤサイズ:195/65R15 91Q ●空気圧(kPa):F200/R200 ●テスト車両排気量:1800cc●駆動方式:FF ●ABSの有無:有り ●初速度:30km/h ●テスト場所:住友ゴム工業(株)名寄タイヤ テストコース ●路面:氷盤路 ●制動距離:WINTER MAXX WM01=29.6m/DSX-2=33.3m
※2 摩耗試験条件 ●タイヤサイズ:195/65R15 91Q ●空気圧(kPa):F230/R220 ●テスト車両排気量: 1800cc ●試験距離: 8080km ●ローテーションの有無: 2台の車両で交換しながら走行 ●推定ライフ(指数): WINTER MAXX WM01(148)/DSX-2(100) ※上記タイヤ試験条件に関する詳細なデータについては、 タイヤ公正取引協議会に届け出てあります。※タイヤの表示に関する公正競争規約に定められた試験方法で試験を行っています。 ※試験結果はあくまでもテスト値であって運転の仕方によっては異なります。

プロフィール
 

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。

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